JPS634069Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ホイスト・クレーン装置等に使用さ
れるシーブのワイヤ外れ防止装置に関するもので
ある。

〔従来の技術〕

ホイスト・クレーン装置等に使用されるシーブ
においては、シーブの周面に形成されたワイヤ巻
掛溝にワイヤを係合させているが、このワイヤが
ホイスト作業中にワイヤ巻掛溝から外れるとワイ
ヤは小径のシーブピンに係合することとなるた
め、小径曲げによる変形を起し、ついにはワイヤ
の切断をも生ずる場合がある。

このようなワイヤのシーブからの外れを防止す
る対策として、従来はシーブケースの下部に取付
けられたフツクの頭部をシーブのワイヤ巻掛溝に
できるだけ臨接させて設けると共にフツク自体の
重量によつてワイヤをシーブのワイヤ巻掛溝の溝
底に係合させている。

また、別の従来のワイヤ外れ防止対策として、
実開昭55−58598号公報に示されるように、専用
のワイヤ外れ防止手段を設けるものがある。これ
は、シーブのワイヤ巻掛溝に臨接してワイヤ外れ
防止手段を設け、ワイヤ巻掛溝のシーブ半径方向
外周側端部とワイヤ外れ防止手段との隙間を小に
するというものであり、前記フツクの頭部をシー
ブのワイヤ巻掛溝に臨接させて設けるという対策
と、技術的思想を同一にするものである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、上記した従来のワイヤ外れ防止対策
は、何れも、ワイヤ巻掛溝外周端部壁とそれに臨
接する部材とのギヤツプを小にするだけであり、
ワイヤ巻掛溝とそれに臨接する部材とでかこまれ
たワイヤ巻掛溝内空間は、ワイヤ断面より大きな
スペースを有し、そのためワイヤはワイヤ巻掛溝
内において自由に変位することができた。したが
つて、ワイヤは荷重のかかり方によつてはワイヤ
巻掛溝内の変位でより戻しを受けてばらけること
があり、ワイヤ構成より線部材は、前記ギヤツプ
に噛み込むおそれがある。これは、従来のワイヤ
外れ防止対策が何れも、ワイヤがワイヤ巻掛け溝
内で自由に変位することを許していたから生じて
いた問題である。

本考案が解決しようとする問題は、従来のワイ
ヤ巻掛溝内の広い空間におけるワイヤの自由な変
位をできるだけ小に限定し、これによつてワイヤ
がその構成より線部材にばらけることを防止し、
万一ばらけてもギヤツプから外れないようにする
ワイヤ外れ防止手段を提供することにあり、しか
もこのワイヤの外れ防止手段の取付け位置の調整
を極めて容易にすることにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題点は、本考案によれば、次のシーブの
ワイヤ外れ防止装置によつて解決される。

シーブケースと、シーブケースに回転自在に取
付けられたフツクと、シーブケースに取付けられ
たシーブピンと、シーブピンに回転自在に支持さ
れ外周に溝底及び該溝底から半径方向外方に向つ
て拡がる溝側面を有するワイヤ巻掛溝が形成され
たシーブと、を有するシーブ装置に対して設けら
れるシーブのワイヤ外れ防止装置であつて、 フツクの回転軸心の左右のシーブケース側壁
に、ワイヤと摺接できかつワイヤをワイヤ巻掛溝
の溝底面方向に押すワイヤ押圧面と該ワイヤ押圧
面に連なりワイヤ押圧面からシーブ半径方向に離
れるに従つて拡がる側面を有する突入部を備えた
ブロツクを、該ブロツクの前記突入部を、前記ワ
イヤ押圧面がワイヤをワイヤ巻掛溝の溝底面方向
に押すように、かつ突入部の側面とワイヤ巻掛溝
の溝側面との間のギヤツプがワイヤ構成より線部
材の各部材の断面径より小となるように、ワイヤ
巻掛溝に突入させて取付け、 かつ前記シーブケース側壁にワイヤ巻掛溝に対
向しつつワイヤ巻掛溝に沿つて延びる長孔を形成
し、この長孔を挿通しかつ弛めたときにこの長孔
に沿つて移動可能なボルトによつて、１個のブロ
ツクにつき１個のボルトで、前記ブロツクを前記
シーブケースに長孔に沿つて取付位置を調整可能
に締結した、ことを特徴とするシーブのワイヤ外
れ防止装置。

