JPS6329524B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明の目的は、従来、特公昭48−35425号公
報などで広く知られているスライドフアスナース
トリンガーの組合せ方法、即ち、スライダーに、
別々に分離して取付けた、左右一組のスライドフ
アスナー用ストリンガーを、正常な状態に組合せ
る方法を実施する際、テープの一側縁部に取付け
られた、コイル状のフアスナーエレメントの持つ
弾性変形を利用して行う、引違いの調整操作時の
スライダー内部における、スライダー内面とエレ
メントとの摩擦を減少し、かつ、調整操作のため
スライダーを普通の結合方向と逆方向に移送し、
この時、スライダーの後口部によつて一対のフア
スナーエレメントを、一時的に噛合いさせる際の
スライダーの下りを良くすることによつて、スラ
イダー内部において互に噛合う、左右フアスナー
エレメントの、調整操作時に要する操作力を軽減
すると共に、調整操作によるフアスナーエレメン
トの変形、およびフアスナーエレメントをテープ
に固着しているエレメント織込み固定糸、又はエ
レメント縫付け固定糸などの損傷を防止すること
にある。本発明のスライダーは、特にコイル状の
フアスナーエレメントを、テープの織成と同時に
そのテープの織成糸によつて、テープに取付け固
定している、所謂、織込みフアスナーのスライダ
ーに適用して有用である。即ち、組合せの対象と
なるフアスナーストリンガーは、合成樹脂材料の
モノフイラメントから成るコイル状の弾性変形可
能なフアスナーエレメントをテープの一側縁部上
に、テープ織成糸あるいはエレメント縫着糸によ
り、取付け固定したものである。通常、この種の
スライドフアスナーは、上下いづれの方向からも
噛合せが可能であるが、その噛合せの際、スライ
ダーにそれぞれ別個に組込んだため、組違い状態
に成つている左右一組のフアスナーストリンガー
を、正常な組合せ状態に組合せを修正する必要が
ある。即ち、左右のフアスナーストリンガーの位
置を、正しく揃えた状態のフアスナーチエーンと
するには、先づ、組違いの状態で、しかもスライ
ダーの内部だけで噛合つている左右両フアスナー
ストリンガーの内、何れか一方を、フアスナーエ
レメントの弾力性を利用して、両方のフアスナー
ストリンガーが、スライダーの後口部から、同じ
長さに揃うまで、強制的に移行する操作と、次に
スライダーをフアスナーチエーンの下端附近まで
摺動した後、折返してスライダーを上方へ摺動す
ることによつて、左右両フアスナーストリンガー
を、正常に噛合せ、正規の組合せフアスナーチエ
ーンとする操作を必要とする。しかし、添附図面
第６図に示すスライダーの様に、従来のスライダ
ーでは、その下翼片の内面の中仕切部分の両側
が、平坦な単一平面に形成されているので、上記
フアスナーストリンガーの移行調整操作の際、ス
ライダー内部における一連の噛合せの変更過程の
間に受ける、コイル状フアスナーエレメントの変
形量、及び荷重が大きいため、スライダーの胴体
の上下内面と、フアスナーエレメント、及びフア
スナーエレメントをテープの一側縁部に止着して
いるエレメント取付け糸との間の摩擦が極めて大
きく、調整に手間が掛り、また、そのため、フア
スナーエレメント及びエレメント取付け糸並びに
テープ縁部に、損傷と変形を生ずることが多かつ
た。

上記に対し、本発明によれば特許請求の範囲の
第１番目に記載した様に、テープ一側縁部の表面
上にコイル状フアスナーエレメントを取付けて成
る左右一対のフアスナーストリンガーを噛合開離
するスライダーであつて、テープ一側縁部上のコ
イル状フアスナーエレメントをエレメント頭部と
反対側のエレメント連結反転部側から案内する外
郭フランジを両側に有する上翼片と、左右の対向
テープ縁部をその裏面から案内する略平板状の下
翼片と、その上下両翼片を当該上下両翼片の前端
中央で連結し、かつ、左右のフアスナーエレメン
トをエレメント頭部側で案内する連結柱とを含む
