JPS633694Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 この考案は、圧延材の冷却床に関し、特に、細
長い圧延棒鋼材が冷却時に座屈が生じるのを防止
するようにしたものである。

従来技術 従来、この種の冷却床では、第１図に示す如く
駆動用モータ１で回転駆動されるランインローラ
２により搬送されてくる圧延材３を、押上搬出機
構４により冷却床の入側に設けた矯正溝５ａを連
続的に形成した矯正床５（以下、ストレートニン
グポケツトと称する）上に放出し、該ストレート
ニングポケツト５の間に設けた移動レイク（図示
せず）によりストレートニングポケツト５上を搬
送して後、固定レイク６と移動レイクとを並設し
た部位へ送り、両レイク上を矢印方向へ転送して
ランアウトローラ（図示せず）へ送り、冷却して
いる。その際、冷却床の入側にストレートニング
ポケツト５を設けていることにより、圧延材が高
温で軟かい場合の変形を防止している。この時、
通常は冷却途中において収縮するため何ら問題が
起らないが、変態点通過時（〜730℃）に鋼の組
織がγ組織よりα組織に変化して体積膨張を起
し、このため圧延材は長さ方向に伸びる。圧延材
が太い場合又は圧延材が短かい場合には、圧延材
は自重に打勝つて伸びることが出来るが、細長い
場合（例えば圧延材直径が13φmm以下で100ｍ以
上の長さ）には、断面係数の割に摩擦抵抗が大と
なり、伸びることができずに座屈し、中央部に曲
りが生じ、また、このとき発生した曲りはその後
の冷却による収縮によつても消えることがないた
め真直な製品が得られなくなる問題があつた。

考案の目的 この考案は、上記した問題を解消し、細長い棒
鋼材を冷却床で冷却する際に、座屈の発生を防止
し、真直な製品を得ることができる冷却床を提供
することを目的とするものである。

考案の構成・作用 この考案は、圧延材の変態点の通過は、冷却床
の入側に連続的に設けた複数個の冷却溝を設けた
ストレートニングポケツトの後半に通常起ること
に着目し、このストレートニングポケツトの後半
部の材料の両端部に対向する部位に、ストレート
ニングポケツトの波形の形状に合わせたローラを
夫々複数個間隙をあけて配置し、これら両端部の
ローラを材料を両側へ引張る方向に互に反対方向
に低速で回転させる駆動装置を設け、材料に弱い
張力をかけることにより座屈を防止するようにし
た冷却床を提供するものである。

実施例 以下、この考案を第２図以下に示す実施例によ
り詳細に説明する。

第２図に示す冷却床の全体概略図において、圧
延機１０で細長丸棒状（直径13mm程度）に圧延さ
れた棒鋼１１を、フライングシヤー１２で所定長
さ（100mm程度）に切断し、この細長い棒鋼１１
をランインローラ２により矢印X₁方向へ移送し、
冷却床１３の入口P₁まで搬送してくる。ランイ
ンローラ２は圧延機１０側より冷却床１３の入口
の全長ｌにわたつて配置し、上記第１図に示す従
来装置と同様にモータ（図示せず）で駆動してお
り、棒鋼１１の全体が冷却床１３の入口P₁側に
搬送されてきた時点で、押上搬出機構４により棒
鋼１１を冷却床１３の入口側に設けた多数の連続
した矯正溝１４ａよりなるストレートニングポケ
ツト１４上に放出するようにしている。該ストレ
ートニングポケツト１４は、その矯正溝１４ａに
棒鋼１１を真直な状態で嵌合して冷却時に発生す
る棒鋼１１の曲がりを防止し、真直に伸ばすよう
にしており、該矯正溝１４ａをストレートニング
ポケツト１４の入口側より出口側にかけて連続的
に設けて、各矯正溝１４ａを断面Ｖ字形とし、こ
れを連続的に設けることによりストレートニング
ポケツト１４を断面波形状としている。棒鋼１１
はストレートニングポケツト１４上で移動レイク
１５により矢印X₂方向へ転送され、固定レイク
１６と移動レイク１５とを並設した冷却部１７へ
送られ、該冷却部１７を移動しながら冷却された
後、冷却床出口P₂に配置したランアウトテーブ
ル１８へ送り出され該ランアウトテーブル１８で
矢印X₃方向へ搬出されるようにしている。

