JPS6343743B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電子写真法、静電記録法等に於て形成
される電気的潜像を現像するための摩擦帯電性磁
性トナーを使用する画像形成方法に関する。

従来より、電子写真や静電記録等の画像形成技
術分野にあつては、光導電性物質を利用した所謂
感光体や静電記録材等の誘電性或は、絶縁性表面
上の電気的潜像を可視化、即ち、現像するための
方法は多種多様に存在している。例えば、米国特
許第2297691号明細書、特公昭42−23910号公報及
び、特公昭43−23748号公報に多数の方法が記載
されている。電気的潜像を可視化、即ち、現像す
る方法は直接的再生を望むか、反転再生を望むか
に応じて多少、異なるが該潜像の静電荷に選択的
に吸引または反発される検電性粒子すなわち、現
像粒子（一般に、トナーと呼ばれる。）を潜像担
持面に適用することにより行われる。直接的再生
の場合、トナーは潜像域内に付着し、反転再生の
場合には、トナーは潜像域外に付着する。

従来より、かかる現像法としては、乾燥粉体の
トナーを用いる所謂乾式現像法が広く知られてい
る。例えば、米国特許2874063号明細書に記載さ
れている磁気ブラシ法、同2618552号明細書に記
載されているカスケード現像法及び、同2221776
号明細書に記載されている粉末雲法等が知られて
いる。これらの現像法に用いられる現像剤として
は一般にトナーと呼ばれる着色微粉末のみからな
る一成分系のものと、これに鉄粉、ガラスビーズ
等の担持物質（キヤリヤー）を併用する所謂、二
成分系のものとに大別される。前者の現像剤は、
それを担持するための磁気金属スリーブ等の導電
性から誘電される電荷により、又、後者の現像剤
は摩擦帯電電荷によつて潜像を現像することがで
きる。中でもトナーのみからなる一成分系現像剤
を用いる現像方法として、所謂、誘起現像法（例
えば、特公昭37−491号公報に記載）が良く知ら
れている。

この方法は要するに、導電性と磁性を有するト
ナーを磁石を内装したスリーブに付着させトナー
による磁石ブラシを形成し、該磁気ブラシを静電
潜像担持体に接触し潜像をトナーで現像するもの
である。この現像方法に於ては、トナーが導電性
を有する事によつて磁気ブラシを静電潜像に対向
させたとき、トナーに静電潜像と逆極性の電荷が
誘起され、かくして電荷を誘起されたトナーと、
静電潜像の間の電気的引力に基づき潜像が現像さ
れるのである。

斯かる誘起現像法に於ては、先述のとおり、使
用する現像剤が、トナーのみからなるので、これ
が担体物質（キヤリヤー）と併用される場合の如
きそれ等の混合比率（つまり、トナー濃度）の調
整が不要であり、又、現像剤を帯電させるための
撹拌操作を特に必要としないから現像装置全体を
簡略且つコンパクトに構成できると云う利点を持
つ。更に、キヤリヤーの経時的劣化に基づく、現
像画質の低下と云つた不都合も生じない。以上の
如き利点を持つ誘起現像法も従来は酸化亜鉛等の
感光材を塗工した感光紙に静電潜像を形成し、こ
れを直接トナーで現像する方法に於てのみ実用さ
れているのが実状である。しかしながら、近時、
当該技術分野に於ては、現像像を他の転写材（例
えば、普通紙）に転写する工程を含む複写方式が
汎用されているのであるが、先に説明した誘起現
像法をこれに適用することは極めて困難であり、
且つ又、不都合も多い。つまり、導電性トナーが
使用されるために、その転写操作が制約を受ける
ことによる。例えば、コロナ転写法が採られる場
合（：コロナ転写法は、静電潜像担持体上に形成
されたトナー像に転写材を接触せしめ該転写材の
背面よりコロナ放電により帯電し転写するもので
ある）トナーが導電性であると転写材を貫通する
微小なコロナ電流によりトナー粒子が転写材と同
極性の電荷を有し、転写が十分に行われないだけ
でなくトナー層全体が同極性の電荷を有する状態
となるため、トナー粒子同志の反発力により現像
画像がみだれる等の不都合を生じるのである。ま
た、特開昭50−45639号公報には絶縁性の磁性ト
ナーを用いトナー支持部材表面との摩擦帯電効果
によつてトナーを帯電し、静電潜像を現像する方
法が記載されており。この現像トナー像は静電的
に転写できることが記載されている。しかし、絶
縁性磁性トナーは微粉末上の磁性材がトナー中に
相当量混合分散されているために、トナーの荷電
性が悪かつたり、不安定で使用中にトリボ電荷量
が変化し、常に安定した画像を得ることが困難で
ある。

