JPS6346671Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はキヤビテーシヨン等の防止を図る内燃
機関のウオータジヤケツト構造に関する。

内燃機関のシリンダブロツクと共にウオータジ
ヤケツトを構成するシリンダライナは、燃焼室内
の圧縮、爆発等に伴なう圧力変動及びピストンス
ラツプにより、特にスラスト側及び反スラスト側
で激しい高周波振動を生じる。このために、ウオ
ータジヤケツト内の冷却水に接するシリンダライ
ナ外壁面及びシリンダブロツク壁面近傍にキヤビ
テーシヨンが発生し、これら壁面に孔食が形成さ
れるという問題がある。

このような孔食の発生を防止するために、従来
では第１図に示すようにシリンダブロツク１にボ
ルト等の剛性体２を取り付け、この剛性体２でシ
リンダライナ３の外壁面を支持させライナ３の振
動を抑制するようにしたものが提案されている
（実開昭56−101442号公報）。しかしこのものは構
造が複雑となり組み立て作業が面倒である等の問
題がある。また、シリンダライナの外壁表面にク
ロムメツキを施したものもあるが、ブロツク壁の
場合技術的に難しくコストが高くなる等の問題が
ある。

本考案は上記の実情に鑑みてなされたもので、
ウオータジヤケツトを構成するシリンダブロツク
壁面及びシリンダライナ外壁面のうち少なくとも
一方でかつその壁面の少なくともスラスト側及び
反スラスト側に、下方に向けて開放する空気溜り
用空間部を形成することにより、従来の問題点を
解決することを目的とする。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１実施例を示す第２図において、内燃機関の
シリンダ壁を構成するシリンダライナ１１はシリ
ンダブロツク１２のボア内に圧嵌され、シリンダ
ライナ１１の外壁面１１Ａとシリンダブロツク１
２壁面１２Ａとでウオータジヤケツト１３が形成
される。このウオータジヤケツト１３内には冷却
水が通流し、シリンダライナ１１及びシリンダブ
ロツク１２を冷却するようになつている。

そして、スラスト側及び反スラスト側の略中央
部のシリンダライナ外壁面１１Ａ及び当該外壁面
１１Ａと対面するシリンダブロツク壁面１２Ａに
は、下方へ向けて開放された空気溜り部１４がそ
れぞれ形成されている。第３図にシリンダライナ
１１側に形成した空気溜り部１４の正面図を示
す。

かかる構成において、燃焼室内の圧力変動及び
ピストンスラツプによつてシリンダライナ１１が
高周波振動を起こすとこれに基づいてウオータジ
ヤケツト１３内の冷却水中に気泡が発生する。こ
の気泡は振動の特に激しいスラスト側及び反スラ
スト側のシリンダライナ外壁面１１Ａ及びシリン
ダブロツク壁面１２Ａ近傍に多く発生する。そし
て、従来では冷却水中において崩壊し、この崩壊
時に発生するエネルギーが冷却水中を伝播してシ
リンダライナ１１及びシリンダブロツク１２の各
壁面１１Ａ，１２Ａを腐食させていたが、本実施
例では、冷却水中に発生した気泡がシリンダライ
ナ外壁面１１Ａ及びシリンダブロツク壁面１２Ａ
に形成された空気溜り部１４で受け止められ、水
と分離して当該空気溜り部１４内に形成される空
気層で崩壊するために、その崩壊エネルギーが空
気中に放散され、冷却水中に伝播されないので、
キヤビテーシヨンの発生を防止できる。そして、
このような空気溜り部１４は鋳造時に簡単に形成
することができるので、製造コストも従来のキヤ
ビテーシヨン発生防止構造を有するものに比べて
安価にできる。

第４図及び第５図はそれぞれ別の実施例を示
し、第４図では、シリンダライナ１１′の外壁面
１１′Ａより下方に向けて突設させた突出部１
１′ａを設け、この突出部１１′ａとシリンダライ
ナ外壁面１１′Ａとで空気溜り部１４を形成する
ようにしたものである。尚、例えばシリンダライ
ナ１１′側でのキヤビテーシヨン発生が激しくシ
リンダブロツク１２側では少ないような場合には
この実施例のようにシリンダライナ１１′側だけ
に設けるようにしてもよく、シリンダブロツク１
２側が激しければシリンダブロツク１２側だけで
もよい。

また、第５図はスラスト側及び反スラスト側だ
けでなく、シリンダライナ１１″の外壁面１１″Ａ
全周に空気溜り部１４を形成したものである。こ
れら実施例は第１実施例のものと同様の効果を有
するものである。

尚、本考案はこれら実施例に限定するものでな
く、空気溜り部をウオータジヤケツトの構成壁面
中央部より上方に複数段形成するようにしてもよ
いことは言うまでもない。

以上述べたように本考案によれば、ウオータジ
ヤケツトを構成する壁面に形成した空気溜り用空
所でウオータジヤケツト内に発生する気泡を受
け、この気泡を空気中で崩壊させるようにしたの
で、ウオータジヤケツト内の冷却水中に高圧が発
生せずキヤビテーシヨン腐食を防止できる。ま
た、空気溜り用空所の形成が極めて容易なので、
構造も簡単で製造コストも安価となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す要部断面図、第２図は本
考案の１実施例を示す要部断面図、第３図は同上
実施例のシリンダライナの正面図、第４図は別の
実施例を示す要部断面図、第５図は更に別の実施
例を示すシリンダライナの半断面図である。 １１，１１′，１１″…シリンダライナ、１１
Ａ，１１′Ａ，１１″Ａ…シリンダライナ外壁面、
１２…シリンダブロツク、１２Ａ…シリンダブロ
ツク壁面、１３…ウオータジヤケツト、１４…空
気溜り部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツク壁面とシリンダライナ外壁面
   とで形成されるウオータジヤケツトを有する内燃
   機関において、前記シリンダブロツク壁面及びシ
   リンダライナ外壁面のうち少なくとも一方でかつ
   その壁面の少なくともスラスト側及び反スラスト
   側に、下方に向けて開放する空気溜り用空間部を
   形成したことを特徴とする内燃機関のウオータジ
   ヤケツト構造。