JPS6342541B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は鋼の連続鋳造用タンデイツシユにお
いて、鋳造終了後のタンデイツシユの補修作業を
容易にするため、タンデイツシユ内の内壁、底部
等に付着した残留スラツグや地金等を溶融して除
去する方法およびそのための装置に関するもので
ある。

連続鋳造用タンデイツシユは取鍋などの大容量
の溶鋼容器から鋳型へ溶鋼を導く中間樋として用
いられ、タンデイツシユ内の溶鋼量を一定に保つ
て１個または複数個のタンデイツシユノズルから
常に一定の量の溶鋼を鋳型に注入する機能を果た
すものである。

従来のタンデイツシユは第１図、第２図に示す
ように外枠の内面に耐火物を内張りした箱型ある
いは樋状の形状で底部に出鋼口としてタンデイツ
シユノズルをもうけたものである。この種のタン
デイツシユにおいては１回の鋳造が終了するとタ
ンデイツシユノズルの交換が必要であるが、その
交換以外にも第１図、第２図に示すように鋳造の
終期に溶鋼の温度低下その他の原因からタンデイ
ツシユの内壁、底部に地金、スラグが固着し次回
の鋳造にそのまゝ使用するとこれらの固着物が再
溶融して溶鋼に混入し鋳片の品質の劣化をまねく
ので鋳造の都度固着物を除去し、その除去による
内壁、底部の耐火物の部分的損傷部や使用中の溶
損部を補修しなければならない。この補修を行う
には鋳造が終了するとタンデイツシユを取り外し
てできるだけ高温時に固着した地金を酸素溶断
し、つぎにタンデイツシユを室温近く迄放冷した
後、各種冶工具たとえばエアハンマー、さく岩機
などを用いて附着している地金、スラグを機械的
に除去し（第１図参照）、さらに耐火物の溶損部
と上記除去作業中に生じた破損部を耐火物で補修
する。しかしこの方法では酸素溶断、機械的除去
何れも高熱作業である上、大量の粉塵が発生し作
業は非衛生的で大型の集塵装置が必要である。ま
た酸素溶断は耐火物の部分的溶損を生ずるし、機
械的除去も耐火物の部分的損傷を生ずる。特に地
金は耐火物の目地の深部迄入つて固着しているの
で除去は困難であり、また除去に際しての耐火物
の損傷も大きい。また室温近く迄放冷するには長
時間、すなわち通常10時間以上を必要とするので
連続的に鋳造作業を行うには多数の予備タンデイ
ツシユを保有して、広い放冷場をもうけなければ
ならない。

上記したような欠点に対しタンデイツシユの使
用前に予め剥離性耐火物を内面に塗り込み固着物
を剥離性耐火物と共に機械的に除去する方法が行
われている。しかしこの方法に於ても機械的除去
作業は容易にはなるが室温迄放冷するのに長時間
を要することは同様でありまた高価な剥離性耐火
物を使用するのでコストが増加する。

本発明はタンデイツシユの構造を変更して誘導
加熱コイルをもうけ、鋳造作業中溶鋼を加熱撹拌
することによつて地金とスラグの固着量を減少す
ると共に鋳造作業終了後直ちにタンデイツシユ内
に発熱体を内装することによつてタンデイツシユ
内面を加熱して固着した地金とスラグを溶融して
除去することにより前記従来方法の欠点を除くこ
とを目的とする。

