JPS63484B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPS63484B2 JPS63484B2 JP13119279A JP13119279A JPS63484B2 JP S63484 B2 JPS63484 B2 JP S63484B2 JP 13119279 A JP13119279 A JP 13119279A JP 13119279 A JP13119279 A JP 13119279A JP S63484 B2 JPS63484 B2 JP S63484B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- graphite
- vermicularization
- cast iron
- degree
- molten metal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired
Links
- OKTJSMMVPCPJKN-UHFFFAOYSA-N Carbon Chemical compound [C] OKTJSMMVPCPJKN-UHFFFAOYSA-N 0.000 claims description 112
- 229910002804 graphite Inorganic materials 0.000 claims description 112
- 239000010439 graphite Substances 0.000 claims description 112
- 238000000034 method Methods 0.000 claims description 56
- 229910001018 Cast iron Inorganic materials 0.000 claims description 40
- 239000002184 metal Substances 0.000 claims description 37
- 229910052751 metal Inorganic materials 0.000 claims description 37
- 238000001816 cooling Methods 0.000 claims description 27
- 238000007711 solidification Methods 0.000 claims description 20
- 230000008023 solidification Effects 0.000 claims description 20
- 230000009466 transformation Effects 0.000 claims description 14
- 238000004364 calculation method Methods 0.000 claims description 5
- 238000004781 supercooling Methods 0.000 claims description 5
- 230000005496 eutectics Effects 0.000 claims description 4
- 238000005282 brightening Methods 0.000 claims description 3
- 238000009529 body temperature measurement Methods 0.000 claims 1
- 239000003086 colorant Substances 0.000 claims 1
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 description 11
- 238000005259 measurement Methods 0.000 description 10
- 239000000203 mixture Substances 0.000 description 9
- 229910001141 Ductile iron Inorganic materials 0.000 description 7
- 230000000875 corresponding effect Effects 0.000 description 6
- 238000002076 thermal analysis method Methods 0.000 description 6
- 238000002474 experimental method Methods 0.000 description 5
- 238000004458 analytical method Methods 0.000 description 4
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 4
- 230000005856 abnormality Effects 0.000 description 3
- 239000003795 chemical substances by application Substances 0.000 description 3
- 238000003860 storage Methods 0.000 description 3
- 239000000126 substance Substances 0.000 description 3
- 229910001060 Gray iron Inorganic materials 0.000 description 2
- 229910045601 alloy Inorganic materials 0.000 description 2
- 239000000956 alloy Substances 0.000 description 2
- 238000005266 casting Methods 0.000 description 2
- 239000004020 conductor Substances 0.000 description 2
- 239000013078 crystal Substances 0.000 description 2
- 230000000007 visual effect Effects 0.000 description 2
- XLYOFNOQVPJJNP-UHFFFAOYSA-N water Substances O XLYOFNOQVPJJNP-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- 229910007981 Si-Mg Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910008316 Si—Mg Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910001069 Ti alloy Inorganic materials 0.000 description 1
- 239000000654 additive Substances 0.000 description 1
- 238000013459 approach Methods 0.000 description 1
- 229910001567 cementite Inorganic materials 0.000 description 1
- 238000006243 chemical reaction Methods 0.000 description 1
