JPS6320812Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンの排気管、排気消音器等の
排気系部材を車体、トランスミツシヨンケース等
の固定側部材に支持せしめるためのエンジンの排
気系部材支持装置に関するものである。

この種のエンジンの排気系部材支持装置におい
ては、排気系部材の振動が車体側に伝達されるの
を可及的に防止するために両者間に振動を吸収す
る防振部材を介在せしめるのが通例であり、この
防振部材として従来より実公昭54−31220号公報
に示す如く防振ゴムを使用するのが知られてい
た。

ところが、この従来例の如く排気系支持部材の
一部を防振部材であるゴムで構成した場合には、
このゴムが、軟質にして防振特性を向上させよう
とすると耐熱性、耐久性が悪化し、逆に比較的硬
質にして耐熱性、耐久性を向上させようとすると
その防振特性が低下するという得失相反する性質
を有しているため、該ゴムの硬度設定が難しく、
ともすれば、ゴムの破損によつて排気管、排気消
音器等が脱落したり、またこれらの振動が自動車
の車体側に伝達されて車内のこもり音が増大した
りしがちであつた。

そこで、防振部材として耐熱性、耐久性に優れ
た金属弾性体を用いることが考えられるが、ゴム
に比べて防振特性が低く、かつ、錆に対して弱い
という問題がある。

本考案は、上記の如き従来のエンジンの排気系
部材支持装置の問題点に鑑み、排気側ブラケツト
を中間リンク及び回動軸を介して固定部材に回動
可能に支持するとともに、排気側ブラケツトと回
動軸との間に耐熱性、耐久性及び防振特性ともに
優れた防振部材を介在することにより、排気系部
材の脱落事故を未然に防止するとともに該排気系
部材の振動による車内のこもり音を可及的に減少
せしめ得る如くしたエンジンの排気系部材支持装
置を提供することを目的としてなされたものであ
つて、エンジンの排気管、消音器等の排気系部材
をブラケツトを介して車体、トランスミツシヨン
ケース等の固定側部材に取付けるようにした排気
系部材支持装置において、上記固定側部材に固定
側ブラケツトを取付け、上記排気系部材に排気側
ブラケツトを取付けるとともに、上記固定側部材
に中間リンクの一端を、該中間リンクの他端に上
記排気側ブラケツトを各々回動軸を介して回動可
能に取付け、さらに該回動軸と排気側ブラケツト
との間に線状耐熱性金属材を織込んで成形した弾
性体を介在させていることを特徴とするものであ
る。

以下、本考案のエンジンの排気系部材支持装置
を第１図ないし第５図に示す実施例に基づいて説
明すると、第１図及び第２図には本考案実施例に
係る排気系部材支持装置Ｚが示されており、図中
符号１は固定側部材である自動車のトランスミツ
シヨンケース、２はプロペラシヤフト、３はトラ
ンスミツシヨンケース１及びプロペラシヤフト２
とほぼ平行に配置された排気系部材である排気
管、４，４は排気管３の接続フランジである。

この排気管３の接続フランジ４，４部には、フ
ランジ締結ボルト２１，２１によつて略Ｌ字形の
排気側ブラケツト１１が一体的に固着されてお
り、排気管３はこの排気側ブラケツト１１と前記
トランスミツシヨンケース１側に取付けられた後
述する支持部材８とを介して該トランスミツシヨ
ンケース１に防振的且つ該トランスミツシヨンケ
ース１との上下方向における相対距離を調整自在
なる如く支持される。即ち、支持部材８は、その
一端１０ａを固定ボルト２４，２４によつてトラ
ンスミツシヨンケース１の側部に突設した取付台
５に締着せしめた折曲板状の固定側ブラケツト１
０と、その一端９ａを排気管３の軸方向に沿う平
面内で枢動自在なる如く固定側ブラケツト１０の
他端１０ｂに第１枢着ボルト２３（回動軸）によ
つて枢支せしめられた平板状の中間リンク９とを
有しており、この中間リンク９の他端９ｂに排気
側ブラケツト１１の上端１１ａを第２枢着ボルト
（回動軸）２２によつて該中間リンク９と同方向
に枢動自在なる如く連結せしめている。従つて、
排気管３が熱膨張によりその軸方向に移動するよ
うな場合には、支持部材８の中間リンク９が固定
側ブラケツト１０及び排気側ブラケツト１１に対
して適宜に回動して該固定側ブラケツト１０と排
気側ブラケツト１１の上下方向における相対距離
を調整する如く作用する。このため、排気管３の
熱膨張はこの中間リンク９の回動作用によつて吸
収され、該排気管３の排気側ブラケツト１１との
結合部付近に発生する曲げ応力を可及的に減少せ
しめてその耐久性を向上せしめることができる。

