JPS6329869Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、主に自動車の内燃機関（以下エン
ジンともいう）の多点または単点電子制御式燃料
噴射装置に用いられる電磁燃料噴射器に関するも
のである。

従来、電磁燃料噴射器１は、第１図に示すよう
にバルブ・ハウジング２の先端に燃料噴射口３を
備え、その軸心部を貫通するガイド孔４にプラン
ジヤ型の開閉弁５を挿入し、開閉弁５の後端に可
動鉄心６を結合し、前記バルブ・ハウジング２を
保持した磁気ケース７の後方内部に、固定鉄心８
と電磁コイル９とを取り付け、ターミナル１０か
ら制御信号を入力して開閉弁５を往復動させ、加
圧燃料を噴射するものである。前記燃料噴射口３
内側は、弁子５ａと接触する弁座３ａ（第２図参
照）を形成し、その後方にガイド孔４が続く。バ
ルブ・ハウジング２の前部はカバー７ａで保護さ
れ、後部は側面にＯリング１１、後端面にスペー
サ１２を介して、磁気ケース７の前部にかしめ加
工で固定されている。弁子５ａの先端にはピント
ル１９（第２図参照）が設けられ、その先端には
燃料を拡散するかさ部１９ａが形成されている。
開閉弁５の後部円周上にはフランジ５ｂが設けら
れ、往復ストロークの後方限界でスペーサ１２の
前面と接触する。磁気ケース７は強磁性体で製作
され、固定鉄心８との間の空間部に、密閉用Ｏリ
ング１３，１４を介して電磁コイル９が取り付け
られている。固定鉄心８は同じく強磁性体で製作
され、軸心部には燃料通路１５が貫通している。
燃料通路１５の前端部には圧縮スプリング１６が
内挿され、常時開閉弁５を閉位置に保持してい
る。スリーブ１７は圧縮スプリング１６の固定座
である。燃料通路１５の後部には燃料フイルタ１
８が装着されている。

このような電磁燃料噴射器１においては、開閉
弁５が滑らかに往復動し、弁座３ａに弁子５ａが
隙間なく接触して、高圧燃料をシールしなければ
ならない。このため、開閉弁５の摺動部５ｃとガ
イド孔４、および弁座３ａと弁子５ａとは高い加
工精度を要求される。また、燃料微粒化のためピ
ントル１９を含む開閉弁５の先端形状は複雑に形
成され、加工が難しい。従つて製造コストは非常
に高くなつていた。

また、摺動部５ｃの精度保持のため開閉弁５の
径はあまり細くすることはできない。また噴射口
３に対するピントル１９の同軸度を確保するた
め、開閉弁５の長さはあまり短かくできない。こ
のため開閉弁５は重量が重く、電磁コイル９のオ
ン・オフに対応する応答性はあまり良好でなく、
また衝撃力が大きく摩耗し易い。

以上の問題点を解消する対策として、特開昭56
−107956号に示されるようなロツドの先端にボー
ル弁を結合したものが知られており、また本願の
出願人の実願昭56−185081号による球面状弁子と
円筒状スライド部からなる改良された開閉弁があ
る。これらの改良案は、ピントルを廃止し開閉弁
の形状を簡単にして製作容易とし、開閉弁の軽量
化によつて応答性を向上したが、燃料の噴霧角お
よび微粒化の点では不十分であつた。

この考案は球面状弁子を含む軽量化された開閉
弁を有し、燃料の噴霧角および微粒化を向上した
電磁燃料噴射器の提供を目的とする。

以下この考案を実施例の図面に基づいて説明す
る。第３図はこの考案による電磁燃料噴射器２１
の縦断面図である。２２はバルブ・ハウジングで
あり、２３は燃料噴射口、２３ａは円錐面状の弁
座で、その後方は中空部２４である。２５は開閉
弁であり、先端は球面状の弁子２５ａで、これに
ロツド状のスライド部２５ｂを結合して構成され
ている。スライド部２５ｂの後端には可動鉄心２
６が結合されている。可動鉄心２６は強磁性体で
あり、少なくとも２本の燃料連通孔２６ａがあけ
られており、後端面には非磁性材料のスペーサ２
６ｂが固着されて、固定鉄心８の前端面との間の
エア・ギヤツプを確保している。開閉弁２５が前
進して弁子２５ａが弁座２３ａに当接しとき、ス
ペーサ２６ｂ後端面と固定鉄心８前端面との隙間
は、規定された最大ストロークＬになつている。
バルブ・ハウジング２２の中空部２４には、ガイ
ド部材２７が挿入固定され、ガイド部材２７の軸
心部に設けられたガイド孔２７ａに開閉弁２５の
ロツド状スライド部２５ｂが摺動可能に挿入され
ている。第４図に示すようにガイド部材２７の外
周面には、４本の螺旋状燃料溝２７ｂが設けられ
ている。その他の構成要素は第１図の従来例１の
ものと同様であり、説明は省略する。

