JPS6325072B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はＮ―分岐状アシルα―酸性アミノ酸塩
を含有する水溶性防錆剤に関し、更に詳しくは水
に可溶で金属に対して顕著な防錆効果を示し、し
かも低起泡性の安全性の高い水溶性防錆剤に関す
るものである。 一般に金属、例えば鉄、銅、アルミニウム、亜
鉛および合金等は使用環境から種々の腐食をうけ
る。これらの腐食を防止するため、種々の方法が
とられているが、その一方法として防錆剤が使用
されている。防錆剤には無機物および有機物があ
る。代表的な無機系防錆剤としてはクロム酸塩、
リン酸塩などがあり、いずれも効果的な防錆剤で
あるが、前者は毒性があり、後者は藻類の繁殖を
促進する等産業公害、環境衛生上の観点から使用
が抑制されつつある。 この様な状況下にあつて、有機系防錆剤に関心
が集中しており、種々の物質に関する報告がなさ
れているが、いまだに満足すべきものは得られて
いない。 従来知られている有機系防錆剤の中で防錆効
果、安全性ともに優れたものとしてＮ―アシルア
ミノ酸類があるが、その塩を水溶性防錆剤として
用いた場合、発泡が顕著なため冷却水、水溶性切
削油などの如く、溶液を循環ないし撹拌して用い
る系には適用困難である。 本発明者らは、Ｎ―アシルアミノ酸塩の防錆効
果および安全性を生かし、かつ発泡性を抑制すべ
く鋭意研究の結果、分岐状の長鎖アシル基の導入
がこの目的を満たすことを見い出し本発明を完成
した。 すなわち、Ｎ―アシルアミノ酸塩はアシル基を
疎水基とし、アシル酸残基を親水基とする界面活
性剤であるため、防錆力にすぐれているものの、
起泡性においても良好な性能を示すため上記の如
き水溶性防錆剤としては実用性が低下せざるを得
ない。そこで泡を抑制する方法として、各種消泡
剤の添加を試みたところ、シリコーン系あるいは
フツ素系の消泡剤に抑泡効果が認められたが、少
量ながら堅牢な泡の残留があり、しかも消泡剤が
水に不溶で水面に分離するため実用的でない。こ
れに対し、本発明による分岐状アシル基を持つＮ
―アシルα―酸性アミノ酸塩は後記実施例に詳述
するごとく防錆力を損なうことなく起泡性を実用
的に無視し得る程度に抑制することが可能とな
り、水溶性防錆剤として極めて有用である。 本発明に用いるＮ―分岐状アシルα―酸性はア
ミノ酸塩はアミノ酸と脂肪酸クロリドなどから通
常の方法で得られ、分岐状アシル基としては炭素
数８〜22の分岐状を有する飽和あるいは不飽和脂
肪酸残基例えばイソステアリン酸、イソパルミチ
ン酸、２―エチルヘキサン酸、イソデカン酸等の
脂肪酸の残基である。 また、本発明に用いられるアミノ酸としては、
α―アミノ酸であり、例えばグルタミン酸、アス
パラギン酸があり、いずれも光学活性の有無にか
かわらず用いることができる。さらに本発明の塩
に用いられるカチオンとしてはナトリウム、カリ
ウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシ
ウムなどのアルカリ土金属、亜鉛、アルミニウム
などの金属の他アンモニウム、有機アミン、例え
ばトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ラ
ウリルアミン、ジステアリルアミンなど、塩基性
アミノ酸例えばリジン、オルニチン、アルギニン
などが用いられる。 本発明の防錆剤は天然水、水道水、工業用水、
ボイラー水、海水、ブライン、ラジエーター用冷
却水、切硝油水溶液などにおける鉄、銅、アルミ
ニウム、亜鉛およびその合金に対して顕著な腐食
効果を示し、排水による環境汚染の懸念なく安全
に用いうる化合物であり、しかも対象とする水溶
液が循環系にて用いられる場合もその運転を阻げ
るような泡の発生がない。 本発明において使用される防錆剤の使用量は対
象液により異るが、一般に10ppm以上が効果的で
ある。 本発明による防錆剤は既述のごとく単独で優れ
た防錆力を発揮するが、必要に応じて他の防錆
剤、防錆顔料、合成樹脂、分散剤、防水剤等の添
加物を併用することができる。 以下、実施例による本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれにより何ら限定されるものでは
ない。 実施例 １ 各種Ｎ―分岐状アシルα―酸性アミノ酸塩水溶
液の起泡力を表１に示した。起泡力は動的な泡の
発生状態を観察するためにロスマイルス法を改良
した循環式の起泡力測定装置を用いて測定した。
すなわち図１に示すごとく、内径50mm、高さ(L)
1100mmの起泡力測定装置の本体１を垂直に立て
る。次に40℃の温水をポンプにより外筒４に循環
させ一定温度に保つ。１に試料溶液250mlを張込
み循環ポンプ２により滴下ロート３を径由させ
400ml／minで循環し連続的に落下させ５分後の
泡の高さを測定した。但し、Ａ部とＢ部の距離は
900mmである。その結果表１に示した通りＮ―分
岐状アシルα―酸性アミノ酸塩はその他のＮ―ア
シルアミノ酸塩に比べ著しく低い泡立ち性を示し
た。

【表】 リンカリウム塩
６ 市販水溶性防錆剤(無機系) １〜２
＊ 多量の発泡の為測定不能
実施例 ２ 表１の各種Ｎ―分岐状アシルα―酸性アミノ酸
塩水溶液の防錆力を表２に示した。表１に示した
各種Ｎ―分岐状アシルアミノ酸塩の05％水溶液中
にあらかじめ研摩した冷間圧延鋼板（JIS.
G3141）を浸漬し、室温で放置、24時間後の発錆
状態を肉眼で観察して、防錆能を評価した。評価
は、無発錆を〇、一部発錆を△、全面発錆を×と
した。 表２に示すごとくＮ―分岐鎖アシルα―酸性ア
ミノ酸塩の防錆力はその他のＮ―アシルアミノ酸
塩、市販無機系防錆剤と比べて遜色ない性能であ
る。

【表】 ンカリウム塩
６ 市販水溶性防錆剤(無機系) ○

【図面の簡単な説明】

図１はロスマイルス法を改良した循環式の起泡
力測定装置である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 炭素数８〜22の分岐状アシル基を有するＮ―
   アシルα―酸性アミノ酸塩を有効成分としてなる
   水溶性防錆剤。