上記冷却床１３の入口側に配置したストレート
ニングポケツト１４は図示の如く、断面波形状
で、所定間隔をあけて入口側より出口側へ向つて
移動レイク１５を介設し、ストレートニングポケ
ツト１４の出口側より移動レイク１５を挾んで一
対の固定レイク１６を設置している。上記ストレ
ートニングポケツト１４の出口側後半部には、棒
鋼１１が搬送されてくる側（入側）の第３図およ
び第４図中右端部と、棒鋼１１が冷却後に搬出さ
れていく側（出側）の第３図および第４図中左端
部とに、即ち、長尺な棒鋼１１の両端部に対応す
る部位に、夫々、複数個の座屈防止用のローラ２
０Ａ，２０Ａ…，２０Ｂ，２０Ｂ…を間隔をあけ
て設置している。これら両側のローラ２０Ａと２
０Ｂを併せた取付範囲は冷却床全長ｌの1/3〜1/4
程度としている。

該ローラ２０Ａ，２０Ｂは、ストレートニング
ポケツト１４の下方の基台２１に設けた軸受２２
に支軸２３を回転自在に軸支して取付け、ストレ
ートニングポケツト１４に切欠いた開口１４ａよ
り上半周面を突出させている。これらローラ２０
Ａ，２０Ｂの周面には、ストレートニングポケツ
ト１４の波形の形状と合わせた波形を形成し、突
出したローラ２０Ａ，２０Ｂの波形とストレート
ニングポケツト１４の波形とが一致するように設
定している。これらローラ２０Ａ，２０Ｂは、移
動レイク１５間のストレートニングポケツト１４
の中央部に設置している。また、これらローラ２
０Ａ，２０Ｂは、駆動装置３０で回転駆動するよ
うにしており各ローラの支軸２３の一端にスプロ
ケツト２５を取付け、該スプロケツト２５をモー
タ２６により駆動される駆動軸２７の先端に取付
けたスプロケツト２８にチエイン２９を介して連
結し、モータ２６によりローラ２０Ａ，２０Ｂを
回転駆動するようにしている。かつ、上記ローラ
２０Ａと２０Ｂとは互に反対方向へ回転し、ロー
ラ２０Ａは図中矢印で示す如く回転してローラ２
０Ａ上の棒鋼１１に右方向への張力を与えるよう
にし、また、ローラ２０Ｂも図中矢印方向に回転
してローラ２０Ｂ上の棒鋼１１に左方向への張力
を与えるようにしている。

上記の如く、冷却床１３の入口側に配置したス
トレートニングポケツト１４の出側後半に、棒鋼
１１の両端部に対応する箇所に夫々ローラ２０
Ａ，２０Ｂを設け互に反対方向へ回転駆動した構
造としていることにより、変態点通過時の棒鋼１
１には、その両端部にローラ２０Ａ，２０Ｂによ
り外方へ引張する弱い張力がかかる。よつて、棒
鋼１１が変態により膨張しても座屈することなく
伸びることができる。

効 果 以上の説明より明らかなように、この考案に係
る冷却床によれば、冷却床の入口に配置した変形
防止用のストレートニングポケツトの後半部の材
料の両端部に対応する部位にローラを配置し、該
ローラにより変態点通過時に材料に引張が与えら
れるため長尺細丸な材料でも座屈することなく、
真直な製品が得られる。また、ローラを設置する
だけの簡単な構造であるため、実用的価値の大な
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す要部側面図、第２図はこ
の考案の実施例を示す全体概略平面図、第３図は
第２図の要部拡大図、第４図は第３図の要部拡大
側面図、第５図は第４図の平面図である。 ２……ランインローラ、１０……圧延機、１１
……棒鋼、１３……冷却床、１４……ストレート
ニングポケツト、１４ａ……開口、１５……移動
レイク、１６……固定レイク、１８……ランアウ
トテーブル、２０Ａ，２０Ｂ……座屈防止用ロー
ラ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 冷却床の入側に、圧延された棒鋼材を真直な状
   態で嵌合して冷却時の曲がりを防止し真直に伸ば
   す矯正溝を入口側より出口側にかけて連続して設
   けた矯正床を有する冷却床において、 上記矯正床の後半の出側に、冷却用棒鋼の両端
   部と対向する位置に、夫々間隔をあけて複数個の
   座屈防止用のローラを設け、これらローラの外周
   を、連続した波形に形成した矯正床の形状に合わ
   せた波形とすると共に、両端部にローラを互に反
   対方向に回転駆動して棒鋼の両端部を外方へ引張
   する駆動装置を設けたことを特徴とする冷却床。