JPS6323736B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はサイリスタなどによる自励形の励磁装
置を備えた同期発電機における電機子回路の短絡
故障を検出し保護する装置に関するものである。

第１図は従来の技術を説明する図であり、発電
機とその過電流を検出する保護継電器の電気的結
線を示す。図に示す通り、発電機１は、その界磁
巻線２をサイリスタ整流装置１１によつて励磁さ
れており、その電源は発電機出力母線３から、励
磁用変圧器１３を介して与えられている。１４は
自動電圧調整器で、PT１５によつて発電機端子
電圧を検出し、サイリスタの点弧角を調整するこ
とによつて、設定値に一定に制御している。この
ような形の励磁装置は、自励形の静止励磁装置、
あるいはサイリスタ励磁装置と呼ばれ、同期発電
機の励磁装置として広く採用されているものであ
る。このような発電機の保護継電装置としては、
比率差動継電器、接地継電器等が設けられている
が、その一つに過電流継電器がある。第１図に
は、この過電流継電器２３のみを図示し、他の継
電器の図示は省略してある。第３図に過電流継電
器の特性を示す。電流と動作時間との関係はいわ
ゆる反限時特性となつている。このような反限時
特性は、発電機の過電流耐量特性に適合したもの
であり、又送電系統の保護継電器との保護協調も
取り易く、広く採用されている。しかし、第１図
に示すような自励形の励磁装置を備えた発電機に
おいては、発電機至近端の短絡故障が検出できな
いという問題がある。

その理由を第２図によつて説明する。図は発電
機出力母線における３相短絡故障に対する発電機
電流と電圧とを示す。短絡故障が発生すると電圧
はほぼ零値に低下し、故障が除去されない限り、
その値を保つ。一方電流は短絡瞬時に過渡リアク
タンスによつて制限される値にまで急増し、その
後短絡時定数に従つて減衰する。曲線Ａは第１図
に示すような自励形の励磁装置の場合であり、曲
線Ｂは回転機による励磁装置のような他励形の励
磁装置の場合を示す。図に示す如く、自励形励磁
装置の場合は、短絡故障によつて励磁電源が喪失
してしまうため、短絡電流は零値に向つて減衰す
る。他励磁方式の場合はその時の励磁量に見合つ
た短絡電流値に向つて減衰し、AVRによる増磁
効果を考えると、定格電流以上の短絡電流が確保
され第３図に示すような特性の過電流継電器によ
つても充分検出することができる。

曲線Ａの減衰時定数は大容量機でも１〜２秒で
あり、一方過電流継電器の設定は、定格電流の３
倍における動作時間が１〜２秒以上に設定される
のが普通であるから、曲線Ａのような短絡電流を
検出することができなくなる。過電流継電器の動
作時間は送電系統の保護継電器との協調を取るた
め、あまり早くすることはできない。

自励形励磁装置の場合でも、負荷端の短絡など
短絡点までのインピーダンスが充分ある場合は、
励磁電圧が確保され、速応性能と高い頂上電圧と
によつて発電機を増磁し、系統安定度を向上でき
る事は良く知られており、又、そのような場合に
は従来の過電流継電器も有効な保護を行うことが
できる。又、第２図に示すような、至近端短絡の
場合は短絡電流が急速に減衰してしまうので、発
電機自身には危険がないと云える。

しかし、短絡故障が検出できないと云うことは
発電システムの運用上は非常に不都合であり、発
電機が接続された送電系統に無用の擾乱を与える
ことになる。短絡故障を確実に検出し、これを除
去することができる保護継電システムが必要であ
る。

本発明の目的は、前述した発電機の至近端短絡
故障を確実に検出できる保護継電装置を提供する
ことにある。

発電機の過電流と同時に端子電圧の低下を検出
し、一旦、両者が同時に発生した場合は、過電流
が減衰しても、電圧が回復せぬ限り故障と判断し
発電機をロツクアウトする。

