JPS6352254B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自在継手に関し、従動軸に連結され
たハブに支持されたローラと協働する少なくとも
２個のボールレースを有し、かつ駆動軸に連結さ
れたほぼ椀型の駆動要素と、駆動要素の内側に従
動軸の端部及びローラを保持すべく駆動要素の開
口端部に設けられた係止部材とからなる、特に自
動車変速装置用の滑動式自在継手に関する。特
に、円周方向に、120゜ずつ隔てて配置された３個
の平行なボールレースを有する三脚型の滑動式自
在継手に関する。

本発明の目的は、自在継手の組立作業中又は使
用中における不利益を招くことなく、自在継手の
製造をより経済的になし得、加えて係止部材の強
度を増加させ得る自動車変速装置用の三脚型滑動
式自在継手を提出することにある。

本発明によれば、前記目的は、自動車変速装置
用の三脚型滑動式自在継手であつて、駆動軸と、
前記駆動軸とほぼ同軸となるように配列された従
動軸と、一端が前記駆動軸の端部に固定されてお
り、他端が開口した円筒部材と、前記円筒部材の
周方向に沿つてほぼ等間隔に配列され且つ前記円
筒部材の長手軸方向に沿つて伸長するように、前
記円筒部材の内表面上に形成された３つの内側溝
と、前記周方向に関して前記内側溝の間に配列さ
れ且つ前記軸方向に沿つて伸長するように、前記
円筒部材の外表面上に形成された３つの外側溝
と、前記従動軸の周方向に沿つてほぼ等間隔に前
記従動軸の端部に連結されており、前記従動軸が
前記駆動軸に対して前記軸方向に沿つて変位した
時に前記内側溝上を転動し且つ前記従動軸に対す
る前記駆動軸の回転運動を伝達するように前記内
側溝に係合した３つのローラと、前記円筒部材の
他端に蓋をすべく前記円筒部材の他端に固定され
たキヤツプ状部材と、前記キヤツプ状部材の閉鎖
端に設けられた開口部とからなり、前記従動軸が
前記開口部を通ると共に、前記ローラの回転中心
が前記円筒部材の他端の近傍に位置する時に前記
ローラの一部が前記円筒部材の外側に前記開口部
を通つて突出しており、前記ローラの回転中心が
前記円筒部材の他端の近傍に位置する時に前記開
口部を規定する前記閉鎖端の縁が前記ローラを保
持するように構成されており、前記キヤツプ状部
材の周側部の内表面は前記円筒部材の外表面と相
補的な形状を有しており、前記周側部の外表面は
円筒状の形状を有していることを特徴とする継手
によつて達成される。

本発明の継手によれば、ローラの回転中心が円
筒部材の他端の近傍に位置する時に前記ローラの
一部が前記円筒部材の外側にキヤツプ状部材の開
口部を通つて突出し且つ前記開口部を規定する前
記キヤツプ状部材の閉鎖端の縁が前記ローラを保
持するように構成されているが故に、前記円筒部
材の軸方向長さを短くし得、前記円筒部材を軽量
化し得、加えて、前記円筒部材の外表面上に３つ
の外側溝が形成されていると共に、前記キヤツプ
状部材の周側部は、内表面が前記円筒部材の外表
面と相補的な形状を有し且つ外表面が円筒状の形
状を有するが故に、前記円筒部材を軽量化し得る
のに加えて、前記キヤツプ状部材の閉鎖端部の強
度を増大し得る。

本発明の継手による縁としては、ローラを保持
する舌状部を備えてもよく、さらにこの舌状部の
内表面が球状であつてもよい。これにより、開口
部を規定するキヤツプ状部材の補強ブラケツトと
しての当該縁の働きを増大し得る。加えて、当該
舌状部は円筒部材に対して外側に突出してもよ
い。これにより、ローラの所定の有効ストローク
に対して円筒部材の軸方向長さを短くし得る。

本発明の継手によるキヤツプ状部材としては、
成型プラスチツク部材で作られてもよく、金属薄
板で作られてもよい。

本発明は、以上に概説した特徴の他に、別の諸
特徴を有して成るが、それらは、添付図面を参照
しつつ行う非限定的実施例の説明によつてさらに
明瞭となる。

添付図面、特に第１図には、自動車変速装置用
の三脚型滑動式自在継手Ｊが示されている。継手
Ｊは、従来、例えば前輪駆動型自動車の差動装置
の出力側に載置されている。継手Ｊは、例えば差
動装置（図示せず）に連結された駆動軸１を有
し、円筒部材としての実質的に椀形の駆動要素２
が軸１に固着されている。要素２は、軸１に実質
的に平行で円周方向に120゜の角度毎に規則的に配
置された内側溝としての３個の直線状ボールレー
ス３（第２図参照）を有する。第１，２，５，６
および７図において、要素２の周側部の外表面は
回転円筒状の形状を有する。