つぎに図面にしたがつて本発明を詳細に説明す
る。

第３図は本発明の実施例の断面図を示すもの
で、このタンデイツシユは溶鋼がほゞ円柱状をな
すように底を有する円筒形すなわちルツボ状の耐
火物容器２を外枠１で保持する構造とし、該耐火
物容器２の外側に同心円状に誘導加熱コイル３を
もうけ、かつ容器の底部に鋳型に溶鋼を注入する
タンデイツシユノズル９をもうけたものである。
さらに本発明においてはタンデイツシユの耐火物
容器の内径より小さい外径の円柱状あるいは円筒
状の導電性耐熱材料でつくられた誘導発熱体６を
取りつけたタンデイツシユの蓋体５を使用する。
このタンデイツシユを用いる連続鋳造作業におい
ては鋳造初期は従来と同じ方法で実施し、終期す
なわち取鍋内溶鋼の温度が下るか、あるいは取鍋
よりタンデイツシユへの溶鋼の流入が終つた時か
らタンデイツシユの誘導加熱コイル３に電源４よ
り通電してタンデイツシユ内溶鋼を加熱撹拌す
る。この加熱によりタンデイツシユ内の溶鋼は鋳
込みが完了するまで高温に保たれるのでタンデイ
ツシユの壁面、底部へ地金、スラグが固着する量
が従来方法に比し著るしく減少する。つぎに鋳込
作業の終了直後、タンデイツシユがまだ高温であ
る間に蓋体５をタンデイツシユに冠せて誘導発熱
体６を耐火物容器２内に内装しタンデイツシユの
誘導加熱コイルに通電すると誘導発熱体６は高温
に加熱され、その輻射熱によつて耐火物容器２の
内面に固着した地金、スラグが溶融流動してタン
デイツシユノズルから滴下流出する。流出が完了
すれば蓋体５を取り外し、直ちに外挿法でタンデ
イツシユノズル９を交換し、要すれば熱間耐火物
吹付法により耐火物容器の内部を補修する。この
タンデイツシユノズルの交換と熱間吹付法による
補修は高温でできるのでタンデイツシユを室温迄
冷却する必要がなくまたこの補修が終れば直ちに
次の連続鋳造作業にタンデイツシユを使用するこ
とができる。さらに本発明のタンデイツシユを使
用すれば室温迄冷却する必要がなく加熱冷却の温
度差が小さいばかりか耐火物容器の形が円筒状で
あるから加熱冷却による耐火物の膨張、収縮は無
理なく吸収され耐火物の寿命は長くなる。

一般に鋼の場合地金およびスラグを溶融するに
は1550℃以上の高温が必要でありまた誘導加熱さ
れるために発熱体は導電性を有しなければならな
い。したがつて発熱体は1600℃以上の耐熱性を有
し導電性を有する黒鉛、炭化珪素、窒化ボロンお
よびそれらの複合材料を使用するのが良い。また
使用中の酸化を防止するため蓋体とタンデイツシ
ユを密着して外部の空気の流入を防ぐのが良く、
不活性ガスを吹き込んでも良い。誘導発熱体は円
柱状あるいは円筒状に形成するが急速に高温に加
熱するには熱容量の小さい円筒状が好ましい。タ
ンデイツシユの内面を加熱するには発熱体はなる
べく内面に近接した方が良く、また誘導加熱の効
率の点からも発熱体の外径は誘導コイル径の1/2
以上とするのが良くまた高さは誘導コイル高さの
１／２以上の大きさにするのが良い。本発明者らの
実験によれば蓋体を冠せたタンデイツシユの内部
を1550℃の高温に保持したときのタンデイツシユ
からの放熱量の２〜10倍の加熱入力を与えればタ
ンデイツシユ内壁の温度を短時間に1550℃以上の
高温に加熱して地金およびスラグを溶融除去でき
ることが確認された。

