JPS63230860A - 耐摩耗表面層 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 よ− イ、産業上の利用分野 本発明は耐摩耗表面層に関する。

口、従来技術 近年、内燃機関はその高出力化のために、高圧縮比、高
速回転が図られ、これに伴って例えばピストンリングや
シリンダライナ等の摺動部品は高温に曝されて潤滑油膜
が薄くなり、金属接触の機会が多くなって異常摩耗や甚
だしくはスカッフを起こすことがある。そのため、これ
らの摺動部品には、従来に増して一層の耐摩耗性、耐ス
カツフ性が要求されるようになってきている。

これら摺動部品に耐摩耗性を付与するために、古くから
摺動部品に硬質クロムめっきを施すことが行われている
。硬質クロムめっき層は硬度が高く、それ自身の摩耗、
相手摺動部品の摩耗共に少なく、優れた耐摩耗性を備え
てはいるが、保油性がないために摺動中にスカッフを起
こし易いという問題点を有している。

耐スカツフ性の改善された表面層として、近年、硬質ク
ロムめっき層に替えてモリブデン溶射表面層が一部に採
用されるようになってきている。モリブデンを溶射して
なる表面層は、多孔質であるために良好な保油性を示す
ことと、モリブデンは融点が高いことから、耐スカツフ
性に優れているで劣っている上に、高温で酸化され易い
ので寿命が短いという欠点を有している。

モリブデン溶射表面層の上記欠点を解消する溶射表面層
として、フェロクロム粉、モリブデン粉及ヒニッケルー
クロム合金粉からなる混合粉をプラズマ溶射してなる溶
射表面層が一部で採用されている。然し、この溶射表面
層もモリブデンを含有するために高温で酸化されやすく
、寿命の点で問題である。

ア また、チタニ、ｐ（ＴｉＯｚ）、アルミナ−チタニア（
Ａｊ！ｚｏ３−１３重量％Ｔ　ｉ　Ｏ２又はＡｊ２ｚＯ
３−４０重量％Ｔｉ０２）　、酸化クロム（Ｃｒ２０３
）、ジルコニア−イツトリア（Ｚ　ｒ　Ｏ２８〜１２重
量％Ｙ２Ｏ３）などの酸化結合力が弱く、従って被着性
が良好ではなく、剥離し易いという欠点を有している。

ハ０発明の目的 本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、
苛酷な摺動条件下でも優れた耐摩耗性、耐スカツフ性を
示し、被着性の良好な耐摩耗表面層を提供することを目
的としている。

二１発明の構成 即ち、本発明は、結合材としてのコバルト又はコバルト
基合金が４０〜７０重量％、残部が実質的に酸化クロム
粉末からなる耐摩耗表面層に係る。

ホ０発明の作用効果 酸化クロムはセラミックスのうちでも特に耐摩耗性、耐
スカツフ性改善に寄与する。然し、単に酸化クロムを爆
射するだけでは、前述したように、被着性に難があり、
剥離し易い。本発明者は、鋭意研究の結果、表面層を、
酸化クロム粉末と結合材としての所定量のコバルト又は
コバルト基合金とからなる表面層とすることにより、耐
摩耗性、耐スカツフ性、耐剥離性に優れた表面層を開発
することに成功した。

コバルト又はコバルト基合金は、表面層中で酸化クロム
粉末を包むようにしてネットワーク状を呈することによ
り、結合力を高めて耐剥離性に寄与する。また、コバル
トは金属中では耐摩耗性が良好であり、コバルトの含有
による耐摩耗性の低下は著しくはない。コバルトに替え
て、ステライトやコバルト自溶合金（Ｊ　Ｉ　Ｓ　　Ｈ
８３０３に規定）等のコバルト基合金を結合材としても
良い。例えばニッケルも使用可能であるが、結合材にニ
ッケルを使用すると耐摩耗性が低下するので好ましくな
い。

表面層中のコバルト又はコバルト基合金の含有量が４０
重量％（以下、「重量％」を単に「％」で表す。）未満
では、上記結合力が不足して耐剥離性改善の効果が顕著
ではなく、これが７０％を越えると、相対的に酸化クロ
ム粉末の量が少なくなって耐摩耗性、耐スカツフ性が不
十分になる。