第４図、第５図に本発明の一実施例を示す。第
４図において第１図と同一符号のものは同一物を
示す。

図において、継電器２５は従来の反限時特性を
持つた過電流継電器である。継電器２６は反限時
特性を持たない瞬時動作の過電流継電器である。
又、継電器２７はPT２２を介して発電機の端子
電圧を監視し、著しい低電圧となつた場合に動作
する低電圧継電器である。

第５図は上記の継電器による発電機保護システ
ムのロジツク図であり、点線の範囲が短絡検出の
ために設けられた回路である。すなわち、短絡電
流によつて瞬時動作過電流継電器２６が動作する
とOR回路３１を介して限時動作継電器３３を作
動させる。この限時動作継電器３３は、送電系統
の保護継電器との協調のために設けられている。
一方、至近端短絡の場合は端子電圧が大巾に低下
し、低電圧継電器２７が動作する。これと過電流
継電器２６の動作信号とでAND回路３２が動作
すると、その信号はOR回路３１に与えられる。
従つて短絡電流の減衰によつて過電流継電器２６
が復帰してもOR回路３１の出力は保持され、限
時継電器３３がタイムアウトすることによつてロ
ツクアウト継電器３４が動作し発電機をトリツプ
する。

もし、限時継電器３３の動作以前に故障が除去
された場合には端子電圧が回復し低電圧継電器２
７が復帰することによりOR回路３１の出力は零
となり、限時継電器３３もリセツトされる。

このような本発明の装置は、電流継電器、電圧
継電器及び簡易なロジツク回路により構成された
ものであるが、確実に短絡故障を検出することが
出来、発電機の過電流保護、及び送電系統との保
護協調の機能をそこなう事なく目的を達成するこ
とができる。

第４図に示す実施例は、瞬時動作過電流継電器
を別に設けたが、電子式継電器のように瞬時動作
接点が取り出せる過電流継電器（反限時特性）を
使用する場合は、その接点を利用することができ
る。又、瞬時動作過電流、低電圧及び第５図に示
すロジツク部を含めて一体化した電子式継電装置
とすることも出来る。

本発明によれば、自励形の励磁装置を備えた発
電機の至近端短絡故障を確実に検出することがで
き、電力系統の無用の擾乱を防止することによつ
て電力系統の信頼性を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術による発電機とその過電流継
電器の回路図、第２図は発電機短絡故障時の電圧
及び電流、第３図は従来の過電流継電器の動作特
性図、第４図は本発明による発電機短絡検出装置
の一実施例を示す回路図、第５図はそのロジツク
図である。 １……発電機電機子、２……発電機電機子界磁
巻線、３……発電機電機子出力母線、４……発電
機電機子中性点母線、５……中性点接地装置、６
……遮断器、１１……サイリスタ装置、１２……
界磁開閉器、１３……励磁用変圧器、１４……自
動電圧調整器、１５……計器用変圧器、２１……
計器用変流器、２２……計器用変圧器、２５……
過電流継電器（限時動作）、２６……過電流継電
器（瞬時動作）、２７……低電圧継電器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 電機子巻線の中性点を中性点母線を介して接
   地され、前記電機子巻線が遮断器を介して系統に
   接続された同期発電機と、該同期発電機の端子電
   圧を検出し前記同期発電機の界磁巻線に供給する
   励磁電流を制御する自励形静止励磁装置と、前記
   中性点母線に流れる電流が過電流になると動作す
   る反限時動作特性の第１過電流検出器と、前記中
   性点母線に流れる電流が過電流になると動作する
   瞬時動作特性の第２過電流検出器と、前記同期発
   電機の電機子端子電圧が低電圧になると動作する
   低電圧検出器と、前記第２過電流検出器と前記低
   電圧検出器が共に動作し前記低電圧検出器が一定
   時間以上継続して動作したときに出力を発生する
   論理回路と、前記第１過電流検出器が動作したと
   きと前記論理回路が出力を発生したときに前記同
   期発電機の運転を停止させるロツクアウト継電器
   とを具備した同期発電機短絡保護継電装置。