JPS6335495Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は電線等の締付接続に使用する蓄力式
ボルト型コネクターに関するものである。

この種のボルト型コネクターは、従来第１図に
示す如く、断面略Ｕ字型の本体１の両側外周にネ
ジ部２を設け、この本体１の中空部３に、逆Ｔ字
型の扁平な中具４を挿入し、上記ネジ部２にナツ
ト５を螺着し、上記中具４の下に電線押え片６を
設け、この電線押え片６の上面中央から突出する
突杆７を上記中具４下部の大径孔８及びこれにつ
づく上部の小径孔に貫通せしめて中具４上面で、
上端にストツパーを設け、上記大径孔８内の突杆
７外周に蓄力バネ９を巻き付け、上記本体１の中
空部３内に接続する複数の電線を挿入してナツト
５を締め付けることにより、本体１から突出する
中具４の両側突部４ａがナツト５に押され、中具
４及び電線押え片６が下降し、電線押え片６及び
本体１で電線を挾持せしめていた。しかしながら
この場合中具４の大径孔８内に蓄力バネ９を取り
付ける形状のため、各部品の加工性が悪く又組み
立ても難しく、従つてかなりのコストアツプとな
つてしまう欠点があつた。そこで第２図に示す如
く、中具４の両側突部４ａとナツト５との間の本
体１のネジ部２外周に蓄力スプリング１０及び蓄
力スプリング座金１１を設けたものがあるが、こ
の場合部品の殆んどがプレス加工可能であり、組
立も容易なため、コストダウンが計れるが、作業
性を見た場合、本体１のネジ部２のネジ溝に蓄力
スプリング１０及び蓄力スプリング座金１１が喰
い込んでしまい、ナツト５を締め付けた際スムー
ズに作動しないおそれがあつた。またこのため蓄
力スプリング座金１１の上述の喰い込みを防止す
るため板厚を上記ネジ部２のネジピツチ以上にし
なければならず、作業性及びコスト面でなお欠点
があつた。

この考案はこれらの欠点を除去することを目的
としたもので、構造的には第２図のものを改良
し、蓄力スプリング及び蓄力スプリング座金が本
体のネジ部のネジ溝に喰い込むことがなく、蓄力
効果を十分発揮して電線接続を確実にし、作業性
が良いものであるとともに材料の節減、加工の容
易性によつてコスト低減を可能にしたボルト型コ
ネクターを提供するものである。

以下この考案の一実施例を図について説明す
る。なお第２図の構造と同一部分についてはその
説明を省略する。

１２はナツト５の下面、内周縁から垂下した環
状ボス、１３は蓄力スプリングであり、この蓄力
スプリング１３は、第６図に示す如く、扁平な環
状を中心を通る線上で二つに折り曲げて「く」の
字に彎曲せしめたもので、ナツト５と中具４の両
側突部４ａとの間の本体１のネジ部２外周に被冠
し、相対する内周縁を上記ナツト５の環状ボス１
２外周に当接したものである。１４はこの蓄力ス
プリング１３と中具４の両側突部４ａとの間の本
体１のネジ部２外周に被冠した蓄力スプリング座
金で、この座金１４は、中具４の両側突部４ａ側
面外周に垂下した外周下縁１４ａを有し、本体１
のネジ部２外周を嵌入せしめる蓄力スプリング座
金１４の中孔１４ｂはナツト５が下降していた
際、環状ボス１２が貫入できる径を有している。

この考案は以上の構造であり、本体１の中空部
３内に接続する電線（図外）を挿入し、ナツト５
を締め付けると、中具４が下降し、本体１下部と
中具４とによつて上記電線を挾持せしめるもので
ある。