- 239000002131 composite material Substances 0.000 description 1
- 238000007796 conventional method Methods 0.000 description 1
- 230000002596 correlated effect Effects 0.000 description 1
- 238000002425 crystallisation Methods 0.000 description 1
- 230000008025 crystallization Effects 0.000 description 1
- 238000013016 damping Methods 0.000 description 1
- 230000002950 deficient Effects 0.000 description 1
- 238000001514 detection method Methods 0.000 description 1
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 1
- 230000001771 impaired effect Effects 0.000 description 1
- 235000000396 iron Nutrition 0.000 description 1
- KSOKAHYVTMZFBJ-UHFFFAOYSA-N iron;methane Chemical compound C.[Fe].[Fe].[Fe] KSOKAHYVTMZFBJ-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 150000002739 metals Chemical class 0.000 description 1
- 239000002245 particle Substances 0.000 description 1
- 238000005498 polishing Methods 0.000 description 1
- 238000001556 precipitation Methods 0.000 description 1
- 238000012545 processing Methods 0.000 description 1
- 238000000611 regression analysis Methods 0.000 description 1
- 230000035945 sensitivity Effects 0.000 description 1
- 238000010583 slow cooling Methods 0.000 description 1
- 238000007619 statistical method Methods 0.000 description 1
- 230000002123 temporal effect Effects 0.000 description 1
- 238000012360 testing method Methods 0.000 description 1
- 229910000859 α-Fe Inorganic materials 0.000 description 1
Landscapes
- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Description
本発明は、鋳鉄溶湯について凝固後の黒鉛形状
のバーミキユラー化程度(以下凝固後の黒鉛形状
のバーミキユラー化程度を単に、黒鉛バーミキユ
ラー化度と称す)の迅速判定方法および装置に関
し、特に本発明は、バーミキユラー黒鉛鋳鉄用溶
湯試料について、冷却凝固過程の温度と時間の関
係を熱分析的に測定して、鋳鉄の黒鉛バーミキユ
ラー化度と最も相関の深い3つのパラメーター
を、実験例から予め統計的に求めた関係式に代入
し演算処理して結果を求めることを特徴とする鋳
鉄溶湯の黒鉛バーミキユラー化度の迅速判定方法
および装置に関するものである。 バーミキユラー黒鉛鋳鉄は、その黒鉛形状が球
状と片状の中間のいわゆるいも虫状
(Vermicular)であることを特徴とし、そのため
に球状黒鉛鋳鉄やねずみ鋳鉄と比較して種々の優
れた性質をもつている。 すなわち、バーミキユラー黒鉛鋳鉄に関して
は、特別のJIS等は存在しないが、一般的に黒鉛
球状化率30〜60%程度、引張強さ32〜53Kg/mm2、
伸び2〜10%程度を示し、熱伝導度、振動減衰
能、被削性、鋳造性などにおいては球状黒鉛鋳鉄
よりすぐれ、引張強さ、伸びなどの機械的性質に
おいてはねずみ鋳鉄より優れた性質を有してい
る。このバーミキユラー黒鉛鋳鉄の有する特徴
は、まず第一にその黒鉛形状がいも虫状であるこ
とに起因するので、黒鉛が球状であつたり、ある
いは片状であることは前記の特徴を著しくそこな
うものである。 バーミキユラー黒鉛鋳鉄の製造方法としては、
黒鉛球状化剤を通常の球状黒鉛鋳鉄製造の場合よ
り少量添加する方法、通常の方法で製造した球状
黒鉛鋳鉄溶湯をそのまま保持し、黒鉛球状化能を
減耗させる方法、あるいは黒鉛球状化促進元素で
あるMg、Ce、Caなどと黒鉛球状化阻害元素であ
るTi、Alなどの元素を合金化あるいは複合させ
たいわゆるバーミキユラー黒鉛化剤の添加によつ
て製造する方法などがある。これらの方法におい
て、バーミキユラー黒鉛鋳鉄を製造する場合、前
述のごとくその黒鉛形状がいも虫状であることが
必須条件であるため、たとえば溶解原材料の種
類、化学組成、溶解履歴、溶解方法、黒鉛バーミ
キユラー化処理量、処理温度、処理方法、添加剤
の種類と添加量、あるいは黒鉛形状がいも虫状を
持続する時間などの条件が、他の鋳鉄たとえば球
状黒鉛鋳鉄製造の場合と比較して重要となると同
時に、その選択範囲も狭いのが一般的である。 さらに、前記いずれの製造方法においても、黒
鉛形状がいも虫状から片状に変化しやすい傾向が
あることは、安定した品質のバーミキユラー黒鉛
鋳鉄の製造を一層困難にしている。 バーミキユラー黒鉛鋳鉄は、製造上前述のよう
な困難性を伴うため、これを的確に製造するため
には一連の工程を標準化するとともに、黒鉛バー
ミキユラー化度を迅速にできれば鋳型への注湯前
に判定し、チエツクすることが必要である。 このような判定方法として従来一般的に行なわ
れているのは、溶湯から採取した試料をいつたん
凝固させ、その破面を直接肉眼で、あるいは研磨
してその組織を顕微鏡で観察したり、また、黒鉛
バーミキユラー化用Mg、Tiなどの残留量の分
析、あるいはその比などの結果に基づいて判定す
る方法である。 しかし、試料破面の肉眼による観察では作業者
の勘に頼るために不正確である。また、顕微鏡観
察、あるいは残留Mg量、残留Ti量などの分析結
果に基づく判定は、確実ではあるが多大な時間と
労力を要するのが通例であり、たとえば最も迅速
になしうると思われる顕微鏡観察においても、注
湯後かなりの時間を必要とし、黒鉛バーミキユラ
ー化度が悪いと判定されても、すでに鋳造後で手
の施しようがなく、その鋳造品は不良となり製造
上著しいい経済的損失を招くことになる。また、
いずれの判定方法においても、専任の検査員を必
要とし、その費用も無視できない程度のものとな
る。したがつて、鋳造現場では、バーミキユラー
黒鉛鋳鉄用溶湯(以下この溶湯をVG溶湯と称
す)の黒鉛バーミキユラー化度を迅速にしかも精
度よく判定し、処理対策をすみやかに実施するこ
とができると同時に、専任の検査員の必要性もな
くすることができる方法の出現が切望されてい
る。 本発明は、前述のような要望に答えることを目
