JPS6339023B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は優れた低臭性、防湿性及びすべり摩擦
性を兼備せるワツクス系エマルジヨン組成液に関
する。 本出願人は出願日付が本願のそれと同じにして
発明の名称が同じである「ワツクス系エマルジヨ
ン組成液」なる特許願１を提出したが、この発明
に係るこの組成液は、非常に良好な防湿性と大き
いすべり摩擦を有し、新聞紙、包装用紙などに適
用して著効を発揮するものである反面、食品類の
包装紙に適用すると一般に稍々臭気があるものも
あり、その結果、この食品分野では限られた分野
での包装紙にしか適用できないと云う難点があ
る。 本発明の目的は上述の難点を克服した優れた低
臭性、防湿性及びすべり摩擦性を兼備せるワツク
ス系エマルジヨン組成液を提供することにある。 本発明者らは、上述の臭気ある原因が、そのワ
ツクス系エマルジヨン組成液を構成する１つの成
分物なるマレイン化石油樹脂のケン化物の存在か
ら由来しておることをつきとめ、この成分を含ま
ずしてすべり摩擦大にして防湿性を適用用紙に付
与するワツクス系エマルジヨン液を求め種々研究
を重ねた結果、ロジン又はマレイン化或はフマー
ル化物質を多価アルコールでエステル化した物質
を用いると臭気の軽少になることが判り、遂に本
願発明をなすに至つたのである。 本発明によれば、融点40〜70℃のパラフインワ
ツクス50〜90部；軟化点50〜150℃で残存酸価０
〜50を有する、ロジン、マレイン化ロジン又はフ
マール化ロジンと多価アルコールとを反応せしめ
て得たる、エステル30〜90部；動粘度８〜100cst
で流動点−10℃以下の流動パラフイン５〜10部；
及び炭素数10〜20の直鎖又は側鎖のある飽和又は
不飽和の脂肪酸をアルカリ金属の水酸化物又はジ
エタノールアミンなどの如きアルカノールアミン
でケン化し得たるもの５〜10部；を１つの容器に
収容し、加熱撹拌下にソルビタンエステル系界面
活性剤なる乳化剤を用いて乳化すると、そこに優
れた低臭性、防湿性及びすべり摩擦性を兼ね備え
たるワツクス系エマルジヨン組成液が得られる。 今日、ロジンの多価アルコールエステルやパラ
フインワツクスは食品界においてもその使用が認
可されており、上記の如く本発明製品はその認可
成分を含む故、汎く新聞紙の防湿被覆用紙として
のみならず、食品界においてもその包装用紙とし
ての役目を果たし得るのである。 本発明に使用するパラフインワツクスとしては
融点50〜68℃、好ましくは60℃位のものが適し；
又ロジンの多価アルコールのエステルとしてはガ
ムロジン、トールロジンとグリセリン、ペンタエ
リスリトール、エチレングリコールより生成でき
るエステルが適し、而もこのエステルが軟化点と
し50〜150℃、好ましくは50〜70℃をもち、残存
酸価として０〜50、好ましくは５〜30を保有する
ものが好適する。 本発明においては、得られる優れた低臭性、防
湿性及びすべり摩擦性を兼備せるこのワツクス系
エマルジヨン組成液において、このエマルジヨン
液の乳化安定性を高めるために、ニカワ、ゼラチ
ン、ポリビニールアルコール、高級アルコールの
如き保護コロイド剤を添混使用することもでき
る。 次に本発明の詳細を実施例によつて説明する。 実施例 １ １ 〔60℃〕パラフインワツクス 38部 ２ ロジンのグリセリンエステル 45 （軟化点68℃、酸価11） ３ 流動パラフインKP―15 5 （動粘度16.8cst出光興産製） ４ 高級アルコールNAA―48 2 （日本油脂製） ５ 乳化剤LP―20R 2 （同；ソルビタン系） ６ オレイン酸 5 ７ 48％ KOH 5.1 ８ 水 224 容量１の４つ口フラスコ（温度計、滴下ロー
ト、玉型冷却管、撹拌棒を備えたもの）に上記１
〜６の物質を仕込み、マントルヒーターにて加熱
溶解し、95〜100℃で７のKOHを滴下し、ロジン
のグリセリンエステルの残存酸基を中和し、かつ
オレイン酸をケン化し、その後フラスコを80〜90
℃に保ち、滴下ロートより70〜90℃の熱水を滴下
し相転換を行い、その後希釈水を入れて、固形分
30％のワツクス系エマルジヨン組成液を得た。 実施例 ２ １ 〔60℃〕パラフインワツクス 38部 ２ ロジンのペンタエリスリトールエステル
40 （軟化度75、酸価20） ３ 流動パラフインＰ―70 3 （松村石油製） ４ 高級アルコールNAA―48 2 ５ 乳化剤LP―60R 2 （日本油脂；ソルビタン系） ６ ステアリン酸NAA173―K5 5 （日本油脂） ７ 48％ KOH 6.2 ８ 水 209 実施例１の方法に準じ行い、固形分30％のワツ
クス系エマルジヨン組成液を得た。 実施例 ３ １ 〔60℃〕パラフインワツクス 30部 ２ マレイン化ロジンのグリセリンエステル
50 （軟化点70℃、酸価20） ３ 流動パラフインＰ―70 ５ ４ ロジン 5 ５ 高級アルコールNAA―48 2 ６ オレイン酸 5 ７ 48％ KOH 5.5 ８ ジエタノールアミン 1 ９ 水 227 実施例１の方法に準じ行い、固形分30％のワツ
クス系エマルジヨン組成液を得た。 参考例 １ １ 〔60℃〕パラフインワツクス 30部 ２ マイクロクリスタリンワツクス 8 （Hi―Mic―1045日本精ロウ） ３ トール脂肪酸 7 ４ マレイン化石油樹脂 53 ５ 高級アルコールNAA―48 3 ６ 乳化剤Ａ―103 6 （日本サイアナミツド製） ７ 48％ KOH 6.1 ８ 水 235 実施例１の方法に準じ行い、固形分30％のワツ
クス系エマルジヨン組成液を得た。 参考例 ２ １ 〔60℃〕パラフインワツクス 38部 ２ トールロジン 5 ３ マレイン化石油樹脂 53 ４ 高級アルコールNAA―48 3 ５ 乳化剤NS―204.5 2 ６ ジエタノールアミン 1 ７ 48％KOH 4 ８ 水 230 実施例１の方法に準じ行い、固形分30％のワツ
クス系エマルジヨン組成液を得た。 実施例１〜３及び参考例１〜２で得たワツクス
系エマルジヨン組成液のそれぞれ100部と合成ゴ
ム系ラテツクス（三井東圧製MBRラテツクス…
商品名ポリラツク＃755C）の100部ずつとを混合
し、市販の両更クラフト紙（坪量70gr/m²）の裏
面にパーコーター等を用いて均一に塗工し、その
塗工紙を用いて防湿性及びすべり摩擦の試験を行
つた。 表１に実施例１〜３及び参考例１〜２で得たワ
ツクスエマルジヨンの性状を示す。