レース３は側面４，５が円筒形凹面によつて画
定された溝によつて形成されている。凹面の母線
（母面）は軸１の軸とほぼ平行である。

各レース３は、従動軸７に連結されたハブ６に
支持されるローラｇと協働する。第１図に見られ
るように、ハブ６は、軸７の外周部と軸７の回り
に係合するハブ６の内周部とにそれぞれ設けられ
た軸方向溝および軸方向リブを介して、軸７に連
結されている。軸７に対するハブ６の軸方向の移
動の係止は、軸７上に設けられた周方向の溝に埋
め込まれた弾性割リング８，９によつて確保され
ている。

各ローラｇは球台の形をし、ハブ６の半径方向
枢軸１０上に回転自在に載置されている。

従つてハブ６の円周方向に120゜の間隔で配置さ
れた３つの軸１０がハブ６の周面上に突出してい
る。

各ローラｇは対応するレース３内で自由に滑動
および回転できるが、その球状表面は側面４およ
び５に接している。

前に述べた前輪駆動型自動車の例では、軸７は
自在継手（図示せず）を介して前輪駆動ホイール
およびかじ取りハンドル棒に連結されている。

弾性手段、特に圧縮コイルバネ１１が、要素２
内に収納された軸７の端部に支持されるカツプ状
部材１２と要素２の底部２ａとの間に配置され得
る。バネ１１は軸７を軸方向に押圧し、それによ
つて要素２内のハブ６の心出しが確保される。

底部２ａから離れた部分にある要素２の端部２
ｂは開口している。この開口した端部２ｂに係止
部材Ａが配置され、部材Ａによつて、ローラｇ
が、従つてハブ６および軸７の端部が要素２の内
側に保持される。エラストマ製のベローズから成
る密封鞘体１１３は、一方では要素２の開口端部
２ｂを包囲し、他方では従動軸７を包囲してい
る。

係止部材Ａは、ローラｇが部材Ａに支えられる
時（第１図では一点鎖線で第４図では実線で示さ
れている）、ローラｇの一部１４が要素２の外側
にあり、一方ローラｇの回転中心Ｏが要素２の開
口端部２ｂの近傍にあるように構成されている。
この「近傍」という表現の意味は、部材Ａに保持
されたローラｇの中心Ｏと開口端部２ｂとの間の
距離ｅがローラｇの半径Ｒに比べて非常に小さい
（ｅ≪Ｒ）ということである。有利にはｅ／Ｒは
１／１０より小さい（ｅ＜Ｒ／10）。

一般には、このように保持されたローラｇの中
心Ｏは部材Ａの内側にあるように構成される。

要素２の軸方向長さＨは、レース３がローラｇ
の有効移動を可能にするのにちようど充分な長さ
Ｌを有するように選定される。

第１図から第４図には本発明の継手の参考例が
示されている。部材Ａは、閉鎖端壁２０に軸７の
通過のための中心開口部１６を備えたキヤツプ１
５によつて構成される。開口部１６の寸法は、軸
７の角度運動を可能にするのに充分なものであ
る。開口部１６は円周方向に等分配置された３個
のくぼみ１７によつて縁どりされている。くぼみ
１７はレース３の延長となるように構成されてい
るので、ローラｇの一部１４は開口端部２ｂを越
えて突出することができる。

くぼみ１７を規定するキヤツプ１５の縁は、第
１図に示すような開口端部２ｂに対して軸方向外
側に突出している舌状部１８を備えている。舌状
部１８が外側に突出しているが故に、ローラｇの
有効ストロークを増大し得る。その結果、要素２
の軸方向長さは、レース３がローラｇを有効に移
動させるのに必要な長さだけを有するように選択
され得、短縮化され得る。

舌状部１８は、第３図及び第４図に示すとおり
各くぼみ１７の両側に設けられている。舌状部１
８を補強しローラｇのスラスト力による破壊に対
する抵抗を増すために、補強板１９が設けられて
いる。

舌状部１８の内表面１８ａは球面状凹状であ
る。これにより、開口部１６を規定するキヤツプ
１５の補強ブラケツトとしてのキヤツプ１５の縁
の働きを増大し得、キヤツプ１５の剛性を増大し
得る。要素２からもつとも遠い舌状部の縁１８ｂ
（特に第３図，第４図参照）は、開口部１６を画
定しており、対応するローラｇの中心Ｏを通る断
面すなわち軸１０に垂直な平面における開口部１
６の寸法ｍは、ローラｇを保持するのに充分なほ
ど小さい。ローラｇが舌状部１８の内表面１８ａ
に接するとき、第４図に示すようにローラｇの一
部１４が開口端部２ｂ上に突出しており、ローラ
ｇの中心Ｏは開口端部２ｂの近傍にある。

