JPS6334881Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はベニヤレースのバツクアツプロールの
構造に関するものである。

従来よりベニヤレースに於て、旋削につれて原
木が細径化するのに伴い、該原木が撓んで損壊し
たりあるいは適正な単板削成が成し得なくなる虞
れを防止する為に、旋削する原木の外周にバツク
アツプロールを当接せしめつつ、原木の求心方向
へ移動せしめるようにした種々の撓み防止が取り
付けられているが、必ずしも十分な効果を挙げる
に至つていないのが現況である。

即ち、従来の撓み防止装置は、適宜幅の一本状
のバツクアツプロールを両端で支持するか、又は
複数個に分割した幾分幅狭のロールを、原木の全
長に亘るビームに直列状に固定して、原木外周へ
一様に当接せしめるようにしたものであるから、
たとえ原木が円柱状に旋削された後であつても、
原木外周に付着する切屑・木片等の異物が通過す
る毎に、該異物を介して原木を局部的に集中押圧
する事になり、集中荷重に伴う原木の損壊や単板
削成の不適化等の弊害を少なからず惹起してい
る。

本考案は前記従来の不具合を解消すべく開発し
たもので、良好に原木をバツクアツプする事ので
きるバツクアツプロールを提供し、以てベニヤレ
ースに於ける好適な旋削を可能化せんとするもの
である。

即ち、本考案に係るバツクアツプロールの構造
は、エヤーチユーブの支持面を有し、流体シリン
ダー等の作動機構によつて直接的に、あるいはア
ーム・ビーム等を介し前記作動機構によつて間接
的に支持され、且つ該作動機構の作動によつて原
木の求心方向へ移動せしめられる支持棒に、バツ
クアツプ用の複数個のベアリングを嵌装すると共
に、該ベアリングの内輪と前記支持面との間にエ
ヤーチユーブを装着し、該エヤーチユーブに導入
した空気圧に対応して前記ベアリングが原木の遠
心方向に可動し得るよう構成したものであり、原
木外周に付着する異物が通過しても、該当する部
分のベアリングのみが原木の遠心方向へ移動する
ので、従来の如く原木に集中荷重が作用する事が
なく、良好に原木をバツクアツプする事ができ、
好適な旋削が成し得るようになる。

以下本考案を図面に例示した実施の一例に基づ
いて説明すれば次の通りである。

第１図及び第２図に於て１はエヤーチユーブの
支持面１ａを有する支持棒であつて、鉋台７の移
動に追従してピストン棒９ａが作動するようフレ
ーム５に備えられた制御用の流体シリンダー９
と、導管１１内を流通するよう充填された油等の
液体を介して連結され、支持棒１のスライドガイ
ドを兼ねる機枠１０に備えられた、作動機構の一
例である流体シリンダー８のピストン棒８ａによ
つて直接的に支持され、制御用の流体シリンダー
９の制御による流体シリンダー８の作動により、
スピンドル６によつて支えられる原木１２の求心
方向へ移動する。３は前記支持棒１に嵌装された
複数個のベアリング２の内輪と支持面１ａとの間
に装着されたエヤーチユーブであつて、導入され
る空気圧の加圧力でベアリング２を原木１２の遠
心方向へ移動可能に支持する。４は各ベアリング
２の間に装入されたスペーサーリングであつて、
各ベアリング２の相互干渉を隔絶する。

本考案は例えば前記の如く構成するものであ
り、バツクアツプロール全体としては、流体シリ
ンダーの作動によつて一様に原木の求心方向へ移
動するものの、複数個のベアリングはそれぞれ原
木の遠心方向へ移動可能であるから、第３図から
も明らかなように、原木１２の外周に付着した異
物１５が通過する場合には、該当する部分のベア
リング２のみが原木１２の遠心方向へ移動し、従
来の如く原木１２に集中荷重が作用する事がな
く、良好に原木をバツクアツプする事ができ、原
木の損壊や単板削成の不適化等の弊害を惹起する
事のない好適な旋削が達成し得る。