的とし、VG溶湯の冷却凝固過程において、熱分
析の結果得られる冷却曲線(経過時間と試料温度
との関係を示す曲線)上の温度変化が、凝固後の
鋳鉄の黒鉛バーミキユラー化度と密接な関係をも
つことに基づき、黒鉛バーミキユラー化処理され
たVG溶湯試料について熱分析を行ない、その温
度変化の状態からVG溶湯の黒鉛バーミキユラー
化度を迅速に、しかも精度よく判定する方法と、
その方法の実施に直接使用する装置を提供するこ
とを目的とし、特許請求の範囲に記載の方法と装
置を提供することによつて前記目的を達成するこ
とができる。 次に本発明を詳細に説明する。 本発明者らは、VG溶湯の冷却凝固過程の温度
変化を、熱電式高温計を用い熱分析的に測定し、
その結果の解析により溶湯の黒鉛バーミキユラー
化度を判定する方法において、多くの実際例につ
いて広範な試験を実施することにより、迅速でし
かも信頼性のある方法ならびに装置の開発に成功
した。 VG溶湯の冷却凝固過程の温度変化あるいはこ
れに対応する値の変化は、それを連続した曲線で
描かせるいわゆるアナログ方式によつても、ある
いはアナログ・デジタル変換器によつて変換し短
時間間隔の頻度をもつて数値として表わす数値式
高温計方式によつても、本発明の目的は達せられ
る。この場合、読み取る数値は、直接的に温度に
対応する熱起電力値(mV)あるいはそれらの関
数(以下代表的に温度℃とする)であつてもよ
い。 熱電式高温計の温度変化探知感度(熱起電力分
解能、dV)は、必要により熱起電力値(電圧)
を増幅することにより、アナログ方式の場合はフ
ルスケールの1.0%以下とし、数値式高温計方式
の場合は2.5℃相当値以下として測定精度を上げ
ると同時に、アナログ方式の場合は記録紙送り速
度を毎分10mm以上とし、数値式高温計方式の場合
は測定頻度の逆数である。時間間隔を3秒以下の
所定の時間間隔(dZ)として、冷却過程におけ
る温度変化に精度よく正確に追随できるようにし
た。dVがアナログ方式の場合はフルスケールの
1.1%以上、数値式高温計方式の場合には2.5℃を
越える場合は、冷却過程の解析上必要な温度を把
握できないことがあり、その結果黒鉛バーミキユ
ラー化度の判定が不可能となることが多いことが
種々の実験により確認された。またdZについて
も、アナログ方式の場合は毎分10mm以下、数値式
高温計方式の場合には3秒を越える場合には、冷
却過程での非常に速い温度変化、たとえば注湯か
ら初晶の晶出までの経過を正確に把握できなかつ
たり、あるいは解析上必要な温度を見逃がす恐れ
のあることが種々の実験により確認された。 次にこれら高温計のうち、数値式高温計を使用
して、亜共晶ならびに過共晶組成のVG溶湯の多
数例について、冷却速度を異にする種々のカツプ
に注湯し熱分析を行なつたところ、カツプに溶湯
試料を注湯してから共析変態終了までの時間が3
分以内となるような急速冷却のときは、両組成と
も熱分析で把握された種々のパラメータと溶湯の
黒鉛バーミキユラー化度の間には統計的に有意な
相関関係が認められなかつた。これらの組織を観
察すると、冷却速度が速いために多量のセメンタ
イトが認められ、あるいはバーミキユラー黒鉛鋳
鉄において通常見られるフエライトの析出が認め
られなかつたり、または針状組織が認められ、こ
れらの影響であることが確認された。他方注湯か
ら共析変態終了までの時間が20分以上となる緩徐
冷却のときは、平衝状態に近づきdVとdZの精度
が低い場合と同じ結果になり、これも統計上有意
となる結果を得ることができなかつた。 以上のように、熱分析用カツプに溶湯試料を注
湯してから共析変態終了までの時間は、本発明の
目的を達成するために重要な因子であり、3分以
上20分以内とすることが有利である。 VG溶湯の冷却曲線の1例につき共析変態終了
までを示すと第1図のようになる。本発明者ら
は、亜共晶、過共晶組成のVG溶湯の多数例につ
いて、数値的に読み取つた冷却曲線から得られる
種々のパラメータと当該溶湯の黒鉛バーミキユラ
ー化度との関係を統計的手法、すなわちある水準
以上の有意性をもつパラメータのうち最も相関度
の強いものから順次取り入れ、段階的重回帰分析
を繰り返す方法によつて解析した結果、この重相
関関係で有意となるパラメータは、共晶凝固の過
冷の際に生ずる最低温度TEU、共析変態における
最低温度TPUならびに引き続き再輝現象によつて
生ずる共析変態の最高温度TPMの3つであり、き
わめて高度の有意性をもつ重相関関係が成り立つ
ことを知見した。すなわち、溶湯の黒鉛バーミキ
ユラー化度を示す特性値DVは、TEU、TPU、TPM
の関数として、下記関係式(1)によつて表わすこと
ができる。 DV=a+bTEU+c(TPM−TPU) ……(1) 但しa、b、cは実験によつて定められる定
数。 さらに上記関係式中の第2項のTEUの値に関係
なく、第3項の(TPM−TPU)の値が0になる冷
却曲線、すなわち共析変態における再輝現象が認
められない場合においては、黒鉛バーミキユラー
化度を示す特性値、たとえば引張強さが36〜39
Kg/mm2の値を有する曲型的なバーミキユラー黒鉛
鋳鉄であることも同時に知見された。したがつ
て、黒鉛バーミキユラー化度の判定を必要とせ
ず、バーミキユラー黒鉛鋳鉄であるかどうかだけ
を判定する場合においては、上記関係式中の第3
項、すなわち共析変態時の再輝現象に注目するこ
とにより判定が可能である。 本発明の方法を実施するには、冷却凝固過程に
おける温度変化をアナログ方式として記録する方
法でもよいし、また数値式高温計方式として記憶
させる方法のいずれにおいても可能である。アナ
ログ方式の場合においては、溶湯試料を注入する
熱接点を備える試料用鋳型(カツプ)、アナログ
式記録計、摺動抵抗回路、比較回路、集積回路、
制御回路、演算回路、表示装置等を備えた装置を
必要とし、数値式高温計方式の場合にはカツプ、
数値式高温計、電気回路、記憶装置、判別装置、
演算装置、集積回路、制御回路、表示装置等を備
えた装置を必要とする。 すなわち、第4図に数値式高温計方式について
例示するように、本発明鋳鉄溶湯の黒鉛バーミキ
ユラー化度の迅速判定装置には、溶湯試料を注入
する熱接点を備える試料鋳型(カツプ)1を補償
導線2を介し温度補償器3および増幅器4を経て
A/D変換器5に接続し、その出力側を数値式高
温計6を経てマイクロコンピユータ9に接続す
る。このマイクロコンピユータ9は記憶装置、判
別装置、演算装置および制御回路で構成し、その
ほとんどの装置を集積回路で形成する。このマイ
クロコンピユータ9にはその入力側に電源スイツ
チ7およびその表示灯7′と、測定開始スイツチ
8およびその表示灯8′とを設ける。また、マイ
クロコンピユータ9の一方の出力側には、増幅器
10を経て黒鉛形状表示灯11を接続する。さら
に、マイクロコンピユータ9の他の出力側には、
測定終了表示灯12、測定不良表示灯13、接触
不良表示灯14、機器異常表示灯15、チル警報
表示灯16および警報ブザー17をそれぞれ設け
る。 上述の装置によりVG溶湯の冷却凝固過程にお
ける温度の時間的経過を、必要により増幅器によ
り熱起電力を増幅し、アナログ方式の場合には冷
却凝固過程の温度変化と摺動抵抗回路とを一致さ
せつつ、かつ比較回路によつて抵抗値の時間的変
化を比較しながら、所定の条件に合致するものを
共晶凝固の最低温度TEU、共析変態における最低
温度TPU、その後の再輝によつて生ずる共析変態
の最高温度TPMと決定し、予め多数の実施例に基
づいて統計上有意であると認めて構成された
TEU、TPU、TPMと鋳鉄溶湯試料の凝固後の黒鉛バ
ーミキユラー化度DVとの間の関係式(1)を満足す
