JPS6339062Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は筒状体成形用ラム押出装置に関するも
のであり、更に詳しくは超高分子量ポリエチレン
（UHMW−PE）を初めとするポリテトラフロロ
エチレン（PTFE）、ポリイミド、芳香族ポリア
ミド等溶融粘度が高く流動性の悪い特性を有する
合成樹脂粉末体から円筒状、多角筒状又は異形筒
状の各種筒状成形物を成形するに適した押出装置
を提供するものである。 一般に上記特性を有する合成樹脂粉末物を筒状
体に押出成形するために使用されるラム押出装置
は材料供給部と加熱装置を具備した押出ダイ、該
押出ダイ中に挿入された往復運動するラム、ラム
の先端に一体に取付られたマンドレルから構成さ
れているが、特に肉厚の大きいパイプを成形する
場合、押出ダイに具備した加熱装置だけで合成樹
脂粉体物が加熱されるので、成形中の筒状成形体
の内径側が加熱不足になり筒状成形体の内側と外
側の性質が大きく異なる欠点があつた。 本考案はこのような点を改善し、主として筒状
成形体の内径側の加熱不足を解消し筒状成形体を
均質にかつ速く押出すことが出来るだけでなく、
かつ連続して押出成形できる筒状体成形用ラム押
出装置を提供するものである。即ち、本考案の特
徴とするところは、細長筒状の押出ダイの後方寄
りに材料供給部を設け、該供給部より前方方向に
数段の加熱装置を設置せしめた押出ダイ内に、先
端にマンドレルを突設せしめたラムを挿入し、こ
のラムとマンドレルの連続部に押出ダイの内壁と
略全面密接する端面形状の柱形合成樹脂製押出体
を介在せしめ、該押出体の表面にラム移動方向に
伸びきる複数本の空気抜き溝を刻設すると共に、
前記マンドレルのラム側基部部分にマンドレル先
方方向に向け徐々に細身となるテーパー部を形成
しし、更に上記マンドレル内の軸方向に中空部を
設け、この中空部に加熱装置を内在させてなるこ
とを特徴とする筒状体成形用ラム押出装置にあ
る。 以下、本考案の実施例を添付図面に従つて説明
する。 図中、１は円形の断面形状を有する金属性の押
出ダイの軸方向中央部より出口側前方部分にかけ
て順次３個の加熱装置４ａ，４ｂ，４ｃが装備さ
れ、押出ダイの後方部寄りには材料供給部３が取
りつけられている。 前記各加熱装置４ａ，４ｂ，４ｃは成形物の焼
結過程に対応してほぼ均等の長さ（距離）を保有
し、４ａにてはケーキングゾーンを、４ｂにては
溶融ゾーンを、そして４ｃにては冷却ゾーンをそ
れぞれ形成している。 押出ダイ１には押出ダイ１の後方部より金属性
のラム７が押出ダイ内壁面との間に適宜の隙間５
を残して挿入され、ラムの後端部には連結せしめ
た油圧装置によつて移動幅ｌ間を往復運動する。
このラム７の先端部には押出ダイ１の内壁に全面
接するかあるいはわずかに隙間を保有する柱状の
合成樹脂製押出体９がねじ込み６固着されてい
る。この合成樹脂製押出体９の周辺には、空気抜
き溝１０がラム軸方向と同一かもしくは傾斜方向
に刻設され、特に溝１０は押出体９の上部表面に
集中にして刻設されており、材料受入部１１に封
入される空気を排出あるいは導入して材料受入部
１１と押出ダイ１外部との連通性を良好なものと
している。 更に、合成樹脂製押出体９の先端部には筒状成
形体の中空部を決定しうる金属性のマンドレル１
２がその基部側突出部１３をラム７先端部に挿入
してさらにその先端ネジ部６をねじ込んだ状態で
ラム７に固着され、かくしてラム７、合成樹脂製
押出体９およびマンドレル１２はその連接部に合
成樹脂製押出体９を介して介在せしめた形にて強
固に組立てられている。 そして、マンドレル１２には合成樹脂製押出体