へ、実施例 まず、本発明に基づく耐摩耗表面層の好適な形成方法に
ついて説明する。

本発明に基づく表面層は、１〜７４μｍの粒径を有する
酸化クロム粉末粒子の表面に、微細なコバルト粉末又は
コバルト基合金粉末を樹脂等をバインダとして被覆した
ものをプラズマ溶射して形成される。また上記酸化クロ
ム粉末と上記コバルト粉末又はコバルト基合金粉末とを
混合し、造粒した造粒粉をプラズマ溶射しても良い。こ
れら造粒粉の粒径は、５μｍ未満ではプラズマジェット
流に投入することが困難であり、１０５μｍを越えると
溶射中に熔融しきれなくなることがあるので、５〜１０
５μｍの範囲とするのが望ましい。上記のコバルト又は
コバルト基合金は、溶射表面層中でネットワーク状を呈
して結合力を高めるのであるが、原料粉を上記のような
造粒粉によらず、酸化クロム粉とコバルト粉又はコバル
ト基合金粉との単純な混合粉を使用すると、両者の粒径
や比重の差に起因して均一な溶射表面層が得られ難（、
即ち、コバルトが全面にはネットワーク状にならず、十
分な結合力が得られ難（なる。

酸化クロム粉末にコバルト又はコバルト基合金を被覆せ
しめる方法としては、水や、アルコール等の有機溶媒に
フェノール樹脂やポリビニルアルコール等のバインダを
添加し、コバルト粉末又はコバルト基合金粉末と酸化ク
ロム粉末とを混合、造粒せしめる方法、又は酸化クロム
粉末にＣＶＤ（化学的気相成長）法によってコバルトを
被覆せしめる方法等が考えられるが、いずれの方法によ
っても良い。第２図（ａ）は上記造粒粉粒子の構造を模
式的に示す拡大断面図で、微細なコバルト粉末又はコバ
ルト基合金粉末１２が酸化クロム粒子１の表面を被覆し
て造粒粉粒子が構成されている。

第２図（ｂ）は上記ＣＶＤ法によって造られた扮末糧子
の構造を模式的に示す拡大断面図で、酸化クロム粒子１
３の表面にコバルトの表面層１４が形成されて溶射粉末
粒子が構成されている。

以下、本発明の実施例を発明する。

５＋ｎｘ５ｗＸ１０ｍの角柱状鋳鉄試料を多数用意し、
その正方形端面に下記第１表に示す材料をプラズマ溶射
して厚さ０．３　ｔｍの溶射表面層を形成しｄｌｌ／Ａ
ｌｉ≠府後諦肩、ｆｆ戚ｒて試験片を製作し、表面粗さ
を０．８〜１．５μｍ（Ｒｚ）に研摩仕上げを施してス
カッフ試験及び摩耗試験に供した。溶射条件は下記の通
りである。

使用ガン二メテコ社製３ＭＢ 電　　流二４５０〜５００Ａ、電圧６１Ｖ使用ガス：ア
ルゴン水素混合ガス アルゴン１１０ｆｔ３／ｈｒ 水素　　　１０ｆｔ３／ｈｒ なお、試験片Ａ〜ｌは、予め８０％Ｎｉ−２０％Ｃｒ１
　　のニッケルクロム合金を０．１龍の厚さに溶射して
下゛地層（ボンドコート）を形成し、その上に溶射表面
層を形成した。

但し、Ｋは酸素−アセチレン溶射、Ｌはめっきによった
。

第　　　１　　　表 本発明に基づく耐摩耗表面層試験片の顕微鏡組織のスケ
ッチ（倍率４００倍）を試験片εを例に挙げて第１図に
示す。試験片５は、鋳鉄母材５Ｃ１熔射表面層の密着性
を良好にするために設けたニッケルークロム合金の下地
溶射層５ｂ及び溶射表面層５ａからなっている。溶射表
面層５ａは、酸化クロム粒子５ｄとこれを囲んでネット
ワーク状を呈するコバルト５ｅとからなり、気孔５ｒを
内在している。上記各相の成分組成及び比率は、Ｘ線マ
イクロアナライザによる試験及びＸ線回折試験によって
溶射材料との差異が認められないことが１認されている
。

のであって、ステータホルダ１に取外し可能に取付けら
れた直径８０１ｍ、厚さ１０鶴の研磨仕上げを施した円
板２の中央には裏側から注油孔３を通じて潤滑油が注油
される。ステータホルダ１には図示しない油圧装置によ
って図に於いて右方へ向けて所定圧力で押圧力Ｐが作用
するようにしである。

