JPS6335356Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、高温冶金炉における築炉構造、よ
り具体的には、炉天井の一側と立上り煙道部側壁
の下端との間に位置するノーズ部の改良に関す
る。

〔従来技術〕

硫化金属鉱の連続製錬等においては、炉内溶湯
に対し、粉状あるいは粒状の鉱石、溶剤などの原
料を圧力気体とともに吹き込むことによつて冶金
反応を進行させる溶錬方法が採られる。そこで、
これに用いる高温冶金炉１には、原料吹き込み用
のランスパイプ２があり、このランスパイプ２
は、通常第２図に示すように炉天井３から炉内の
溶湯４に向けて垂直にさし込まれている。

したがつて、このようなランスパイプ２を通し
て原料を吹き込むと、そこにスプラツシユ５が発
生し、このスプラツシユ５の一部は立上り煙道６
へ飛散して煙道閉塞等の問題を生じるおそれがあ
る。

このため、高温冶金炉１にあつては、第３図に
示すように、炉天井３の一側と立ち上り煙道６の
側壁７との間に位置するノーズ部８を下方に突出
させ、スプラツシユ５による弊害を防止してい
る。

ところで、このノーズ部８は突出しているが故
に強烈な熱負荷を受け、溶損する虞れがある。し
たがつて、これを防止するために、ノーズ部８は
３枚の水冷銅ブロツクジヤケツト９，１０，１０
がキヤスタブル耐火材（以下単に耐火材と称す）
１１に覆われた構造となつている。ここで、銅ブ
ロツクジヤケツト１０は第４図に示すように長尺
の板体であつて、その厚さ方向中央部には、長手
方向に貫通する２本の縦穴１２，１３と、これら
縦穴１２，１３に、その一方の開口部１２ａ，１
３ａの近傍において直交する横穴１４とが穿設さ
れており、これら縦穴１２，１３の開口部１２
ａ，１３ａおよび横穴１４の開口部１４ａが、
各々銅栓１５，１６および１７によつて封止され
ている。この結果、銅ブロツクジヤケツト１０内
には、略Ｕ字状の水路Ｓが形成されている。一
方、銅ブロツクジヤケツト９は、最も苛酷な熱環
境にさらされるため、その内部には２つの水路
Ｔ，Ｕが形成されている。すなわち、第５図に示
すように銅ブロツクジヤケツト９は、長尺の板体
であつて長手方向に貫通する縦穴１８，１９，２
０，２１と、縦穴１８および１９に直交する横穴
２２と、縦穴２０および２１に直交する横穴２３
とが形成されている。この場合、横穴２２と縦穴
２０，２１とが交叉しないように、縦穴１８，１
９および横穴２２と、縦穴２０，２１および横穴
２３とは、厚さ方向に位置を異にして配置され、
縦穴１８，１９および横穴２２は、銅ブロツクジ
ヤケツト９の一方の面９ａ近傍に位置し、また、
縦穴２０，２１および横穴２３は、他方の面９ｂ
近傍に位置している。そして、縦穴１８，１９の
開口部１８ａ，１９ａおよび横穴２２の開口部２
２ａが、各々銅栓２４，２５および２６によつて
封止されて水路Ｔが形成され、また縦穴２０，２
１の開口部２０ａ，２１ａおよび横穴２３の開口
部２３ａが各々銅栓２７，２８および２９によつ
て封止されて水路Ｕが形成されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、上述した高温冶金炉を実際に使用し
た結果、ノーズ部８には、次の問題を生じること
が判明した。その問題とは、銅ブロツクジヤケツ
ト９の立ち上り煙道６側の面が侵蝕されるという
問題である。さらに説明すると、２年間（炉修の
間隔）使用後、ノーズ部８を調べてみると第６図
に示すように耐火材１１の大部分が溶損すると共
に、銅ブロツクジヤケツト９の立ち上り煙道６側
の面が侵蝕されていた。この場合、耐火材１１の
溶損は、当初から予測していたことであり、直接
事故等の原因となるものでない。しかし、銅ブロ
ツクジヤケツト９の侵蝕は深刻な問題である。な
ぜならば、銅ブロツクジヤケツト９は、熱負荷の
高い方、すなわち、スプラツシユ５を受ける側の
溶損を懸念して、銅ブロツクジヤケツト９が炉天
井３の一側から下方に突出する部分で、前述した
水路までの距離が長い面を、炉天井３側に向けて
設置されており、上述の様に立ち上がり煙道６側
の面すなわち、水路までの距離が短かい面が侵蝕
される結果、水漏れを起こし爆発事故を生ずる虞
れがあるからである。