る電気的演算回路によつて演算させ、求められた
回答を表示装置によつて表示するか、あるいは数
値式高温計方式の場合には所定の短時間間隔の頻
度で数値式高温計により把握し、これを記憶装置
によりいつたん記憶し、連続して把握された温度
値と経過時間とを判別装置で判別しながら、予め
記憶装置に記憶させたTEU、TPUおよびTPMの所定
の条件に合致するまで不必要な温度値を逐次消去
し、所定の条件に合つた温度をTEU、TPUおよび
TPMと決定、記憶し、予め多数の実際例に基づい
て統計上有意であると認めて記憶させてある
TEU、TPUおよびTPMと鋳鉄溶湯試料の凝固後の黒
鉛バーミキユラー化度との間の関係式(1)に従い演
算装置を介して演算させ、求められた回答を表示
装置によつて表示する。 バーミキユラー黒鉛鋳鉄における黒鉛バーミキ
ユラー化度は、基本的には組織の顕微鏡観察に基
づく黒鉛球状化率によつて測定されるが、この値
と残留Mg量、残留Mg量と残留Ti量の比、ある
いは引張強さ、伸びなどの機械的性質との間には
有意な相関関係が認められている。また、本発明
者らの実験によつても、溶湯の黒鉛バーミキユラ
ー化度を示す特性値DVとして、これらの何れを
とつてもパラメータTEU、TPU、TPMはそのままと
して、関係式(1)中の定数を変えるだけでそれぞれ
高度の有意性をもつ重相関関係が成立することが
認められた。 したがつて、黒鉛バーミキユラー化度の判定結
果は、前記黒鉛球状化率、残留Mg量、残留Mg
量と残留Ti量の比、引張強さ、伸びの何れかに
よつて表示できるが、そのほかに黒鉛粒の形態
(黒鉛形状)の類別とそれぞれ類別された形状の
黒鉛量との関係に基づき顕微鏡視野的に直覚的に
表示することは、本発明の実施に際して現場的に
最も好ましい態様の1例である。 一般に、バーミキユラー黒鉛鋳鉄における黒鉛
形状は、通常第2図に例示する5種類に類別さ
れ、類別された形状に対応する形状係数と観察さ
れたそれぞれの類別形状の粒数から、黒鉛球状化
率を算出する。しかし、実際のバーミキユラー黒
鉛鋳鉄製品では、ほとんどの場合に片状黒鉛に相
当する形状を除き、形状を主体として形状
,,が混在しており、球状黒鉛鋳鉄製品の
ごとく形状,,を主体として形状が混在
している場合は非常にまれである。さらに、バー
ミキユラー黒鉛鋳鉄製品の製造工程において、か
りにバーミキユラー化が失敗に終つた場合におい
ては、黒鉛形状が単独で存在し、黒鉛形状と
形状,,,が混在することは通常ありえ
ない。また、過度に黒鉛球状化が進んだ場合に
は、黒鉛形状,,が混在し、形状,が
含まれることはない。 したがつて、VG溶湯の黒鉛バーミキユラー化
度判定結果の顕微鏡視野的表示方法においては、
片状黒鉛鋳鉄に相当する黒鉛形状と、形状を
除いて形状を主体として形状,,が混在
し、かつそれらが黒鉛球状化程度に応じて段階的
に変化する群と、球状黒鉛鋳鉄を代表するものと
の合計3種類からなる顕微鏡視野的図形を用意す
ることによつて目的は達成される。 第3図は顕微鏡視野的図形式表示方法の1例を
示すもので、上述のごとく片状黒鉛鋳鉄に相当す
る形状が単独に存在する図形(No.1)、黒鉛形
状を主体に順次段階的に黒鉛球状化度が良くな
るバーミキユラー黒鉛鋳鉄に相当する3個の図形
(No.2〜4)と、さらに球状黒鉛を代表する図形
(No.5)の合計5個の図形によつて構成されてい
る。本発明の装置によれば、溶湯試料について本
発明の方法の熱分析法によつて測定、解析して得
られた黒鉛バーミキユラー化度に関する判定結果
が、各段階に応じて該当区画に点灯ないしはスク
リーン上に画像として自動的に表示される。たと
えば黒鉛球状化率が50%と判定された場合には、
No.3が点灯されるかあるいはスクリーン上に画像
として表示される。 実際の装置においては、カツプ内の熱電対との
電気的接触不良などによる測定不良、機器内の回
路故障による演算不能などの機器異常の場合に、
点灯あるいは警報により示すこともできる。 次に本発明の方法ならびに装置を実施例につい
て説明する。 実施例 1 所定の条件下で多数例について実験の結果求め
られた関係式(1)中の定数a、b、cの値は、溶湯
の黒鉛バーミキユラー化度を示す特性値DVとし
て、黒鉛球状化率(%)、残留Mg量(%)、残留
Mg量(%)と残留Ti量(%)の比、引張強さ
(Kg/mm2)、あるいは伸び(%)の何れを用いるか
によつて第1表の数値となつた。
のバーミキユラー化程度(以下凝固後の黒鉛形状
のバーミキユラー化程度を単に、黒鉛バーミキユ
ラー化度と称す)の迅速判定方法および装置に関
し、特に本発明は、バーミキユラー黒鉛鋳鉄用溶
湯試料について、冷却凝固過程の温度と時間の関
係を熱分析的に測定して、鋳鉄の黒鉛バーミキユ
ラー化度と最も相関の深い3つのパラメーター
を、実験例から予め統計的に求めた関係式に代入
し演算処理して結果を求めることを特徴とする鋳
鉄溶湯の黒鉛バーミキユラー化度の迅速判定方法
および装置に関するものである。 バーミキユラー黒鉛鋳鉄は、その黒鉛形状が球
状と片状の中間のいわゆるいも虫状
(Vermicular)であることを特徴とし、そのため
に球状黒鉛鋳鉄やねずみ鋳鉄と比較して種々の優
れた性質をもつている。 すなわち、バーミキユラー黒鉛鋳鉄に関して
は、特別のJIS等は存在しないが、一般的に黒鉛
球状化率30〜60%程度、引張強さ32〜53Kg/mm2、
伸び2〜10%程度を示し、熱伝導度、振動減衰
能、被削性、鋳造性などにおいては球状黒鉛鋳鉄
よりすぐれ、引張強さ、伸びなどの機械的性質に
おいてはねずみ鋳鉄より優れた性質を有してい
る。このバーミキユラー黒鉛鋳鉄の有する特徴
は、まず第一にその黒鉛形状がいも虫状であるこ
とに起因するので、黒鉛が球状であつたり、ある
いは片状であることは前記の特徴を著しくそこな
うものである。 バーミキユラー黒鉛鋳鉄の製造方法としては、
黒鉛球状化剤を通常の球状黒鉛鋳鉄製造の場合よ
り少量添加する方法、通常の方法で製造した球状
黒鉛鋳鉄溶湯をそのまま保持し、黒鉛球状化能を
減耗させる方法、あるいは黒鉛球状化促進元素で
あるMg、Ce、Caなどと黒鉛球状化阻害元素であ
るTi、Alなどの元素を合金化あるいは複合させ
たいわゆるバーミキユラー黒鉛化剤の添加によつ
て製造する方法などがある。これらの方法におい
て、バーミキユラー黒鉛鋳鉄を製造する場合、前
述のごとくその黒鉛形状がいも虫状であることが
必須条件であるため、たとえば溶解原材料の種
類、化学組成、溶解履歴、溶解方法、黒鉛バーミ
キユラー化処理量、処理温度、処理方法、添加剤
の種類と添加量、あるいは黒鉛形状がいも虫状を
持続する時間などの条件が、他の鋳鉄たとえば球
状黒鉛鋳鉄製造の場合と比較して重要となると同
時に、その選択範囲も狭いのが一般的である。 さらに、前記いずれの製造方法においても、黒
鉛形状がいも虫状から片状に変化しやすい傾向が
あることは、安定した品質のバーミキユラー黒鉛
鋳鉄の製造を一層困難にしている。 バーミキユラー黒鉛鋳鉄は、製造上前述のよう
な困難性を伴うため、これを的確に製造するため
には一連の工程を標準化するとともに、黒鉛バー
ミキユラー化度を迅速にできれば鋳型への注湯前
に判定し、チエツクすることが必要である。 このような判定方法として従来一般的に行なわ
れているのは、溶湯から採取した試料をいつたん
凝固させ、その破面を直接肉眼で、あるいは研磨
してその組織を顕微鏡で観察したり、また、黒鉛
バーミキユラー化用Mg、Tiなどの残留量の分
析、あるいはその比などの結果に基づいて判定す
る方法である。 しかし、試料破面の肉眼による観察では作業者
の勘に頼るために不正確である。また、顕微鏡観
