JPS6344450Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は製鋼用電気炉の底部に設けて溶鋼中に
ガスを吹き込む羽口に係るものであり、特に強度
及び電気絶縁性に優れた羽口に関するものであ
る。

［従来の技術］ 従来から、溶融金属などの精錬に際し、脱炭精
錬もしくは反応促進を目的とした溶湯の撹拌等の
ために、転炉等の底部に耐火物からなるガス吹込
み用耐火物（羽口）を設けて各種ガスを吹き込む
ことが広く行なわれている。

この羽口として、所要数のガス吐出用通路が長
手方向に貫設された耐火物よりなる羽口本体と、
該羽口本体の基端側に画設された該ガス吐出用通
路に連通するガス分配室とを有するものが知られ
ている。そして、この耐火物よりなる羽口本体部
分の強度を向上させるために、ステンレス等の金
属管をガス吐出用通路に内嵌させることが考えら
れている。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが、ステンレス等の金属管をガス吐出用
通路に内嵌させた羽口においては、溶湯と炉体外
部とが該金属管を介して導通するようになり、電
流がシヨートパスし、電気炉の操業に支障を来た
す恐れがあつた。

［問題点を解決するための手段］ 本考案の電気炉の底吹き用羽口は、ガス吐出用
通路が長手方向に設けられた耐火物よりなる羽口
本体と、この羽口本体に設けられたガス分配室と
を有するものにおいて、このガス吐出用通路を素
孔とすると共に、金属線にて羽口本体を補強した
ものである。この金属線は、羽口本体の先端から
羽口本体の途中まで延びる第１の金属線と、羽口
本体の基端から羽口本体の途中であつて、該第１
の金属線の線端よりも羽口本体の先端側まで延び
る第２の金属線とで構成されている。これら第１
及び第２の金属線は互いに非接触に配設されてい
る。

［作用］ 本考案の羽口においては、途中で途切れた金属
線で羽口本体を長手方向に補強してあるので、そ
の強度が極めて高く、かつ溶湯と炉体外部とが導
通することがなく、電流のシヨートパスに起因す
る電気炉の操業支障が確実に防止される。

特に、本考案においては、該補強用の金属線
が、羽口本体の先端から羽口本体の途中まで延び
る第１の金属線と、羽口本体の基端から羽口本体
の途中まで延びる第２の金属線とが、羽口本体の
途中部分において重複するように配設されている
ので、該途中部分付近でも羽口本体が十分に補強
されている。

［実施例］ 以下図面を参照して実施例について説明する。

第１図は本考案の実施例に係る電気炉の底吹き
用羽口の縦断面図である。符号１は耐火物よりな
る羽口本体であつて、所要数のガス吐出通路２が
長手方向に貫通設置されている。この羽口本体１
の基端側には、ガス分配室３がガス吐出用通路２
と連通するように設けられている。即ち、羽口本
体１の底面部分には第１の底板４が固着されると
共に、該第１の底板４と所定の間隔をおいて第２
の底板５が設置され、これら底板４，５の外周部
分を環状部材６が取り巻いてガス分配室３を画成
している。また第１の底板４には、ガス吐出用通
路２と同数個の開口が設けられ、短管７が上方に
吐出するように固着され、この短管７を介してガ
ス吐出用通路２とガス分配室３内部とが連通され
ている。符号５ａは第２の底板５に開設されたガ
ス導入口である。

符号８，９は羽口本体１の長手方向に埋設され
ている補強用の金属線であり、第１の金属線８は
羽口本体１の上面から羽口本体１の途中まで下方
に延びるように設けられており、第２の金属線９
は羽口本体１の底面から該羽口本体１の途中まで
上方に延びている。

この羽口本体１は、図示の如く途中から上方が
次第に細くなる略円錐台形状のものであり、該羽
口本体１の外形が細くなりかける途中部分におい
て金属線８と９の双方が重複するように、即ち、
第２の金属線９の上端が第１の金属線８の下端よ
りも上方の位置となるように設けられている。金
属線８と９とは接触されておらず、それらの間に
所要の間隔があき、金属線８と９とが互いに絶縁
状態におかれるようになつている。この金属線８
と９とが重複して存在する部分（第１図の符号Ａ
の部分）における金属線８，９同士の間隔が過度
に大きいと、埋設する金属線８，９の数が少なく
なり補強効果が低下するようになることから、本
考案においては、金属線８と９との間隔は５mm〜
15mmとりわけ８mm〜12mm程度とするのが好適であ
る。

本考案においては、第１の金属線８，８同士の
間隔及び第２の金属線９，９同士の間隔も、上記
間隔に準じて設定するのが好適である。

金属線８と９とが重複する部分Ａの部位は、特
に限定されないが、図示の如く本体１が相当に太
径となつている部分とするのが、金属線８，９の
配列上好適である。また、金属線８と９との重複
部分Ａを１箇所に集中させず、高さ方向に分布さ
せてもよい。このようにすれば、補強用金属線の
不連続部分が分散されるようになり、強度の比較
的低い部分が分散され、強度信頼性が一層高いも
のとなる。

金属線８，９としては耐熱性及び耐食性の高い
各種鋼線例えばステンレス鋼線が好適である。こ
の金属線は単線であつてもよく、撚り線であつて
もよい。金属線の１本当りの断面積は、その配設
数とも関連するが、通常は１〜20mm²程度とりわけ
３〜７mm²程度が好適である。

このような金属線は、金属線８，９同士の電気
絶縁性を高めるために、表面に非導電性セラミツ
ク等のコーテイングを施してもよい。

なお、第１図では、ガス吐出用通路２同志の間
の部分では金属線が図示されていないが、この部
分にも金属線が埋設されている。

また、補強効果を高めるために、金属線に所定
間隔でこぶ状の部分を形成してもよい。このよう
にすれば、金属線と耐火物との付着強度や、金属
線の抜け止め効果が得られ、補強効果が高くな
る。

