JPS6338296B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は高速反応であると共に強力接着力を発
揮する合成樹脂原料と、無機質多孔粒、あるいは
高熱下で発泡するような無機質粉体等の一種以上
とを型材兼外表面材の凹状に充填、一体化した防
火断熱パネルの製造方法に関するものである。

一般に建材においては断熱性と不燃性とを具備
し、かつ外表面の化粧として機能し、また製造が
簡単に行いうるパネルの出現が望まれている。し
かし上市されている製品は断熱性と製造において
十分な機能を発揮しうるが、反面人命に係る安全
についての防火性が大幅に欠けるものであつた。
換言すれば合成樹脂発泡体は通常可燃であり、発
煙、着火のおそれもある。これを改善した部材と
しては例えば実公昭53−18975号、実公昭53−
39374号等があり、これらの製造方法としては特
公昭53−40012号が知られている。これらの部材
および製造方法は単一成分より大幅に防火性、難
燃性が向上した。けれども、下記する諸点におい
て不都合があつた。すなわち、第１番目として水
と激しく反応するイソシアネートを一成分とする
合成樹脂原料と硼砂を混合して吐出し、断熱層を
形成するため原料の化学反応に重大な配合比の変
化を生起し、発泡組織を荒らすと共に発泡体（フ
オーム）の硬度を低下する。換言すれば、化学反
応は配合比の変化によつて反応時間に変化が起こ
り、粘度と発泡剤の気化のタイミング、反応開始
タイミング等がずれるため独立気泡率が大幅に低
下するためフオームの圧縮強度、曲げ強度が劣
り、結果的に樹脂経済の不利を招くものであつ
た。第２番目としては難燃性の確実性に問題があ
つた。すなわち、固体の硼砂、パーライト粒と液
状の合成樹脂原料を均質に混合し吐出することは
比重、嵩比重および経時的に変化する樹脂原料の
混合に困難性があつた。しかも合成樹脂原料は経
時的に発泡硬化するためその流動性、発泡圧の方
向性によつて固体は偏在しやすく、断熱層全体に
亘つて欠陥個所はなく形成することが不可能に近
い。そしてこの弱点が火災にさらされた場合はパ
ネル全体の防火性に欠陥が存在すると評価され
る。所謂、このようなパネルは他個所がいくら完
全でも防火性における信頼性において問題があ
る。第３番目としては合成樹脂原料と金属板との
接着タイミングを任意に選択できないため表面剥
離等の不具合が生ずる。すなわち例えばポリウレ
タン樹脂を用いた際は混合直後、クリームタイム
時、ゲルタイム時、ライズタイム時によつて接着
力が大幅に異なるため最良の状態での使用ができ
ない方法であつた。第４番目としては温度に敏感
な化学反応物を良導体の金属板に混合直後に吐出
するためスキン層の形成、所謂高密度と低密度の
発泡組織を構成することになり樹脂経済上および
発泡組織上に問題を提起することになる。

本発明はこのような欠点を除去するため固体物
を型材兼外表面材となる基材の凹部に充填してお
き、一方、裏面材となる可撓性裏打材に合成樹脂
原料を吐出し、合成樹脂原料の反応、発泡、硬化
する途中のクリームタイム時に可撓性裏打材と共
に固体物および基材に積層、押圧することによ
り、固体物を凹部内に均一分布、固着できる方法
を提供するものである。

