JPS6339940Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、組立作業性を改善するためになされ
たロータリートランスに関するものである。

ビデオテープレコーダ（VTR）に用いられて
いる回転磁気ヘツドに対し信号電流を供給するた
めにあるいは取り出すためにはロータリートラン
スが使用される。第１図は従来一般に使用されて
いるロータリートランスの概要を示すもので、１
はモーター軸で磁気ヘツドが取り付けられた上部
シリンダー（図示せず）を回転させるためのもの
で、２はこのモーター軸１の周囲に固定されたロ
ーターで一次コイル３Ａ，３Ｂを備えており、４
は回転しない下部シリンダー５の内側に固定され
たステーターで上記一次コイル３Ａ，３Ｂに対応
した二次コイル６Ａ，６Ｂを備えている。

以上において、磁気ヘツドの回転中は上記一次
コイル３Ａ，３Ｂと二次コイル６Ａ，６Ｂを電磁
的に結合させることにより、ローター２とステー
ター４間で信号電流の受け渡しが行われるように
構成されている。

上記ロータリートランスのローター２およびス
テーター４はコア部材の所望位置に設けられた溝
に信号電流のチヤンネル数に対応した数のコイル
３Ａ，３Ｂおよび６Ａ，６Ｂがはめ込まれて接着
固定される。またコイルとしては0.2mmφ程度の
線材が用いられて通常においては２〜６巻程度巻
装され、ローター２とステーター４との巻数比は
１：１，１：２，１：３等の中から任意に選定さ
れる。

ところでコイルをコアの溝にはめ込む作業は巻
線機によつて行われるが、通常コイル自身の曲げ
強度が弱いために取扱いがむずかしく、例えば密
着巻きとなつているのを取扱い時に広げてしまう
ことになつた。また次工程においてコイルの接着
固定を行う場合においても、コア溝の接着面精度
に対しコイル接着面精度が一般的に悪いために、
両者を均一に接着するのは容易でなかつた。

特に最近のVTRのように多機能化を目的とし
て多ヘツド化を計つてるような機種を対象とする
場合には、信号電流のチヤンネル数が増加してく
るようになるがこの場合でも１つのチヤンネルに
対応したコイルを１個ごとにはめ込む作業が必要
となるためにその傾向は著しくなつている。

なおコイリングの後処理として浸透タイプの接
着剤を用いて注入する方式も提案されているが、
上記問題点を全面解決するには至つていない。

したがつて従来においては組立作業性が悪くな
るために、組立精度を低下させたり組立不良率を
増加させるような欠点が生じていた。

本考案は以上の問題に対処してなされたもの
で、コアに設けられた溝内に複数チヤンネルの信
号電流を受け渡しするために複数のコイルが板状
バインダーにより一体化されて固定されるように
構成したロータリートランスを提供することを目
的とするものである。以下図面を参照して本考案
実施例を説明する。

第２図は本考案実施例によるロータリートラン
スを示す概略図で、１０はコア、１１はコア１０
に設けられた溝、１２Ａ，１２Ｂは各々異なつた
チヤンネルの信号電流を受け渡しするための複数
のコイルで、その周囲は被覆材１３により覆われ
た状態で板状バインダー１４によつて一体化する
ように成形されて接着剤１５により上記溝１１内
に固定される。

上記板状バインダー１４としては弾性的材料あ
るいは剛性的材料が用いられ、これら材料でもつ
て上記コイル１２Ａ，１２Ｂは形状が一体的に記
憶される。

なお上記被覆材１３としては板状バインダー１
４の成形温度において充分耐熱性を有するものが
使用される。

このように複数のコイル１２Ａ，１２Ｂを一体
的に形成した後溝１１内にはめ込んで接着剤１５
により固定することにより、複数のコイル１２
Ａ，１２Ｂを溝１１内にスムーズに固定すること
ができる。すなわち溝１１内に固定される複数の
コイル１２Ａ，１２Ｂは予め一体化されて形状が
一定に維持されているので、溝１１内の接着面に
スムーズにワンタツチで固定することができる。

またコイルの巻始め端部と巻終り端部は適宜延
長して、これら延長した端部に対応する長さに板
状バインダーを設けることにより、従来用いられ
ていた絶縁チユーブと同等な働きを行わせること
もできる。板状バインダーとして弾性的材料を用
いた場合は弾性を持たせることができるので、端
部を容易に引き回すことができるようになる。

さらにコイルを保護するための補強手段として
働かせることができる。

さらにまた直接人手に触れることなく巻線機か
ら成形機へと直接作業を移行させることができる
ので、作業トラブルおよび工数低減の点で極めて
有効となる。

以上述べて明らかなように本考案によれば、コ
アに設けられた溝内に複数チヤンネルの信号電流
を受け渡しするための複数のコイルが板状バイン
ダーにより一体化されて溝内に固着されるように
構成したものであるから、コイルは溝内面と面接
触することになり、固着面積が増大してその固着
が容易かつ確実となつて、従来のようにコイルを
線剤のまま固着する場合よりも組立作業が著しく
改善されるので従来欠点を除去することができ
る。

なお実施例構造においてはコイルの配置を平面
対向方式の場合について述べたが、対向方式によ
り制約を受けることはない。

またコイル間にクロストーク低減のためのシヨ
ートリングを備えた構造のものに対しても同様に
適用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来および本考案実施例
を示す概略図である。 １０……コア、１１……溝、１２Ａ，１２Ｂ…
…コイル、１３……被覆材、１４……板状バイン
ダー、１５……接着剤。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ステータとロータとから成るロータリートラ
   ンスであつて、 コアと、 コアに設けられた溝と 被覆材に覆われた状態で複数巻装されたコイ
   ルと、 該コイルを一体的に成形する板状バインダと
   から構成され、前記バインダーを上記溝内に固
   着したことを特徴とするロータリートランス。 ２ 上記バインダーが弾性的材料あるいは剛性的
   材料からなることを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項記載のロータリートランス。 ３ 上記コイルが接着剤により溝内に固定されて
   なることを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項又は第２項記載のロータリートランス。