キヤツプ１５は、くぼみ１７の間に、要素２の
開口端部２ｂに支持されるように形成された平坦
な閉鎖端壁２０を有する。壁２０の平面は、キヤ
ツプ１５が所定の位置に配置された時に要素２の
軸に垂直になる。

キヤツプ１５は、その外側縁上に、要素２の端
部外表面を包囲すべく形成された実質的に円筒形
の周側部即ちスカート２１を有する。スカート２
１は、内周面側に突出し、外周面側に凹面を有す
る断面円弧状の環状突起２２を有する。突起２２
は、スナツプ式係合により要素２の周方向の溝２
３に嵌入するように構成され、それによつてキヤ
ツプ１５の要素２に対する固定を確保している。
突起２２の外周面側の凹面は、鞘体１３のスナツ
プ式係合縁を受容する溝を画定している。鞘体１
３は締め具２４によつて要素２の回りに保持され
ている。

キヤツプ１５は、成型プラスチツク材料で作ら
れてもよい。

第５図には本発明の継手の参考例が示されてお
り、第５図では、部材Ａは円錐台状の表面を有す
る鋼板の金属製スリーブ２５によつて構成され、
その大きい方の底面２６は要素２の開口端部２ｂ
を包囲してる。スリーブ２５は又、その底面２６
において要素２の溝２３にスナツプ式に係合して
いる。スリーブ２５の小さい方の底面２７は要素
２から軸方向に離間しており、ローラｇを保持す
べく形成され且つ半径方向内側に突出しているリ
ム２８を有する。リム２８は軸７の通過および角
度運動を可能にする開口部２９を縁どりしてい
る。

第６図に示した本発明の継手の参考例では、第
５図のスリーブ２５と同様の円錐台状のスリーブ
２５ａがプラスチツク材料で形成されており、ス
ナツプ式係合によつて要素２の端部上に保持され
ている。スリーブ２５ａの各部分は第５図につい
ての説明と類似であり、数字の後に文字ａを添え
て示しているので、その説明を略す。

スリーブ２５，２５ａならびに開口端部２ｂか
らリム２８，２８ａまでの距離ｔは、ローラｇが
リム２８，２８ａに支持された時にローラｇが第
１図から４図について説明したような位置にくる
ように、決定されている。

第７図には、第１図から第４図のキヤツプ１５
と類似の金属のキヤツプ１５ａの変更態様が示さ
れている。

キヤツプ１５ａは要素２の円形の端部を包囲す
る円筒状のスカート３０を有している。第１，３
および４図のものと類似のキヤツプ１５ａの舌状
部には同じ参照番号18を付している。要素２上へ
のキヤツプ１５ａの固定は、要素２の端部にスカ
ート３０を折り曲げることによつて確保されてい
る。

第８図および第９図には、本発明の継手の１具
体例が示されている。第８図及び第９図の継手で
は、要素２の外表面２ｃは回転円筒形ではなく、
円周方向に等間隔をおいて内側溝としてのボール
レース３の間に配置された外側溝３１（第９図参
照）を有している。要素２をこのように構成する
と、比較的高価な材料を節約できる。

この場合、係止部材Ａはキヤツプ１５ｂによつ
て形成され、開口端部２ｂに対接するキヤツプ１
５ｂの部分については第１図のキヤツプ１５と類
似している。すなわちキヤツプ１５ｂは、第１，
３および４図の継手と同じ舌状部１８によつて縁
どられた開口部１７を有している。

キヤツプ１５ｂは、さらに、外表面２ｃに係合
し、外側溝３１を相補、つまり埋め合わせるべく
形成されたカラー３２をも有する。したがつてカ
ラー３２の外表面３３は完全に凸状、特に回転円
筒形となつている。従つて、特に第９図に見られ
るように、カラー３２の半径方向厚みは外側溝３
１の埋め合せのために場所によつて異なる。カラ
ー３２の半径方向厚みの最も大きい領域には凹所
３４を設けることができる。

有利には、カラー３２はプラスチツク材料で形
成され、要素２の端部の周囲に外被成形される。
要素２に対するカラー３２の固定は一組のノツチ
および周リブ（第８図には図示せず）によつて確
保される。

円筒形の外表面３３は、、外表面３３を包囲す
る密封鞘体１３と協働すべく形成された環状突起
３５を有する。これによつて、外表面３３への鞘
体１３の固定が正確に確保される。

