JPS6345123Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はロータリ耕耘機における尾輪操作用油
圧シリンダ装置に関するものである。

ロータリ耕耘機の尾輪を昇降するための油圧シ
リンダ装置は、耕深を微調節させる必要上、低圧
少容量の作動油で操作しなければならない。しか
し、トラクタ本体に装備されている油圧ポンプ
は、高圧大容量のものであるため、上記尾輪操作
用の油圧シリンダ装置のために、トラクタ本体側
には作動油を低圧少容量となるようにチヨークす
る制御バルブが設けられている。一方、トラクタ
に装着して使用するフロントローダ等の作業機を
駆動するためには高圧大容量の作動油を必要とす
るため、このような作業機用の油圧シリンダ装置
には、上述の尾輪操作用の高価な制御バルブで低
圧少容量にした作動油は使用することができず、
結局この制御バルブは尾輪操作専用にならざるを
得ず、汎用性に欠けるという不具合がある。

本考案の目的は、上述のように高価な制御バル
ブを尾輪操作専用にしか使えない不具合を解消
し、トラクタ本体側のバルブを高圧大容量で制御
するものにして、他の作業機用の油圧シリンダ装
置に適応可能にするものでありながら、尾輪操作
用にも適応させることができるようにした汎用性
の高いロータリ耕耘機における尾輪操作用油圧シ
リンダ装置を提供せんとすることにある。

上記目的を達成する本考案のロータリ耕耘機に
おける尾輪操作用油圧シリンダ装置は、トラクタ
本体に連結したロータリ耕耘機と相対移動可能に
設けた尾輪を、トラクタ本体側の油圧供給源から
の作動油により昇降操作すべくした油圧シリンダ
装置において、該油圧シリンダ装置に対する作動
油の給排路に、供給方向へは流量を絞り、排出方
向へは自由流出を許容するリストリクシヨンバル
ブを設けたことを特徴とするものである。

以下、図に示す本考案の実施例により説明す
る。

第１図は、本考案による尾輪操作用油圧シリン
ダ装置を有するロータリ耕耘機を連結したトラク
タを示し、第２図はその要部を示すものである。
図において、１はトラクタであり、このトラクタ
１の後部にロータリ耕耘機２が連結され、さらに
このロータリ耕耘機２の後部に尾輪３がロータリ
耕耘機２とは相対移動が可能であるように設けら
れている。このロータリ耕耘機２の全体は、トラ
クタ１後部に設けた油圧リフト装置４のリフトア
ーム５により、リフテイングロツド６を介して吊
り下げられ、さらに尾輪３は複動式の油圧シリン
ダ７を介して吊り下げられている。リフトアーム
５は操作レバー８の操作により作動し、ロータリ
耕耘機２全体が昇降させられる。

９は複動式の油圧シリンダ７への作動油を切換
操作するための制御バルブであり、操作レバー１
０を上下に操作することにより、リンク１１を介
して操作できるようになつている。制御バルブ９
と油圧シリンダ７との間は、ホース１２，１３を
介して連結されており、上記制御バルブ９の流路
切換により、作動油がホース１２または１３のい
ずれか一方に流れて油圧シリンダ７に供給され、
他方のホースから油圧シリンダ７内の作動油が戻
される。この作動油の移動により油圧シリンダ７
が駆動され、長手方向に伸縮を行う。１４，１５
は、ホース１２，１３の取付カツプラーである。

第３図および第４図は、上述した尾輪３を昇降
操作する油圧シリンダ７を拡大して示すものであ
る。この図において、２１はシリンダチユーブで
あり、その両端にフランジ２２，２３が溶接によ
り一体に固定され、このフランジ２２，２３に鏡
板２４，２５がボルト２６により固定されてい
る。シリンダチユーブ２１内にはピストン２７が
滑動自在に挿入され、このピストン２７に固定さ
れたピストンロツド２８が鏡板２４を貫通して外
側に延長している。シリンダチユーブ２１の両端
にはそれぞれフランジ２２，２３に対応する位置
にポート２９，３０が設けられ、このポート２
９，３０はジヨイント３１，３２を介して上述し
たホース１２，１３にそれぞれ連結されている。
この連結部分におけるフランジ２２，２３内には
ロート状のバルブシート３３，３４が形成され、
そのバルブシート３３，３４に対応させてポペツ
ト３５，３５が遊動可能に設けられている。ポペ
ツト３５はバルブシート３３，３４の傾斜よりも
小さい傾斜の円錐面を先端表面に有し、かつ中央
には絞り孔３５ａを貫通するように設けている。
したがつて、このポペツト３５，３５とバルブシ
ート３３，３４とは所謂リストリクシヨンバルブ
３６を構成することになる。すなわち、このリス
トリクシヨンバルブ３６は、各ホース１２，１３
からシリンダチユーブ２１内への作動油の供給流
に対しては流量を制限する絞り作用を行うが、そ
の反対のシリンダチユーブ２１内から各ホース１
２，１３への排出流は自由に流れるように作用す
るリストリクシヨン機能を有している。上述のポ
ペツト３５，３５を収納するフランジ２２，２３
は、両者とも構造が全く同じ構成になつている。

