JPS633812Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は積層シートに関する。詳しくは、合成
樹脂製編織物と合成樹脂製フイルムを積層した通
気性、通水性を有する積層シートに関するもので
ある。

従来この種の積層シートは重量物、例えばセメ
ント、無機質粉粒状物、肥料等の粉粒状体の包装
体や、道路等の造成時にアスフアルトやコンクリ
ート等の下に敷く防草シート等として使用されて
いる。

しかしながら、これらの積層シートは強度に優
れた合成樹脂製編織物の全表面に合成樹脂製フイ
ルムが積層されたものが一般的であつた。

近年に至り種々検討された結果、この種の積層
シートにも通気性、通水性があるのが良いことが
解つた。

例えば、道路や歩道の造成、海岸、河川等の護
岸の造成等において、アスフアルト、コンクリー
ト、コンクリートブロツク等の下敷きとしてこの
種の積層シートを使用する場合、通水性がない
と、このシートと地面との間に水が溜まり、この
水の溜まつた部分が大きくなると上部のアスフア
ルトやコンクリートとの間に空隙が形成され、路
面の陥没等を起したりする。

また、この種の積層シートを包装材として使用
する場合には、積層シートに通気性がないと、袋
に粉粒体等を機械的に充填する際に袋が粉粒体と
共に供給される空気等により膨れ上り、充填が良
好に行なわれなかつたり、充填後の袋の取り扱い
が不自由になる等の欠陥があつた。

本考案はこのような従来の積層シートの欠点を
解消した、ある程度の通気性、通水性を有し、か
つその通気度、通水度の調節が極めて良好になし
得る積層シートを提供することを目的とするもの
である。

すなわち、本考案の要旨は合成樹脂製編織物と
該合成樹脂製編織物の両面に縞状に積層された合
成樹脂製フイルムとからなり、合成樹脂フイルム
が積層された閉鎖部と合成樹脂フイルムが積層さ
れていない有孔部とを有する積層シートであつ
て、前記合成樹脂製フイルムを前記合成樹脂製編
織物の両面において互いにずらして積層したこと
を特徴とする積層シートに存する。

以下本考案の積層シートの一例につき図面を用
いて更に詳細に説明する。

第１図〜３図は本考案の積層シートの一例を示
す縦断面図、第４図〜第７図は本考案の積層シー
トにおける合成樹脂製フイルムの積層パターンを
示す平面図である。

図中１は積層シート、２は合成樹脂製編織物、
３は合成樹脂製フイルムをそれぞれ示す。

本考案の積層シート１は基本的には合成樹脂製
編織物２と合成樹脂製フイルム３を積層した構造
を有する。

本考案の積層シート１を構成する熱可塑性合成
樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、
エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−
１、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフイ
ン系樹脂、ナイロン６、ナイロン６−６、ナイロ
ン６−10、ナイロン11、ナイロン12等のアミド系
樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系
樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレ
ン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン三元共重合体等のスチレン系樹脂等の熱可
塑性合成樹脂およびこれらの混合物が用いられる
が、合成樹脂製フイルム３を構成する樹脂として
は、特にポリオレフイン系樹脂、その中でもとり
わけ密度0.915〜0.940ｇ／cm³の低密度ポリエチレ
ンが、強度、価格等の点から好適に用いられる。

また合成樹脂製フイルム３としては、その用途
等により若干異なるが通常0.02〜0.5mmの厚さの
ものが好適に用いられ、更にこのフイルムは地温
の上昇等により収縮等を起さないよう配向度の小
さいものが好ましい。

また、合成樹脂製編織物２を構成する熱可塑性
合成樹脂としては上述した熱可塑性合成樹脂のう
ち特にポリオレフイン系樹脂が好ましく、とりわ
け密度0.940〜0.960ｇ／cm³の高密度ポリエチレン
が好適に用いられる。

合成樹脂製編織物２は、通常太さ100〜10000デ
ニール、好ましくは1000〜5000デニールのフラツ
トヤーンを編織した所謂クロス布を用いるのが好
ましいが、所要の強度を有するものであれば他の
織物状とされたものであつても良い。

合成樹脂製編織物２としてクロス布を用いる場
合には、フラツトヤーンの太さ、用途等により多
少異なるが、例えば、1000デニールのフラツトヤ
ーンを用いる場合、１インチ当り３〜16本、好ま
しくは７〜12本のフラツトヤーンを縦及び横方向
に打ち込んだクロス布を用いるのが好ましい。

合成樹脂製編織物２と合成樹脂製フイルム３と
は接着剤による接着、熱溶着等任意の方法で積層
されるが、好適には予め編織物２を形成してお
き、これに押出機等により熱可塑性合成樹脂をフ
イルム状に押出しラミネートする所謂押出ラミネ
ート法により行なわれる。

合成樹脂製編織物２と積層される合成樹脂製フ
イルム３は縦縞状、横縞状、格子縞状とされてお
り、このような縞状のフイルムを合成樹脂製編織
物２に積層することにより合成樹脂製フイルムの
積層された部分と積層されない部分を形成する。

そして、合成樹脂製編織物２の両面にこのよう
な縞状とされた合成樹脂製フイルム３を、その相
互の位置をずらして積層する。

このように合成樹脂製フイルム３を合成樹脂製
編織物の両面において互いにずらして積層するこ
とにより、同一面に設けられたフイルムの間隔を
変えることなく、積層シート１に形成される閉鎖
部と有孔部の割合を任意に調節することが可能と
なる。

