JPS6329791B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は放電灯の電極の封止部の構造に関す
るものである。

最近のエネルギ事情の要請から白熱電球と交換
して使用して省エネルギ，省資源となる白熱代替
けい光ランプの研究が盛んになつてきている。

そのなかで小形でしかも比較的ランプの効率、
寿命ともに良好なものとして、隔壁により放電容
器内に屈曲した放電路を形成するタイプのものが
知られている。

第１図はそのようなランプを概念的に示した説
明図で、１は下方端が開口した太径のバルブ２は
バルブ１の開口部を閉鎖封止したシステムで、一
対の電極３を支持している。４は電極３，３を隔
てゝバルブ１内に延びる隔壁、５は隔壁４により
屈曲して形成された放電路、６ａ及び６ｂはバル
ブ１の内壁及び隔壁４表面に夫々設けたけい光物
質の被膜、７はケーシングで、電極３に接続され
たグロースタータ８及び安定器９が収納されてい
る。なお１０は白熱電球用の口金で、バルブ１、
ケーシング７及び口金１０は一体に連結され、白
熱電球状のけい光ランプが形成される。

このような構成のものはバルブ１内部が有効に
放電路５として活用され、放電路５を囲繞してい
る部分には被膜６ａ，６ｂが設けられているた
め、小形な割には効率やランプ寿命が良好で、白
熱代替のランプとしては好適なものであるが電極
３を封止するステム２として適当なものがなく、
現在まだ市販されるには到つていない。

すなわち一端に一対の電極３があり、しかも隔
壁４が電極３，３を隔てゝいるため、一般のけい
光ランプの封止方法で封止することが不可飯能で
あつた。またブラウン管の封止のようにボタン２
を用いれば封止は可能である。バルブ１の径が太
いため、従来あるボタンステムが使用できず、新
たに大形のボタンステム２を製作する必要があ
り、それには多大な設備投資を必要とし、白熱代
替ランプとしての安価でなければならないという
要求を満足できないという欠点があつた。

この発明は上記事情に鑑みてなされたものであ
るが、白熱代替けい光ランプのみならず、他の放
電灯の電極の封止に適用しても有効な構造を提供
することを目的とするものである。

第２図、第３図はこの発明の一実施例を示す横
断面図、及び破断図で、図において１は透光部で
あるバルブ、１１はバルブ１の側面に対向して設
けた、ステンレス製の隔壁４の一対の支持溝、５
は放電路、６ａ，６ｂはけい光物質の被膜、１２
はバルブ１の開口端に封着された蓋体であるフオ
ルステライト・セラミツク板でバルブ１とともに
放電容器を形成している。１３はセラミツク板１
２とバルブ１とを封着したガラス・フリツト、１
４はセラミツク板１２に設けた一対の透孔、１５
はセラミツク板に設けた隔壁４の挿入溝、１６
ａ，１６ｂは電極３，３を支持し、透孔１４，１
４を閉鎖封止した一対のステムで、その詳細は第
４図に示されている。

第４図に示したステム１６ａは一般けい光ラン
プに使用されるものと同様のもので、１７は陰極
物質を担持したタングステンフイラメント、１８
は一対のリード線、１９はリード線１８のピンチ
部、２０は漏斗状のガラス・フレア部、２１は排
気口２１ａと連結した排気管である。なおステム
１６ａは排気管２１及び排気口２１ａがない点を
除いてはステム１６ａと同様のものである。

なお第３図において、２２は透孔１４の外周縁
部とフレア部２０とを封着した無機質封着剤であ
るガラス・フリツト、２３は隔壁４の上縁と溝１
５との間を封着したガラス・フリツトである。

次に上記ランプの製造方法につき説明する。先
ずバルブ１及び隔壁４を洗滌、乾燥した後、隔壁
４を溝１１に挿入し、アンチモン付加ハロリン酸
カルシウムけい光物質の塗液をバルブ１の開口端
より注入、排出してけい光塗膜を形成し、その塗
膜の乾燥後焼付けをおこなつてけい光物質の被膜
６ａ，６ｂを形成する。

