JPS6324385B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は医療用低圧吸引排液装置、特に胸部等
の体腔から液体及び気体を排出さすための低圧吸
引排出装置に関するものである。低圧持続吸引装
置は開胸術後、内圧を一定に保つために使用され
ることが多いが、その方法として一定水柱下から
大気圧を導入して吸引圧力を常に一定に保つため
の調圧ボトルと、胸部からの排ガスを水面下にく
ぐらせて排気通路に導き、その時の気泡発生をも
つてガスの排出を検知すると共に胸部側の陰圧発
生度合を検知するための水封ボトルと、胸部から
の排液するためのボトルとの３ボトル法が公知の
方法として一般的に使用されている。

本発明は３ボトル法に関するものであるが、３
ボトル法は一般的にガラスビンを連結して作られ
ており、洗滌再使用出来る利点はあるが、下記の
ような欠点がある。

(1)設置場所を広く必要とする。(2)組立に手間が
かかり器内の気密保持に注意を要する。(3)ビンが
破損する恐れがある。(4)使用後の洗滌、滅菌、保
管に手数を要する。

これらの欠点を改良するためプラスチツクで一
体構造とし、滅菌済のデイスポーザブル品として
使用するものが考案されているが、全体として複
雑な流体回路となつており、医療従事者が時々用
法を間違つて使用することがあり、一体構成のた
め全体を使用後捨てるため高価につく欠点があ
る。

これらの一体構造のデイスポーザブル品に対し
て、使用上より合理的でかつ経済的にも有利な集
液部と水封部、調圧部を分離したものを連結して
使用し、集液部を分離、交換出来る低圧吸引装置
が特開昭57−160463号公報に開示されている。こ
の方式では次のような利点が認められている。

即ち、 (1) 集液部のみ分離、交換出来るので、小児用の
500c.c.以下の小容量のものや、大人用でも治療
目的によつても100c.c.〜500c.c.程度以上迄各種容
量に対応出来る。

(2) 集液部のみ使いすてが出来て経済的である。

(3) 開胸術後の胸腔内吸引排液は、しばしば２本
の排液管を胸腔内に挿入し、１本は液体が溜ま
り易い胸腔の低い部位に配置し、他の１本はガ
スの溜まり易い胸腔内上部に挿入し、同時に体
液とガスを排出でき、かつ個別にガスの排出状
況と陰圧発生度合を検知することが出来て、き
めのこまかい術後の管理が出来る。

しかしこの方式も集液部と水封部・調圧部が分
離する形式であるため、万一なにかの原因で接続
部が使用中外れた場合、集液部の気体排出口が直
接大気中に開口することになり、大気が直接胸腔
内と通じることになり汚染される恐れがあること
と、微陰圧状態が保たれず、気胸状態を一時的に
まねく危険性がある。

本発明は上述した特開昭57−160463号公報に記
載のある装置の特長を生かしつつ、欠点を解決す
る低圧吸引排出装置を提供するものである。本発
明は１個の調圧装置に別に成形した水封部、集液
部を一体構成とした集液器を１個又は複数個連結
できるようにしたものである。従つて必要に応じ
て集液器は１個でも使用出来るし、２個もしくは
多数個連結して良く、しかも患者の容態及び治療
目的に応じた必要最小限の集液容量を選択して使
用出来る特徴は維持し、また複数個の集液部を同
じ真空度に確実に維持できることはもちろん、各
排液管からの排液量の測定及び陰圧度か排ガス度
合を個別に測定出来る特徴も維持しながら新らた
に次のような利点を付加している。

集液部、水封部が一体となり調圧部から切離し
て使用出来るため、切離しても排液部は水封部を
介しているので大気圧と直接通じることなく安全
であるので、 集液側ボトルの交換が安全に容易に行える。

吸引調圧のない集液、水封ボトルだけで自然
ドレナージ用に使用出来る。

また吸引調圧を必要とする場合でも、他の吸
引、調圧装置と接続して使用出来る。

術後の経過の良好な患者が入院中院内歩行を
行う際、これらの吸引器の携帯性が優れている
ことが必要とされており、より小型化、軽量化
が望まれているが、排液、水封ボトルだけを分
離出来るので、排液、水封ボトルだけを携帯す
ればよく、小型化、軽量化と云う点からより有
利であり、かつ安全性も保たれている。

以上のように従来品の特徴を生かしつつ、安全
性の向上、用途の拡大、経済性の点からも合理的
で、構造が簡便で取扱いの容易な新規な低圧持続
吸引装置を提供するものである。

以下に本発明を図面に、従い更に詳細に説明す
る。

中空状に成形されたプラスチツク容器で調圧器
となる第１器材１と液液器となる第２器材２がそ
れぞれ形成されており、第１器材１は上部には気
体を排出するための吸引ポンプ３に接続する排出
口４に通じた連結管５が設けられており、吸引ポ
ンプ３で容器１内を陰圧にした場合、あらかじめ
投入されている無菌水の水柱ｈ以上の陰圧になる
と、大気が上部開放口６から内蔵された細管７に
導入され、下部開放口８から放出され、上部空間
９内が常に水柱圧ｈに制御される。更に上部空間
９に通じる接続口１０ａ，１０ｂが左右に配置さ
れており、密閉出来るようキヤツプが付いたもの
であり、各々２個の第２器材２と接合できる構造
を有している。第２器材２は集液器１１と水封部
１２から構成されている。

集液部１１は100から3000mlの容量を有し、大
容量のものは隔壁１３によつて仕切られており、
それぞれの隔壁の上端からオーバーフローして順
番に貯溜する構成になつており、目盛を付してお
くことにより容易に排液量を測定することが出来
る。小容量の場合は隔壁１３は特に設けなくても
差しつかえない。