この様に、銅ブロツクジヤケツト９の立ち上り
煙道６側の面が侵蝕される理由は、SO₂を高濃度
で含む排ガスＧが銅ブロツクジヤケツト９の立ち
上り煙道６側の面近傍において滞み、この排ガス
Ｇが、銅ブロツクジヤケツト９の冷却作用によつ
て結露して、付着するからである。一方、炉天井
３側の面は、予想に反して、溶損は皆無であつ
た。

この考案は、上記事情に鑑み、侵蝕による水漏
れの危険を回避することができる高温冶金炉の築
炉構造を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するためにこの考案は、水冷銅
ブロツクジヤケツトを、それが炉天井の一側から
突出する部分において、水路までの距離が長い方
の面を立ち上り煙道側に向けて、取り付けたこと
を特徴とする。

〔実施例〕

以下、図面を参照してこの考案の一実施例につ
いて説明する。第１図は、この考案の一実施例に
よる高温冶金炉の築炉構造の要部を示す断面図で
あり、この図において、第２図〜第６図に示す従
来の構造と同一の部分には同一の符号が付してあ
る。この実施例が従来と異なる点は、銅ブロツク
ジヤケツト２０内の孔２１，２２，２３，２４の
位置にある。すなわち、銅ブロツクジヤケツト２
０の下方の孔２１，２２は、炉天井３側の面２０
ａに偏つて形成される一方、上方の孔２３，２４
は立ち上り煙道６側の面２０ｂに偏つて形成され
ている。ここで、孔２１，２２は、第５図イに示
す縦穴１８，１９あるいは縦穴２０，２１に対応
し、水路の一部をなす。また、孔２３，２４も同
様に縦穴１８，１９あるいは縦穴２０，２１に対
応し、水路の一部をなす。

しかして、銅ブロツクジヤケツト２０が炉天井
３から突出する部分においては、水路までの距離
が長い方の面２０ｂが立ち上り煙道６側に向くこ
とになり、侵蝕距離が長くなる結果、水漏れの危
険性が少なくなくなる。また、水路までの距離が
長くなる結果、冷却効率が低くなり、排ガスが結
露する量が従来に比べて減少して侵蝕速度が遅く
なる。現実の使用の結果、２年間では、侵蝕は皆
無であつた。一方、面２０ａは、炉天井３から突
出する部分において、従来の使用結果から証明さ
れるように溶損が生じることはなく、また水路ま
での距離が短かくなつているため、冷却効率が向
上している。

〔考案の効果〕 以上説明したようにこの考案によれば、水冷銅
ブロツクジヤケツトを、それが炉天井の一側から
突出する部分において、水路までの距離が長い方
の面を立ち上がり煙道に向けて取り付けたので、
侵蝕距離が長くなると共に、冷却効率の低下によ
つて侵蝕速度が遅くなり、冷却水が漏れて爆発事
故が生じる危険性を少なくすることができる。ま
た、炉修の間隔が２年程度であれば、爆発事故が
生じる虞れは全くなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の一実施例の要部の構成を
示す断面図、第２図は、高温冶金炉の構造を示す
断面図、第３図は、従来のノーズ部の構造を示す
断面図、第４図イおよびロは、各々水冷銅ブロツ
クジヤケツト１０の構造を示す正面図および右側
面図、第５図イおよびロは各々水冷銅ブロツクジ
ヤケツト９の構造を示す正面図および右側面図、
第６図は、２年間使用後の従来のノーズ部を示す
断面図である。 ３……炉天井、６……立ち上り煙道、７……側
壁、８……ノーズ部、Ｓ，Ｔ，Ｕ……水路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部に、冷却水を通水する水路が形成されてい
   る水冷銅ブロツクジヤケツトが、炉天井の一側と
   立ち上がり煙道の側壁下端との間に位置するノー
   ズ部内で前記炉天井の一側から下方に突出するよ
   うにして設けられている高温冶金炉の築炉構造に
   おいて、前記水冷銅ブロツクジヤケツトの前記下
   方に突出する部分では前記水路が前記炉天井側に
   偏つて形成されていることを特徴とする高温冶金
   炉の築炉構造。