而してこの考案では中具４の両側突部４ａとナ
ツト５との間の本体１のネジ部２外周に被冠した
蓄力スプリング１３及び蓄力スプリング座金１４
は各部品相互間でズレを防止する構造となつてい
る。即ち蓄力スプリング１３は、ナツト５の環状
ボス１２外周に、相対する内周縁を係止せしめて
いるため常にナツト５にガイドされ、また蓄力ス
プリング座金１４は、外周下縁１４ａを中具４の
両側突部４ａ外周に係止しているため、常に中具
４にガイドされている。従つてナツト５、蓄力ス
プリング１３、蓄力スプリング座金１４及び中具
４は相互のズレが生ぜず、常に同一芯に置かれる
ことになる。それ故従来の如く蓄力スプリング１
３及び蓄力スプリング座金１４の板厚をネジピツ
チより厚くしなくともネジ部２のネジ溝への喰い
込みがなく、作業が容易であるとともにこれらの
部材が常に適格な位置を保持するため、締め付け
に於ける回転トルクをナツト５と蓄力スプリング
１３又蓄力スプリング１３と蓄力スプリング座金
１４という形で受けられるため摩擦係数が小さ
く、軸力アツプが可能であり、蓄力効果並びに締
め付け力が高く、電線接続が強固、確実となる。

またこの考案では蓄力スプリング座金１４の外
周に外周下縁１４ａを設けているため、従来品の
強度を変えることなく板厚を薄くでき、またナツ
ト５の締め付けによる軸力を、外周下縁１４ａで
中具４を被冠した蓄力スプリング座金１４で受け
ているため、中具４の変形を防止でき、それ故中
具４の特性を長期にわたつて維持できる。

またこの考案では蓄力スプリング１３が、環体
を中心を通る線上で二つに折り曲げた形状となつ
ているため、蓄力効果はもとより、蓄力スプリン
グ座金１４と蓄力スプリング１３の密着度合が外
部から容易かつ確実に見られ、密着後ナツト５を
規定角度回わすことにより、安定した締め付けが
行え、締め付け完了に於ける締め付けトルクも常
に規定値を保守できる。

なお第７図に示す蓄力スプリング１３′は放射
状のひだを入れたものであるが、この蓄力スプリ
ング１３′は上記実施例のものに比べより腰が強
く、蓄力効果及び締め付け効果が大きいものであ
る。

以上の如くこの考案は蓄力スプリング、蓄力ス
プリング座金、中具等が常に適格な位置を保持し
作業がスムーズに行えるとともに蓄力効果及び締
め付け効果が高く、さらに締め付け完了確認が容
易かつ確実となり、作業能率を向上させると同時
に加工が容易でかつ板厚を薄くして材料を節減し
省資源及びコストダウンが行え、また締め付け作
業に於いても安定した確実な作業が可能である等
の種々の効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ，Ｂは夫々従来例の一部断面側面図及
び断面正面図、第２図Ａ，Ｂは夫々他の従来例の
一部断面側面図及び正面図、第３図はこの考案の
正面図、第４図は同一部断面側面図、第５図は第
４図におけるＡ−Ａ線拡大断面図、第６図はこの
考案の蓄力スプリングの斜視図、第７図はこの考
案の蓄力スプリングの他の実施例を示す斜視図で
ある。 なお図中１は本体、２はネジ部、３は中空部、
４は中具、４ａは両側突部、５はナツト、１２は
環状ボス、１３は蓄力スプリング、１４は蓄力ス
プリング座金、１４ａは外周下縁である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 断面略Ｕ字型の本体１の両側外周にネジ部２を
   設け、本体１の中空部３に略逆Ｔ字型の中具４を
   挿入し、ナツト５を上記ネジ部２に螺着して上記
   中具４の本体１外方へ突出した両側突部４ａにナ
   ツト５下面が当接自在とし、上記本体１の中空部
   ３内に電線を入れてナツト５を締め付けることに
   より、中具４の両側突部４ａ下面と本体１の底板
   との間で電線を挾持するボルト型コネクターにお
   いて、上記ナツト５の下面内周縁から環状ボス１
   ２を垂下せしめ、中具４の両側突部４ａとナツト
   ５との間の本体１のネジ部２外周に蓄力スプリン
   グ１３及び蓄力スプリング座金１４を被冠し、上
   記蓄力スプリング１３は環体を、中心を通る線上
   で、二つに折り曲げた形状とし、環体の相対する
   内周縁を上記環状ボス１２の外周に位置せしめた
   もので、また上記蓄力スプリング座金１４の外周
   縁には上記中具４の両側突部４ａの側面に係止さ
   れる外周下縁１４ａを設けたこを特徴とする蓄力
   式ボルト型コネクター。