JPS633410Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は燃料噴射装置に用いられる燃料噴射弁
に関する。

燃料噴射装置はエンジン燃焼室へ供給されるべ
き所望量の燃料を吸気系に供給する装置であり、
例えばエンジンの回転数や吸気状態を電気信号に
変換し、これをマイクロコンピユータで処理して
最適空燃比を表わす制御信号を発生させこの制御
信号により電磁的に駆動される燃料噴射弁の開閉
時間を制御して空燃比を調整しエンジンの作動状
態を最良に保つものである。

上記した燃料噴射弁は所定圧力に加圧された燃
料を噴射ノズルにおいて噴出制御する弁体と、こ
の弁体の後部に形成されたアーマチユア部材と、
上記制御信号により制御された電流が間欠的に供
給される電磁コイルとを含む。アーマチユア部材
と結合した弁体は、電磁コイルの磁界によつて駆
動されアーマチユア部材と連動して燃料噴射孔を
開放し、電磁コイルの磁界が消失すると弾性部材
の反発力によつて復帰して燃料噴射ノズルを閉塞
する。

かかる燃料噴射弁の従来例を第１図を参照して
説明する。

第１図において、燃料噴射弁の一部を形成する
円筒状バルブハウジング１は中心軸に沿つて伸長
した軸孔２を有し、軸孔２の底部に円錐状の弁座
面３が形成され、弁座面３の頂部に軸孔２と連通
した燃料噴射孔４が形成されている。バルブハウ
ジング１の形状は大径部と小径部とにより形成さ
れ、バルブハウジング１の小径部には燃料供給口
５と帰還口６とが対応して形成され、大径部は駆
動ハウジング７の一端に嵌合している。軸孔２内
部には中心軸方向に移動自在な針弁８が配記され
ている。針弁８はほぼ円柱状の一体部材から形成
され中央部近傍にフランジ部９が形成されてい
る。また、針弁８の後端部には複数の環状突起１
０が形成され、駆動部ハウジング７内に形成され
たアーマチユア部材１１に結合されている。針弁
８のフランジ部９は駆動ハウジング７の内方環状
突起７ａに固着された環状ストツパープレート１
２と協働し、針弁８の後退運動の行程を所定範囲
に制限している。駆動部ハウジング７の他端は円
形フランジ部１３が設けられた円筒状部材１４に
より閉塞されている。円筒状部材１４の内孔には
パイプ１５が嵌入固定されておりパイプ１５の端
部にはスプリング１６が圧縮して設けられ、この
スプリング１６はアーマチュア部材１１を燃料噴
射孔４の方向に附勢している。円筒状部材１４を
包裏する筒状コイルボビン１７が駆動部ハウジン
グ７内部に配設され、コイルボビン１７の外面に
形成された凹部に電磁コイル１８が巻かれてい
る。円筒状部材１４の円形フランジ部１３及びコ
イルボビン１７を貫通したリード線１９を介して
電磁コイル１８へ励磁電流が供給される。円筒状
部材１４の外面とコイルボビン１７の内面との
間、コイルボビン１７の外面と駆動部ハウジング
７の内面との間に各々ゴム製Ｏリング２０，２１
が配設されている。電磁コイル１８へ励磁用の電
気信号を入力する端子２２を有するコネクタ２３
は駆動ハウジング７のカシメ等によつて形成され
ている。

上記構成の燃料噴射弁は次の様に動作する。ま
ず、、燃料が燃料供給口５より軸孔２及び駆動ハ
ウジング７内に流れ込む。次に燃料噴射時にパル
ス信号がコネクタ２３の端子２２に供給されると
アーマチユア部材１１と共に針弁８は燃料噴射孔
４を開放する。この時、針弁８のフランジ部９は
駆動部ハウジング７の内方環状突起７ａに固着さ
れた環状ストツパ２と協働し針弁８の後退運動の
行程を所定範囲に制限する。また、電磁コイル１
８への電流供給が停止するとアーマチユア部材１
１を駆動する磁気的に吸引力が消滅し、針弁８は
スプリング１６の反発力により駆動されて弁座面
３に密着して燃料噴射孔４を閉塞する。上記運動
により燃料は燃料噴射孔４より外部へ噴射され
る。