察、あるいは残留Mg量、残留Ti量などの分析結
果に基づく判定は、確実ではあるが多大な時間と
労力を要するのが通例であり、たとえば最も迅速
になしうると思われる顕微鏡観察においても、注
湯後かなりの時間を必要とし、黒鉛バーミキユラ
ー化度が悪いと判定されても、すでに鋳造後で手
の施しようがなく、その鋳造品は不良となり製造
上著しいい経済的損失を招くことになる。また、
いずれの判定方法においても、専任の検査員を必
要とし、その費用も無視できない程度のものとな
る。したがつて、鋳造現場では、バーミキユラー
黒鉛鋳鉄用溶湯(以下この溶湯をVG溶湯と称
す)の黒鉛バーミキユラー化度を迅速にしかも精
度よく判定し、処理対策をすみやかに実施するこ
とができると同時に、専任の検査員の必要性もな
くすることができる方法の出現が切望されてい
る。 本発明は、前述のような要望に答えることを目
的とし、VG溶湯の冷却凝固過程において、熱分
析の結果得られる冷却曲線(経過時間と試料温度
との関係を示す曲線)上の温度変化が、凝固後の
鋳鉄の黒鉛バーミキユラー化度と密接な関係をも
つことに基づき、黒鉛バーミキユラー化処理され
たVG溶湯試料について熱分析を行ない、その温
度変化の状態からVG溶湯の黒鉛バーミキユラー
化度を迅速に、しかも精度よく判定する方法と、
その方法の実施に直接使用する装置を提供するこ
とを目的とし、特許請求の範囲に記載の方法と装
置を提供することによつて前記目的を達成するこ
とができる。 次に本発明を詳細に説明する。 本発明者らは、VG溶湯の冷却凝固過程の温度
変化を、熱電式高温計を用い熱分析的に測定し、
その結果の解析により溶湯の黒鉛バーミキユラー
化度を判定する方法において、多くの実際例につ
いて広範な試験を実施することにより、迅速でし
かも信頼性のある方法ならびに装置の開発に成功
した。 VG溶湯の冷却凝固過程の温度変化あるいはこ
れに対応する値の変化は、それを連続した曲線で
描かせるいわゆるアナログ方式によつても、ある
いはアナログ・デジタル変換器によつて変換し短
時間間隔の頻度をもつて数値として表わす数値式
高温計方式によつても、本発明の目的は達せられ
る。この場合、読み取る数値は、直接的に温度に
対応する熱起電力値(mV)あるいはそれらの関
数(以下代表的に温度℃とする)であつてもよ
い。 熱電式高温計の温度変化探知感度(熱起電力分
解能、dV)は、必要により熱起電力値(電圧)
を増幅することにより、アナログ方式の場合はフ
ルスケールの1.0%以下とし、数値式高温計方式
の場合は2.5℃相当値以下として測定精度を上げ
ると同時に、アナログ方式の場合は記録紙送り速
度を毎分10mm以上とし、数値式高温計方式の場合
は測定頻度の逆数である。時間間隔を3秒以下の
所定の時間間隔(dZ)として、冷却過程におけ
る温度変化に精度よく正確に追随できるようにし
た。dVがアナログ方式の場合はフルスケールの
1.1%以上、数値式高温計方式の場合には2.5℃を
越える場合は、冷却過程の解析上必要な温度を把
握できないことがあり、その結果黒鉛バーミキユ
ラー化度の判定が不可能となることが多いことが
種々の実験により確認された。またdZについて
も、アナログ方式の場合は毎分10mm以下、数値式
高温計方式の場合には3秒を越える場合には、冷
却過程での非常に速い温度変化、たとえば注湯か
ら初晶の晶出までの経過を正確に把握できなかつ
たり、あるいは解析上必要な温度を見逃がす恐れ
のあることが種々の実験により確認された。 次にこれら高温計のうち、数値式高温計を使用
して、亜共晶ならびに過共晶組成のVG溶湯の多
数例について、冷却速度を異にする種々のカツプ
に注湯し熱分析を行なつたところ、カツプに溶湯
試料を注湯してから共析変態終了までの時間が3
分以内となるような急速冷却のときは、両組成と
も熱分析で把握された種々のパラメータと溶湯の
黒鉛バーミキユラー化度の間には統計的に有意な
相関関係が認められなかつた。これらの組織を観
察すると、冷却速度が速いために多量のセメンタ
イトが認められ、あるいはバーミキユラー黒鉛鋳
鉄において通常見られるフエライトの析出が認め
られなかつたり、または針状組織が認められ、こ
れらの影響であることが確認された。他方注湯か
ら共析変態終了までの時間が20分以上となる緩徐
冷却のときは、平衝状態に近づきdVとdZの精度
が低い場合と同じ結果になり、これも統計上有意
となる結果を得ることができなかつた。 以上のように、熱分析用カツプに溶湯試料を注
湯してから共析変態終了までの時間は、本発明の
目的を達成するために重要な因子であり、3分以
上20分以内とすることが有利である。 VG溶湯の冷却曲線の1例につき共析変態終了
までを示すと第1図のようになる。本発明者ら
は、亜共晶、過共晶組成のVG溶湯の多数例につ
いて、数値的に読み取つた冷却曲線から得られる
種々のパラメータと当該溶湯の黒鉛バーミキユラ
ー化度との関係を統計的手法、すなわちある水準
以上の有意性をもつパラメータのうち最も相関度
の強いものから順次取り入れ、段階的重回帰分析
を繰り返す方法によつて解析した結果、この重相
関関係で有意となるパラメータは、共晶凝固の過
冷の際に生ずる最低温度TEU、共析変態における
最低温度TPUならびに引き続き再輝現象によつて
生ずる共析変態の最高温度TPMの3つであり、き
わめて高度の有意性をもつ重相関関係が成り立つ
ことを知見した。すなわち、溶湯の黒鉛バーミキ
ユラー化度を示す特性値DVは、TEU、TPU、TPM
の関数として、下記関係式(1)によつて表わすこと
ができる。 DV=a+bTEU+c(TPM−TPU) ……(1) 但しa、b、cは実験によつて定められる定
数。 さらに上記関係式中の第2項のTEUの値に関係
なく、第3項の(TPM−TPU)の値が0になる冷
却曲線、すなわち共析変態における再輝現象が認
められない場合においては、黒鉛バーミキユラー
化度を示す特性値、たとえば引張強さが36〜39
Kg/mm2の値を有する曲型的なバーミキユラー黒鉛
鋳鉄であることも同時に知見された。したがつ
て、黒鉛バーミキユラー化度の判定を必要とせ
ず、バーミキユラー黒鉛鋳鉄であるかどうかだけ
を判定する場合においては、上記関係式中の第3
項、すなわち共析変態時の再輝現象に注目するこ
とにより判定が可能である。 本発明の方法を実施するには、冷却凝固過程に
おける温度変化をアナログ方式として記録する方
法でもよいし、また数値式高温計方式として記憶
させる方法のいずれにおいても可能である。アナ
ログ方式の場合においては、溶湯試料を注入する
熱接点を備える試料用鋳型(カツプ)、アナログ
式記録計、摺動抵抗回路、比較回路、集積回路、
制御回路、演算回路、表示装置等を備えた装置を
必要とし、数値式高温計方式の場合にはカツプ、
数値式高温計、電気回路、記憶装置、判別装置、
演算装置、集積回路、制御回路、表示装置等を備
えた装置を必要とする。 すなわち、第4図に数値式高温計方式について
例示するように、本発明鋳鉄溶湯の黒鉛バーミキ
ユラー化度の迅速判定装置には、溶湯試料を注入
する熱接点を備える試料鋳型(カツプ)1を補償
導線2を介し温度補償器3および増幅器4を経て
A/D変換器5に接続し、その出力側を数値式高
温計6を経てマイクロコンピユータ9に接続す
る。このマイクロコンピユータ9は記憶装置、判
別装置、演算装置および制御回路で構成し、その
ほとんどの装置を集積回路で形成する。このマイ
クロコンピユータ9にはその入力側に電源スイツ
チ7およびその表示灯7′と、測定開始スイツチ
8およびその表示灯8′とを設ける。また、マイ
クロコンピユータ9の一方の出力側には、増幅器
10を経て黒鉛形状表示灯11を接続する。さら
