JPS6326427Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はダム等の放水バルブとして用いられ
るコーンバルブにおけるフードに関するものであ
る。

一般にダムの放水に用いられる調節可能な高圧
バルブとしては、ホロージエツトバルブ、ニード
ルバルブおよびコーンバルブがある。そしてなか
でもコーンバルブは、ハウエルバンガーバルブと
も称されていて、その名のとおりに、導水管とな
るシリンダと、シリンダの下流側端部に設けられ
たコーンと、シリンダの外周部にあつて軸方向に
可摺動的に配された外層シリンダとから概ね構成
され、コーン外周部に対して外層シリンダを摺動
調節させることにより、コーン外周部と外層シリ
ンダ周端部との間隙から、拡散ジエツトとして放
水するバルブとして知られており、比較的簡単な
構造で制御が容易であること、また放水が拡散ジ
エツトで一度霧状になつてから放流されるため
に、下流構造物に損傷を与えないことなどの理由
から広く利用されている。

ところでこのコーンバルブにおいては、放水下
流側に拡散ジエツトの水膜を受ける内面平滑な円
筒状フードを設けると共に、拡散ジエツト形成時
に放水量にほゞ等しい量の空気を必要とするため
に、吐出口の出口のごく近傍で水膜より上流側に
空気導入管を開口させ、こゝから空気を流入させ
るようにしているのであるが、このような従来構
成にあつては、コーン状に拡散されるジエツト水
流が円筒状フードの平滑な内面に当つて放流され
る際に、その一部がフード内面に沿い逆流して、
後方の空気導入管の開口部を逆流水膜で閉塞し、
こゝからの空気の流入を妨げることがあつて、円
滑な放水がなされない場合を生ずる不都合があつ
た。

この考案は従来のこのような欠点を改善して、
放水の際の空気の流入を円滑に行なえるようにし
たものである。すなわち、前記した従来構成で
は、空気導入管の開口端をフード本体の内面に一
致させてあるために、逆流の水膜により同開口端
が閉塞される傾向にあつたから、この考案では前
記空気導入管の管端部をフード本体の内面よりも
突出させて、その開口端がフード本体内面に沿つ
て流れる逆流の水膜により閉塞されないようにし
たものである。

以下、この考案に係るフードの一実施例につ
き、添付図面を参照して詳細に説明する。

第１図はこの実施例を適用したコーンバルブ部
の要部断面図、第２図は同上下流側からみた正面
図である。これらの各図において、１はダム堰
堤、２はこの堰堤１に組み込まれたコーンバル
ブ、３，４、および５はコーンバルブ２を構成し
ている導水管としてのシリンダ、シリンダ下流端
部に配したコーン、およびシリンダ外周部にあつ
て油圧機構などにより軸方向に摺動可能に設けら
れた外層シリンダであり、また６は前記コーンバ
ルブ２を覆つて下流側を開口したフード本体、７
は同コーンバルブ２の吐出口後方外側にあつて、
その管端部７ａをフード本体６の内面より突出さ
せて設けた空気導入管である。なお図中９は前記
フード本体６の内面に沿つて流れる拡散ジエツト
水流８を相互に打ち当てゝ減勢するために設けら
れる減勢部、２１はフード６内とバルブ操作室２
２を画成するための隔壁である。

従つて前記実施例の場合には、コーンバルブ２
からそのコーン形状に対応して、コーン状に拡散
放流されるジエツト水流８は、フード本体６の内
面に所定の相対角度で衝突し、同内面に沿い下流
側に流れるが、一方、同水流８の一部は衝突部分
での水圧に押されて逆流し、同内面に沿つて上流
側に向う水膜８ａを形成する。そしてこの水膜８
ａは従来構成のように空気導入管７がフード本体
６の内面に一致して開口されていると、この開口
７ａをも閉塞してしまつて、この空気導入管７か
らの、かつジエツト水流８を形成するために必要
な空気の流入を妨げるものであつたが、この実施
例では空気導入管７の管端部７ａをフード本体６
の内面よりも突出してあるために、同管端部７
ａ、ひいてはその開口部が内面に沿う水膜８ａに
より閉塞されず、このためジエツト水流８への空
気の流入を充分に確保できて、常に円滑な放水を
継続して行なえるのである。なお、第１図に鎖線
で示すように、空気導入管７を隔壁２１の背面か
ら正面に突出させる構造であつても同様に機能す
る。

以上詳述したようにこの考案によるときは、コ
ーンバルブと、このコーンバルブの吐出側に配さ
れたフード本体と、同吐出部の後方外側に開口さ
れた空気導入管とを組み合わせた構成において、
空気導入管の管端部をフード本体の内面から突出
させたから、コーンバルブからの拡散ジエツト水
流がフード本体内面に衝突して、同内面に沿い下
流側に流れる水流となる際に、その一部が逆流と
なつて水膜を形成しても、この水膜によつて空気
導入管の管端開口部が閉塞されることはなく、ジ
エツト水流形成のために充分な空気の供給がで
き、これによつて常に継続して円滑な放水を行な
えると共に、空気導入管の管端部は吐出部上流の
デツドスペースを有効に利用して突出させるため
に、敢て従来の全体構成を大きく変えずに実施で
き、しかも構造自体も極めて簡単であるなどの特
長を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を適用したコーン
バルブ部の要部断面図、第２図は同上下流側から
みた正面図である。 １……ダム堰堤、２……コーンバルブ、３……
シリンダ、４……コーン、５……外層シリンダ、
６……フード本体、７……空気導入管、７ａ……
管端部、８……拡散ジエツト水流、８ａ……逆流
による水膜。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コーンバルブと、このコーンバルブの吐出側に
   配されたフード本体と、同吐出部の後方に開口さ
   れた空気導入管とを組み合わせた構成において、
   前記空気導入管の管端部を前記フード本体の内面
   から突出させたことを特徴とするコーンバルブに
   おけるフード。