以上詳しく説明したように本発明は鋼の連続鋳
造においてほゞ円筒状の耐火物容器とその外周に
同心円状に誘導加熱コイルをもうけたタンデイツ
シユを使用して連続鋳造作業の終期に溶鋼を加熱
することによつてタンデイツシユ内面への地金、
およびスラグの固着を最少限に止めると共に鋳造
作業終了後、直ちに誘導発熱体をもうけた蓋体を
該タンデイツシユに冠せて該発熱体を誘導加熱し
て固着した地金、スラグを溶融除去するので重労
働、非衛生な作業である固着物の酸素溶断、機械
的除去作業をする必要がなく補修作業が迅速容易
に行える。さらに本発明によればタンデイツシユ
を高温のまゝ固着物の除去並に補修できるので室
温迄放冷する必要がなくタンデイツシユは鋳造作
業終了後速に次の鋳造作業に使用でき予備タンデ
イツシユ保有台数の減少、放冷面積の不必要なこ
となどにより大きな経済的効果を有するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のタンデイツシユ補修方法の説明
図であり、ａは使用前、ｂ使用後、ｃ放冷後機械
的に附着物を除去する場合を示す図である。第２
図は鋳込終了後の従来のタンデイツシユの断面
図、第３図は本発明のタンデイツシユおよび蓋体
を示す断面図である。 １：タンデイツシユ外枠、２：タンデイツシユ
耐火物容器、３：誘導加熱コイル、４：電源、
５：蓋体、６：誘導発熱体、７：附着地金、８：
スラグ、９：タンデイツシユノズル。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鋼の連続鋳造用タンデイツシユにおいて、タ
   ンデイツシユをほぼ円筒状の底のある耐火物容器
   の外側に同心円状に誘導加熱コイルをもうけた構
   造とし、鋳込作業終了直後別に準備した誘導発熱
   体を取りつけた蓋体をタンデイツシユに冠せて該
   誘導発熱体を耐火物容器内に内装し誘導加熱コイ
   ルに通電して誘導発熱体を加熱することにより耐
   火物容器内壁の付着物を溶融除去することを特徴
   とするタンデイツシユ内残留スラツグおよび地金
   の除去方法。 ２ 誘導発熱体が円筒状または円柱状であり、外
   径が耐火物容器の内径以下で誘導加熱コイルの直
   径の1/2以上、高さが誘導加熱コイルの高さの1/2
   以上であることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載のタンデイツシユ内残留スラツグおよび地
   金の除去方法。 ３ 誘導発熱体が黒鉛、炭化珪素、窒化ボロンあ
   るいはそれらの複合物材料により構成されたこと
   を特徴とする特許請求の範囲第１項、第２項いず
   れかに記載のタンデイツシユ内残留スラツグおよ
   び地金の除去方法。 ４ 誘導発熱体にタンデイツシユ内部を1550℃に
   保持したときのタンデイツシユからの放熱量の２
   〜10倍の誘導加熱入力を与えて加熱し耐火物内壁
   の付着物を溶融除去することを特徴とする特許請
   求の範囲第１項ないし第３項いずれかに記載のタ
   ンデイツシユ内残留スラツグおよび地金の除去方
   法。 ５ 受容した溶鋼がほぼ円柱状をなすように、ほ
   ぼ円筒状で底を有する耐火物容器の外側に誘導加
   熱コイルをもうけた連続鋳造用タンデイツシユ本
   体と鋳込作業終了直後タンデイツシユ内壁の付着
   物を溶融除去するため耐火物容器に内装可能な誘
   導発熱体を取りつけた蓋体を組み合わせたことを
   特徴とするタンデイツシユ内残留スラツグおよび
   地金の除去装置。 ６ 誘導発熱体が円柱状または円筒状であり、そ
   の外径が耐火物容器の内径より以下で誘導加熱コ
   イルの径の1/2以上、且つ高さが誘導加熱コイル
   の1/2以上であることを特徴とする特許請求の範
   囲第５項記載のタンデイツシユ内残留スラツグお
   よび地金の除去装置。 ７ 誘導発熱体が黒鉛、炭化珪素、窒化ボロンあ
   るいはそれらの複合物材料により構成されたこと
   を特徴とする特許請求の範囲第５項もしくは第６
   項記載のタンデイツシユ内残留スラツグおよび地
   金の除去装置。 ８ タンデイツシユ内部を1550℃に保持したとき
   のタンデイツシユからの放熱量の２〜10倍の誘導
   加熱能力を有するよう誘導発熱体、誘導加熱コイ
   ル、電源を構成したことを特徴とする特許請求の
   範囲第５項ないし第７項のいずれかに記載のタン
   デイツシユ内残留スラツグおよび地金の除去装
   置。