更に、従来よりトナーの荷電制御剤として知ら
れているニグロシン染料や含金属染料などを磁性
トナーに添加して多数枚の複写を行うとそれらの
染料がトナー保持部材の表面に次第に付着或いは
吸着し、トナーとの摩擦帯電性が極端に低下して
しまい、荷電制御染料を使用することも好ましく
ない。

本発明者等は、上記実情に鑑み、樹脂および磁
性体の物理的性質、化学的性質とトナー適性との
相互関係について種々検討した結果、トナー結着
樹脂中にカルボキシル基、フエノール性水酸基等
の遊離の酸根を導入することにより、結着樹脂自
体に荷電制御性を付与するとともに、磁性体表面
の酸化皮膜と結着樹脂中の酸根との化学的物理的
親和性により、磁性体と結着樹脂との密着性が増
大し、分散性が向上することを知見した。更に、
本発明者等は、樹脂中の遊離酸の量を表わす酸価
（試料１ｇを中和するのに要する水酸化カリウム
mgをもつて表わされる数値）が、５〜60の特定の
範囲にある時、静電潜像現像用磁性トナーとし
て、好ましく機能することを知見し、本発明を完
成したものである。

本発明の目的は、荷電性が良好でしかも使用中
に常に安定した荷電性を示し鮮明でカブリのない
画像の得られる静電荷像磁性トナーを使用する画
像形成方法を提供するものである。

更に、本発明の目的は、キヤリヤーを用いない
一成分系現像剤に於て、良好で均一な磁性を示
し、且つ静電的に転写のできる磁性トナーを使用
する画像形成方法を提供するものである。

即ち、本発明は酸価５〜60のポリエステル樹脂
20〜80重量％中に磁性微粒子を含有している摩擦
帯電性の負荷電性磁性トナーをトナー保持部材上
に担持し、該磁性トナーを該トナー保持部材によ
る摩擦帯電で、負荷電性を該磁性トナーに付与
し、負荷電性に摩擦帯電された該磁性トナーを用
いて静電潜像担持体に形成された静電潜像を現像
してトナー像を得ることを特徴とする画像形成方
法に関する。

酸価が上記範囲を下まわる時には磁性トナーの
荷電性が低下し、磁性微粒子の結着樹脂中への分
散が悪化し、均一な磁性を示さなくなり、磁性ト
ナーの耐久性も劣化して、多数枚複写を行なうと
画像濃度の低下及びカブリの増大が著しくなつて
くる。

逆に、上記範囲を越える時には磁性トナーの性
能が一定せず、特に耐湿性が悪くなり実用的では
ない。

本発明に用いる樹脂としては、ポリエステルが
ある。また、トナーの安定性、定着性、および調
整容易の点からは、不飽和ポリエステル樹脂が好
ましく使用できる。

ポリエステルのような縮合系樹脂ではジオール
とジカルボン酸の量比を変化させるほかに重合が
進むにつれて、末端のカルボキシル基の量比が減
少することから、重合度を調節することにより酸
価の調整が行なえる。