〔作用〕

上記本考案のシーブのワイヤ外れ防止装置にお
いては、ブロツクの突入部はシーブのワイヤ巻掛
溝内に突入してワイヤを巻掛溝の底面方向に押
す。ただしブロツクとワイヤとは摺動自在であ
る。かかる装置では、ワイヤは巻掛溝内に自由に
変位しない。このため、より戻し荷重を受けて
も、ワイヤはばらけにくく、かつ急速巻上げ荷重
を受けてもその作動は極めて安定している。

また、万一ワイヤがばらけても、ワイヤ巻掛溝
の溝側面とブロツクの突入部の側面との間のギヤ
ツプは、ワイヤの構成より線部材より小だから、
ギヤツプへの噛込みは極めて生じにくい。

さらに、ワイヤとブロツクとの摺接によつてブ
ロツクが摩耗しても、ブロツクのシーブケースへ
の取付け位置調整は極めて容易となつているの
で、位置を調整することによつて初期の取付状態
を容易に再現できる。

〔実施例〕

以下に、本考案のシーブのワイヤ外れ防止装置
の望ましい実施例を図面を参照して説明する。

シーブケース１にはシーブピン２がワリピン３
によつて取付けられ、シーブピン２にはボールベ
アリング４，４を介してシーブ５が回転自在に取
付けられている。ボールベアリング４，４の間に
はスナツプリング６が介装され、またシーブ５の
周面にはワイヤ巻掛溝５ａが形成されている。ワ
イヤ巻掛溝５ａは、溝底面と、溝底面に連なりシ
ーブ半径方向外方に向つて拡がる左右の溝側面を
有している。

シーブケース１の底部にはスラストベアリング
７を介してフツクナツト８が回動自在に取付けら
れ、フツクナツト８にはフツク９がその頭部を螺
合させて固定されている。フツクナツト８とフツ
ク９との間にはワリピン１０が装通され、このワ
リピン１０によりフツクナツト８のゆるみ止めを
行わせている。フツク９はシーブピン２の垂直下
方にその回転軸を有し、スラストベアリング７の
存在により、シーブケース１に対して回転自在で
ある。フツク９には止め金具１１が軸１１ａを介
し回転自在に取付けられ、止め金具１１は、図示
しないスプリングにより、第２図中Ａ方向に常時
弾発付勢されている。１２はシーブカバーを示
し、シーブカバー１２はボルト１３によつてシー
ブケース１に固定されている。

さて、シーブケース１のフツク回転軸心に対し
左右の側壁には、ワイヤ巻掛溝５ａに対向しつつ
ワイヤ巻掛溝５ａに沿つて延びる長孔１ａが互い
に対向する位置に形成され、この長孔１ａに挿通
されたボルト１４によつてワイヤ外れ防止用のブ
ロツク１５がシーブケース１の側壁に固定されて
いる。ブロツク１５はシーブケース１の左右側壁
に、その突入部を、突入部のワイヤ押圧面がワイ
ヤ１６をワイヤ巻掛溝５ａの溝底面に向つて押す
ように、かつ突入部側面とワイヤ巻掛溝５ａの溝
側面との間のギヤツプαがワイヤ構成より線部材
の断面径より小となるようにして取付けられてい
る。ブロツク１５の材質はワイヤ１６の材質より
も軟質な材料をもつて構成され、ブロツク１５と
ワイヤ１６とが接触したときにワイヤの方が摩耗
しにくいようになつている。

次に作用を説明すると、ワイヤ１６の巻上げを
行なう際にシーブ５に対するワイヤ１６の巻掛角
度が小さくなつてもワイヤ１６はブロツク１５の
存在によりシーブ５のワイヤ巻掛溝５ａの溝底面
から離れず、ワイヤ巻掛溝５ａ内で自由に変位す
ることが防止される。このため、ワイヤ１６がシ
ーブ１６への巻掛部でたるむことがなく急速にワ
イヤ１６の巻上げを行なつてもその作動は安定し
ている。またワイヤ１６がいわゆるより戻しの荷
重を受けてもシーブ１６への巻掛部でたるみがな
いので個々のワイヤより線部材となりにくく、万
一ばらけても、シーブ５のワイヤ巻掛溝５ａの溝
側面とブロツク１５の突入部の側面との間のギヤ
ツプαは個々のワイヤより線部材より小であるか
ら、ギヤツプαに噛み込んだり、ワイヤ巻掛溝５
ａから外れることが防止される。