スライダー胴体を備えたスライドフアスナー用の
スライダーにおいて、下翼片の内面に連結柱の近
傍から始まりスライダー胴体の後口部の端縁に終
る凹溝を、前記下翼片の内面に隆起して設けられ
連結柱の近傍から始まりスライダー胴体の後口部
の端縁に向つて延びる中仕切の両側に、これと平
行し、かつ、隣接してそれぞれ一本づつ配設した
スライドフアスナー用のスライダーとすることに
より、前記従来のスライダーの欠点を解消するこ
とができる。

以下、本発明の一実施態様を図面を参照して説
明するが、本発明の技術的思想である構成を具備
する限り、以下の実施態様に限定されないことは
勿論である。第１図において、１は上翼片で、コ
イル状フアスナーエレメントを、テープの一側縁
部の表面上に取付けたフアスナーストリンガーの
一対を、噛合せ又は解離するためのスライドフア
スナー用のスライダーの胴体Ｂの上部を形成す
る。１′は上翼片１の左右の側縁から下方へ垂下
した外郭フランジで、コイル状のフアスナーエレ
メントをエレメント頭部と反対側のエレメント連
結反転部から案内する。２は上翼片１と対向して
設けた下翼片で、コイル状のフアスナーエレメン
トを取付けている左右の対向テープ縁部を、その
裏面から案内する。３はエレメント押えで、大部
分が平坦面になつている、胴体Ｂの上部内面の中
央に在つて、第３図に示す連結柱４（断面で画し
てある）近く迄伸びる、やゝ幅の広く隆起して設
ける。５は、胴体Ｂの下翼片２の内面で、第１図
に示す様に、その大部分が、平坦面６に成つてい
る。尚、下翼片２は、上翼片１の様な外郭シフラ
ンジ１′は、必要としないが、フアスナーエレメ
ントを間接的に案内する効果を狙つて、立上りの
極めて小さい外郭レール状の物を設ける事も有る
が、実質的には、平板状を形成する。７は、下翼
片２の内面５の中央に設けた中仕切で、前記連結
柱４近くからスライダーの胴体Ｂの後口部Ａの端
縁A′の、僅か前方位置迄、平坦面６から隆起し
て設け、その後口部Ａ側の終端に、傾斜面９を形
成している。従つて、本発明の構成では、中仕切
７の終端に続く、後口部Ａの端縁部分１３は、次
記の凹溝８，８の部分を除き、凹溝外側の平坦面
６と同じ高さ、即ち、面一に形成してある。８は
胴体Ｂの下翼片２の内面５に連結柱４近傍から始
まり、後口部Ａの端縁A′で終る、平行する一組
２本の凹溝で、上記中仕切７の両側に沿つて、こ
れと平行し、且、隣接して、それぞれ１本宛配設
する。尚、上記構成中、中仕切７の後口部Ａ側の
端縁A′近くの構成は、コイル状フアスナーエレ
メントの材質、弾性率などの物性、形状、寸法あ
るいはテープへの取付けなどに於る固着手段、固
着構造などに応じ、また、組違い調整操作に於る
操作力の強弱、凹溝８の構造などに応じ、本明細
書の特許請求の範囲に記載した様に、中仕切７
を、スライダーの胴体Ｂの後口部Ａの端縁A′迄
設けても良いし、また、スライダーの胴体Ｂの後
口部Ａの端縁A′の、僅か前方位置で終らせて設
けても良い。更に、その終端は、角形で角を面取
りした形、または、丸形で角を面取りした形状と
するが、終端を第１図および第２図（断面で示
す）の様に、傾斜面９として形成する場合が最も
スライダーの操作性に於て優れ、また、第４図お
よび第５図に示す様に、凹溝８の断面を、中仕切
７側と反対のテープ縁部１４との接触側に於て、
底面に対し鈍角を成す傾斜面１２に形成する様に
構成することによつて、前記本発明の目的に対
し、更に好ましい効果をもたらすスライダーが得
られる。

次に、本発明の構成に基づく作用を説明する
と、本発明では、中仕切７の両側に、それぞれ平
行し、且、隣接して凹溝８を配設したから、第３
図および第５図に示す様に、組違いに噛合い、し
かもスライダーの内部でだけ噛合せている、左右
両フアスナーストリンガー１０，１１のうち、何
れか一方のフアスナーストリンガー例えばフアス
ナーストリンガー１１をフアスナーエレメント１
０′，１１′の弾性を利用して、両フアスナースト
リンガー１０，１１が、スライダーの後口部Ａか