上記のように構成された電磁燃料噴射器２１
は、電磁コイル９に通電されると固定鉄心８に吸
引されて開閉弁２５が後退し、弁座２３ａと弁子
２５ａとの間に隙間があく。可動鉄心２６の燃料
連通孔２６ａから流入した燃料は、第５図の矢印
で示すように、ガイド部材２７の螺旋状燃料溝２
７ｂを流れて開閉弁２５の軸心まわりの回転が付
加され、弁座２３ａと弁子２５ａの間の隙間を通
過して噴射口２３から噴射される。噴射された燃
料は回転を続け、噴射角を与えられて外方に向つ
て拡がり、分割された燃料溝の効果とともに微粒
化が促進される。

第６図および第７図はこの考案による第２実施
例の要部を示し、開閉弁３５のスライド部３５ｂ
を保持する。ガイド部材３７は第６図に示すよう
に軸心部にガイド孔３７ａ、外周面に４本の螺旋
状燃料溝３７ｂを有する。ガイド孔３７ａの前部
は前端に向かつて拡がつた円錐面状のストツパー
３７ｂを形成している。この実施例の螺旋状燃料
溝３７ｂも第１実施例と同様にして、噴射される
燃料に噴霧角を与え微粒化を促進する。ただしこ
の実施例の最大ストロークＬは、開閉弁３５の弁
子３５ａが弁座３３ａに当接する位置と、弁子３
５ａがストツパー３７ｃに当接する位置で決めら
れる。従つて可動鉄心３６と固定鉄心８のエア・
ギヤツプは、バルブ・ハウジング３２に対するガ
イド部材３７の位置調整によつて得られ、第１実
施例のスペーサ２６ｂに相当するものは不要であ
る。

この考案は以上説明したように、球面状の弁子
を備えた開閉を有する電磁燃料噴射器において、
バルブ・ハウジング内に外周面に沿つて螺旋状に
少なくとも２本の燃料溝を有し、軸心部にガイド
孔を有するガイド部材を挿入固定し、このガイド
孔に開閉弁のロツド状スライド部を摺動可能に挿
入したことによつて、噴射器の製作を容易にして
コストを低減し、開閉弁の軽量化によつて応答性
を向上させるとともに、噴射口を通過する燃料の
流れに回転を付加し、噴射燃料に所要角度の安定
した噴霧角を与え、微粒化を促進する効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電磁燃料噴射器の縦断面図、第
２図は第１図の噴射口部分の拡大図、第３図以下
はこの考案による実施例を示し、第３図は第１実
施例の縦断面図、第４図は第１実施例の要部の斜
視図、第５図はその作用を説明する噴射口部分の
縦断面図、第６図は第２実施例の要部の斜視図、
第７図はこの要部を含む噴射口部分の縦断面図で
ある。 ２２，３２……バルブ・ハウジング、２５，３
５……開閉弁、２５ａ，３５ａ……弁子、２５
ｂ，３５ｂ……スライド部、２６，３６……可動
鉄心、２７，３７……ガイド部材、２７ａ，３７
ａ……ガイド孔、２７ｂ，３７ｂ……燃料溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 先端に燃料噴射口と弁座を備え後端は開放され
   た筒状のバルブ・ハウジングと、前記バルブ・ハ
   ウジング内に往復動可能に挿入され先端に球面状
   の弁子を備えた開閉弁と、前記開閉弁の後端に結
   合された可動鉄心と、前端を前記可動鉄心の後端
   に対向させた固定鉄心と、前記固定鉄心の外周面
   に巻装された電磁コイルと、前記バルブ・ハウジ
   ングおよび前記固定鉄心を収容し固定する磁気ケ
   ースとからなり、常時は圧縮スプリングで付勢さ
   れて前記開閉弁が閉じ、前記電磁コイルに信号を
   受けると前記開閉弁が開いて加圧燃料を噴射する
   内燃機関用電磁燃料噴射器であつて、前記バル
   ブ・ハウジング内には、外周面に沿つて螺旋状に
   少なくとも２本の燃料溝を有し軸心部にガイド孔
   を有するガイド部材が挿入固定され、前記ガイド
   孔に前記開閉弁のロツド状スライド部を摺動可能
   に挿入したことを特徴とする電磁燃料噴射器。