キヤツプ１５，１５ａ，１５ｂは、要素２の軸
方向長さＨを最小にしつつ、ローラｇの所望の有
効移動を確保する。ある有効長さについて言え
ば、従来はローラｇを要素２の内側に保持するた
めに要素２の端部に横壁を設けるのに対して、本
発明の継手によれば、ローラｇが要素２から突出
する一部１４の突出長さｓ（第４図参照）だけ要
素２の軸方向長さＨから差引くことができる。

この経済性は比較的高価な材料に関わるので重
要であり、また部品の軽量化を計ることができ
る。同じローラｇの有効移動距離について、レー
ス３の長さがより短かくなることにより、加工工
程の経済性も実現される。

この経済性は、継手の組立てに不利益を生ずる
ことなく達成される。なぜなら部材Ａは、バネ１
１が要素２にスラストを加えるような解決法にお
いてさえ、ローラｇを要素２の内側に確実に保持
するからである。

本発明が任意の型の滑動式自在継手に適用可能
なことは明白であつて、添付図面を参照しつつ説
明した三脚型の継手はあくまでも特定な例を示す
だけである。

本明細書および特許請求の範囲で使用される
「ローラ」なる用語は、任意の支承部材、特に玉
軸受を示すものとして広い意味で使われている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の継手の参考例の軸方向断面
図、第２図は第１図の駆動要素を第１図において
左側から見た側面図、第３図は第１図のキヤツプ
を第１図において右側から見た側面図、第４図は
第３図の―線に沿う部分断面図、第５図は本
発明の継手の他の参考例の軸方向部分断面図、第
６図は本発明の継手のさらに他の参考例の詳細断
面図、第７図は本発明の継手のさらに他の参考例
の軸方向部分断面図、第８図は本発明の継手の１
具体例の軸方向部分断面図、第９図は第８図の継
手の―線に沿う断面図である。 １……駆動軸、２……駆動要素、３……ボール
レース、６……ハブ、７……従動軸、Ａ……係止
部材、ｇ……ローラ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 自動車変速装置用の三脚型滑動式自在継手で
   あつて、駆動軸と、前記駆動軸とほぼ同軸となる
   ように配列された従動軸と、一端が前記駆動軸の
   端部に固定されており、他端が開口した円筒部材
   と、前記円筒部材の周方向に沿つてほぼ等間隔に
   配列され且つ前記円筒部材の長手軸方向に沿つて
   伸長するように、前記円筒部材の内表面上に形成
   された３つの内側溝と、前記周方向に関して前記
   内側溝の間に配列され且つ前記軸方向に沿つて伸
   長するように、前記円筒部材の外表面上に形成さ
   れた３つの外側溝と、前記従動軸の周方向に沿つ
   てほぼ等間隔に前記従動軸の端部に連結されてお
   り、前記従動軸が前記駆動軸に対して前記軸方向
   に沿つて変位した時に前記内側溝上を転動し且つ
   前記従動軸に対する前記駆動軸の回転運動を伝達
   するように前記内側溝に係合した３つのローラ
   と、前記円筒部材の他端に蓋をすべく前記円筒部
   材の他端に固定されたキヤツプ状部材と、前記キ
   ヤツプ状部材の閉鎖端に設けられた開口部とから
   なり、前記従動軸が前記開口部を通ると共に、前
   記ローラの回転中心が前記円筒部材の他端の近傍
   に位置する時に前記ローラの一部が前記円筒部材
   の外側に前記開口部を通つて突出しており、前記
   ローラの回転中心が前記円筒部材の他端の近傍に
   位置する時に前記開口部を規定する前記閉鎖端の
   縁が前記ローラを保持するように構成されてお
   り、前記キヤツプ状部材の周側部の内表面は前記
   円筒部材の外表面と相補的な形状を有しており、
   前記周側部の外表面は円筒状の形状を有している
   ことを特徴とする継手。 ２ 前記ローラの回転中心と前記円筒部材の他端
   との距離ｅが前記ローラの半径Ｒの10分の１より
   小さい（ｅ＜Ｒ／10）ことを特徴とする特徴請求
   の範囲第１項に記載の継手。 ３ 前記縁が、前記ローラを保持する舌状部を備
   えていることを特徴とする特許請求の範囲第１項
   又は第２項に記載の継手。 ４ 前記舌状部が前記円筒部材に対して外側に突
   出していることを特徴とする特許請求の範囲第３
   項に記載の継手。 ５ 前記舌状部の内表面が球状であることを特徴
   とする特許請求の範囲第３項又は第４項に記載の
   継手。 ６ 前記キヤツプ状部材が成型プラスチツク部材
   で作られていることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項から第５項のいずれか一項に記載の継手。 ７ 前記キヤツプ状部材が金属薄板で作られてい
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項から第
   ５項のいずれか一項に記載の継手。