第５図は、上述した装置における油圧回路の要
部を示すもので、図示の状態は制御バルブ９がニ
ユートラル位置のバルブ９ｎに設定してあり、ト
ラクタ本体内の油圧ポンプＰからの作動油は、油
圧シリンダ７におけるポート２９，３０のいずれ
にも供給されないようになつている。したがつ
て、作動油は一定の高圧大容量のまま他の油圧作
動部Ｗへ供給できるようになつている。Ｒはリリ
ーフバルブである。一方、操作レバー１０により
制御バルブ９をバルブ９ａに切換えると、油圧ポ
ンプＰの作動油はホース１２に流れ、リストリク
シヨンバルブ３６により低圧少容量に制御されて
ポート２９へ供給される。また、油圧シリンダ７
内の作動油はポート３０からリストリクシヨンバ
ルブ３６に流量制約を受けることなく円滑に排出
し、油タンクＴへ還流される。このような作動油
の供給により、油圧シリンダ７のピストン２７は
第４図の右側へシリンダチユーブ２１内へ押込ま
れるように移動し全長を縮める。そのため尾輪３
はロータリ耕耘機２に対して相対的に持上げら
れ、その結果ロータリ耕耘機２による耕深は深く
なる。

また、制御バルブ９をバルブ９ｂに切換える
と、作動油は上記とは逆にホース１３側へ流れ、
リストリクシヨンバルブ３６で低圧少容量に制御
されてポート３０側へ流れ、またポート２９から
排出された作動油がタンクＴへ還流されることに
なる。したがつて、油圧シリンダ７のピストン２
７は上記とは逆に作動して伸長し、その結果、尾
輪３はロータリ耕耘機２に対し相対的に押下げら
れ、その結果ロータリ耕耘機２による耕深は浅く
なる。

上述した尾輪操作用の油圧シリンダ装置は、そ
の油圧シリンダに対する作動油供給路にリストリ
クシヨンバルブを設けただけの簡単な構成によ
り、トラクタ本体側の制御バルブは高圧大容量で
制御するものであつても差支えないことになる。
したがつて、その高圧大容量の作動油は同一制御
バルブで尾輪操作用に限らず、取付カツプラー１
４，１５の付替えなどにより、他の高圧大容量を
必要とする作業機操作用の油圧シリンダにも有効
に利用することができることとなる。また、実施
例のように複動式の油圧シリンダにおいて、リス
トリクシヨンバルブ３６を内蔵するフランジ２
２，２３を同一機構にすると共用が可能となるた
め、二種類の機構の製作は不要となつて装置製作
の工数が低減され、コストダウンに寄与すること
になる。

なお、上述の実施例ではリストリクシヨンバル
ブ３６は、油圧シリンダ７のフランジ２２，２３
に設けるようにしてあるが、このように油圧シリ
ンダに直接リストリクシヨン機構を形成しなくて
も制御バルブ９から油圧シリンダ７に至る油圧径
路内に設けるようにしても差支えない。

上述したように、本考案によるロータリ耕耘機
の尾輪操作用油圧シリンダ装置は、トラクタ本体
に連結したロータリ耕耘機と相対移動可能に設け
た尾輪を、トラクタ本体側の油圧供給源からの作
動油により昇降操作すべくした油圧シリンダ装置
において、該油圧シリンダ装置に対する作動油の
給排路に、供給方向へは流量を絞り、排出方向へ
は自由流出を許容するリストリクシヨンバルブを
設けた構成としたので、トラクタ本体側に設ける
制御バルブを高圧大容量に制御するものとして、
その作動油を尾輪操作用油圧シリンダにそのまま
使用することができ、しかも作業機用油圧シリン
ダにも当然使用することが可能となつて汎用性の
高いものにすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の尾輪操作用油圧シリンダ装置
を装備したロータリ耕耘機を連結したトラクタの
側面図、第２図は同トラクタの要部を示す側面
図、第３図は上記尾輪操作用油圧シリンダ装置の
斜視図、第４図は同断面図、第５図は油圧回路図
である。 １……トラクタ、２……ロータリ耕耘機、７…
…油圧シリンダ装置、９……制御バルブ、１２，
１３……ホース、２１……シリンダチユーブ、２
２，２３……フランジ、２７……ピストン、３
３，３４……バルブシート、３５……ポペツト、
３５ａ……絞り孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トラタタ本体に連結したロータリ耕耘機と相対
   移動可能に設けた尾輪を、トラクタ本体側の油圧
   供給源からの作動油により昇降操作すべくした油
   圧シリンダ装置において、該油圧シリンダ装置に
   対する作動油の給排路に、供給方向へは流量を絞
   り、排出方向へは自由流出を許容するリストリク
   シヨンバルブを設けたことを特徴とするロータリ
   耕耘機における尾輪操作用油圧シリンダ装置。