９の側壁１４とするマンドレル基部部分にて軸方
向の先端部に向つて徐々に細身となるテーパー部
１５が形成され、このマンドレル１２の基部側一
部分に形成されるテーパー部１５の領域は樹脂製
押出体の側壁１４と接するマンドレルの有効端面
２０と該端面２０とマンドレル先端２４部までの
マンドレル有効長ｍの略1/3以内の長さに相当す
る領域Ｐまでとし、該テーパー面の角度θは3゜〜
45゜の範囲内にて選択されこの場合、マンドレル
１２の有効長ｍはほぼ押出ダイ１の材料供給部３
の中心部から前方出口部１６までの長さに等しく
することが望ましい。これは有効長ｍが押出ダイ
１の上記の長さより大きくなると、筒状成形体が
押出ダイ１より押し出された際にマンドレルによ
つて収縮が阻害されてクラツクを生じることがあ
り、反対に短かすぎると収縮時が早まつて一定大
きさの筒状体の製作が困難となる。 また、上記の構成においてテーパー部１５の領
域をマンドレルの有効長の略1/3までとした理由
は、ラム７を前進させた際に、マンドレル有効長
の1/3以内の地域は、ほぼ前記多段に配設された
加熱装置４のうちの溶融ゾーン４ｂの中心部に位
置することになり、この領域まで、テーパー部１
５を設けても原料粉末体の加熱圧縮時において溶
融時の成形体を破壊する懸念がないことによる。
しかし、この領域を越えて冷却ゾーン４ｃまでテ
ーパー部を設けると、冷却しつつある成形体は強
い圧縮力をうけ破壊される危険がある。 このように、合成樹脂製押出体９と接するマン
ドレルの基部部分にマンドレル先端方向に向け
徐々に細身となるテーパー面を設け、しかも上記
合成樹脂製押出体の周面、特にその上方部分に集
中して空気抜き溝を刻設せしめると排気作用との
相乗的効果によりマンドレルのケーキ物の抱き付
き現象及びケーキ物の後退言象もなくなる。ま
た、本考案において最も重要な構成は上記マンド
レル１２中に加熱装置を内設した点にある。即
ち、上記マンドレル１２は軸方向に中空部１７を
有し、該中空部１７に加熱装置２１を内設してお
り、熱の供給は接合したラム７後部まで貫通した
熱源供給穴２２により供給される。 そして、上記マンドレル１２の先端部にはキヤ
ツプ体２３が嵌め込まれ、キヤツプ体２３の取外
しによつて上記加熱装置２１の出し入れは容易に
なる。これによつて、材料供給部３から材料受入
部１１へ投入された原料粉末体２５はラム７の前
進によつて圧縮されケーキ物１８と溶融ゾーン４
ｂで既成された筒状成形体１９と溶融接合する
が、該筒状成形体の内径側も加熱されたマンドレ
ル１２によつて加熱されているために成形体の未
溶融状態もなくなり速い押出成形が可能となる。 尚、本考案に用いる上記加熱装置２１としては
電熱ヒーターを初めとして蒸気あるいは油等が使
用可能である。 また、本考案にて使用されるマンドレル１２の
材料としては耐久性を求めて硬質の金属、例えば
機械構造用炭素鋼、ニツケルクロム鋼、ニツケル
クロムモリプデン鋼、クロム鋼、クロムモリプデ
ン鋼等が選択され、かつその表面は滑り易くまた
防錆効果を求めて硬質クロムメツキ又はニツケル
メツキを施すことが望ましい。 また合成樹脂製押出体９は耐摩耗性、低摩擦係
数、耐圧縮性、耐熱性を満足する素材が選択さ
れ、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、脂
肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリアセタ
ール、フエノール樹脂、エポキシ樹脂及びこれら
の樹脂に各種の充填剤、添加剤が添加され、さら
にガラス繊維、カーボン繊維等を配合して押出体