以下に図面を用いて本発明に係る防火断熱パネ
ルの製造方法の一実施例を詳細に説明する。第１
図は本発明の実施に供する製造装置の一例を示す
説明図であり、１は基材供給部で、例えば金属フ
ープ材２を連続的に供給するアンコイラ等であ
る。３は成型機で金属フープ材２を例えば第２図
ａに示す断面形状あるいはダブル幅の断面形状、
またはその他の断面形状に成形するものである。
４は無機質多孔粒散布機、５は無機質粉体散布機
である。この無機質多孔粒６としてはパーライト
粒、バーミキユライト、シラスバルーン、ガラス
バルーン等の中空体で大きさは約１〜20mmφ位で
ある。また無機質粉体７としては硼砂、メタ硼酸
ソーダ、四〜九硼酸ソーダ等であり、約250メツ
シユ以下、（通常100〜150メツシユ）であり、高
熱下で膨脹発泡し、耐火発泡層を形成するもので
ある。８は可撓性裏打材（以下、単に裏打材とい
う）でクラフト紙、アスベスト紙、石膏紙、アス
フアルトフエルト、ターフエルト、鉱物繊維の不
織物（ガラス、アスベスト、ロツクウール）等の
一種以上をラミネートしたものあるいは防水処理
を施したクラフト紙等である。またこの裏打材８
の幅は第２図ａに示す金属フープ材２を成型機３
で成形した成形体Ａの凹状の開口幅Ｗより少なく
とも2ΔW程度大きい。この2ΔWとしては例えば
約10〜60mmであり、この部分は後記する吐出され
た合成樹脂原料９が上記幅Ｗより拡がる僅少の樹
脂分を利用して、成形体Ａの左右端に設けた差込
縁Ｂと雌型連結部Ｃの裏面部分○イ、○ロと裏打材８
との接着に供すると共に吐出された例えばポリウ
レタンフオーム、ポリイソシアヌレートフオー
ム、フエノールフオーム等の合成樹脂原料９と無
機質多孔粒６、無機質粉体７と接触したときに合
成樹脂原料９が裏打材８の幅より漏れないように
する被覆材兼補強材として機能する。またこれは
裏打材８と成形体Ａを充填材、所謂無機質多孔粒
６、無機質粉体７とを完全に一体化することにな
り、サンドイツチ構造で機械強度にすぐれたもの
にするためのものである。１０は合成樹脂原料吐
出装置で合成樹脂原料９を例えばスプレーあるい
はフイルム状等で吐出するものである。１１，１
２はガイドローラで裏打材８の走行長を可変して
合成樹脂原料９の反応状態と無機質多孔粒６、無
機質粉体７との接触タイミングをコントロールす
るものである。すなわち、ガイドローラ１１，１
２によつて、裏打材８に吐出された合成樹脂原料
９が徐々に反応し、合成樹脂原料９がクリームタ
イム時に無機質多孔粒６、無機質粉体７と接触さ
せることにより、無機質多孔粒６、無機質粉体７
の移動による偏在を防止し、均一に分布させると
共に、無機質多孔粒６、無機質粉体７の空隙に確
実に侵入することを可能にするものである。１３
はキユアオーブンであり、上、下エンドレスベル
ト１４，１５と加熱装置１６とから構成する。こ
の加熱装置１６は合成樹脂原料９を短時間に反応
硬化させるものであると共に、合成樹脂原料９が
無機質多孔粒６、無機質粉体７間の空隙に侵入す
るための補助となるものである。すなわち、クリ
ームタイムからライズタイムの状態にある合成樹
脂原料９を上下より押圧することにより、発泡を
成形体Ａ側に向かわせ、かつ、無機質多孔粒６、
無機質粉体７間に侵入していき、成形体Ａと接触
するまで発泡、膨脹することになる。このため、
無機質多孔粒６、無機質粉体７はパネルに均一に
分布されることになり、耐火性、機械強度、接着
強度、樹脂使用量、スキン層の形成における弱点
のないパネルとなりうる。また合成樹脂原料９は
クリームタイムからライズタイム状態で無機質多
孔粒６と無機質粉体７との空隙を閉塞するように
発泡、膨脹するため、無機質多孔粒６による吸収
もなく、また発泡組織の荒れ（独立気泡率の低
下）も阻止することができる。

