JPS6327153Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の属する技術分野〕 本考案は車輌用シユーブレーキに係り、特にア
ジヤスタカムを用いたシユーブレーキのシユーク
リアランス調整機構における摩耗限表示装置に関
する。

〔従来技術の説明〕

従来、シユーブレーキにおいて、反復制動操作
に伴いライニングの摩耗は避けられず、ライニン
グが摩耗すると、ブレーキのペダルストロークは
これに相当した分だけ増大する。従つて、これに
対応する調整を行なわないと、ブレーキペダルを
踏んだときのフイーリングに影響する。ブレーキ
のライニングの摩耗限界を示す装置としては従来
から種々の考案が提案されてきているが、その一
例としてスパイダを挾んでその両側にシユーの動
きと連動するカム手段、およびばねを内蔵したカ
バー部の先端に貫通軸を介して回動可能に配設さ
れた板物のインジケータを用いて、ブレーキライ
ニングの摩耗限表示を行なつている機構がある
が、この機構では構成部品点数が多く、さらにイ
ンジケータを初期位置にセツトすることが困難で
あつた。

〔本考案はの目的〕

本考案は上記の点に鑑みてなされたもので、そ
の目的はブレーキライニングの摩耗限を確実に表
示して視認することができるとともにシユークリ
アランスの初期セツトを容易に行うことができる
シユークリアランス調整機構における摩耗限表示
装置を提供することにある。

〔本考案の要旨〕

本考案の要旨は、防塵カバーとこの防塵カバー
に収容されたスプリングを貫通する軸の一端にピ
ンを植設し、バツクプレートおよびスパイダを貫
通する軸の他端には、ブレーキシユーに設けられ
たアジヤスタカムを固設した軸とより、成り立つ
ていて、前記スプリングならびに前記ピンにより
前記防塵カバーを前記バツクプレートに回動可能
に装着されるシユークリアランス調整機構におけ
る摩耗限表示装置であつて、前記防塵カバーと前
記ピンとの間には、ワツシヤを介装させて、この
ワツシヤの一側を防塵カバーの内側端面に係止さ
せると共に、ワツシヤの他側を前記ピンと接合さ
せて、前記防塵カバー外周面に指標を設けると共
に前記防塵カバー外周面に隣接するバツクプレー
ト面にシユークリアランス調整範囲およびシユー
のライニング摩耗限範囲を表示する目盛を設けた
ことを特徴とするシユークリアランス調整機構に
おける摩耗表示装置にある。

〔本考案の実施例〕

以下、本考案をその実施例について添付図面を
参照して説明する。

第１図および第２図はそれぞれ本考案によるシ
ユークリアランス調整機構の摩耗限表示装置の一
実施例の装着断面図ならびに外観斜視図、第３図
は本考案によるシユーブレーキ内部の説明図であ
る。

図において、スパイダ１と一体結合されたバツ
クプレート２に、このスパイダ１およびバツクプ
レート２の部分を貫通した一方の側にアジヤスタ
カム３（本実施例においてはスネイルカム）を、
他方の側にはピン７を、防塵カバー４に収容され
たスプリング５および該カバー内を貫通するカム
軸６に配設し、一体的に回動可能に装着されてい
る。ここで、ピン７はカム軸６の好適位置に穿設
された貫通孔に挿入されて配設される。そして、
装着状態において、防塵カバー４のみをバツクプ
レート２に対して回動させるための工具掛け部分
すなわち六角部８が防塵カバー４のバツクプレー
ト２から離れた位置に設けられている。ここに、
１１，１３はそれぞれ防塵カバー４内に収容され
てスプリング５と接するワツシヤで、１２は防塵
カバー４の外側端面とピン７との間に配設される
ソフトワツシヤである。ワツシヤ１１の一側はス
パイダ１と接し、その他側はスプリング５と接し
ている。また、ワツシヤ１３の一側は防塵カバー
４の内側端面と係合すると共にその一部は前記外
側端面から外方へ突出してピン７と接し、その他
側は防塵カバー４内に収容されているスプリング
５と接している。その結果、ワツシヤ１１と１３
間に配設されるスプリング５を介してピン７によ
る押付け力によりアジヤスタカム３はスパイダ１
側へ押付けられることになる。第２図から明らか
なように、バツクプレート２の防塵カバー４に隣
接する表面に全体を９で示す放射状角度目盛が付
設され、これと対応する防塵カバー４の外周面上
の所定位置に指標１０が表示されている。放射状
角度目盛９に記したAB間の距離はシユークリア
ランス初期調整量BC間の距離が摩耗限範囲を示
す。第３図は本考案によるシユーブレーキの内部
を概略示すもので、ドラム１５の内側周囲に一対
のシユー１６，１６′が取り付けてある。この一
対のシユー１６，１６′の好適位置に設けられた
突軸１７，１７′にはアジヤスタカム３，３′が好
適に接して回動自在になるように設けられてい
る。そして、これら一対のシユー１６，１６′は
バネ１８で結合されている。なお、シユー１６，
１６′は図示しないブレーキペダルの踏み込みに
より矢印Ｄで示す拡張方向へ拡がつてドラム１５
に押付けられてブレーキが作動し、ブレーキペダ
ルの踏み込み解除によりバネ１９の作用で元の位
置へ復帰するように構成されている。