に、マイクロコンピユータ9の他の出力側には、
測定終了表示灯12、測定不良表示灯13、接触
不良表示灯14、機器異常表示灯15、チル警報
表示灯16および警報ブザー17をそれぞれ設け
る。 上述の装置によりVG溶湯の冷却凝固過程にお
ける温度の時間的経過を、必要により増幅器によ
り熱起電力を増幅し、アナログ方式の場合には冷
却凝固過程の温度変化と摺動抵抗回路とを一致さ
せつつ、かつ比較回路によつて抵抗値の時間的変
化を比較しながら、所定の条件に合致するものを
共晶凝固の最低温度TEU、共析変態における最低
温度TPU、その後の再輝によつて生ずる共析変態
の最高温度TPMと決定し、予め多数の実施例に基
づいて統計上有意であると認めて構成された
TEU、TPU、TPMと鋳鉄溶湯試料の凝固後の黒鉛バ
ーミキユラー化度DVとの間の関係式(1)を満足す
る電気的演算回路によつて演算させ、求められた
回答を表示装置によつて表示するか、あるいは数
値式高温計方式の場合には所定の短時間間隔の頻
度で数値式高温計により把握し、これを記憶装置
によりいつたん記憶し、連続して把握された温度
値と経過時間とを判別装置で判別しながら、予め
記憶装置に記憶させたTEU、TPUおよびTPMの所定
の条件に合致するまで不必要な温度値を逐次消去
し、所定の条件に合つた温度をTEU、TPUおよび
TPMと決定、記憶し、予め多数の実際例に基づい
て統計上有意であると認めて記憶させてある
TEU、TPUおよびTPMと鋳鉄溶湯試料の凝固後の黒
鉛バーミキユラー化度との間の関係式(1)に従い演
算装置を介して演算させ、求められた回答を表示
装置によつて表示する。 バーミキユラー黒鉛鋳鉄における黒鉛バーミキ
ユラー化度は、基本的には組織の顕微鏡観察に基
づく黒鉛球状化率によつて測定されるが、この値
と残留Mg量、残留Mg量と残留Ti量の比、ある
いは引張強さ、伸びなどの機械的性質との間には
有意な相関関係が認められている。また、本発明
者らの実験によつても、溶湯の黒鉛バーミキユラ
ー化度を示す特性値DVとして、これらの何れを
とつてもパラメータTEU、TPU、TPMはそのままと
して、関係式(1)中の定数を変えるだけでそれぞれ
高度の有意性をもつ重相関関係が成立することが
認められた。 したがつて、黒鉛バーミキユラー化度の判定結
果は、前記黒鉛球状化率、残留Mg量、残留Mg
量と残留Ti量の比、引張強さ、伸びの何れかに
よつて表示できるが、そのほかに黒鉛粒の形態
(黒鉛形状)の類別とそれぞれ類別された形状の
黒鉛量との関係に基づき顕微鏡視野的に直覚的に
表示することは、本発明の実施に際して現場的に
最も好ましい態様の1例である。 一般に、バーミキユラー黒鉛鋳鉄における黒鉛
形状は、通常第2図に例示する5種類に類別さ
れ、類別された形状に対応する形状係数と観察さ
れたそれぞれの類別形状の粒数から、黒鉛球状化
率を算出する。しかし、実際のバーミキユラー黒
鉛鋳鉄製品では、ほとんどの場合に片状黒鉛に相
当する形状を除き、形状を主体として形状
,,が混在しており、球状黒鉛鋳鉄製品の
ごとく形状,,を主体として形状が混在
している場合は非常にまれである。さらに、バー
ミキユラー黒鉛鋳鉄製品の製造工程において、か
りにバーミキユラー化が失敗に終つた場合におい
ては、黒鉛形状が単独で存在し、黒鉛形状と
形状,,,が混在することは通常ありえ
ない。また、過度に黒鉛球状化が進んだ場合に
は、黒鉛形状,,が混在し、形状,が
含まれることはない。 したがつて、VG溶湯の黒鉛バーミキユラー化
度判定結果の顕微鏡視野的表示方法においては、
片状黒鉛鋳鉄に相当する黒鉛形状と、形状を
除いて形状を主体として形状,,が混在
し、かつそれらが黒鉛球状化程度に応じて段階的
に変化する群と、球状黒鉛鋳鉄を代表するものと
の合計3種類からなる顕微鏡視野的図形を用意す
ることによつて目的は達成される。 第3図は顕微鏡視野的図形式表示方法の1例を
示すもので、上述のごとく片状黒鉛鋳鉄に相当す
る形状が単独に存在する図形(No.1)、黒鉛形
状を主体に順次段階的に黒鉛球状化度が良くな
るバーミキユラー黒鉛鋳鉄に相当する3個の図形
(No.2〜4)と、さらに球状黒鉛を代表する図形
(No.5)の合計5個の図形によつて構成されてい
る。本発明の装置によれば、溶湯試料について本
発明の方法の熱分析法によつて測定、解析して得
られた黒鉛バーミキユラー化度に関する判定結果
が、各段階に応じて該当区画に点灯ないしはスク
リーン上に画像として自動的に表示される。たと
えば黒鉛球状化率が50%と判定された場合には、
No.3が点灯されるかあるいはスクリーン上に画像
として表示される。 実際の装置においては、カツプ内の熱電対との
電気的接触不良などによる測定不良、機器内の回
路故障による演算不能などの機器異常の場合に、
点灯あるいは警報により示すこともできる。 次に本発明の方法ならびに装置を実施例につい
て説明する。 実施例 1 所定の条件下で多数例について実験の結果求め
られた関係式(1)中の定数a、b、cの値は、溶湯
の黒鉛バーミキユラー化度を示す特性値DVとし
て、黒鉛球状化率(%)、残留Mg量(%)、残留
Mg量(%)と残留Ti量(%)の比、引張強さ
(Kg/mm2)、あるいは伸び(%)の何れを用いるか
によつて第1表の数値となつた。
【表】
次に黒鉛バーミキユラー化処理前の化学組成
C3.78%、Si1.85%、Mn0.35%、P0.016%、
S0.018%(過共晶組成)の元湯1tに対して、Mg8
%を含有するFe−Si−Mg合金をサンドイツチ方
式により0.5%添加し黒鉛バーミキユラー化処理
したVG溶湯を、溶湯試料の注湯から共析変態終
了まで15分を要するカツプおよびYブロツク状鋳
型に、バーミキユラー化処理直後および処理後20
分経過した時点で注湯し、本発明の方法および装
置により測定し前記関係式を適用して算出した黒
鉛バーミキユラー化度の判定結果(黒鉛球状化率
%、引張強さKg/mm2、伸び%、残留Mg量%)と
Yブロツク試料を用いて実際にそれぞれ測定した
結果を対比して示すと第2表のようになつた。
C3.78%、Si1.85%、Mn0.35%、P0.016%、
S0.018%(過共晶組成)の元湯1tに対して、Mg8
%を含有するFe−Si−Mg合金をサンドイツチ方
式により0.5%添加し黒鉛バーミキユラー化処理
したVG溶湯を、溶湯試料の注湯から共析変態終
了まで15分を要するカツプおよびYブロツク状鋳
型に、バーミキユラー化処理直後および処理後20
分経過した時点で注湯し、本発明の方法および装
置により測定し前記関係式を適用して算出した黒
鉛バーミキユラー化度の判定結果(黒鉛球状化率
%、引張強さKg/mm2、伸び%、残留Mg量%)と
Yブロツク試料を用いて実際にそれぞれ測定した
結果を対比して示すと第2表のようになつた。
【表】
実施例 2
黒鉛バーミキユラー化処理前の化学組成C3.75
%、Si1.78%、Mn0.30%、P0.028%、S0.015%
(過共晶組成)の元湯1tに対して、Mg6%とTi10
%を含有するFe−Si−Mg−Ti合金を置注ぎ法に
よつて1.5%添加し、黒鉛バーミキユラー化処理
したVG溶湯を、溶湯試料の注湯から共析変態終
了まで8分を要するカツプおよびYブロツク鋳型
に、バーミキユラー化処理直後および処理後15分
経過した時点で注湯し、本発明の方法および装置
により測定し実施例1記載の関係式を適用して算
出した黒鉛バーミキユラー化度の判定結果(黒鉛
球状化率%、引張強さKg/mm2、伸び%、残留Mg
量%、残量Mg量%/残留Ti量%)とYブロツク
試料を用いて実際にそれぞれ測定した結果を対比
して示すと第3表のようになつた。
