JPS635639B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は粉粒体流送用鋼管の寿命低下の大きな
原因である管端摩耗を防止する方法に関するもの
である。 土砂、鉱滓、粉鉱石、粉炭等の輸送手段として
水、空気、窒素等を媒体として粉粒体流送（いわ
ゆるスラリー輸送或いはニユーマチツクコンベア
等）が大きく脚光を浴びている。これは鉄道、ト
ラツク、バージ、コンベアといつた他の輸送手段
に比し、社会環境或いは経済面に於て利点を有す
ることにもよるが、他方粉粒体流送管にとつて最
も重要な性能である耐摩耗性が鋼材の改質或いは
ウレタンエラストマーの様な耐摩耗性ライニング
の出現によつて向上したことにより、配管の信頼
性が増したことも大きく寄与している。しかし、
摩耗について未だ問題が残つていた。 特に大きな問題はフランジ或いは、いわゆるヴ
イクトリツクジヨイントの様な機械的方法によつ
て接続配管された場合の管端部の異常摩耗であ
る。これは接合される管端同志の内径が完全に一
致はし得ず、且完全に同芯状には接合されないた
めに生ずる目違い段差によるものである。フラン
ジ等の外径を基準として行なう通常の配管作業を
於て上記目違い段差を１mm以下に抑えることは極
めて困難である。又、パツキング材と両管端内径
の寸法不整合も同様の状況を惹起する。 この結果、普通鋼の10倍以上の耐摩耗性がある
と云われるウレタンエラストマーなどの耐摩耗性
ライニングを用いても従来の方法では接続部の異
常摩耗のために配管全体としては所期の寿命を達
成し得ない恐れが強かつた。 本発明者等は上記の如き管端部の異常摩耗の防
止法について種々検討の結果、本発明を達成する
に至つたものである。本発明の要旨は粉粒体流送
用鋼管を機械的方法によつて接続配管するに際
し、接続される両管端の内径より小なる内径を有
し、且つ接続される管内面と同等以上の耐摩耗性
を有するリング体を両管端の間に略々同芯状に挿
入した上で接続することを特徴とする粉粒体流送
用鋼管の管端摩耗防止方法である。 以下に本発明を詳細に説明する。 第１図は従来の接続状態、第２図は本発明方法
による接続状態を断面図にて図示したものであ
る。第１図ａは耐摩耗性ライニング１，１′を施
した鋼管２，２′の接続に際し生じた段差３によ
つて異常摩耗４が発生する状況を示し、第１図ｂ
は裸鋼管２，２′を通常のパツキング材５を用い
て接続した際に生ずる凹部６によつて異常摩耗４
が生ずる態様を示す。第２図に示した本発明の方
法にあつては耐摩耗性ライニング１，１′を施し
た鋼管２，２′を接続する際リング体７を両管端
の間に挿入しリング体７の表面が両管端面より段
差３，３′だけ突出た形をとることにより摩耗４
が発生するが、両管端の異常摩耗は防止される状
況を示す。管端部の全周に３．３′の段差を確保
するためにリング体の内径を両管端の内径より小
とする必要があるが、管径に応じ３〜10mm程度小
さくするのが適切である。リング体の厚みは任意
であるが管径に応じ10〜50mm程度が適切である。
リング体の材質は管内面と同等以上の耐摩耗性を
有していることが必要であることから、例えばウ
レタンエラストマーライニング鋼管に対してはウ
レタンエラストマーが適切である。裸鋼管に対し
ては鋼材でも良いが、パツキング材を兼ねさせる
ためには各種ゴム或いはウレタンエラストマーを
使用することが有効である。又、例えばウレタン
エラストマーのリング体はこれを一体で作成して
も良いが、リング体の外部に鋼製リングを同芯状
に嵌合したものでもよい。 本発明方法により管端にリング体を挿入して配
管を行なえば、リング体が摩耗して行き遂には両
側管端の内径と一致して安定摩耗状態となり、耐
摩耗性材料の本来性能が発揮される。又、万一リ
ング体が損傷しても、これの交換は容易であり、
粉粒体流送管の保守に極めて有利である。 なお、本発明方法が完全真円の鋼管に限らず、
異形断面形状を有する鋼管、或いは真円、異形鋼
管を縦割りにした形状であるところの樋状体にも
適用しうることはいうまでもない。 以下、本発明の効果を明らかとするための実施
例を述べる。 実施例 内径約106mmのウレタンエラストマーライニン
グ管をフランジ接続配管し、粒度最大５mm、中央
値0.8mmの土砂を20重量％含むスラリーを約６
ｍ／secの流速で1000時間流送した。 この際、通常の接続（フランジ面にもウレタン
エラストマーがライニングされているためパツキ
ング材は省略）を１〜３mmの段差をつけて行なつ
た接続（比較例）及び接続される両管端の間にウ
レタンエラストマーリング（内径102mm、厚さ20
mm）を挿入して接続した本発明方法による接続
（本発明例）を供試した。 1000時間流送後接続部の摩耗を観察した結果は
第１表の通りであつた。

【表】 第１表に於て記号Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄは第３図にて
示す管周方向の位置であり、ｔ，ｌは第４図、第
５図にて示す通り、夫々管厚み方向及び管軸方向
の摩耗量である。又比較例に於ける“試験前段
差”は第１図ａの３を指しており、“摩耗量”は
第４図の如くフランジ部の角に発生したものを記
している。本発明例に於ける“試験前段差”は第
２図の３を指し、“摩耗量”は第５図の如くリン
グ体７の角に発生したものである。第１表に記し
た以外の異常摩耗は観察されなかつた。 この結果より、従来の接続方法では既に管厚さ
方向で３mmに及ぶ摩耗が発生しているのに対し、
本発明方法では摩耗はリング体に集中し、管体端
部の異常摩耗は防止されたことが判り、粉粒体流
送管に寿命確保に極めて有効な手段であることが
明らかである。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは従来方法による管体接続状況を
示す断面図、第２図は本発明方法による管体接続
状況を示す断面図、第３図は管周方向位置の見取
図、第４図は従来方法にて生じるフランジ部の異
常摩耗を模式的に表わす図、第５図は本発明方法
にて生ずるリング体の摩耗を模式的に表わす図で
ある。 １，１′……耐摩耗性ライニング、２，２′……
鋼管、３，３′……段差、４……摩耗、５……パ
ツキング材、６……凹部、７……リング体、Ａ，
Ｂ，Ｃ，Ｄ……管周方向の位置、ｔ……管厚み方
向の摩耗量、ｌ……管軸方向の摩耗量。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 粉粒体流送用鋼管を機械的方法によつて接続
   配管するに際し、接続される両管端の内径より小
   なる内径を有し、且つ接続される管内面と同等以
   上の耐摩耗性を有するリング体を両管端の間に
   略々同芯状に挿入した上で接続することを特徴と
   する粉粒体流送用鋼管の管端摩耗の防止方法。