ら、同じ長さに揃う第８図の位置迄、移行させ様
とすると、第６図に示す様な従来のスライダーで
は、中仕切の両側全面Ｘが、平坦な胴体下部内面
に成つているので、フアスナーエレメントの噛合
せ部分の移行操作に於て、スライダー内部で移行
するフアスナーエレメント１１′の動きによつて、
フアスナーエレメント１１′および人の指で押え
るなど、固定的に保持されている、他方のフアス
ナーストリンガー１０のフアスナーエレメント１
０′には、強い力が仂き、そのため、フアスナー
エレメント１０′は、それ自体の弾性によつて変
形し、噛合部分が傾き、噛合を外すことに成る
が、この時、スライダー内部は、本発明のスライ
ダーと較べると狭く、しかも、スライダー内部に
於るコイル状のフアスナーエレメント１１′の動
きは胴体上翼片のエレメント押え３および胴体下
翼片の中仕切７によつて制限されているから、噛
合部分のエレメント頭部は、噛合が外れかゝた分
だけ、エレメントの他の部分を押圧する事に成る
結果、スライダーの胴体Ｂの下翼片２の内面５と
接する、フアスナーエレメントの固着のためのエ
レメント取付糸１５、テープ縁部１４およびフア
スナーエレメント１１′は、スライダーの内壁面
に強く圧接し乍ら、次々と、噛合を外し、次の噛
合へ移行する事に成るので、上記フアスナーエレ
メント、エレメント取付糸、テープ縁部などが、
損傷し易い。

上記に対し、本発明のスライダーには、中仕切
７の両側に、それぞれこれと平行し、且、隣接す
る凹溝８を配設したから、スライダーの胴体Ｂ内
のフアスナーエレメント１０′，１１′は、下向き
の逃げが可能に成り、組違いのフアスナーエレメ
ントの噛合移行操作の際、スライダーとの摩擦が
減少し、フアスナーエレメント１１′とエレメン
ト取付糸１５等に損傷を及す支障が、極めて少な
い。そして、中仕切７を胴体Ｂの後口部Ａの端縁
A′迄設けず、その後口部Ａの端縁A′の僅か前方
位置で終る構成とし、それに続く部分を、下翼片
２の下面６と面一または上記下面６よりは低い
が、凹溝８の底面よりは高くする時は、両フアス
ナーストリンガー１０，１１の引揃が完了した
後、スライダーをフアスナーチエーンの下端附近
迄、下方へ移行する時、スライダー内部に於るフ
アスナーエレメント１０′，１１′の逆方向の、一
時的噛合せ（この時は、スライダーの左右の肩口
から、左右のフアスナーストリンガー１０，１１
のフアスナーエレメント１０′，１１′が導入され
て、エレメント頭部が左右方向から正規に噛合う
のではなく、スライダーの後口部Ａで、エレメン
ト頭部を、一時的に、上下位置に近い状態から噛
合せる事に成る）に際し、エレメント頭部の上下
方向の噛合せを促す作用が強められ、その際、中
仕切７の終端を傾斜面９として形成してあるとス
ライダーの下方移行時のスタート抵抗を、一層軽
減でき、移行操作が円滑に成る、更にまた、凹溝
８の中仕切７側と反対側の、テープ縁部１４接触
側の断面形状を、凹溝８の底面に対し、鈍角の傾
斜角度を持つ傾斜面１２として形成して置くと、
エレメント取付糸１５，テープ縁部１４などが、
溝のかど（角）と巖しい条件（例えば角張つた状
態）で接触することなく移動でき、エレメント取
付糸１５，テープ縁部１４などに損傷を及す事の
少い面接触的摺動に成つて、接触荷重を分散でき
ると共に、特に、後口部Ａの端縁A′附近に在る
面一の部分（中仕切７の延長上に在る）１３が、
第５図の様に、コイル状のフアスナーエレメント
１０′，１１′を支承する事によつて、テープ縁部
１４およびエレメント取付糸１５を、傾斜面１２
から浮かせることに成るので、スライダーの下方
移行時の、スタート時の抵抗は極めて小さい物に
成る。

以上、詳細に説明した本発明のスライダーの構
成および作用から、明らかな様に、特許請求の範
囲に記載した本発明のスライダーは、中仕切の両
側に、それぞれ平行し、且、隣接して配設した凹
溝によつて、組違い状態に成つたフアスナーチエ
ーンの調整時に於るフアスナーストリンガーの動
きを、円滑に行う事を可能にしたものであり、し
