JPS6330960Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、高炉から排出される溶融スラグをた
とえば電気炉等の加熱炉に注入する際に、その加
熱炉からの炉内ガスの逸散及び加熱炉への空気等
の酸化性ガスの侵入を防止するシール装置に関す
る。

〔従来の技術〕

高炉から多量に発生する溶融スラグは、冷却・
砕石加工した後に、高炉セメント，地盤改良材，
コンクリート骨材等の成分として使用されてい
る。また、この高炉スラグを付加価値の高い製品
であるロツクウールの原料として使用することも
行われている。

この高炉スラグからロツクウールを製造するに
あたり、従来の方法によるとき、砕石スラグに必
要に応じて成分調整材を添加した後、電気炉，キ
ユポラ等により再度溶融状態にし、これを適宜の
流体圧力により繊維化していた。しかし、このよ
うに高炉スラグを一旦冷却・砕石して固定した後
に、再度溶融するときに、その再溶融に多量のエ
ネルギーを必要とし、その結果ロツクウールの製
造単価が高くなるという欠点がある。

そこで、溶融状態にある高炉スラグをそのまま
電気炉等の加熱炉に投入することにより、エネル
ギー消費を少なくしたロツクウール製造方法が注
目されている。このような溶融状態にある高炉ス
ラグからロツクウールを作るものとしては、特開
昭59−189284号公報，特開昭60−134186号公報等
がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この溶融スラグを取り扱う容器は、溶融スラグ
による侵食に対して強い材料である黒鉛質の耐火
材が内張りされている。また、この容器の内部に
は、加熱機構とて黒鉛電極を配置する場合もあ
る。これらの黒鉛質耐火物，黒鉛電極等は、還元
性雰囲気では所期の優れた性質を発揮する。とこ
ろが、酸化性雰偉気に曝されるとき、容易に酸化
し材質の劣化が著しい。

たとえば、前記の特開昭59−189284号公報に示
されているようなスラグ受器を介して電気炉内に
溶融スラグを投入する方式を採用するとき、その
スラグ受器にスラグ装入毎に付着凝固滓が残る。
そこで、スラグ受器を傾動させることによりその
付着凝固滓を除去している。しかし、このスラグ
受器を傾動させるときには、電気炉の受け口が開
放されることになり、大気の侵入、炉内ガスの吹
出し等が生じ易い。

そこで、大気の侵入，炉内ガスの吹出し等を防
ぐため、この受け口をシールする必要がある。し
かし、この個所は溶融スラグ注入時に高温雰囲気
に曝されるので、鋼板製の水冷ジヤケツト等によ
り弁板押え装置等を設けて炉内圧力をシールする
構造を採用するとき、シール構造自体が複雑にな
りすぎ、また耐久性にも問題があつた。また、弁
板が炉内からの輻射熱を受けるような設計では、
溶融スラグの温度低下を招き省エネルギーの面か
ら好ましくない。

本考案は、こような従来技術における問題に鑑
み、空気等の酸化性気体が炉内に侵入することを
確実に防止でき、しかも溶融スラグの温度低下を
招くことのない簡単な構造をもつシール装置を提
供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の溶融スラグ加熱炉用シール装置は、そ
の目的を達成すべく、正圧操業される溶融スラグ
加熱炉のスラグ装入口に水冷ジヤケツトを介して
弁箱を設け、該弁箱内に冷却水パイプを備えた弁
体を水平移動可能に配置し、炉内圧力より充分に
大きなシートが加わるように前記弁体の自重を大
きくとり、且つ前記スラグ装入口を閉鎖する位置
において前記弁体がシート面にのしかかるよう
に、前記弁体を案内する案内機構を設けたことを
特徴とする。

また、弁体の電気炉側の面に耐火物のライニン
グを施しておくとき、溶融スラグからの輻射熱を
弁体が受けることなく、且つ弁体に設けた水冷機
構による溶融スラグの抜熱を抑制することができ
る。

〔実施例〕

以下、図面に示した実施例により本考案の特徴
を具体的に説明する。

第１図は本実施例によるシール装置を設けたス
ラグ受器と溶融スラグ加熱炉としての電気炉との
間の接続部を示し、第２図はその一部を側断面で
示したものである。

溶融スラグは、鍋車（図示せず）からスラグ受
器１に受けて、電気炉２に注入される。このと
き、スラグ受器１にはストツパー３が設けられて
おり、該ストツパー３の上下動によりスラグ受器
１から電気炉２に流出する溶融スラグの流量が調
節される。

このスラグ受器１と電気炉２との間には、水冷
ジヤケツト４ａ，４ｂを介してシール装置５が出
し入れ自在に設けられている。上方の水冷ジヤケ
ツト４ａは、スラグ受器１の底部に設けられてい
る注出口６の周囲にあるフランジ７ａに対して密
着配置されている。他方、下方の水冷ジヤケツト
４ｂは、電気炉２のスラグ装入口８に設けられて
いるフランジ７ｂに対して密着配置されている。
そして、これら水冷ジヤケツト４ａ，４ｂとフラ
ンジ７ａ，７ｂとの間には、シールを確実に行う
ため耐熱性のパツキング９が介在されている。

