JPS6327263Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はコーヒー、紅茶等の飲料抽出装置に関
し、例えばカツプコーヒー自動販売機のようにグ
ラインドコーヒー等から所定量のコーヒーを抽出
する装置に関する。

〔従来の技術〕

この種の抽出装置に用いられる抽出機構として
例えば米国特許第3660117号に記載の抽出装置が
知られている。

ここで、上述の抽出機構を用いた自動販売機の
コーヒー抽出装置について第５図を参照して説明
する。

図において、抽出装置は抽出カツプを含む移動
台２、シリンダ３、ピストン４とを含んでコーヒ
ー抽出を行う抽出機構と、抽出液に砂糖キヤニス
タ５、クリームキヤニスタ６からの砂糖、クリー
ムをそれぞれ混合するミキシング機構とを備えて
いる。抽出機構において、シリンダー３の上端面
には、一対の案内棒１５の一端（下端）が固定さ
れており、この案内棒１５の他端（上端）は互い
に連絡されている。案内棒１５は抽出装置筐体
（図示せず）に固定された枠体１４に対して上下
方向に移動可能に支持されており、シリンダー３
中に配置されたピストン４は滑動部４ａによつて
案内棒１５に滑動可能に支持されている。そし
て、滑動部４ａと枠体１４との間において、案内
棒１５にはコイルバネ４ｂが装置されている。

次に、この抽出装置の動作を説明する。

コイン投入後、選択ボタンが押されると、コ
ーヒーキヤニスタ７からのグラインドコーヒー
がコーヒーシユート８内に供給される。

次にモータ９が回転し、カム群１０によつて
抽出機構が動作する。

移動台２はシリンダ３の直下へ引かれる途
中、コーヒーシユート８内からグラインドコー
ヒーを受取り、シリンダ３の直下で停止する。

カム群１０によつてシリンダ３、ピストン
４、及び案内棒１５が組みとなつて下降し、移
動台２の抽出カツプとシリンダ３の下端とが当
接する。

給湯電磁弁１１に通電され、シリンダ３内へ
給湯される。

カム群１０によつてピストン４が降下して、
湯がシリンダ３の下端より押出され、これによ
つてコーヒー液が抽出されて、ミキシングボー
ル１２に供給される。

砂糖、クリームモータが回転し、ミキシング
ボール１２でコーヒー液と砂糖、クリームが混
合されてカツプ１３に注がれる。

抽出終了後、シリンダ３、ピストン４、及び
案内棒１５が上昇する。

移動台２は待機位置（図中、一点鎖線で示
す）に戻る。なお移動台２に残つたコーヒーか
すは、待機位置直前で捨てられる。

ところで、飲料抽出の際には、湯の漏れを防止
するうえから、シリンダの下端と抽出カツプとを
密着させる必要がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、例えば、５〜６杯のコーヒーを連続
して抽出すると、熱によつてシリンダ３が膨張す
る。このシリンダ３の膨張によつて、案内棒１５
の下端部（シリンダ３との取付部）が径方向外方
に移動する。即ち、一対の案内棒１５の間隔は下
端部の方が上端部よりも広くなる（案内棒１５が
非直線状となる）。従つて、案内棒１５が下降す
る際、案内棒１５と枠体１４との摩擦抵抗が増加
する。この摩擦抵抗の増大によつて案内棒１５が
十分に降下することができず、一方、前述のよう
にシリンダ３、ピストン４、及び案内棒１５は組
みとして下降するから、シリンダ３の下端が抽出
カツプを押圧する力が弱くなる。即ち、シリンダ
３が抽出カツプを十分押圧できず、シリンダ３と
抽出カツプとの密着性が悪くなる。従つて、ピス
トン４による抽出の際、湯水がシリンダ３と抽出
カツプとの境目から漏れて、コーヒー抽出液の出
来上り量が少なくなる。また、湯水漏れによつて
抽出装置が腐食して非衛生的であるという問題点
がある。又シリンダと抽出カツプの密着性を良く
するために案内棒に装着するコイルばねを、より
強力なものにした場合は、その弾性により内部機
構のカムやカムホロアを痛めるおそれがある。