円板２に相対向してロータ４があり、図示しない駆動装
置によって所定速度で回転するようにしである。ロータ
４の円板２に対する端面に取付けられた試験片保持具４
ａには正方形端面（この例では第１図の５ａの表面）を
摺動面として試験片５が同心円上に等間隔に４個取外し
可能に、かつ円板２に対して摺動自在に取付けである。

このような装置において、ステータ１に所定の押圧力Ｐ
をかけ、所定の面圧で円板（相手材）２と試験片５の表
面層５ａとが接触するようにしておいて、注油孔３から
摺動面に所定給油速度で給油しながらロータ４を回転さ
せる。一定時間毎にステータ１に作用する圧力を段階的
に増加してゆき、ロータ４の回転によって試験片５と相
手の円板２との摩擦によってステータ１に生ずるトルク
（摩擦力によって生ずるトルク）Ｔをスピンドル６を介
してロートセルフに作用せしめ、その変化セ を動歪計８で読取り、記録計９に記録さメる。トルクＴ
が急激に上昇するときに焼付が生じたちのとし、その大
小を以て耐焼付性の良否を判断する。

試験条件は次に示す通りである。

摩擦速度：　８　ｍ／ｓｅｃ ？ｒａ滑油　：モータオイル５ＡＥ３０を４００ｍｆ／
ｍｉｎ給油 接触圧カニ試験開始時２０ｋｇ／ａｄ、その後３分間経
過毎に１０　ｋｇ　／　ｃｊづつ上昇相手円板：酸化ク
ロム溶射表面層、試験片と同様の研磨仕上げ（試験片Ａ
と同 じ層構成） 試験結果は第５図に示す通りである。第５図から次のこ
とが理解できる。

酸化クロムのみを溶射してなる試験片Ａは優れた耐スカ
ツフ性を示しており、これに対して結合材としてコバル
トを含有させた試験片Ｂ−Ｇは大きな変化は認められな
い。然し、コバルト含有量が７０％を越えると（試験片
Ｈ，ｌ）、耐スカツフ性が急に低下している。

また、表面層にコバルトを３０〜７０％含有させた試験
片Ｅｌ−Ｇは、硬質クロムめっき試験片りに較べては勿
論、耐スカツフ性に優れるとされているモリブデン溶射
試験片Ｋに較べて耐スカツフ性が更に改善されている。

なお、試験片Ａは、試験後に摺動面に亀甲状の亀裂が観
察されたのに対し、他の試験片ではこのような亀裂は観
察されなかった。

１ｉ跋駿 第３図、第４図の試験装置を使用し、次のような試験条
件で摩耗試験を行った。

摩擦速度は５ｍ／５ｅｃｓ接触圧力は５０ｋｇ／ｃａｌ
に一定、摩擦距離は１００　ｋｍ、その他の試験条件は
前記スカッフ試験に於けると同じである。

摩耗量は次のようにして測定した。試験片については、
試験後に試験片を取外し、摩耗による高さ寸法の減少を
測定した。相手円板については、摩擦によって生じた円
環状の摩耗痕の半径方向の断面積を測定した。

試験結果は第６図に示す通りである。第６図から次のこ
とが理解できる。

試験片Ａ−Ｇは、耐摩耗性に優れるとされている硬質ク
ロムめっき試験片りに較べて試験片の摩耗、相手円板の
摩耗共に少なく、優れた耐摩耗性を示している。また、
試験片Ｂ−Ｇは、結合材としてのコバルト含有量によっ
て大きな変化は認められない。然し、コバルト含有量が
７０％を越えると（試験片Ｈ１１）、試験片の摩耗量が
急に増大している。モリブデン溶射試験片には、相手円
板の摩耗は少ないものの、試験片の摩耗が大きい。