本考案において、耐火物としては、溶湯に対す
る耐食性が実用上さしつかえないものである限
り、各種のものを採用できる。

なお、一般に耐火性、耐食性の高い高級耐火物
はそれだけ高価であるから、高い耐火性が要求さ
れる稼動面に近い部分のみを高級耐火物とし、そ
れから離れる（図面で下方になる）ほど安価な低
級耐火物としてもよい。

羽口本体１に設けられるガス吐出用通路の所要
数は、精錬反応からみた場合にはガスが吐出する
間隔を狭め吐出範囲をなるべく広くするように多
数設けるのが好適であるが、羽口製造工程上の観
点からは、この数を多くすることには限界があ
る。即ち、ガス吐出用通路を過度に多く設ける
と、ガス吐出用通路同士が過度に近接した状態に
なつて、羽口製造時にガス吐出通路同士の間へ耐
火物を充分に回し込むことができず、充填密度が
低くなり羽口の耐食性を低下させる恐れがある。
このようなことから、ガス吐出用通路の間隔は、
羽口製造時に骨材を含めて耐火物を充分に充填で
きるよう５〜100mm程度とりわけ10〜50mm程度の
間隔をあけるようにするのが好適である。

なお、ガス吐出用通路の配列は特に限定される
ものではなく、第２図イ〜ニの如く各種の配列と
なし得る。第２図のイはガス吐出用通路が隣接す
る３個の開口が正三角形の頂点に位置することを
基本とする配置であり、第２図ロは通路開口を格
子状に配置したものである。また第２図ハは通路
開口を同心状かつ放射状に配置したものであり、
第２図ニは同心円状に配置させたものである。た
だし、この配置は各開口がなるべく均等に分散す
るように配置するのが好適である。

このように構成された羽口においては、底板５
のガス導入口５ａから導入されたガスが各ガス吐
出用通路２に均等に分散されて導入され、羽口上
端の開口から炉内に吹き出される。しかして、か
かる構成の羽口においては、重複部分Ａを形成す
る金属線８，９によつて羽口本体１が補強されて
おり、強度が高く耐久性に富み、また取扱いが容
易である。また、この金属線が途中で不連続とな
るように設けられているから、電流のシヨートパ
ス等も確実に防止され、電気炉操業の安定化が可
能である。

このような本考案の羽口は例えば次のようにし
て製造できる。

即ち、第３図の如く、羽口本体を上下逆にした
形状の型枠１０を用意し、その中にガス吐出用通
路２を形成するための棒状中子１１を通路２と同
じ配列にて立設する。また、各金属線８，９を型
枠１０内にセツトする。この際、金属線の先端に
合成樹脂等の紐８ａ，９ａを結び付けておき、各
金属線８，９に張力を与えたいわゆるぴんと張つ
た状態となるように張り渡す。なお、金属線９に
接続した紐９ａは、型枠１０の側壁に小さな開口
を設けておき、この開口から紐の先端を外部に抜
き出しておく。また金属線８に結び付けた紐８ａ
の先端は、型枠１０の上部に抜き出しておく。然
る後、型枠１０内に耐火物の混練物を流し込む。
流し込み終了後、金属線８，９に接続してある紐
８ａ，９ａを強く引つ張り、金属線８，９と紐８
ａ，９ａとの接続部から紐８ａ，９ａを分断し、
紐８ａ，９ａを外部に抜き出し、金属線８，９の
みが型枠１０内の耐火物に埋設するように残留さ
せる。また、金属線９の耐火物から飛び出してい
る部分を切り取る。その後、底板４，５及び環状
部材６が一体とされているガス分配室形成用の金
物を型枠１０の上から被せ、常法に従つて養生、
脱型等の工程を経て羽口本体と上記金物とが一体
となつた羽口を得る。

勿論、上記製造法は本考案の羽口の製造例の一
例であつて、その他各種の方法によつて本考案の
羽口を製造できることは明らかである。

［考案の効果］ 以上の通り、本考案の羽口は、第１及び第２の
金属線により先端から基端まで補強されているた
め、極めて強度が高い。しかも、第１及び第２の
金属線は、羽口本体の途中において重複するよう
に配設されているので、各金属線が途切れる羽口
本体の該途中部分付近でも十分に補強されてい
る。

また、第１及び第２の金属線は互いに非接触と
なるように配設されているので、羽口全体として
の電気絶縁性も極めて高く、電流のシヨートパス
が確実に防止され、電気炉の操業が安定化する。

また、金属線は、従来補強用に用いられていた
金属管に比べ安価であるから、本考案の羽口は製
造コストも廉価なものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係る羽口の縦断面
図、第２図は同平面図、第３図は同製造例を説明
する縦断面図である。 １……羽口本体、２……ガス吐出通路、３……
ガス分配室、８，９……金属線。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 所要数のガス吐出用通路が長手方向に貫通され
   た耐火物よりなる羽口本体と、該羽口本体の基端
   側に画設された該ガス吐出用通路に連通するガス
   分配室とを有する電気炉の底吹き用羽口におい
   て、 前記貫通孔は素孔であり、かつ前記耐火物は金
   属線により長手方向に補強されており、 該金属線は、羽口本体の先端から羽口本体の途
   中まで延びる第１の金属線と、羽口本体の基端か
   ら羽口本体の途中であつて、該第１の金属線の線
   端よりも羽口本体の先端側まで延びる第２の金属
   線とで構成され、かつ、これら第１及び第２の金
   属線は互いに非接触に配設されていることを特徴
   とする電気炉の底吹き用羽口。