JPS6339589Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は燃焼排ガス等の高温ガスの持つ顕熱を
幅射熱に変換して有効利用せんとする伝熱変換体
に関する。

［従来の技術］ 金属またはセラミツク等の耐熱材料を網状、ハ
ニカム状、多孔質状等の通気性を有する形態と、
適当な光学的厚みになるように形成し、この材料
（以下これを伝熱変換体という。）を加熱炉内の燃
焼排ガスの通路に配置し高温度の燃焼排ガスを貫
流させることによつてこの伝熱変換体を高温に加
熱せしめ、高温になつた伝熱変換体から放射され
る幅射熱を伝熱変換体と相対面する被熱物の加熱
に利用して排熱の有効利用を図ることは知られて
いる。

ところでこの種伝熱変換体は、金属製のもので
は耐熱強度が低く、他方セラミツク製のものでは
熱衝撃に弱い欠点があつて、それぞれ余り大きな
板に構成することができないことから、例えば炉
内の広いスペースに配設したいようなとき、一般
的には第７図に示すように、畳状に並設した複数
枚の伝熱変換体ａ，ａ，……のすき間にシール材
ｂを介装させて、このすき間から燃焼排ガスが通
り抜けできないようにしている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしこのようなシール手段では、燃焼排ガス
が伝熱変換体をよけて通り抜けることを阻止でき
る反面、燃焼排ガスの通り抜けを規制した分だけ
有効な通気面積が減つて通気抵抗が増す欠点があ
つた。

［問題点を解決するための手段］ 平板状の通気性固体と可撓性のあるセラミツク
フアイバ網とを積層させ、該セラミツクフアイバ
網を前記通気性固体の端縁よりはみ出させる。

［作用］ 通気性固体からはみ出すセラミツクフアイバ網
を相隣接する伝熱変換体どうしで密接状に重ね合
わせ、或いは、燃焼排ガス通路の内壁面に密接さ
せることで、燃焼排ガスが伝熱変換体をよけて通
り抜けできずにこの燃焼排ガスの熱が効果的に回
収され、またセラミツクフアイバ網のはみ出し部
分も燃焼排ガスの有効なる通気面として機能し、
通気抵抗を増大させない。

［実施例］ 第１図に本考案に係る伝熱変換体の一実施例を
示す。図中、１は方形平板状の通気性固体で、多
孔質のセラミツク材により形成される。また、２
は可撓性のあるセラミツクフアイバ網で、セラミ
ツクの長繊維糸を多本数撚り合わせた略々丸断面
状になした撚り糸を網状に編成したものである。
かくして、本実施例では前記通気性固体１の一側
面にセラミツクフアイバ網２を積層状に貼り合わ
せ、該セラミツクフアイバ網２を通気性固体１の
端縁よりはみ出させてなる。

このように構成した伝熱変換体Ａは例えば、第
２図ないし第４図に示すように使用される。即
ち、第２図において、３は炉内を矢示方向へ搬送
される被熱物、４はバーナ、５は該バーナの燃焼
排ガスが炉外へ排出される煙道を示し、伝熱変換
体Ａは炉内壁間に架設される支持梁６上に畳状に
多数枚敷設し、各通気性固体１，１……間の間隔
を少しあけてその間隙７では各通気性固体１より
はみ出すセラミツクフアイバ網２を、第３図に拡
大して示すように、上下積層状に密接状態で重ね
合わせる。この場合、第４図に示すようにセラミ
ツクフアイバ網２のはみ出し部分を屈曲させて左
右対向状に重ね合わせるものでもよく、要は、各
通気性固体１，１間の間隙７をセラミツクフアイ
バ網２により覆うようにすればよい。

しかしてこの使用例によれば、バーナ４の燃焼
排ガスの一部は各通気性固体１，１間の間隙７を
通つてセラミツクフアイバ網２のはみ出し部分を
貫流し、その際に該セラミツクフアイバ網２に熱
を奪われ、自らは温度を下げて炉外へ排出され
る。このため従来例として示した第７図の場合と
同等の奪熱効果、ひいては輻射効果が得られる。
また、セラミツクフアイバ網２の可撓的性質によ
り、通気性固体１が熱膨張しても間隙７が狭まる
だけで、該通気性固体１の膨張収縮が阻害される
ものではなく、しかも互いに重なり合うセラミツ
クフアイバ網２，２間にすき間が生じることもな
く、燃焼排ガスの漏流も生じない。

第５図および第６図は本考案の他の実施例とし
て、被熱物の間接加熱用の放射管（ラジアントチ
ユーブ）８に適用する場合を示したものである
が、この例に示す伝熱変換体A′は金網なる一対
の通気性固体１′，１′間にセラミツクフアイバ網
２′を積層状に挟み込んでボルト９締めしてなる
円盤状サンドイツチ構造とし、該セラミツクフア
イバ網２′の周縁を両通気性固体１′，１′よりは
み出させた構成としている。そして本実施例で
は、この伝熱変換体A′を複数枚定間隔置きなる
ように支持杆１０により串通して固定し、これを
放射管８内に装入してセラミツクフアイバ網２′
の周縁部を放射管８の内周面に密接させたもので
ある。

しかしてこの実施例の場合にも、放射管８と通
気性固体１′，１′との間の間隙７′がセラミツク
フアイバ網２′の周縁部で閉塞されているので、
燃焼排ガスは全量とも伝熱変換体A′を貫流され
ることとなり、この燃焼排ガスからの熱回収が効
果的に行なわれる。また、この場合にも両サイド
の通気性固体１′，１′はその周縁よりはみ出すセ
ラミツクフアイバ網２′の可撓的性質により支障
なく熱膨張でき、セラミツクフアイバ網２′と放
射管８との密接性も継続的に維持され、燃焼排ガ
スの漏流が生じることもない。

［考案の効果］ 燃焼排ガスが全量とも確実に伝熱変換体を貫流
されてその熱回収が効果的に行なわれ、燃焼排ガ
スの顕著の有効利用が達成されるほか、セラミツ
クフアイバ網の通気性固体からのはみ出し部分も
有効なる通気面として機能し、通気面積の増大が
図れて通気抵抗の軽減に寄与できる。また、従来
のように燃焼排ガスの漏流を避けるためにシール
材を使用するような工作の面倒もなくなり施工が
簡単である等多くの利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係わる伝熱変換体
の斜視図、第２図はその使用状態図、第３図はそ
の要部を拡大して示した縦断面図、第４図は第３
図と対比される他の使用状態を示す縦断面図、第
５図は本考案の他の実施例に係る伝熱変換体の使
用状態を示す縦断面図、第６図は第５図の要部を
拡大して示した縦断面図、第７図は第３図、およ
び第４図と対比される従来例の使用状態を示す縦
断面図である。 Ａ，A′……伝熱変換体、１，１′……通気性固
体、２，２′……セラミツクフアイバ網。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 平板状の通気性固体と可撓性のあるセラミツク
   フアイバ網とを積層させ、該セラミツクフアイバ
   網を前記通気性固体の端縁よりはみ出させてなる
   伝熱変換体。