舅皿拭呈 球状黒鉛鋳鉄製ピストンリングを多数用意し、第７図に
示すように、母材球状黒鉛鋳鉄２１の外周面に梯形の溝
２１ａを削設し、溝２１ａに８０％Ｎ　ｉ　、２０％Ｃ
ｒのニッケルークロム合金の下地層２２を０．１　ｎ厚
さに溶射、形成し、その上に厚さ０．２０の溶射表面層
２６を形成し、研摩仕上げを施して、呼び径１２０　ｍ
、幅２．５ｆｉ、厚さ４．１＋ｕ、自由合い日陰間（す
きま）１６ｆｉｍのバレルフェイス形ピストンリング２
０とした（試料Ａ〜１）。ピストンリング試料Ｊ、には
上記下地Ｍ２２を設けず、溝２１ａ内に溶射表面層を形
成した。また、ピストンリング試料りは、バレルフェイ
ス形ピストンリングの外周面に硬質クロムめっきを施し
、更に外周面を研摩仕上げしてバレルフェイス形ピスト
ンリングとした。

各ピストンリング試料に付した記号は、前記スカッフ試
験及び摩耗試験に供した各記号の試験片と同じ表面層を
有することを表している。

これらのピストンリングについて、捩りによって起こる
表面層の剥離に対する抵抗を試験した。

即ち、第８図に示すように、自由状態のピストンリング
２０の合い口２０ａの相対向する合い口端部を掴持具２
７．２８で掴持し、掴持具２７を固定しておいて掴持具
２８の回転軸２９を回転させ、ピストンリング２０の合
い０反対側２０ｂを回転の中心として一点鎖線で示すよ
うに回転させてピストンリング２０を捩り、外周面を観
察して表面層の剥離が開始するときの捩り角度を以て耐
剥離性の評価を行った。

試験結果は第９図に示す通りである。なお、各記号のピ
ストンリングの試料数は５個であり、第９図中に平均値
又と範囲Ｒとを併記しである。

第９図から次のことが理解できる。

酸化クロムのみを溶射したピストンリングＡは、耐剥離
性が甚だ低い。この溶射表面層に結合材としてコバルト
を含有させると、コバルト含有量が多くなる程耐剥離性
が向上する（Ｂ〜１）。コバルト含有量が４０％以上に
なると（Ｄ〜１）、コバルトの耐剥離性改善の効果が顕
著になる。モリブデン溶射表面層（Ｋ）は耐剥離性が良
好ではない。

なお、前記スカッフ試験、摩耗試験、剥離試験共に、結
合材として、コバルトに替えてステライ１−　　（２，
５〜２．６　％Ｃ１４５〜４６％ＣＯ、２５〜３０％０
１１５〜２０％Ｗ、０〜５％Ｆｅ）、コバルト自２容合
金（Ｊ　Ｉ　Ｓ　　Ｈ８３０３に規定されているＭＳＦ
Ｃｏｌ又はＭＳＦＣｏ２）を使用した結果も、前記の試
験結果と略同程度の結果であった。

以上の試験結果から、耐スカツフ性、耐摩耗性、耐剥離
性の総てを満足する耐摩耗表面層は、結合材としてのコ
バルト又はコバルト基合金を４０〜７０％含有する表面
層である。

【図面の簡単な説明】

図面はいずれも本発明の実施例を示すものであって、 第１図は耐摩耗表面層の顕微鏡組織を示すスケッチ 第２図（ａ）及び（ｂ）は夫々爆射材料粉末の粒子構造
を模式的に示す拡大断面図、 第３図はスカッフ試験装置の要部を示す部分断面図、 第４図は第３図のＩＶ−ＩＶ線矢視αり面図、第５図は
スカッフ試験の結果を示すグラフ、′、　　第６図は摩
耗試験の結果を示すグラフ、第９図は剥離試験の結果を
示すグラフ である。 なお、図面に示された符号に於いて、 １・・・・・・・・・ステータ ２・・・・・・・・・相手円板 ５・・・・・・・・・試験片 ５ａ、２°６・・・・・・・・・溶射表面層５ｂ、２２
・・・・・・・・・下地層 ５ｃ、２１・・・・・・・・・母材 ５ｄ、７．９・・・・・・・・・酸化クロム粒子５ｅ、
１０・・・・・・・・・コバルト５ｆ・・・・・・・・
・気孔 ８・・・・・・・・・コバルト微粒子 ２０・・・・・・・・・ピストンリング２０ａ・・・・
・・・・・ピストンリングの合い口２７．２８・・・・
・・・・・ｔｍ持具である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １、結合材としてのコバルト又はコバルト基合金が４０
   〜７０重量％、残部が実質的に酸化クロム粉末からなる
   耐摩耗表面層。