上記した従来の燃料噴射弁においては、燃料供
給口及び燃料帰還口がバルブハウジング自体に形
成されているため、バルブハウジング内で燃料が
循環し、駆動部ハウジング内に流入した燃料は循
環動作が鈍いため、エンジン及び電磁コイルの熱
により燃料にベーパーが発生し、運転性不良、エ
ミツシヨン不良等の問題点があつた。

そこで本考案の目的は、上記問題点を解決した
燃料噴射弁を提供することである。

本考案による燃料噴射弁においては、燃料流入
口及び帰環排出口をバルブハウジングより遠ざけ
て、電磁コイル部附近に燃料を循環させると共に
電磁コイル部における燃料漏れを防止すべくオイ
ルシール部材をコイルボビン両端部に設けた燃料
噴射弁である。

以下、本考案による燃料噴射弁の実施例を第２
図を参照して詳細に説明する。

第２図に示された本考案による燃料噴射弁にお
いて、円筒状駆動ハウジング７の一方の開放端に
は漏斗状のバルブハウジング１が嵌合し、他方の
開放端には燃料供給口を有する円筒状部材２５が
駆動ハウジング７内部の中心軸に沿つて配設され
ている。バルブハウジング１の頂部には燃料噴射
孔４が形成され、燃料噴射孔４の近傍の内壁面に
は円錐形状の弁座面３が形成されている。バルブ
ハウジング１の内部には球状弁体８が配設され、
この球状弁体８は磁性体であるアーマチユア部材
１１の端部に溶接等で結合されている。アーマチ
ユア部材１１の一部にはフランジ部が形成され、
このフランジ部には燃料が通過する貫通孔１１ａ
が設けられている。また、アーマチユア部材１１
は好ましくは弾性作用を有する円錐形状のガイド
プレート２４により保持されており、ガイドプレ
ート２４は中心孔２４ａを有する。アーマチユア
部材１１はガイドプレート２４の中心孔２４ａに
貫入しガイドプレート２４に案内保持されて球状
弁体８を円滑に駆動する。ガイドプレート２４の
周縁部は、ストツパープレート１２とバルブハウ
ジング１とにより挟持固定されている。また、ス
トツパープレート１２には燃料貫通孔１２ａが形
成されている。ガイドプレート２４の表面には燃
料を通過せしめるための貫通孔２４ｂが設けられ
ている。円筒状部材２５の内部にはパイプ１５が
挿入され第１燃料通路が例えば燃料供給通路２６
として形成されている。つまり円筒状部材２５と
パイプ１５とからバルブハウジング１に連通した
第１燃料通路を内部に有する筒状部材が形成され
ているのである。球状弁体８と結合したアーマチ
ユア部材１１の自由端とパイプ１５の一端との間
にはコイルスプリング１６が圧縮して設けられて
おり、コイルスプリング１６はアーマチユア部材
１１を燃料噴射孔４の方向に附勢している。また
パイプ１５の他端は燃料供給口として配管２７の
燃料供給チユーブ２７ａと連結している。電気絶
縁材により形成された筒状コイルボビン１７が円
筒状部材２５を包裏し、駆動ハウジング７に保持
されている。ここで注目すべきは、筒状コイルボ
ビン１７の内壁面と円筒状部材２５の外壁面との
間及び駆動ハウジング７の内壁面と円筒状部材２
５の外壁面との間に第２燃料通路が例えば燃料を
帰還させる燃料帰還通路２６ａとして形成されて
いることである。駆動ハウジング７の内壁面と円
筒状部材２５の外壁面とにより形成される燃料帰
還通路２６ａの帰還口は燃料帰還口として配管２
７の帰還チューブ２７ｂと連結している。コイル
ボビン１７の外面には凹部が形成され、この凹部
に電磁コイル１８が巻装されており、駆動ハウジ
ング７及びコイルボビン１７を貫通したリード線
１９を介して電磁コイル１８へ励磁電流が供給さ
れる。コイルボビン１７の両端部、即し、コイル
ボビン１７の外面と駆動ハウジング７の内面との
間、駆動ハウジング７の内側壁面とコイルボビン
１７の内側壁面との間には各々オイルシール部材
２０，２１が配設されている。また、配管２７の
内壁面と駆動ハウジング７の外壁面、配管２７の
内壁面と円筒状部材２５の外壁面との間には各々
Ｏリング２８，２９が配設されている。電磁コイ
ル１８へ励磁用パルス信号を入力する端子２２を
有するコネクタ２３は駆動ハウジング７にカシメ
等によつて結合されている。

