JPS6334251B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は土壤中の支持毛管水の自動排除促進装
置に関するものである。

本発明者等は、過去に土壤中の毛管水を該土壤
を支持している礫やアミ等の傾斜面を利用して横
方向に排除する装置を開発し、土壤表面に供給さ
れる雨水や汚水が土壤空隙を充満して土壤中の脱
臭気体の通過を困難にさせる場合の対策とか、蒸
発散装置の如く雨水が汚水貯留槽内に浸入しない
様にしたり、埋立地内に雨水を浸入させない様に
していた。

しかしながら、上記従来の装置は単に人工的に
成層させた土壤中を上部から水分が供給される場
合に限つての対策であつたので、その応用範囲が
限定されていた。

本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、そ
の目的とするところは、上部からの供給に限ら
ず、上方向や横方向からの土壤中への水分供給が
あつても簡易に支持毛管水を排除して土壤中の有
効な空隙を確保し得る装置を提供するにある。

以下、本発明の実施例について図面を参照しな
がら説明する。

第１図は従来装置の構造Ａと本発明の実施例構
造Ｂを比較し、それらの土壤中の水分分布状態を
示すものであつて、第１図Ａにおいて、１は土壤
層、２は礫層であつて、その間には該土壤層１中
の土壤粒子が下方の礫層２内に落下しないように
するためのアミ３が略水平状態に敷設されてい
る。この様な従来構造において、上方から雨水Ｒ
が供給されると、該雨水Ｒは土壤層１中を流下
し、そのまゝ礫層２中に浸透流下する。

一方、第１図Ｂにおいて、４は山形状に彎曲し
て形成され、多数の穴を穿設した多孔板であつ
て、その下方には礫層２が充填され、上面に沿つ
てガラスウール５が彎曲状にある厚さに敷設され
ている。

この構造においては、土壤層１中を流下する雨
水Ｒは上記彎曲状のガラスウール５面に到達する
と、該ガラスウール５に沿つて流れ、その両側の
多孔板４両端部から下方の礫層２中へ滴下或いは
流下する。

従つて、第１図Ｃに示すように、上記従来装置
Ａでは、土壤層１中の水分量の垂直分布が実線で
示すように礫層２に近づくにしたがつて急激に多
くなるのに対して、上記本実施例装置Ｂでは、破
線で示すように、その水分量はほとんど増加しな
い。

従つて、降雨中でも土壤層１中の空隙を利用し
て脱臭するとか、バツキ槽から発生する病源菌を
除去したい場合には、上記Ｂの方が通気量も多く
圧力抵抗も少なくて好ましい条件であることが解
かる。

上記第１図Ｂの実施例は単に土壤表面からの雨
水等の供給についてのものがあるが、本発明装置
は上記のものに限らず、下方からも側方からも水
分供給がある場合でも毛管水を自動的に排除出来
るものであり、これを第２図に示す実施例で説明
する。第２図は風呂温排水を土壤式散水床浄化
法と組合せた暖房システムの被覆土壤脱臭部分の
断面図であつて、槽６の下方にはロストル７が配
設され、その上に礫層２が積設されている。

該礫層２の上面上には、風呂温排水等の散水管
８が配設されていて、上面に穿設した小穴から圧
力水を噴出させ、上方の下向き凹状皿９に衝突さ
せて上記礫層２表面に飛散するようにしてある。
これら散水管８、凹状皿９の上方には多孔板４が
配設され、その上面に沿つてミリオーダの厚さに
敷かれたフエルト状の不織布１０と、センチメー
トルオーダーの厚さに敷かれたガラスウール１１
とが重積されている。該ガラスウール１１上には
土壤層１が置かれている。

上記槽６の上方は上方につぼまつていて、排気
管１２に連結されている。該排気管１２は部屋暖
房等に使用される循環施設１３に連通していて、
ここから返送管１４を通つて槽６のロストル７下
方に返送される。１５は礫層２中で浄化された水
のための排水管である。