%、Si1.78%、Mn0.30%、P0.028%、S0.015%
(過共晶組成)の元湯1tに対して、Mg6%とTi10
%を含有するFe−Si−Mg−Ti合金を置注ぎ法に
よつて1.5%添加し、黒鉛バーミキユラー化処理
したVG溶湯を、溶湯試料の注湯から共析変態終
了まで8分を要するカツプおよびYブロツク鋳型
に、バーミキユラー化処理直後および処理後15分
経過した時点で注湯し、本発明の方法および装置
により測定し実施例1記載の関係式を適用して算
出した黒鉛バーミキユラー化度の判定結果(黒鉛
球状化率%、引張強さKg/mm2、伸び%、残留Mg
量%、残量Mg量%/残留Ti量%)とYブロツク
試料を用いて実際にそれぞれ測定した結果を対比
して示すと第3表のようになつた。
【表】
これらの実施例から明らかなように、本発明の
方法、装置による溶湯の黒鉛バーミキユラー化度
の迅速判定結果は、製造方法の異なるバーミキユ
ラー黒鉛鋳鉄に対して十分な信頼性を有すること
が明らかである。
方法、装置による溶湯の黒鉛バーミキユラー化度
の迅速判定結果は、製造方法の異なるバーミキユ
ラー黒鉛鋳鉄に対して十分な信頼性を有すること
が明らかである。
第1図は過共晶VG溶湯の冷却凝固過程におけ
る冷却曲線の1例を示す図、第2図,,,
,はバーミキユラー黒鉛鋳鉄のそれぞれ異な
る黒鉛形状を示す図、第3図は溶湯の黒鉛バーミ
キユラー化度の判定結果を顕微鏡視野的に表示す
る方法の1例を示す説明図、第4図は本発明の装
置のブロツク図である。 1……試料鋳型(カツプ)(熱電対付き)、2…
…補償導線、3……温度補償器、4……増幅器、
5……A/D変換器、6……数値式高温計、7,
7′……電源スイツチと表示灯、8,8′……測定
開始スイツチと表示灯、9……マイクロコンピユ
ータ、10……増幅器、11……黒鉛形状表示
灯、12……測定終了表示灯、13……測定不良
表示灯、14……接触不良表示灯、15……機器
異常表示灯、16……チル警報表示灯、17……
警報ブザー。
る冷却曲線の1例を示す図、第2図,,,
,はバーミキユラー黒鉛鋳鉄のそれぞれ異な
る黒鉛形状を示す図、第3図は溶湯の黒鉛バーミ
キユラー化度の判定結果を顕微鏡視野的に表示す
る方法の1例を示す説明図、第4図は本発明の装
置のブロツク図である。 1……試料鋳型(カツプ)(熱電対付き)、2…
…補償導線、3……温度補償器、4……増幅器、
5……A/D変換器、6……数値式高温計、7,
7′……電源スイツチと表示灯、8,8′……測定
開始スイツチと表示灯、9……マイクロコンピユ
ータ、10……増幅器、11……黒鉛形状表示
灯、12……測定終了表示灯、13……測定不良
表示灯、14……接触不良表示灯、15……機器
異常表示灯、16……チル警報表示灯、17……
警報ブザー。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 多数の各種バーミキユラー黒鉛鋳鉄用溶湯試
料について、 所定の冷却条件下でそれぞれ冷却凝固させる過
程中の共晶凝固の際に生ずる過冷による最低温度
TEU、 冷却がさらに進行した共析変態の際に生ずる過
冷による最低温度TPUおよび 引続いて生ずる再輝現象による最高温度TPM の値と、 各鋳鉄溶湯試料の凝固後における黒鉛球状化
率、 残留Mg量、 残留Mg量と残留Ti量との比、 引張強さおよび 伸び のうちから選ばれる何れか一つの黒鉛バーミキユ
ラー化度を示す特性値DVとの間の関係をあらわ
す下記の関係式中の常数a、b、cを予め決定し
ておき、 黒鉛バーミキユラー化度が未知のバーミキユラ
ー黒鉛鋳鉄用溶湯試料を上記と同じく所定の冷却
条件下で冷却凝固させる際に読み取られるTEU、
TPU、TPMの数値を、該関係式に代入する演算に
よつて黒鉛バーミキユラー化度判定用計算値を求
め、上記特性値DVと比較する ことを特徴とする鋳鉄溶湯の黒鉛バーミキユラー
化度の迅速判定方法。 (記) DV=a+bTEU+c(TPM−TPU) 2 多数の各種バーミキユラー黒鉛鋳鉄用溶湯試
料について、 所定の冷却条件下でそれぞれ冷却凝固させる過
程中の共晶凝固の際に生ずる過冷による最低温度
TEU、 冷却がさらに進行した共析変態の際に生ずる過
冷による最低温度TPUおよび 引続いて生ずる再輝現象による最高温度TPMの
値と、 各鋳鉄溶湯試料の凝固後における、 黒鉛球状化比率、 残留Mg量、 残留Mg量と残留Ti量との比、 引張強さおよび 伸び のうちから選ばれる何れか一つの黒鉛バーミキユ
ラー化度をあらわす特性値DVと の間の関係をあらわす下記の関係式中の常数a、
b、cを予め決定しておき、 黒鉛バーミキユラー化度が未知のバーミキユラ
ー鋳鉄用溶湯試料を上記と同じく所定の冷却条件
下で冷却凝固させる際に読み取られるTEU、TPU
およびTPMの計測値を該関係式に代入する演算の
際同式右辺第3項が零になる上記再輝現象のあら
われないときは、TEUの計測値に拘らず、黒鉛バ
ーミキユラー化度を示す特性値DVについての充
足を直ちに判定する ことを特徴とする鋳鉄溶湯の黒鉛バーミキユラー
化度の迅速判定方法。 3 バーミキユラー黒鉛鋳鉄用溶湯試料を注入す
る、測温用熱接点を備えた試料鋳型と、 該熱接点で検出したアナログ信号としての温度
変化を必要により増幅するための増幅器と、 この増幅器出力をデジタル信号に変換するアナ
ログ−デジタル変換器と、 上記の温度変化を順次いつたん記憶し、その変
化のなかから所定の条件に合致するものを共晶凝
固の最低温度TEU、共析変態における最低温度
TPU及び最高温度TPMとして把握記憶する手段と 鋳鉄溶湯試料の凝固後の黒鉛球状化率、残留
Mg量、残留Mg量と残留Ti量の比、引張強さ及
び伸びのうちから選ばれる何れか1つの黒鉛バー
ミキユラー化度を示す特性値DVと前記TEU、TPU
及びTPMとの間の関係を予め多数の各種バーミキ
ユラー黒鉛鋳鉄用溶湯試料について求めた次の関
係式 DV=a+bTEU+c(TPM−TPU) ここでa、b、cは常数 を用い、これに黒鉛バーミキユラー化度が未知の
溶湯の前記TEU、TPU、TPMを代入して演算処理す
る手段と を含み、前記演算処理して得られる数値を数字、
図形、画像あるいは色別で表示し得るよう構成し
たことを特徴とする鋳鉄溶湯の黒鉛バーミキユラ
ー化度の迅速判定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13119279A JPS5655512A (en) | 1979-10-11 | 1979-10-11 | Method and apparatus for rapid decision of graphite vermiculation degree of molten cast iron |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13119279A JPS5655512A (en) | 1979-10-11 | 1979-10-11 | Method and apparatus for rapid decision of graphite vermiculation degree of molten cast iron |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5655512A JPS5655512A (en) | 1981-05-16 |
JPS63484B2 true JPS63484B2 (ja) | 1988-01-07 |
Family
ID=15052165
