JPS6350557B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、中仕切り環状板により仕切られた高
圧室と低圧室を有するポンプケーシングと、高圧
室と低圧室にそれぞれ同軸に背面組合せで配置さ
れたオープン形の高圧側羽根車およびオープン形
の低圧側羽根車とを有する二段遠心ポンプの逆流
防止機構に関する。

この種の二段遠心ポンプの場合、作動中高圧室
の液体圧力が低圧室の液体圧力のほぼ二倍に上げ
られ、圧力差が大きいので、高圧側から低圧側へ
ケーシングの中仕切り環状板内周面と両羽根車の
ボス外周面の間の隙間を通つて逆流していた。従
来、高圧側から低圧側へのこのような逆流を防止
するために、低圧側羽根車側板の裏羽根を除去
し、かつ高圧側羽根車側板に裏羽根を設けている
が、ケーシングの中仕切り環状板と高圧側羽根車
側板の裏羽根の間の圧力と、ケーシングの中仕切
り環状板と低圧側羽根車側板の間の圧力との差が
ゼロにならず、依然として逆流が発生していた。
このためポンプ効率が著しく低下すると共に、羽
根車ボス外周面とその近傍およびケーシングの中
仕切り環状板内周面とその近傍に著しい局部摩耗
が発生し、部品の寿命が短かく、運転費用が高く
なる欠点があつた。

本発明の目的は、上記の欠点を除去して、高圧
側羽根車側板とケーシング中仕切り環状板の間の
圧力と低圧側羽根車側板と中仕切り環状板の間の
圧力の差をゼロにして逆流しないように確実に防
止できる二段遠心ポンプの逆流防止機構を提供す
ることである。

上記の目的を達成するには、本発明により、ケ
ーシングの中仕切り環状板に面する高圧側羽根車
側板に裏羽根を設けると共に、低圧側羽根車側板
に面するケーシングの中仕切り環状板の面に固定
羽根を設ければ良い。

以下、本発明の実施例について図面により詳細
に説明する。

第１図において、軸受箱１０のフレームに、後
カバー１２を介してポンプケーシング１４が固定
されており、このケーシング１４には前カバー１
６が取りつけられている。軸受箱１０からは軸１
８が突出しており、その軸端に羽根車の片側が開
放したオープン形の高圧側羽根車２０とオープン
形の低圧側羽根車２２がそれぞれ高圧室２４と低
圧室２６内を回転可能に背面組合せで固定されて
いる。ケーシング１４の高圧室２４と低圧室２６
の間を仕切るために、中仕切り環状板２８が設け
られている。この中仕切り環状板２８の内周面と
両羽根車２０，２２のボスの外周面の間には、わ
ずかの隙間しかない。

ケーシングの中仕切り環状板２８に面する高圧
側羽根車２０の側板には従来と同様に裏羽根３０
を設けて、羽根車２０の回転中中仕切り環状板２
８との間の圧力を減少させる。同時に、本発明に
より、低圧側羽根車２２の側板に面するケーシン
グの中仕切り環状板２８の面には放射状に延びる
複数個の固定羽根３２（第２図も参照）を設け
て、低圧側羽根車２２の回転中中仕切り環状板２
８と低圧側羽根車２２の間の圧力液体が羽根車２
２に連行されて減圧されるのを防止する。この場
合、高圧側羽根車２０の裏羽根３０と中仕切り環
状板２８の間の間隔を適当な狭さにすれば、高圧
側羽根車２０の回転中、中仕切り環状板２８と裏
羽根３０の間の液体が裏羽根３０によつて回転し
て遠心力が発生し、それによつて高圧側羽根車２
０で発生した圧力が裏羽根３０と中仕切り環状板
２８の間で羽根車ボス部まで減圧される。一方、
低圧側羽根車２２の側板と中仕切り環状板２８の
固定羽根３２の間の間隔を適当な広さにすること
により、低圧側羽根車２２の回転中、低圧側羽根
車２２の側板と固定羽根３２の間の液体が静止し
て遠心力が発生しない。従つて、低圧室２６での
羽根車２２による発生圧力が中仕切り環状板２８
と羽根車２２の側板の間で減圧されずに低圧側羽
根車２２のボス部まで達する。このようにして、
両羽根車ボス部での圧力が等しくなり、従つて差
圧がゼロとなり、液の逆流が発生しない。

なお、軸１８に嵌合したグランドスリーブ３４
と後カバー１２の中心貫通孔の間を液密に密封す
るために、中心貫通孔にグランドパツキン３６が
装着されている。

この二段遠心ポンプの作動を簡単に述べると、
仮想線で示した後カバー１２の半径方向のポンプ
入口３８から吸込まれた液体が後カバー１２の環
状通路を通つて低圧室２６の吸込口４０より入
り、回転する低圧側羽根車２２により圧力液体が
低圧室２６から矢印のようにケーシング１４の軸
方向通路１４ａおよび前カバー１６の半径方向通
路１６ａを通つて圧送されて高圧室２４に入り、
そこで回転する高圧側羽根車２０により液体圧力
が低圧側圧力のほぼ二倍に上げられてポンプ吐出
口４２より吐出される。

本発明では、ケーシングの中仕切り環状板に面
する高圧側羽根車側板に裏羽根を設けて、回転す
る裏羽根と中仕切り環状板の間の圧力液体を遠心
力により減圧させ、同時に低圧側羽根車側板に面
するケーシングの中仕切り環状板の面に固定羽根
を設けて、低圧側羽根車側板と固定羽根の間の圧
力液体を羽根車により連行されないようにして減
圧を抑止することにより、ケーシングの中仕切り
環状板と両羽根車側板の間の液体圧力を等しくし
て差圧をゼロにし、液体の逆流を防止することが
できる。これによつて、二段遠心ポンプの効率を
高めると共に、羽根車ボス部やケーシングの中仕
切り環状板の内周面の摩耗を低減してこれらの部
品の寿命を延ばすことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による逆流防止機構を備えた二
段遠心ポンプの縦断面図、第２図は第１図の矢印
−の方向より固定羽根を見た図である。 １４……ポンプケーシング、２０……高圧側羽
根車、２２……低圧側羽根車、２４……高圧室、
２６……低圧室、２８……中仕切り環状板、３０
……裏羽根、３２……固定羽根。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 中仕切り環状板により仕切られた高圧室と低
   圧室を有するポンプケーシングと、高圧室と低圧
   室にそれぞれ同軸に背面組合せで配置されたオー
   プン形の高圧側羽根車およびオープン形の低圧側
   羽根車とを有する二段遠心ポンプの逆流防止機構
   において、ケーシングの中仕切り環状板に面する
   高圧側羽根車側板に裏羽根を設けると共に、低圧
   側羽根車側板に面するケーシングの中仕切り環状
   板の面に固定羽根を設けたことを特徴とする逆流
   防止機構。