次にニトロセルローズをイソアミルアセテート
に1.0重量％の割合で溶かした溶剤を作り、この
溶剤１c.c.当り、粒度100メツシユ以下のPbO−
B₂O₃系の粉末ガラス・フリツトを12g混合しペー
ストを製作した。

更に隔壁４及び被膜６ａ，６ｂを装着した上記
バルブ１を第３図のように開口端が上方を向くよ
うに固定し、バルブ１の開口端縁及び隔壁４の上
端縁に上記ペーストを塗付して100℃程度に加熱
し、上記イソミルアセテートを蒸発させる。

一方洗滌、乾燥したセラミツク板１２の透孔１
４，１４の周縁部にも上記ペースト巾の約0.5mm
程度に塗付し、バルブ１と同様に乾燥させる。

ペーストが適宜に乾燥したところで第３図に示
したようにセラミツク板１２をバルブ１の開口端
に載置し、更にフレア部２０が透孔１４の外周縁
に接するまでステム１６ａ，１６ｂを透孔１４，
１４に夫々挿入する。

上記のように形成したものを電気炉中で約８
℃／分の速度で加熱し、約430℃に適宜な時間保
持した後約５℃／分の速度で冷却して封止を完了
する。

その後排気、封入、チツプオフ工程を経てラン
プが製作される。

本発明者らはこの発明に想到する以前に構成及
び製造方法が第３図のものとほとんど同様のもの
で、ステム１６ａ，１６ｂの代りに小形のボタン
ステムを使用したものを試作した。しかしそのよ
うなものは製造中或いは製造後の点灯、消灯によ
るヒートサイクルにより、ボタンステムの封止部
にクラツクやスローリークが頻発した。その原因
を追究した結果、ボタンステムを透孔１４に挿入
する際ペーストが透孔１４内部やボタンステム外
部に不均一な形で押し出される。ボタンステムと
セラミツク板１２との間にあるペースト量が不均
一である。ボタンステムの位置決めが不正確であ
る。ガラス・フリツト２２の融解時に透孔１４の
一部にガラス・フリツト２２が流入し、封止が不
確実になる等が上記封止不良の原因であることが
判つた。

それに対しステム１６ａ，１６ｂを使用したも
のを約30本試作して種々なヒートサイクルで試験
した結果、封止不良は皆無であつた。これはステ
ム１６ａ，１６ｂを挿入する際、ペーストが透孔
１４内にほとんど押出されず、フレア部２０の周
方向にペーストが均一化される。ステム１６ａ，
１６ｂはそのフレア部２０が透孔１４の外周縁に
接するように挿入されるため位置決めが正確で、
その後の工程で移動することがない。ガラス・フ
リツト２２の融解時に透孔１４内にガラス・フリ
ツト２２が流入しない等の効果と、フレア部２０
が漏斗状であるため歪応力がピンチ部１９方向に
逃げる効果とが相俟つて上記のような好成積が得
られたものと思われる。

またランプの設計時にガラス・フリツト２２の
最適量を決定するのに、透孔１４の径を変化させ
たり、フレア部２０の傾斜及び大きさを変化させ
たりすることにより、容易に最適量が決定できる
という利点もある。

更にステム１６ａ，１６ｂは一般けい光ランプ
に使用するものがそのまゝ流用できたり、流用で
きないまでも同一の設備で製作できるため、信頼
性が高く、安価に製作できるという利点もある。

また上記のように500℃以下の低温で融着でき
るガラス・フリツト２２を用いるとタングステン
フイラメント１７が封止工程でほとんど酸化され
ず、早期のランプ黒化や短寿命が発生しないとい
う利点がある。

なお第５図は上記のようなランプのアツセンブ
リの一例を示す斜視図で、図のように電極３に接
続された４本のピン２４ａを有する口金２４をバ
ルブ１に装着し、ピン２４ａでケーシング７と接
続することが量産的に好ましい。