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13119279A Granted JPS5655512A (en) | 1979-10-11 | 1979-10-11 | Method and apparatus for rapid decision of graphite vermiculation degree of molten cast iron |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5655512A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8751169B1 (en) * | 2010-09-29 | 2014-06-10 | The United States of America, as represented by the Secretary of the Department of the Interior | Spectral method for determining the source of expanded vermiculite insulation in attics and walls |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57203708A (en) * | 1981-06-11 | 1982-12-14 | Asahi Malleable Iron Co Ltd | Production of compacted vermicular cast iron |
CN111398341A (zh) * | 2020-04-13 | 2020-07-10 | 哈尔滨理工大学 | 一种蠕墨铸铁蠕化效果多特征点热分析评价方法 |
-
1979
- 1979-10-11 JP JP13119279A patent/JPS5655512A/ja active Granted
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8751169B1 (en) * | 2010-09-29 | 2014-06-10 | The United States of America, as represented by the Secretary of the Department of the Interior | Spectral method for determining the source of expanded vermiculite insulation in attics and walls |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5655512A (en) | 1981-05-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4667725A (en) | Method for producing cast-iron, and in particular cast-iron which contains vermicular graphite | |
US4333512A (en) | Method of quickly predicting the degree of nodularity of spheroidal graphite cast iron from a molten iron sample | |
Carreker Jr et al. | Tensile deformation of high-purity copper as a function of temperature, strain rate, and grain size | |
JP2510947B2 (ja) | 鋳鉄の溶湯中における球状化剤またはcv化剤の有無および片状黒鉛鋳鉄のチル化傾向を判別する方法とそれに使用する試料採取容器 | |
JP2750832B2 (ja) | 鋳鉄の溶湯の性状を判定する方法 | |
JPS63484B2 (ja) | ||
US4913878A (en) | Method of testing the magnesium content of magnesium-treated cast iron | |
US5720553A (en) | Apparatus and process for rapid direct dip analysis of molten iron | |
US3375106A (en) | Determination of carbon equivalence of hypereutectic cast iron | |
McLaren | THE FREEZING POINTS OF HIGH PURITY METALS AS PRECISION TEMPERATURE STANDARDS: III. THERMAL ANALYSES ON EIGHT GRADES OF ZINC WITH PURITIES GREATER THAN 99.99+% | |
US4598754A (en) | Method of controlling metallurgical structure of cast aluminum | |
Bhat et al. | Speed of recalescence as a measure of graphite nucleation in spheroidal graphite cast iron castings | |
Bieroński et al. | Evaluation of the mechanical properties of gray cast iron using electrical resistivity measurement | |
JP5462568B2 (ja) | 球状黒鉛鋳鉄中の黒鉛粒数を判定する方法 | |
RU2027986C1 (ru) | Способ определения содержания углерода в чугунах | |
JPH0373815B2 (ja) | ||
MATSUOKA et al. | A New Sensor Rapid Analysis of Silicon in Hot Metal Electromotive Force Method | |
RU2217734C2 (ru) | Способ определения относительного содержания заданного компонента в анализируемом материале (варианты) | |
Poirier | Microsegregation in ternary iron-carbon-chromium alloys. | |
WO1998039629A1 (en) | Direct dip thermal analysis of molten metals | |
Bingham | The allotropy of zinc | |
JPS6035885Y2 (ja) | 鋳鉄の黒鉛形状炉前試験装置 | |
Mura | Use of Thermal Analysis to reduce the Microporosity in ductile iron.: Analysis of micro porosity casting defect | |
US1426623A (en) | Method | |
JP2003121395A (ja) | 鋳鉄の溶湯中の黒鉛形状の球状及び片状であることの判別と黒鉛球状化率および共晶セル数の測定法 |