上記構成の本考案による燃料噴射弁は次の様に
動作する。まず、燃料流入口より流入した燃料は
パイプ１５，コイルスプリング１６内及びアーマ
チユア部材１１を経てバルブハウジング１内に充
填され更に、ガイドプレート２４の貫通孔２４
ｂ、アーマチユア部材１１のフランジ部に形成さ
れた貫通孔１１ａ、ストツパープレート１２に形
成された貫通孔１２ａを通過し、燃料帰還通路２
６ａ及び燃料帰還チユーブ２７ｂを通過する。次
に燃料噴射弁内部に圧力が加わつた状態において
パルス信号が端子２２に供給されるとアーマチユ
ア部材１１はコイルスプリング１６の反発力に抗
して電磁コイル１８の方向へ引張られ、球状体８
は燃料噴射孔４を開放する。この時、アーマチユ
ア部材１１のフランジ部はストツパープレート１
２により運動の行程を所定範囲に制限されるので
ある。また、電磁コイル１８へのパルス供給が停
止するとアーマチユア部材１１を駆動させる磁気
的な吸引が消滅し、球状体８はコイルスプリング
１６の力により駆動されて弁座面３に密着して燃
料噴射孔４を閉塞する。この時、球状弁体８及び
アーマチユア部材１１はガイドプレート２４によ
りガイドされている為に駆動時において燃料噴射
孔４の中心軸からのズレを生じることもなく直線
的な動作をするのである。なお、燃料は、燃料ポ
ンプ（図示せず）の動作中は常時圧力が加わつた
状態にて燃料供給通路２６及び燃料帰還通路２６
ａを循環しているのである。

このように本考案による燃料噴射弁において
は、燃料帰還通路をコイル部近傍に設けてエンジ
ンより伝わる熱の影響を少なくし、コイル部を冷
却させることによりエンジン及びコイルの熱によ
る燃料噴射弁内のベーパー発生を防止し、低圧噴
射方式が可能となるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の燃料噴射弁の縦断面図、第２図
は本考案の実施を示す燃料噴射弁の縦断面図であ
る。 主要部分の符号の説明、１……円筒状バルブハ
ウジング、３……弁座面、７……駆動ハウジン
グ、１５……パイプ、１７……コイルボビン、１
８……電磁コイル、２６……燃料供給通路、２６
ａ……燃料帰還通路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 燃料噴射孔と前記燃料噴射孔の近傍に設けら
   れた弁座面とを有しかつ前記弁座面に当接、離
   間して前記燃料噴射孔を開閉する弁体を内部に
   保持するバルブハウジングと、前記バルブハウ
   ジングに連通した第１燃料通路を内部に有する
   筒状部材と、前記筒状部材を囲繞し電磁コイル
   を担持するコイルボビンと、前記筒状部材及び
   コイルボビンを保持し且つ前記バルブハウジン
   グに嵌合する駆動ハウジングと、前記電磁コイ
   ルへ信号を供給する端子を有して前記駆動ハウ
   ジングと結合したコネクタとからなる燃料噴射
   弁であつて、前記駆動ハウジングの内部は前記
   バルブハウジングとの嵌合部から前記筒状部材
   に沿つて段階的に狭まり且つ前記駆動ハウジン
   グの最狭部が前記筒状部材に沿つて外側に伸張
   しており、前記筒状部材外周壁と前記コイルボ
   ビンの内周壁及び駆動ハウジング内周壁とから
   形成されて前記バルブハウジングと連通した第
   ２燃料通路を有することを特徴とする燃料噴射
   弁。 (2) 前記コイルボビンの両端部にオイルシール部
   材を設けたことを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の燃料噴射弁。 (3) 前記第１燃料通路を燃料供給通路とし、前記
   第２燃料通路を燃料帰還通路とすることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の燃
   料噴射弁。