これらの水冷ジヤケツト４ａ，４ｂ間に設けら
れているシール装置５は、第２図に示すように、
弁箱１０内に進退自在な弁体１１を配置してい
る。該弁体１１の溶融スラグからの輻射熱に曝さ
れる側には、断熱性の耐火物１２が張られてお
り、弁体の保護及び溶融スラグの温度補償を図つ
ている。そして、水冷ジヤケツト４ｂの上面に
は、該耐火物１２の側部に接するシート面１３が
形成されている。

該弁体１１は、SCH等の耐熱鋳鋼によつて充
分な重さを持つたものとして製作されている。す
なわち、炉内圧力の20倍以上のシート面圧が確保
されるように、弁体１１の自重を大きくする。こ
れにより、炉内圧力によつて弁体１１が押し上げ
られることなく、安定したシール面圧で電気炉２
のスラグ装入口８をシールすることができる。

第３図は、この弁体１１に設けられる水冷機構
及び搬送機構を示す。すなわち、弁体１１には冷
却水パイプ１４が内蔵され域いは付設されてお
り、該冷却水パイプ１４に配管１５を介して冷却
水が送られる。この冷却水パイプ１４は、鋳造に
より弁体１１を製造する際に、鋳込み方式により
弁体１１の内部に設けることができる。他方、弁
体１１の下方には、内側レール１６ａ及び外側レ
ール１６ｂが配設されており、これらレール１６
ａ，１６ｂ上を弁体１１に取り付けた車輪１７
ａ，１７ｂがそれぞれ走行する。

内側レール１６ａ及び外側レール１６ｂには、
それぞれ第３図ｂに示すように、所定個所に凹部
１８ａ，１８ｂが形成されている。これにより、
レール１６ａ，１６ｂを走行してきた車輪１７
ａ，１７ｂは、点線で示した状態から実線で示し
た状態に落下する。このときの落差ｄにより、弁
体１１がシート面１３に乗ることになる。

次いで、このシール装置５の作動を説明するこ
とにより、本考案の作用を明らかにする。

電気炉２は、大気の侵入を防止するために通常
正圧の状態で操業されている。そして、気密性を
維持しながらこの炉内に溶融スラグを注入する。
溶融スラグの注入作業が終了すると、スラグ受器
１に付着・凝固したスラグを除去するために、ス
ラグ受器１を傾動させる。このとき、スラグ受器
１と電気炉２との間の気密性が破れる。そこで、
本実施例においては、このスラグ受器１の傾動に
同期して弁体１１を走行させ、スラグ装入口８を
該弁体１１により閉じる。

この弁体１１は、前述したように充分な自重を
もつているので、電気炉２の炉内圧力により押し
上げることなく、シート面１３に密着して位置す
る。また、弁体１１の下面には耐火物１２が張ら
れているので、電気炉２内にある溶融スラグから
の輻射熱が直接弁体に伝わることがない。したが
つて、弁体１１が熱疲労を受けることはなく、ま
た溶融スラグが抜熱による温度低下を起こすこと
も抑えられる。

他方、スラグ受器１から電気炉２に溶融スラグ
を注入する際には、弁体１１を弁箱１０内の退避
位置を後退させて、スラグ装入口８を開状態とす
る。これにより、溶融スラグが落下する周辺には
シール装置５の可動部分がない状態となる。した
がつて、弁体１１を始めとするシール装置５の主
要部品が高熱に曝されることがないため、それら
の熱変形が抑えられる。その結果、水冷ジヤケツ
ト４ｂと弁体１１との間のシールを、長時間にわ
たり安定して行うことが可能となる。

〔考案の効果〕

以上に説明したように、本考案のシール装置に
おいては、弁体を作用位置と退避位置との間を水
平移動させ、しかも炉内圧力に打ち勝つ弁体の自
重がシート面に加わるようにしている。これによ
り、電気炉等の加熱炉のスラグ装入口を確実にシ
ールすることが可能となり、炉内ガスの吹出し、
炉内への大気の侵入等が防止される。しかも、非
作用時においては、弁体が溶融スラグの熱を受け
ることが抑えられるので熱変形がなく、安定した
スラグ装入口のシールが長期にわたつて補償され
る。また、電気炉側の弁体面に耐火物を張りつけ
るとき、水冷機構を備えた弁体に溶融スラグから
の輻射熱が達することがないので、溶融スラグの
温度低下が防がれ、熱消費量の節減が図られる。
このようにして、本考案によるとき、溶融スラグ
の処理を長期にわたり安定した状態で行うことが
可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例によるシール装置をスラ
グ受器と溶融スラグ加熱炉としての電気炉との間
に配置した例を示し、第２図はその一部を側断面
図で示し、第３図は弁体の水冷機構及び搬送機構
を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 正圧操業される溶融スラグ加熱炉のスラグ装
   入口に水冷ジヤケツトを介して弁箱を設け、該
   弁箱内に冷却水パイプを備えた弁体を水平移動
   可能に配置し、炉内圧力より充分に大きなシー
   ト面圧が加わるように前記弁体の自重を大きく
   とり、且つ前記スラグ装入口を閉鎖する位置に
   おいて前記弁体がシート面にのしかかるよう
   に、前記弁体を案内する案内機構を設けたこと
   を特徴とする溶融スラグ加熱炉用シール装置。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項記載の弁体の
   電気炉側の面に耐火物ライニングを施している
   ことを特徴とする溶融スラグ加熱炉用シール装
   置。