次に本発明に係る防火断熱パネルの製造方法に
ついて具体的に実施例について説明する。まず金
属フープ材２として板厚0.27mmのカラー鉄板のコ
イルを基材供給部１であるアンコイラに装着す
る。この金属フープ材２の先端を成型機３に導出
し、例えば第２図ａに示す断面形状に連続的に成
形する。そしてこの成形体Ａの凹状に無機質多孔
粒６として約３mmφのパーライト粒を第２図ｂに
示すように敷きつめる。その後でこの上に無機質
粉体７として約150メツシユの硼砂を第２図ｃに
示すように散布する。他方裏打材８として外面８
ａにポリエチレンの防水処理を施したクラフト紙
を用い、その反対面８ｂに合成樹脂原料９として
用いるポリウレタン樹脂をフイルム状で約Ｗ幅よ
り幾分小さい幅で均一に吐出する。この吐出され
た合成樹脂原料９がガイドローラ１１，１２によ
つて設定された距離Ｌを走行中にクリームタイム
時の状態に到達する。この状態で第２図ｄ，ｅに
示すように両者を徐々に接触させる。次に雰囲気
を約50〜80℃にコントロールしたキユアオーブン
１３に第２図ｅの状態下で送給する。ここで、合
成樹脂原料９は第２図ｆに示すように無機質多孔
粒６、無機質粉体７間に侵入し、両者を固定、保
持すると共に、成形体Ａ、無機質多孔粒６、無機
質粉体７、裏打材８を一体化し、見掛上の反応、
発泡、硬化を完了してキユアオーブン１３の出口
から出てくる。これを任意長さに切断して防火断
熱パネルとする。そこでこの防火断熱パネルを断
面して観察するに、成形体Ａの凹状に高密度で充
填した無機質多孔粒６、無機質粉体７の変位、乱
れもなく、その粒子間の空隙を介して合成樹脂原
料９が侵入、充填し、かつ、成形体Ａまで到達し
て結合一体化構造となつていた。また裏打材８は
凹状より拡がつた樹脂分９ａを介して第２図ｇに
示すように裏面部分○イ、○ロと裏打材８のΔW部分
とが強力に接着されていた。次にこの防火断熱パ
ネルの防火性、炎貫通性、発煙性を試験した。す
なわち、防火性はJIS Ａ−1301による加熱曲線で
行つた。この板体の裏面の真中における温度は約
100℃であつた。また炎貫通性は成形体Ａを除い
た板体で行つた。その方法は厚さ25mm、大きさ
200mm×200mm、プロパントーチランプの炎を吹付
け、その炎が試験片を貫通するに要した時間を計
つた。約10時間たつても貫通しなかつた。これは
緻密に敷設されたパーライト粒子間を硼砂の発泡
体で充填し、橋絡しているためこの炎にさらされ
た面より下層、所謂深層部分ではその断熱性によ
つて何等の変化も認められないからである。また
発煙性は上記のような組織になるため殆んど有害
な影響を与えるものでない。

以上、説明したのは本発明に係る防火断熱パネ
ルの製造方法の一実施例にすぎず、無機質多孔粒
６と無機質粉体７とを同時に凹状に添加充填する
ことも可能である。また成形体Ａを不織布、アス
フアルトフエルト等のシートあるいは型に成形し
たこれら部材を用いることもできる。

上述したように本発明に係る防火断熱パネルの
製造方法によれば、合成樹脂原料をクリームタイ
ム時に無機質多孔粒、無機質粉体と接触押圧する
ため軽量にして高カサ比重のパーライト粒等の無
機質多孔粒を合成樹脂原料の発泡圧によつて変動
することなく、逆に成形体を押圧すると共に粒子
間に浸透し、これらを緻密に、かつ、均一分布に
一体に成形できるため防火性、断熱性の弱点のな
いパネルを製造することができる。また、発泡組
織の荒れのないパネルを製造することができる。
しかも大部分を無機質多孔粒、無機質粉体および
これらの空隙を発泡体で充填すると共に押圧の際
の合成樹脂原料の漏れ防止とパネルのサンドイツ
チ、特に成形体の両端縁と裏打材の接着を一挙に
連続的に、しかもついでに行えるため作業能率が
高く、防火断熱パネルの機械強度も向上する特徴
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る防火断熱パネルの製造方
法の実施に供する装置の一例を示す構成略図、第
２図ａ〜ｇは本発明に係る防火断熱パネルの各工
程を説明するための縦断面図である。 １……基材供給部、２……金属フープ材、３…
…成型機、６……無機質多孔粒、７……無機質粉
体、８……可撓性裏打材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 断面凹状の成形体に合成樹脂原料を充填し、
   その上に可撓性裏打材を積層したパネルを製造す
   るに際し、前記凹状に無機質多孔粒、高熱下で発
   泡する無機質粉体の少なくとも一種以上を充填
   し、他方可撓性裏打材の前記凹状と対面する面に
   合成樹脂原料を吐出せしめ、該合成樹脂原料が反
   応発泡する途中のクリームタイム時に前記成形体
   の凹状に充填された無機質多孔粒、無機質粉体に
   接触押圧することにより、これら無機質多孔粒、
   無機質粉体間に上記合成樹脂原料を侵入させてこ
   れら構成材を合成樹脂原料の反応、硬化により一
   体化したことを特徴とする防火断熱パネルの製造
   方法。