かも、従来の凹溝の無いスライダーに較らべ、フ
アスナーストリンガーに、損傷を及す事が、格段
に少いスライダーである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のスライダーの実施態様の一例
を示す斜視図、第２図はスライダーの胴体の後口
部の凹溝と中仕切を示す縦断側面図、第３図はス
ライダーの胴体の上翼片を切除して、胴体の下翼
片部を示し、これに左右両フアスナーストリンガ
ーの組違いを調整中の状況を、一方のフアスナー
ストリンガー１０を固定し、他方のフアスナース
トリンガー１１を移行した状態で示した説明図、
第４図は第３図のＡ―Ａ線位置に於る断面図、第
５図は仝じくＢ―Ｂ線位置に於る断面図、第６図
は従来のスライダーの後口部の断面図、第７図は
組違いの状態に於る左右のフアスナーストリンガ
ーと、スライダーの位置関係を示す説明図、第８
図は引違い調整移行操作後の、正規の状態に成つ
たフアスナーチエーンを示す説明図である。 図の主要な部分を表す符号の説明、Ｂ…（スラ
イダーの）胴体、Ａ…（胴体Ｂの）後口部、
A′…（後口部Ａの）端縁、１…上翼片、２…下
翼片、３…（上翼片１の）エレメント押え、４…
連結柱、５…（下翼片２の）内面、６…（内面５
の）平坦面、７…中仕切、８…凹溝、９…（中仕
切７の）傾斜面、１０…左フアスナーストリンガ
ー、１０′…左フアスナーエレメント、１１…右
フアスナーストリンガー、１１′…右フアスナー
エレメント、１２…（凹溝８の）傾斜面、１３…
（中仕切７の終端に続く）端縁部分、１４…テー
プ縁部、１５…（フアスナーエレメントの）取付
糸、Ｘ…（従来のスライダーの下翼片の内面の）
平坦面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ テープ一側縁部の表面上にコイル状フアスナ
   ーエレメントを取付けて成る左右一対のフアスナ
   ーストリンガーを噛合開離するスライダーであつ
   て、テープ一側縁部１４上のコイル状フアスナー
   エレメント１０′，１１′をエレメント頭部と反対
   側のエレメント連結反転部側から案内する外郭フ
   ランジ１′を両側に有する上翼片１と、左右の対
   向するテープ一側縁部１４，１４をその裏面から
   する略平板状の下翼片２と、その上下両翼片１，
   ２を当該両翼片１，２の前端中央で連結し、且、
   左右のコイル状フアスナーエレメント１０′，１
   １′をエレメント頭部側で案内する連結柱４とを
   含むスライダー胴体Ｂを具備するスライドフアス
   ナー用のスライダーにおいて、下翼片２の内面５
   に連結柱４の近傍から始まりスライダー胴体Ｂの
   後口部Ａの端縁A′に終る凹溝８を、前記下翼片
   ２の内面５に隆起して設けられ、連結柱４の近傍
   から始まりスライダー胴体Ｂの後口部Ａの端縁
   A′に向つて延びる中仕切７の両側に、これと平
   行し、且、隣接してそれぞれ一本ずつ配設したこ
   とを特徴とするスライドフアスナー用のスライダ
   ー。 ２ 前記中仕切７が連結柱４の近傍から始まり、
   スライダー胴体Ｂの後口部Ａの端縁A′に至るま
   で延びていることを特徴とする特許請求の範囲の
   第１番目に記載したスライドフアスナー用のスラ
   イダー。 ３ 前記中仕切７が連結柱４の近傍から始まり、
   スライダー胴体Ｂの後口部Ａの端縁A′の僅か前
   方位置で終ることを特徴とする特許請求の範囲の
   第１番目に記載したスライドフアスナー用のスラ
   イダー。 ４ 前記中仕切７の終端を傾斜面９として形成さ
   せたことを特徴とする特許請求の範囲の第３番目
   に記載したスライドフアスナー用のスライダー。 ５ 前記凹溝８に中仕切７と反対側で、凹溝８の
   底面と、断面において鈍角を形成する傾斜面１２
   を設けたことを特徴とする前記いづれか一つの特
   許請求の範囲に記載されたスライドフアスナー用
   のスライダー。