本考案の目的はシリンダが熱膨張しても、シリ
ンダと抽出カツプの密着性が良好に保てる飲料抽
出装置を提供することである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、両端開放形のシリンダと、このシリ
ンダの外周面に下端が固着され、かつ上端が互い
に連結された上下方向に延びる一対の案内棒と、
上記のシリンダ内に上方から滑動する案内棒に滑
動可能に支持されたピストンと、この案内棒を上
下方向に移動可能に支持する枠体と、上記のシリ
ンダ下部に対置される抽出カツプと、飲料抽出の
ため、シリンダの底部を抽出カツプで塞ぐように
上記のシリンダ、ピストン及び案内棒の組みの下
降を許すカム機構とを有する飲料抽出装置におい
て、上記上下方向に延びる案内棒に設けられかつ
軸止部によつて２分割されたばねを設け、前記ば
ねのうち下方のばねは前記シリンダを常に下方へ
押圧し、飲料抽出時に、上記のシリンダと抽出カ
ツプとの密着を十分に保持するようにしたことを
特徴とする飲料抽出装置である。

（作用） 本考案では、枠体とシリンダとの間に圧縮ばね
を設け、この圧縮ばねによつてシリンダを常に下
方へ押圧するようにしている。従つて、シリンダ
の熱膨張によつて、案内棒が非直線形状となつ
て、案内棒が十分降下できなくても、圧縮ばねに
よつてシリンダは下方へ押圧され、その結果、シ
リンダと抽出カツプとの密着を十分に保つてい
る。

〔実施例〕

以下本考案について実施例によつて説明する。

第１図〜第３図はそれぞれ本考案の要部である
抽出機構の正面図（一部断面）、側面図（一部破
断）、平面図である。

抽出機構１００は、第３図に示すように、前壁
２１、背壁２２、左側壁２３、右側壁２４より成
る枠体２０を有する。背壁２２は、後述するフイ
ルタ３１や筒状の抽出カツプ３２を含むベース部
３０の支持部材としても作用する。案内棒２５，
２６が背壁２２、前壁２１に支持されている。後
述するシリンダ４０やピストン５０はこれらの案
内棒２５，２６に取り付けられる。

シリンダ４０はその下部外壁に直径方向の２箇
所に突部４１，４１′を有している。案内棒２５，
２６はそれぞれ、背壁２２の上下の軸支部２２
１，２２２、前壁２１の上下の軸支部２１１，２
１２で支持されると共に、突部４１，４１′にお
いて固着されている。案内棒２５には、その下部
軸支部２２２のやや上方にＥリング２５１が取り
付けられると共に、Ｅリング２５１の上方にはコ
イルばね２５２が装着されている。同様に、案内
棒２６側には、その下部軸支部２１２のやや上方
にＥリング２５１′が取り付けられると共に、Ｅ
リング２５１′の上方にはコイルばね２５２′が装
着されている。このようにして、シリンダ４０は
案内棒２５，２６に固定され、これらと共に上下
動可能となる。

シリンダ４０の下部はろうと状になつており、
このろうと状部４２の下端開口部４２１には、Ｃ
形リング（図示せず）により微細網目スクリーン
（図示せず）を交換可能に保持している。このス
クリーンは、抽出に際し抽出カツプ３２内の例え
ばグラインドコーヒー粉が熱水と共に上昇してシ
リンダ４０内に付着するのを防止する。

第４図に示すようにシリンダ４０の上部側壁に
は周方向に間隔をおいて数個の穴４３が形成され
ている。そして、シリンダ４０の外壁には穴４３
を囲むように樋４４が取り付けられている。この
樋４４にはピストン５０が最上部位置にある時に
抽出用の例えば熱水が供給され、シリンダ４０内
に入る。

ピストン５０は、第４図に示すように、上側の
略Ｕ形の腕部５１と下側のヘツド５２とからな
り、これら２つの部材は接合部分の一方にナツト
を、他方にはボルトをそれぞれ埋め込んで一体に
組み立てられている。ヘツド５２の周囲には密封
用の例えばシリコーンゴムによるピストンリング
５３を締着している。腕部５１の両側の最上部に
はそれぞれ、ピストンの中心軸方向にせん孔され
た通孔を有する案内部５１１及び５１１′が設け
られており、これらの通孔には案内棒２５，２６
がそれぞれ挿通される。コイルばね２５２は、案
内部５１１とＥリング２５１との間の案内棒２５
の周囲に装着されている。案内棒２６側も同様で
ある。

カム従動子５４が腕部５１の中央部上部に軸５
６により回動自在に支持されている。２つの案内
部５１１及び５１１′はピストンリング５３と共
に３点ピストン案内機構を構成する。なお、ピス
トン５０はヘツド５２が常にシリンダ４０内にあ
るような範囲で上下動する。