図中７ａは単板削成用の刃物、１３は外周に多
数の突刺体を有する丸鋸状の駆動部材を軸方向に
適宜の間隔を隔てて複数配設して成る回転ロー
ル、１４は前記回転ロール１３の空間に配設した
分割状のプレツシヤーバーである。

尚、本考案に係るバツクアツプロールは、実施
例に例示する如く、流体シリンダーあるいは図示
は省略したがネジ等の作動機構によつて言わば直
接的に支持するに限るものではなく、図示は省略
したが、アーム・ビーム等を介し作動機構によつ
て間接的に支持するようにしても差支えない。

また本考案に係るバツクアツプロールは、従来
公知の撓み防止装置に於ける既存のバツクアツプ
ロールの如く、原木の撓みの原因である刃物・プ
レツシヤーバー等による切削抵抗及び原木押圧
力、即ち、負荷の作用方向と概ね対向する方向か
ら、一定の加圧力で以て原木外周面に押圧するよ
うにしても実用上差支えないが、例えば実施例に
例示する如く、作動機構である流体シリンダーの
作動を鉋台の移動に厳密に同調せしめるよう制御
する等の手段によつて、常に原木外周の所定位
置、即ち、原木が撓まずに旋削されていると仮定
した場合の仮想外周面に近接乃至軽接触する位置
に位置しつつ、原木の求心方向へ移動すべく支持
するようにすれば、原木の剛性が低下して撓まん
とする場合にのみ、該原木からの押圧作用に正比
例的に対抗するバツクアツプ作用を発揮するの
で、原木には従来の如き無用の加圧力が作用する
事がなく、バツクアツプロールによる撓み防止効
果の過不足がほとんど生じないので一層効果的で
ある。

またベニヤレースへの原木供給形態等の条件に
よつて、バツクアツプロールの存在が原木供給の
支障となる場合には、例えば図示する如く機枠１
０をスピンドル６の軸芯を中心として回動可能に
備え、カム・流体シリンダー等の回動機構（図示
省略）を用いて矢印で示すように適宜位置へ回動
せしめる等の手段によつて、バツクアツプロール
を暫定的に所定位置から離隔して待機せしめるよ
うにすれば差支えない。

またスペーサーリングはベアリングとの摩擦抵
抗の少い合成樹脂等の材料が好ましく、更にベア
リングは密封型とするか若しくは外輪に回転カバ
ーを兼ねるアフターケースを嵌装して防塵するの
が望ましいが、いずれにしても、支持棒の形状は
図示する如き形状に限るものではなく、要はベア
リング及び該ベアリングを支持するエヤーチユー
ブが装着できる形状であれば、如何様な形状であ
つても差支えなく、勿論、負荷の作用方向が幾分
変動するのに対処すべく、バツクアツプロールを
複数本備える場合に於ても、本考案に係るバツク
アツプロールの構造は極めて有効である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案を説明する為のものであつて、第
１図は本考案に係るバツクアツプロールの構造を
説明する為の部分正面説明図、第２図は第１図の
側面図、第３図は異物によるベアリングの移動状
態を説明する為の正面拡大説明図である。 １……支持棒、２……ベアリング、３……エヤ
ーチユーブ、５……フレーム、６……スピンド
ル、７……鉋台、８……流体シリンダー、１０…
…機枠、１２……原木、１５……異物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エヤーチユーブの支持面を有し、流体シリンダ
   ー等の作動機構によつて直接的に、あるいはアー
   ム等を介し前記作動機構によつて間接的に支持さ
   れ、且つ該作動機構の作動によつて原木の求心方
   向へ移動せしめられる支持棒に、バツクアツプ用
   の複数個のベアリングを嵌装すると共に、該ベア
   リングの内輪と前記支持面との間にエヤーチユー
   ブを装着して成り、該エヤーチユーブに導入した
   空気圧に対応して前記ベアリングが原木の遠心方
   向に可動し得るよう構成した事を特徴とするベニ
   ヤレースのバツクアツプロールの構造。