更に例えば、合成樹脂製編織物２の片面に合成
樹脂製フイルム３を間隔を開けて押出ラミネート
する際には、Ｔダイ等のダイリツプを適宜間隔を
置いて閉塞し、複数のフイルムを一度にラミネー
トすることが行なわれるが、このような場合、押
出されたフイルムがネツクインを起すので、実際
上約５cm以下の間隔のものは製造することが難か
しい。しかしながら、本考案のシートのように合
成樹脂製編織物２の両面の合成樹脂製フイルム３
の位置をずらすことにより積層シート１に形成さ
れる有孔部の割合を調節すれば、このような問題
もなくなる。

更にまた、上記したような押出ラミネートによ
り合成樹脂製編織物２に合成樹脂製フイルム３を
ラミネートする場合、押出機から押出された合成
樹脂製フイルム３の側端部は多少収縮するので、
他の部分より厚さが増している。このためこの側
端部には熱が溜り、ラミネートを行なつた場合に
この合成樹脂製フイルム３の側端部に相当する合
成樹脂製編織物２の部分が劣化し、多少強度が低
下する。

すなわち、合成樹脂製フイルム３の側端部が合
成樹脂製編織物２の両面の同一位置になるように
ラミネートを行なうとこの部分の劣化がはげしく
なり、積層シート１の強度が低下してしまう。

本考案の積層シート１においては合成樹脂製フ
イルム３の側端部は合成樹脂製編織物２の両面に
おいてずらして設けてあるのでこのような欠陥は
ない。

合成樹脂製編織物２と合成樹脂製フイルム３と
の積層は第１図及び第２図に示すような合成樹脂
製編織物２の両面に合成樹脂製フイルム３を積層
したもの、第３図に示すように第１図に示した積
層シートに更に合成樹脂製編織物を積層したもの
又はこれ以上の複数層を積層したもの等用途に応
じ任意である。

また合成樹脂製編織物２と合成樹脂製フイルム
３との積層パターンも第４図に示すような合成樹
脂製編織物の片面に合成樹脂製フイルム３を複数
本帯状に積層し、他面には同様のフイルムをその
位置を横方向にずらして設けたもの、第５図に示
すように合成樹脂製編織物２の片面に合成樹脂製
フイルム３を複数本帯状に積層し、他面には前記
フイルムの間の合成樹脂製フイルム３を積層した
もの、第６図に示すような開孔を有する合成樹脂
製フイルム３を合成樹脂製編織物２の両面から開
孔位置をずらして積層したもの、第７図に示すよ
うな屈曲した合成樹脂製フイルム３を合成樹脂製
編織物２の両面から、屈曲部が重なるように積層
したもの等またはこれらの組合せ等用途に応じて
任意である。

製造の容易さ、有孔部と閉鎖部との割合調製の
し易さ等を考慮すれば第１図〜第５図に示すよう
な帯状の合成樹脂製フイルムを用いるのが好まし
く、この場合、合成樹脂製フイルムの側端部は前
記したような合成樹脂製編織物に劣化を起させな
いように５mm以上間隔が開いているのが好まし
い。

なお、第６図、第７図に示すように合成樹脂製
フイルム３の側端部が合成樹脂製編織物２の両面
で交叉する場合があるが、この場合には劣化が少
なく問題はほとんどない。

本考案の積層シートは、上述のような構成であ
り、包装材、防草シート等として使用される。有
孔部の面積は用途に応じ適宜決定されるが、通常
積層シート全体の１〜50％、好ましくは２〜20％
程度である。

また防草シートとして使用する場合には積層シ
ートの有孔部から雑草が育成する可能性があるの
で、合成樹脂製編織物２を黒色に着色し、雑草の
育成を抑制することが好ましい。

合成樹脂製編織物２を着色するには編織物を構
成する原糸を着色した後、編織しても編織物とし
た後着色しても良いが、編織物２としてはフラツ
トヤーンのクロス布を用いる場合にはフラツトヤ
ーンを押出成形する時に原料樹脂にカーボンブラ
ツク等を0.1〜３重量％好ましくは0.5〜１重量％
添加することにより着色するのが良い。

このように本考案の積層シートは通気性、通水
性を有するものであるから、例えば湿地帯、湧水
地帯、海岸、河川等の水分の多い地面の舗装や護
岸工事等に防草シートとして用いることにより防
草効果と排水効果を極めて良好に奏するものであ
り、実用上極めて有用である。

また、粉粒状物を包装する重包装用資材として
も極めて良好に用いられるものである。

更に本考案の積層シートは、合成樹脂製編織物
の層を有するものであるから強度的に極めて優
れ、施工時の取扱いが極めて容易である等の利点
をも合わせ持つものである。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本考案の積層シートの一例を
示す縦断面図、第４図〜第７図は本考案の積層シ
ートにおける合成樹脂製フイルムの積層パターン
を示す平面図である。 図中１は積層シート、２は合成樹脂製編織物、
３は合成樹脂製フイルムをそれぞれ示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 合成樹脂製編織物と該合成樹脂製編織物の両
   面に縞状に積層された合成樹脂製フイルムとか
   らなり、合成樹脂フイルムが積層された閉鎖部
   と合成樹脂フイルムが積層されていない有孔部
   とを有する積層シートであつて、前記合成樹脂
   製フイルムを前記合成樹脂製編織物の両面にお
   いて互いにずらして積層したことを特徴とする
   積層シート。 (2) 合成樹脂フイルムを縦縞状に積層したことを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に記
   載の積層シート。 (3) 合成樹脂製フイルム同志の側端部が５mm以上
   離れていることを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第２項に記載の積層シート。 (4) 有孔部が積層シート全面の１〜50％とされた
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項乃至第３項のいずれか一項に記載の積層シー
   ト。 (5) 合成樹脂製編織物を黒色に着色したことを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項乃至第
   ４項のいずれか一項に記載の積層シート。