案内棒２５，２６の上端にはシリンダ４０を作
動させるためのブリツジ２８が固着されている。
シリンダ４０、ブリツジ２８、及びこれらを上下
両端で固定している案内棒２５，２６より成る組
み合わせは、案内棒２５，２６の平行性を保証す
るための剛性の長方形枠を形成し、これによりこ
の枠の円滑な昇降を保証している。ブリツジ２８
の中央部分は、第１図に示すように、シリンダ４
０の中心軸からややずれており、そこからアーム
２８１が垂下している。このアーム２８１の下端
には溝が形成され、この溝内にカム従動子２８２
が軸２８３で回動自在に支持されている。

前壁２１と背壁２２とを挿通して軸６０が挿通
され、この軸６０には、前壁２１より前方にプー
リ６１が、前壁２１と背壁２２との間にはカム従
動子５４と係合するピストンカム６２及びカム従
動子２８２と係合するカム６３，カム６４等がそ
れぞれ固着されている。カム６４はカム従動子７
０を有する扉形ギヤ７１とかみ合い、この扉形ギ
ヤ７１とかみ合うギヤ７２を有するプーリ６９に
ケーブル７３の一端が連結され、その他端はベー
ス部３０に連結されている。軸６０は固定配置さ
れたモータ６５で駆動される。

さらに軸支部２１２と突部４１′との間及び軸
支部２２２と突部４１との間にはそれぞれ図示の
ように案内棒２５及び２６に沿つて圧縮ばね２２
３及び２２４が装着されている。なお、この圧縮
ばね２２３及び２２４は図中においてはコイルば
ねで示されているが、薄板ばねを装着してもよ
い。

次に上述の飲料抽出装置の動作について説明す
る。

まず、自動販売機において、所定金額の硬貨が
投入され、商品選択ボタンが押されると、モータ
６５によつて軸６０が回動する。軸６０の回動に
よつてプーリ６９を介して抽出カツプ３２が第１
図において左方向へ駆動される。抽出カツプ３２
がフイルタ３１上に位置すると、導入路３３から
予め計量されている一回分のグラインドコーヒー
が抽出カツプ３２内へ供給される。引き続き、抽
出カツプ３２はフイルタ３１とともに移動し、シ
リンダ４０の直下で停止する。

この時、シリンダ４０が下方に駆動され、シリ
ンダ４０の下端に突出した一対の突起（図示せ
ず）に抽出カツプ３２の上端の縁が当接する。そ
の後、シリンダ４０の下端と抽出カツプ３２の上
端に設けられた密封リング３４とが密着する。そ
して、所定量の熱水が樋４４からシリンダ４０内
へ供給される。

ここで、シリンダ４０が前回の販売によつて膨
張（熱膨張）していると、シリンダ４０に設けら
れている突部４１，４１′間の距離が通常の場合
（シリンダ４０が熱膨張していない場合）に比べ
て大きくなつている。即ち、枠体２０の軸支部２
１２と突部４１′、及び軸支部２２２と突部４１
が一直線上に配置されていないから、案内棒２５
及び２６がそれぞれ軸支部２２２及び２１２を通
過する場合の摩擦抵抗が増大する。従つて、シリ
ンダ４０の下端と抽出カツプ３２の上端に設けら
れた密封リング３４との密着が不十分となつて、
熱水が漏れる場合がある。この場合、軸支部２２
２と突部４１との間及び軸支部２１２と突部４
１′との間にはそれぞれ圧縮コイルばね２２４及
び２２３が設けられているから、この圧縮コイル
ばね２２４及び２２３がシリンダ４０を下方へ押
圧し、シリンダ４０の下端と密封リングとをしつ
かりと密着させる。従つて熱水が漏れることはな
い。

軸６０が回動を続けると、ピストン５０が下降
をはじめ、案内部５１１はコイルばね２５２を圧
縮して密封リング３４とフイルタ３１に設けられ
たリング（図示せず）とを密着させ、水漏れを防
止する。ヘツド５２がシリンダ４０の穴４３より
も下方に下がると、シリンダ４０内の熱水表面と
ヘツド５２との間に密封空気層が形成される。こ
の密封空気層は、まず熱水から熱を吸収して急速
に膨張しようとし、ヘツド５２の下降と相まつて
圧力が急速に上昇する。熱水はグラインドコーヒ
ー粉末を通過し、コーヒー抽出が始まる。