第６図は異なる実施例を示す平面破断図、第７
図はそのＡ−Ａ線断面図で、前図と同一符号は同
一または相当部分を示す。この場合は透光部１は
ソーダ石灰ガラス製の皿状のもので、隔壁４は同
質のガラスで透光部１と一体に形成されている。
また蓋体１２は上記ガラスと熱膨張係数が近似し
ているクロム鉄合金板（Cr：28.0，Mn：0.6，
Ni：0.5，残Fe）を用いた。更にガラス・フリツ
ト１３，１５，２２及び排気管２１を合金板１２
に封着したフリツト２５はすべてPbO−B₂O₃−
ZnO系のものを用いた。ステム１６ｂは6Wけい
光ランプ用のものである。

製造方法として前記実施例のものと異なる点
は、合金板１２を透光部１に封着した後に、別工
程でステム１６ｂを合金板１２に封着した点のみ
である。これはガラス・フリツト１３，１５の量
に比しガラス・フリツト２２の量が少ないため、
ステム１６ｂの封着を短時間でおこなつてその封
着を確実にすることゝ、タングステンフイラメン
ト１７の酸化を軽減することをねらつておこなつ
たものである。

上記のようにして製作した20個のランプのうち
１箇が排気工程中にフレア部２０にクラツクを生
じた外は封止不良はなく、種々なヒートサイクル
による試験にも残余の全数が合格した。上記のも
のと同様な構成、同様な製造方法で、ステム１６
ｂの代りにボタンステムを使用したものの封止不
良が約50％であつたのに比し上記の結果は極めて
良好なものであつた。

上記実施例においてはペースト透孔１４の外周
縁部に塗付した後にステム１６ａ，１６ｂを透孔
１４に挿入したが、ステム１６ａ，１６ｂを挿入
固持した後にフレア部２０を蓋体１２との間隙に
ノズルのようなものを用いてペーストを圧入した
り、フレア部２０の適所にペーストを塗付し、そ
の後にステム１６ａ，１６ｂを透孔１４に挿入し
たりする方法でもほゞ同様の効果が得られる。

また上記実施例は白熱代替けい光ランプに関す
るものであつたが、本発明の効果は前記のよう
に、透孔１４の外周縁部と漏斗状フレア部２０と
を無機質封着剤２２で封着することによつて得ら
れるものであるので、そのような構成が好適であ
る他の放電灯に適用して同様な効果が得られるこ
とは当然である。

なお上記実施例のガラス・フリツト２２は融解
することによつて封着をおこなうもので、現在あ
る材料としては上記のような用途に最適なもので
あるが、現在発達中の焼結によつて封着をおこな
う無機質封着剤２２のようなものに対しても本発
明が有効であることは自明である。

この発明は以上説明したとおり、無機質封着剤
を用いて蓋体の透孔の外周縁部に漏斗状フレア部
を封着することにより、例え複雑な構造を有し、
従来の方法では電極部の封止が困難であるような
放電灯に対しても、確実で信頼性が高く、しかも
安価な封止をおこなうことができるという効果が
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の放電灯の説明図、第２図、第３
図、第４図、及び第５図はこの発明の一実施例を
示す横断面図、破断図、要部正面図、及び斜視
図、第６図及び第７図は異なる実施例を示す破断
図及び断面図である。 図において１は透光部、３は電極、４は隔壁、
５は放電路、６ａ，６ｂは被膜、１２は蓋体、１
４は透孔、１６ａ，１６ｂはステム、２０はフレ
ア部、２２は無機質封着剤である。なお各図中同
一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 透光部に封着され、上記透光部とともに放電
   容器を形成する蓋体、及び無機質封着剤により上
   記蓋体の透孔の外周縁部に漏斗状フレア部が封着
   され、電極を支持したステムを備えた放電灯。 ２ 単一の蓋体に設けた複数の透孔に夫々ステム
   を封着したことを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載の放電灯。 ３ 電極間を隔てる隔壁を設けたことを特徴とす
   る特許請求の範囲第２項記載の放電灯。 ４ 透光部内面と隔壁とにけい光物質の被膜を設
   けたことを特徴とする特許請求の範囲第３項記載
   の放電灯。 ５ 無機質封着剤がガラス・フリツトであること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項乃至第４項の
   何れかに記載の放電灯。