JPS6343929Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、特にスポーツ靴に好適な靴用中底に
関する。

（従来の技術） 従来の靴用中底としては、レザーボードやパル
プボード（皮繊維やパルプ繊維を合成樹脂で固め
たもの）、フアイバーボード等を単体で使用した
もの、或いは中底の前半部をレザーボードやパル
プボード等で形成し、後半部をフアイバーボード
で補強したもの、さらにはポリエチレン等の合成
樹脂薄板に綿布等を積層した二層構造のもの等が
広く用いられている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記従来の靴用中底、特に本底
にスパイクやピン等を固着して成るスポーツ靴用
中底にあつては、競技中に底部のスパイクやピン
からの突き上げによつて、足に過度の負担がかか
つて足が痛み疲れ易くなるという問題点があつ
た。またスパイクやピンからの突き上げによつて
中底の破損頻度が高くなるばかりか、ピンの突き
上げや中底の破損を防ぐためには剛性の高い材料
を使用しなければならず、斯かる場合には靴の屈
曲性が悪くなつて靴と足との一体性が低下すると
いう問題点があつた。

本考案は、上記問題点に鑑みてなされたもの
で、その目的とする処は、スパイクやピンからの
突き上げを受けても十分耐えることができ、且つ
靴の屈曲性及び足との一体性を向上させられる靴
用中底を提供するにある。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成すべく、本考案に係る靴用中
底にあつては、硬質樹脂層の両側に繊維層とボー
ド層を重ね合わせて３層の構造体を形成し、該構
造体の軸方向両端に位置する爪先部とかかと部か
ら構造体中央の踏み付け部へ向けて前記硬質樹脂
層を薄肉に形成すると共に、前記構造体の外縁部
を全周的に上方へ屈曲せしめて、該構造体の上方
へ屈曲せしめた外縁部の内側を凹所とした。

（作用） 而して、当該靴用中底を構成する構造体の中間
層には硬質樹脂層があるため、スパイクやピンか
らの突き上げを受けてもこれに十分耐えることが
できる。また構造体中央の踏み付け部付近の硬質
樹脂層が薄肉になつているため靴の屈曲性が向上
する。さらに構造体の外縁部を全周的に上方へ屈
曲せしめ、この上方へ屈曲せしめた外縁部の内側
を凹所としたため、中底が足にフイツトし、靴と
足との一体感が高まる。

（実施例） 以下に本考案の一実施例を添附図面に基づいて
説明する。第１図は本考案に係る靴用中底の斜視
図、第２図、第３図はそれぞれ第１図の−
線、−線断面図、第４図は第３図の−線
拡大部分断面図である。

第１図に示す靴用中底１は図示しないスポーツ
靴の本底と固着される。２は靴用中底１を構成す
る構造体で、該構造体２は第４図に示す如く、例
えばポリプロピレンや多硫化物系ゴムの混合物等
からなる硬質樹脂層３の図中上面側に吸汗性の高
い繊維層４、図中下面側に前記本底との接着性の
高いボード層５を重ね合わせて形成されている。
尚、この構造体２は、軸方向に沿つて図示の如く
前方より爪先部ａ、踏み付け部ｂ、土踏まず部
ｃ、かかと部ｄを有する。

又、上記構造体２の中間層たる硬質樹脂層３の
肉厚ｔは、前記爪先部ａとかかと部ｄから踏み付
け部ｂに向かつて徐々に薄肉に形成されている。
また前記構造体２は外縁部６を、例えば第２図に
示すように全周にわたつて上方へ屈曲せしめて、
この上方へ屈曲せしめられた外縁部６の内側を凹
所７としている。

而して、中底１を構成する構造体２の中間層は
硬い硬質樹脂層３となつているため、スポーツ靴
の本底に固着されたスパイクやピンによつて突き
上げを受けても中底１はこれに十分耐えることが
でき、その耐久性、延いてはスポーツ靴自体の耐
久性が低下することはなく、又、スパイクやピン
の突き上げによつて足が痛むこともない。さら
に、上記構造体２の中間層たる硬質樹脂層３の肉
厚ｔは、爪先部ａとかかと部ｄから踏み付け部ｂ
に向かつて徐々に薄肉に形成されているため、屈
曲部たる踏み付け部ｂの剛性が低くて屈曲性に富
み、従つてスポーツ靴自体の屈曲性が高まる。更
に、構造体２の外縁部６を全周にわたつて上方へ
屈曲せしめて、この上方へ屈曲せしめられた外縁
部６の内側を凹所７としたため、中底１の足への
フイツト感が良好で、スポーツ靴と足との一体感
が高まる。また本実施例においては、構造体２の
硬質樹脂層３の上面側が吸汗性の高い繊維層から
成つているので激しい運動で足から汗が大量に出
ても、確実且つ速やかに汗を吸収することができ
る。

（考案の効果） 以上の説明で明らかな如く、本考案に係る靴用
中底は、硬質樹脂層の両側に繊維層とボード層を
重ね合わせて３層の構造体を形成し、該構造体の
軸方向両端に位置する爪先部とかかと部から構造
体中央の踏み付け部へ向けて前記硬質樹脂層を薄
肉に形成すると共に、前記構造体の外縁部を全周
的に上方へ屈曲せしめて、該構造体の上方へ屈曲
せしめた外縁部の内側を凹所としたため、当該靴
用中底は、靴の本底に固着したスパイクやピンか
らの突き上げを受けても、硬質樹脂層があるため
これに十分耐えることができ、従つてスパイクや
ピンの突き上げによる足の痛みや中底の破損を防
止することができる。また踏み付け部付近の硬質
樹脂層が薄肉となつていて靴の屈曲性が高まる。
更に構造体の外縁部を全周的に上方へ屈曲せしめ
て、外縁部の内側を凹所としたため中底が足にフ
イツトし、靴と足との一体性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る靴用中底の斜視図、第２
図、第３図はそれぞれ第１図の−線、−
線断面図、第４図は第３図の−線拡大部分断
面図である。 符号の説明、１……靴用中底、２……構造体、
３……硬質樹脂層、４……繊維層、５……ボード
層、６……外縁部、７……凹所、ａ……爪先部、
ｂ……踏み付け部、ｃ……土踏まず部、ｄ……か
かと部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 硬質樹脂層の両側に繊維層とボード層を重ね合
   わせて３層の構造体を形成し、該構造体の軸方向
   両端に位置する爪先部とかかと部から構造体中央
   の踏み付け部へ向けて前記硬質樹脂層を薄肉に形
   成すると共に、前記構造体の外縁部を全周的に上
   方へ屈曲せしめて、該構造体の上方へ屈曲せしめ
   た外縁部の内側を凹所としたことを特徴とする靴
   用中底。