【表】 表２に塗工量と乾燥条件と透湿度との関係を示
す。

【表】 表３に透湿度とすべり摩擦の関係（110℃／２
分乾燥）を示す。

【表】

【表】 表３より判るように本発明によるワツクス系エ
マルジヨン組成液を用いた場合はその防湿性を殆
ど損うことなしにすべり摩擦の大なる用紙を得る
ことができる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ○イ 融点40〜70℃の固型パラフインワツクス
   50〜90部（以下「部」はすべて「重量部」と
   す）； ○ロ 軟化点50〜150℃で残存酸価０〜50を有する
   ロジン又はマレイン化又はフマール化ロジンと
   多価アルコールとより製造したエステル30〜90
   部； ○ハ 動粘度８〜100cstで流動点−10℃以下の流動
   パラフイン５〜10部； ○ニ 炭素数10〜20の直鎖又は側鎖のある飽和又は
   不飽和の脂肪酸をアルカリ金属の水酸化物又は
   ジエタノールアミン等のアルカノールアミンで
   ケン化して製造したケン化生成物質５〜10部； 上記○イ乃至○ニの物質を１つの容器に収容し撹拌
   混合し、得られた混合系物質にソルビタンエステ
   ル系の乳化剤と適量の水とを添混撹拌して乳化液
   となすことにより得られることを特徴とするワツ
   クス系エマルジヨン組成液。