つぎにブロツク１５とワイヤ１６の摺接によつ
てブロツク１５が摩耗しても、ブロツク１５によ
るワイヤ１６のワイヤ巻掛溝底面方向への押しお
よびブロツク１５とシーブ５のワイヤ巻掛溝５ａ
との間の側面間のギヤツプαはつぎのようにして
自由に調整することができる。すなわち、ボルト
１４をゆるめればブロツク１５は長孔１ａに沿つ
て変位可能であるから所定の大きさのギヤツプα
の位置でブロツク１５をボルト１４によつてシー
ブケース１に固定すればよい。ボルト１４はブロ
ツク１５につき１個であるから、そのゆるめ、締
結は簡単である。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案のシーブのワイヤ
外れ防止装置によれば、ブロツクの突入部をワイ
ヤ巻掛溝内に突入させてワイヤをワイヤ巻掛溝底
面から離れないようにしたから、ワイヤのワイヤ
巻掛溝内における自由変位が拘束され、より戻し
によるワイヤのばらけや急速巻上げの作動不良が
防止され、かつ万一ばらけてもギヤツプを小にし
たことによりギヤツプへの噛み込みもなく、ワイ
ヤの外れやワイヤがシーブピンと係合して小径曲
げを受け、切断されるような事態は確実に防止さ
れるという効果を得る。

また、ブロツクのシーブケースへの取付けを長
孔とボルト、ブロツク１個につき１個のボルトと
いう簡単な手段で、位置調整自在としたので、ブ
ロツクがワイヤと摺接して摩耗しても、位置調整
による初期状態の再現は極めて簡単に行なえる。

さらに、ブロツクをワイヤよりも軟質の材料で
構成すれば、ワイヤとブロツクとの摺接時にワイ
ヤの損傷を最小にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のワイヤ外れ防止装置の縦断面
図、第２図は本考案のワイヤ外れ防止装置の正面
図、第３図はブロツク部分の断面図、である。 １……シーブケース、１ａ……長孔、２……シ
ーブピン、４……ボールベアリング、５……シー
ブ、５ａ……ワイヤ巻掛溝、７……スラストベア
リング、８……フツクナツト、９……フツク、１
２……シーブカバー、１４……ボルト、１５……
ブロツク、１６……ワイヤ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シーブケースと、シーブケースに回転自在に
   取付けられたフツクと、シーブケースに取付け
   られたシーブピンと、シーブピンに回転自在に
   支持され外周に溝底及び該溝底から半径方向外
   方に向つて拡がる溝側面を有するワイヤ巻掛溝
   が形成されたシーブと、を有するシーブ装置に
   対して設けられるシーブのワイヤ外れ防止装置
   であつて、 フツクの回転軸心の左右のシーブケース側壁
   に、ワイヤと摺接できかつワイヤがワイヤ巻掛
   溝の溝底面から離れないようにワイヤをワイヤ
   巻掛溝の溝底面方向に押すワイヤ押圧面と該ワ
   イヤ押圧面に連なりワイヤ押圧面からシーブ半
   径方向に離れるに従つて拡がる側面を有する突
   入部を備えたブロツクを、該ブロツクの前記突
   入部を、前記ワイヤ押圧面がワイヤをワイヤ巻
   掛溝の溝底面方向に押すように、かつ突入部の
   側面とワイヤ巻掛溝の溝側面との間のギヤツプ
   がワイヤ構成より線部材の各部材の断面径より
   小となるように、ワイヤ巻掛溝に突入させて取
   付け、 かつ前記シーブケース側壁にワイヤ巻掛溝に
   対向しつつワイヤ巻掛溝に沿つて延びる長孔を
   形成し、この長孔を挿通しかつ弛めたときにこ
   の長孔に沿つて移動可能なボルトによつて、１
   個のブロツクにつき１個のボルトで、前記ブロ
   ツクを前記シーブケースに長孔に沿つて取付位
   置を調整可能に締結した、 ことを特徴とするシーブのワイヤ外れ防止装
   置。 (2) 前記ブロツクをワイヤ巻掛溝に溝掛けられる
   ワイヤよりも軟質の材料から形成した実用新案
   登録請求の範囲第１項記載のシーブのワイヤ外
   れ防止装置。