本発明の磁性トナーは、上記樹脂単独あるい
は、混合物として使用できるが、トナーの長寿命
化を図る目的で、機械〜温度特性を向上させるた
めに、また流動性および定着性を向上させるため
に、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必
要に応じて従来より使用されている着色剤（カー
ボンブラツク、フタロシアニンブルーなどの染・
顔料）あるいは、荷電制御剤、定着補助剤、ある
いは、流動性改質材として、無機微粉末を含有し
てもよい。また、トナー物性を改良する目的で、
他の樹脂類などを混合して用いてもよい。

本発明に用いられる磁性物質としては磁性を示
すか、磁化可能な材料であればよく、例えば、
鉄、マンガン、ニツケル、コバルト、クロムなど
の金属微粉末、各種フエライト、マグネタイトな
どの鉄、コバルト、ニツケル、マンガンなどの合
金や化合物、その他の強磁性合金など従来より磁
性材料として知られているものが使用できる。

これらの磁性微粒子と樹脂との配合量は、樹脂
が20〜80重量％、特に30〜60重量％とするのが好
ましい。

本発明に於て、トナー化する方法は従来より知
られている方法により、製造すればよく、カプセ
ルトナーとして用いてもよい。

トナー粒径は一般に約0.5〜100ミクロン程度で
あるが好ましくは約５〜30ミクロン程度で用いら
れる。

以下、本発明を実施例により具体的に説明する
が、これ等は、本発明を何等限定するものではな
い。また、実施例中の部数はすべて重量部であ
る。

実施例 １ ２・２−ビス〔Ｐ−（ヒドロキシ−ｎ−プロポ
キシ）−フエニル〕プロパン、フマール酸及びマ
レイン酸より合成されたポリエステル樹脂（酸価
23.5、軟化点106℃）100部とマグネタイト（商品
名；EPT−1000：戸田工業製）60部とをロール
ミルで十分溶融混練し、次いでジエツトミル粉砕
機で微粉砕し、粒径５〜30μを選択して磁性トナ
ーを製造した。

これらの磁性トナーを用い第１図に示した現像
装置で正の静電潜像を現像し、転写紙にコロナ転
写し、定着を行いカブリのない鮮明な画像が得ら
れた。第１図に於て、現像器は内部に固定磁石２
を設けた回転可能なステンレススリーブ３の外部
にトナー補給器４を配し、スリーブの回転により
磁性トナー６は磁気引力によりスリーブに付着し
て感光ドラム１の静電潜像保持部に搬送され現像
に供される。

スリーブ表面上のトナーの付着量は補給器出口
に設けられたドクターブレード５によつて規制さ
れる。トナーの電荷はスリーブとの摩擦帯電によ
り付与され、実施例１のトナーは負荷電性を示し
た。

この初期最大画像濃度は1.26であり、１万枚耐
久後も1.22の画像濃度を保持していた。また35℃
−95％RHの高湿下でも1.08の高画像濃度を保持
していた。

比較例 ポリエステル樹脂が（酸価62.5、軟化点86℃）
である以外は、実施例１と同様にして磁性トナー
を調整した。実施例１と同様にして画出しを行つ
たところ、最大画像濃度は、1.31と高いものの、
初期よりカブリが多く、１万枚耐久後では劣化が
ひどく、許容範囲を越えて、使用不可能であつ
た。

【図面の簡単な説明】

第１図は、一成分系磁性現像剤による現像器の
略示断面図である。 １……感光ドラム、２……磁石、３……スリー
ブ、５……ドクターブレード、６……磁性トナ
ー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 酸価５〜60のポリエステル樹脂20〜80重量％
   中に磁性微粒子を含有している摩擦帯電性の負荷
   電性磁性トナーをトナー保持部材上に担持し、該
   磁性トナーを該トナー保持部材による摩擦帯電
   で、負荷電性を該磁性トナーに付与し、負荷電性
   に摩擦帯電された該磁性トナーを用いて静電潜像
   担持体に形成された静電潜像を現像してトナー像
   を得ることを特徴とする画像形成方法。