抽出が行なわれている間に、コイルばね２５２
は連続的に圧縮され、シリンダ４０の下縁と抽出
カツプ３２の密封リング３４との密着力を増大さ
せる。同時に、抽出カツプ３２の下縁とフイルタ
３１上の密封リングとの間の密着力を増大させ
る。そして、ヘツド５２が下方位置に達し、すべ
ての熱水がグラインドコーヒーより押し出された
時、ピストン５０はピストンカム６２によりやや
速い下降速度に変化して熱い密封空気を抽出済み
の抽出かすに押し通す。更に、ピストン５０は、
その下降工程の端部に到達する直前に速度０に近
づく。この箇所でコイルばね２５２は最大圧縮位
置にある。ところで、抽出済みの抽出かすを通る
熱い密封空気は、抽出かすを脱湿して廃棄し易い
状態にする。抽出液はろうと部３５から出て行
き、その後、前記したように、砂糖、ミルク等の
他の材料と混合され、カツプに供給される。

ピストン５０がその最下端位置に到達すると、
シリンダ４０及びピストン５０は例えば３mm程度
のわずかな距離だけ上方に駆動され、抽出カツプ
３２が抽出動作前の元の位置に戻るのを妨げない
ようにしている。

このように、合成樹脂製のシリンダ４０が熱水
によつて膨張し、突部４１，４１′の間隔が軸支
部２１２及び２２２に案内支持された案内棒２
５，２６の間隔より大きくなつて、シリンダ４
０、ブリツジ２８及びこれらを上下端で固定して
いる案内棒２５，２６で構成される剛性の組合せ
体の円滑な下降が損なわれて、シリンダ４０の押
下力が弱められるが、圧縮ばね２２３，２２４に
よつてシリンダ４０を常に下方に押圧しているか
ら、抽出カツプ３２とシリンダ４０との密着性が
損なわれることはない。

なお、コイルばね２５２の圧縮力を強めて、コ
イルばね２５２が最大に伸びている時においても
十分な押下力を供給できるようにすれば、シリン
ダ４０と抽出カツプ３２との密着性は熱水供給時
においても十分であるが、コイルばね２５２を圧
縮する場合のモータ出力が大きくなければなら
ず、抽出装置自体が大型化し、電力消費も大きく
なる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案ではシリンダと抽
出カツプとの密着を十分に確保するため、シリン
ダを常に下方へ押圧する圧縮ばねを設けたことに
より、シリンダと抽出カツプとの密着性がよくな
り、シリンダが熱膨張していても熱水が漏れるこ
とはない。またモータの出力が小さくても、即ち
消費電力が少なくてもシリンダと抽出カツプとの
密着性を十分保てるので省エネルギー効果の高い
飲料抽出装置を提供することができる。さらにシ
リンダと抽出カツプとの密着性を保つために強い
ばねを設けて押圧する必要がなくカムやカムホロ
ワ等の内部機構をいためるおそれがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による飲料抽出装置の一実施例
の要部を一部断面で示す正面図、第２図は本考案
による飲料抽出装置の一実施例の要部を一部破断
して示す側面図、第３図は本考案による飲料抽出
装置の一実施例の要部を示す平面図、第４図は本
考案による飲料抽出装置の一実施例の要部を示す
斜視図、第５図は飲料抽出装置の一例を説明する
ための図である。 ２……移動台、３……シリンダ、４……ピスト
ン、５……砂糖キヤニスタ、６……クリームキヤ
ニスタ、７……コーヒーキヤニスタ、８……コー
ヒーシユート、９……モータ、１０……カム群、
１１……給湯電磁弁、１２……ミキシングボー
ル、１３……カツプ、１００……抽出機構、２１
……前壁、２２……背壁、２３……左側壁、２４
……右側壁、３１……フイルタ、３２……抽出カ
ツプ、２５，２６……案内棒、２８……ブリツ
ジ、３０……ベース部、４０……シリンダ、５０
……ピストン、２５２，２５２′……コイルばね、
２２３，２２４……圧縮コイルばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 両端開放形のシリンダと、該シリンダの外周面
   に下端が固着され、かつ上端が互いに連結された
   上下方向に延びる一対の案内棒と、前記シリンダ
   内に上方から滑動する該案内棒に滑動可能に支持
   されたピストンと、前記案内棒を上下方向に移動
   可能に支持する枠体と、前記シリンダ下部に対置
   される抽出カツプと、飲料抽出のため、前記シリ
   ンダの底部を前記抽出カツプで塞ぐように前記シ
   リンダ、ピストン及び案内棒の組みの下降を許す
   カム機構とを有する飲料抽出装置において、前記
   上下方向に延びる案内棒に設けられかつ軸止部に
   よつて２分割されたばねを設け前記ばねのうち下
   方のばねは前記シリンダを常に下方へ押圧し飲料
   抽出時に、前記シリンダと前記抽出カツプとの密
   着を十分に保持するようにしたことを特徴とする
   飲料抽出装置。