集液部１１の上部には体腔へ通ずる連結管１４
を有し、一方上部空間では水封部１２の細管９と
気体流通的に通じる通路１５を有している。また
サンプリング等に用いるゴム栓を装着した開口部
１６を設けてあつてもさしつかえない。

水封部１２は隔壁１８と１８によつて仕切られ
て形成された細管１９を有しており、隔壁１８の
下端で水封止室２０と連通し、無菌水が隔壁１７
の下端からh′の高さまで投入されて水封部を形成
しており、集液部１１内の空間と水封止室２０の
上部空間とを水で封じることによつて互いに気体
流通的に連通することを阻止している。h′の高さ
は小さい方が理想的であつて、一般的には２cmの
高さまで水封止するのが通常である。細管１９の
上部には水封止室２０の水が上昇した場合の水留
め室２１を設けており、水封止水が集液部１１の
方へ流出飛散することを防止する。細管１９の容
量は、水封止室２０に相当する大きさであり、細
管１９内を水が上昇して水面が水留め室２１に達
した時に、水封止室２０の水が細管１９の最底部
に吸入される位に互いの容量のバランスが設定さ
れていることが好ましい。また、細管９内に上昇
した水柱は集液部１１内の減圧状態を示し、細管
９部に目盛を付しておけば陰圧度を測定すること
も可能である。

また水留め室２１は、水封止室２０の水が細管
１９を通じて上昇しきつた充分収納出来る容量が
あればよく、水が集液部１１の方への流出飛散防
止をより効果的にするため、逆止弁２２を設ける
ことはなんら差しつかえなく好ましい。尚細管部
の断面積は0.35cm²〜５cm²位でよく、好ましくは
0.5cm²〜１cm²位が適切である。また水封止室２０
上部には、制御部である第１器材１の接続部１０
ａ，１０ｂに連結出来る接続管２３が設けられて
いる。尚この接続管２３に他の吸引調圧装置に接
続して使用してもなんら差支えない。

更に水封止室２０上部には、咳等の原因により
胸腔内圧が陽圧になり、瞬間的に調圧器１の排気
能力を越えた場合には、集液部１１内が陽圧にな
り、水封部１２を経て調圧器となる第１器材１内
の上部内部が陽圧になり、第１器材１内の滅菌水
が押下げられて、細管７を通つて大気中に滅菌水
が放出される恐れがあると共に、陽圧が解除され
ないことによる気胸状態を招く恐れがある。これ
らの防止のためには、水封止室２０に通じる上方
部空間に数cmの陽圧で作動し、大気に圧を放散さ
す陽圧リリーフ弁２４を設けることが好ましい。
また第２器材２であり集液部１１、水封部１２の
機能だけで他の吸引調圧装置と接続して使用する
場合も有効であることは言うまでもない。

第２図には本発明の一つの構成要素である集液
水封部１１の水封部１２の別の実施形態を示して
いる。

水封止室２０上部の内部で調圧部８と接続管２
３で連結し、集液室１１に通じる細管２５とは下
端部で水封しされた状態で連通している点は第１
図に示す水封部１２と同じであるが、細管２５が
水封部１２自体に内蔵された状態であり、その上
部がふくらんだ液溜室２６を有し、かつ更に上端
で集液器１１上部空間に連通する気体流通的な通
路２７を有するものである。

以上述べたように、本発明は集液部が水封部と
一体となり、調圧部から切離して使用出来るた
め、切離しても集液部は水封部を介しているので
大気圧と直接通じることなく安全であるので、 集液側ボトルの交換が安全に容易に行える。

吸引調圧のない集液ボトルだけで自然ドレナ
ージ用に使用出来る。

また吸引調圧を行う場合、集液ボトルだけで
他の吸引・調圧装置と接続して使用出来る。

術后の経過の良好な患者は入院中、院内歩行
を行う際、これらの吸引器の携帯性が優れてい
ることが必要とされており、より小型化、軽量
化が望まれているが、集液ボトルを分離出来る
ので、集液ボトルだけを携帯すればよく、小型
化、軽量化と云う点からより有利であり、かつ
安全性も保たれている。

本発明は、以上述べたような種々の利点を有す
る医療用低圧吸引排出装置である。

【図面の簡単な説明】

第１図は臨床的に使用される状態を示した本発
明の一実施例となる医療用低圧吸引排出装置の正
面図、第２図は本発明による医療用低圧吸引排液
装置の一つの構成要素である集液器（第２器材）
の別の実施形態を示した側面図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 中空状に成形されたプラスチツク容器で調圧
   器となる第１器材と集液器となる第２器材をそれ
   ぞれ形成し、第１器材は上部に気体を排出するた
   めの排出口、および第２器材と接続管で気体流体
   的に結合させるための１個又は複数個の接続口を
   有し、上部において大気に開口された細管を内蔵
   していてその内部には封止水が投入されており、
   第２器材は集液部と水封部から構成され、水封部
   は上部に第１器材と接続管で気体流体的に接合さ
   せるための排出口と陽圧リリーフ弁を有すると共
   に、上部で集液部と気体流体的に連通し水封部に
   投入された封止水に相当する容量を有する目盛を
   付した細管を具備しており、更に集液部は排液量
   を測定するための目盛と上部に体液の流入口を有
   すると共に、上部空間で水封部の細管と気体流体
   的に連通しており、第１器材と第２器材とは接続
   管で気体流体的、且つ着脱可能に結合されている
   ことを特徴とする、胸部排液に用いるための医療
   用低圧吸引排出装置。