は補強されている。これによりこの合成樹脂製押
出体９は押出ダイ１内面との摩擦係数が低くな
り、ラム７の前進及び後退移動の折り、軋み音や
摩耗屑の発生を効果的に抑制している。 次に本考案に係るラム押出装置を用いたより具
体的な実施例を詳記し、さらに本装置の構成要部
を欠く装置を用いた場合との比較例を記す。 実施例 外径50mm（断面積6.25πcm²）で、内径25mm、570
mm長さの中空部を有するマンドレル内に（24mmφ
×275lmm、500W）温度センサーを内臓した棒状
電熱ヒーターを入れ、この電熱ヒーター部よりラ
ム後部まで貫通した10φmmの穴に電源コードとセ
ンサーコードを通してマンドレルを加熱し、温度
調節をする。 このマンドレルは基端部より75mmの地点までの
領域を領めるマンドレルは基部にその傾斜角θ8゜
のテーパー部を形成しており、このマンドレルを
内径が80mm（断面積：16πcm²）の押出ダイ中に挿
入し、肉厚15mmのパイプを成形するために第１図
及び第２図に示すラム押出装置により表１に示す
ラム押出条件で超高分子量ポリエチレンの粉末体
（商品名Hostalen GUR415：HOECHST社製）
をパイプ状に押出成形を行つたところ、パイプ内
径側に未溶融部分も無く良好なパイプが押出成形
された。 また、ケーキングゾーンにて圧縮成形されたケ
ーキ物は、マンドレル表面に抱き付くとも、ラム
後退時には材料受入口までバツクすることもなく
原料粉末体が連続してラム押出成形された。 尚、ラム押出成形に用いた部分の材質及び寸法
を表２に示す。

【表】

【表】 比較例 マンドレル内部に加熱装置を欠く以外は実施例
と同様のラム押出成形装置で表３に示すラム押出
条件にてパイプの成形を試みたところ、押出速度
は5.0Kg／hr，2.0m／hrが限度であり、これ以上
の速度で押出した場合パイプ内径側に未溶融部分
が発生した。

【表】 以上のように、本考案にあつてはケーキ物のマ
ンドレルへの抱き付き及びケーキ物の後退現象を
阻止せしめて各種の筒状体を連続成形出来ること
はむろん、特に中空部を有するマンドレルに加熱
装置を内設し成形される筒状体の内径側も加熱す
ることで筒状体の内径側樹脂の未溶融状態を防止
し、押出成形速度を速くすることが出来て、動力
損の解消、作業の迅速化に顕著な効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施したパイプ成形用ラム押
出装置の拡大中央縦断面図、第２図はラム、マン
ドレルの中央縦断面図、第３図は第２図のＡ−Ａ
線における拡大切断面図である。 図中１は押出ダイ、３は材料供給部、４は加熱
装置、７はラム、９は合成樹脂製押出体、１０は
空気抜き溝、１２はマンドレル、１５はテーパー
部、２１は加熱装置、２２は熱源供給穴を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 細長筒状の押出ダイの後方寄りに材料供給部を
   設け、該供給部より前方に加熱装置を設置せしめ
   た押出ダイ内に、先端にマンドレルを突設せしめ
   たラムを挿入し、このラムとマンドレルの連接部
   に押出ダイの内壁と略全面密接する端面形状の柱
   形合成樹脂製押出体を介在せしめ、該押出体の表
   面にラム移動方向に伸びきる複数本の空気抜き溝
   を刻設すると共に、前記マンドレルのラム側基部
   部分にマンドレル先方方向に向け徐々に細身とな
   るテーパー部を形成し、更に上記マンドレル内の
   軸方向に中空部を設け、この中空部に加熱装置を
   内在させてなることを特徴とする筒状体成形用ラ
   ム押出装置。