本実施例は以上の様に構成されているので、先
ず散水管８の上方から噴出された温排水は凹状皿
９の下面に当つて四方へ散布される。この時槽６
内の空気が飛散中の温水水滴の表面に触れて、そ
の間に水滴が冷され空気が熱せられて、いわゆる
熱交換される。加湿された暖気は多孔板４の穴を
通つて不織布１０、ガラスウール１１を通過し、
土壤層１中に入る。彎曲状のガラスウール１１等
に触れた水分はこれに沿つて容易に端部へ流下す
るので、該ガラスウール１１に次々に毛管水を引
入れ、土壤層１内の毛管水は活発に排除される。
従つて、土壤層１内は通気性に富み且つ排温水よ
り低温であるので、上記加湿暖気は該土壤層１中
で除湿と除臭の両作用を受け、比較的乾燥した無
臭の暖気が循環施設１３内に入つて暖房機能を発
揮する。

多孔板４両端から滴下した毛管水や散水管８か
らの飛散水は礫層２内を流下し、この間に浄化作
用を受けて、排水管１５から排出される。

第３図は毛管サイフオン浄化実験装置の不飽和
浸透過程での簡易採水のための応用例であり、１
６は汚水水面、１７は実験装置の充填土壤であ
る。矢印の方向に汚水が移動し、槽１８下端の開
口部１８ａから自然排水される他に、浸潤過程の
途中から毛管水を簡単に採水するには槽１８側壁
に孔１８ｂをあけ、ガラスウール５を土壤１７内
に敷設してその末端部をわずかに低くして上記孔
１８ｂに臨ませると、自動的に毛管水が排除され
得るのである。

土壤中に気体を高速で通過させる要望は次の様
な範囲で土壤浄化技術と共に急速に拡大されつゝ
ある。

(イ) バツキ槽などからの悪臭、洗剤泡、病源菌等
の大気拡散を防止するための土壤被覆構造 (ロ) 室内空気の換気、清浄化を目的とした土壤浄
化システム。

(ハ) 風呂温排水を活用した土壤式散水床法によ
る宿泊施設、トンネル温床、温室等の暖房シス
テム及び中水道システム。

(ニ) 加熱された悪臭気体の冷却兼用水滴連続散水
の土壤脱臭システム。

(ホ) 被覆土壤に汚水処理、汚泥処理システムを組
合せた土壤脱臭法。

土壤脱臭は多量な雨水、人工散水、毛管水、過
湿気体の供給を伴なうものであるから、当然に支
持毛管水を簡易に排除する技術を開発しなければ
実用性は非常に限られたものとなる。土壤構造、
粒子の大きさ等によつて或る程度する技術は既に
本発明者等によつて開発しているが、毛管支持水
分量を少なくしようとすれば、粒子径を大きくせ
ざるを得ず、目的とする脱臭機能は低減する事と
なつて、その相反する機能を調整する限度決定に
非常に苦心が多かつたのであるが、本発明によつ
て多量な水分を微粒子土壤中を低圧で通過させな
がら、尚通気速度、脱臭機能を減少させなくても
良い装置の簡易な設計を可能とし、今迄予想もし
得なかつた広い範囲で土壤脱臭システムの応用を
見得ることゝなつたのである。今後世界的規模で
脱臭法は本発明の様な考え方を取り入れた土壤脱
臭システムがオゾン酸化法、酸アルカリ洗じよう
法、高温焼却法、活性炭法等の脱臭システムに置
き変るものと期待される。一度施設するとエネル
ギーがほとんど不必要である点でも、又バツキ槽
からの病源菌拡散の人体に与える影響が各方面か
ら指摘されつゝある現在、その解決を簡易とした
本発明の果す社会的価値は環境対策の面からも非
常に大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａは従来の水平成層の断面図、Ｂは本発
明装置の一実施例を示す断面図、Ｃは土壤中水分
の垂直分布図、第２図は別の実施例の断面図、第
３図は更に別の実施例の断面図である。 １……土壤層；２……礫層；４……多孔板；
５，１１……ガラスウール。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 山形状に彎曲させた多孔板を土壤中に埋設
   し、該多孔板の下方には礫層を充填し、該多孔板
   の上面に沿つて彎曲状にガラスウールを敷設した
   ことを特徴とする土壤毛管水の自動排除促進装
   置。