〔実施例の作用〕

以上のような構成になる本考案実施例の作用に
ついて以下に説明する。

通常アジヤスタカム３を回転させる場合、スプ
リング５およびソフトワツシヤ１２を介してピン
７の押付け力により防塵カバー４も共に回転す
る。ここで、防塵カバー４に設けた六角部８を工
具で回転させると、ピン７と防塵カバー４の間に
ソフトワツシヤ１２が介装されているので、防塵
カバー４のみがバツクプレート２に対して相対回
転できるから、シユーブレーキの初期セツト時に
防塵カバー４の指標（矢印）１０の位置を容易に
設定することができる。さらに、摩耗範囲の他に
バツクプレート２側に設けた等間隔の目盛を利用
してシユークリアランスの正規範囲を明示して、
シユークリアランスの調整を容易に行うことがで
きる。すなわち、その調整を行うには、初期セツ
ト時において、アジヤスタカム３，３′をシユー
拡張方向Ｄにドラム１５と当接するまですなわ
ち、アジヤスタカム３，３′と応動するようにさ
れているシユー１６，１６′がドラム１５と当接
するまで回し、防塵カバー４の矢印１０の位置を
バツクプレート２のＡの位置に合わせ、再びアジ
ヤスタカム３，３′をＢの位置まで戻せばよい。
そして、ブレーキ使用中にライニングが摩耗して
くると、ブレーキペダルによりアジヤスタカム
３，３′を突軸１７，１７′と協働させて回して
も、その摩耗量に応じて防塵カバー４が、スプリ
ング５とピンの押付け力により、放射状角度目盛
９に沿つて移動するので、ライニングの摩耗量が
放射状角度目盛９上に表示されることになる。な
お、本考案の装置は視認方式を対象として述べた
が、電気式等の手段を用いて摩耗限到達時に、警
告手段を用い警告を発するようにすることも可能
である。

〔本考案の効果〕 以上説明してきたように本考案では、防塵カバ
ーがあるために、車両の走行中に、塵埃が機器に
侵入するのを防止できるし、従来例のように固定
爪と可動爪とがかみ合う度に不快な雑音を生ずる
こともなく、円滑にカム軸が回転できる。また、
防塵カバーに指標を設けたのでシユークリアラン
ス初期調整量をきわめて容易にセツトすることが
でき、従来のものよりも、正確にライニングの摩
耗限を視認することができるし、部品点数を少く
することができるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はそれぞれ本考案に係るシ
ユークリアランス調整機構の摩耗限表示装置の一
実施例の概略装着断面図ならびに外観斜視図、第
３図は本考案に係るシユーブレーキ内部の説明図
である。 １……スパイダ、２……バツクプレート、３，
３′……アジヤスタカム、４……防塵カバー、５
……スプリング、６……軸、７……ピン、９……
放射状目盛、１０……指標、１５……ドラム、１
６，１６′……シユー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 防塵カバーとこの防塵カバーに収容されたスプ
   リングを貫通する軸の一端にピンを植設し、バツ
   クプレートおよびスパイダを貫通する軸の他端に
   は、ブレーキシユーに設けられたアジヤスタカム
   を固設した軸とより、成り立つていて、前記スプ
   リングならびに前記ピンにより前記防塵カバーを
   前記バツクプレートに回動可能に装着されるシユ
   ークリアランス調整機構における摩耗限表示装置
   であつて、前記防塵カバーと前記ピンとの間に
   は、ワツシヤを介装させて、このワツシヤの一側
   を防塵カバーの内側端面に係止させると共に、ワ
   ツシヤの他側を前記ピンと接合させて、前記防塵
   カバー外周面に指標を設けると共に前記防塵カバ
   ー外周面に隣接するバツクプレート面にシユーク
   リアランス調整範囲およびシユーのライニング摩
   耗限範囲を表示する目盛を設けたことを特徴とす
   るシユークリアランス調整機構における摩耗表示
   装置。