又、排気管３をトランスミツシヨンケース１に
対して防振的に支持するために排気側ブラケツト
１１と中間リンク９の連結部には第３図に示す如
く防振部材となる弾性体１７，１７が介設されて
いる。この弾性体１７は、第４図に示す如く耐熱
性を有するステンレス線材を鍔付き筒状にそれぞ
れ編み上げ、これを軸方向（矢印Ａ方向）に圧縮
して塑性変形させて第５図に示すように胴部１７
ａと鍔部１７ｂとを有する形状に形成されたもの
であり、３軸方向に適度の弾性を有している。こ
の一対の弾性体１７，１７は、第３図に示す如く
中間リンク９のボルト穴２６内に嵌挿された中間
リンク支持軸となるスペーサ１５の外側にそれぞ
れの両端側から嵌入せしめられており、その胴部
１７ａ，１７ａで中間リンク９とスペーサ１５と
を弾性的に支持している。この場合、弾性体１
７，１７が３軸方向に弾性を有しているため、中
間リンク９と排気側ブラケツト１１は該弾性体１
７，１７によつて３軸方向に弾性的に支持される
ことになり、排気管３の振動を効果的に吸収する
ことができる。又、この弾性体１７，１７は、耐
熱性を有するステンレス線材で形成されているた
め、その耐熱耐久性及び防振特性が排気管３の温
度変化によつて左右されるということはほとんど
なく、長期に亘つてそれら諸性能を良好に維持す
ることができる。尚、弾性体１７の形状は、上記
実施例の形状に限定されるものでなく、たとえば
第５図に示した胴部１７ａと鍔部１７ｂとをそれ
ぞれ別体に形成してもよく、また必要に応じて鍔
部を省くこともできる。

続いて、本考案の効果を説明すると、本考案の
エンジンの排気系部材支持装置は、車体、トラン
スミツシヨンケース等の固定側部材に、排気管、
消音器等の排気系部材を中間リンク及び回動軸介
して回動可能に支持するとともに、排気系部材と
回動軸との間に線状耐熱性金属材を織り込んで成
形した弾性体を介在しているため、固定側部材と
排気系部材とを弾性ゴムを介して連結した実公昭
54−31220号公報に示す排気系部材支持装置の如
く弾性ゴムが排気系部材の熱によつて損傷して排
気管等が脱落したり、又、ゴムの耐久性を重視す
るあまりその防振特性が損なわれて排気系の振動
が車体側に多大に伝達されるというような不具合
を解消して排気系部材の耐久性及び排気系部材の
振動に対する防振特性をより一層向上せしめるこ
とができるという効果がある。

又、固定部材に排気系部材を中間リンクおよび
回動軸を介して回動可能に支持することにより、
排気系部材の熱膨張による長手方向の移動が排気
側ブラケツトの回動作用によつて吸収されその排
気系部材に過大な曲げ応力が作用するのを未然に
防止してその耐久性を向上せしめることができる
という実用的効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例に係るエンジンの排気系
部材支持装置の側面図、第２図は第１図の矢視
図、第３図は第１図の−縦断面図、第４図及
び第５図は第３図に示す弾性体の成形手順説明図
である。 １……固定側部材、３……排気系部材、８……
支持部材、９……中間リンク、１０……固定側ブ
ラケツト、１１……排気側ブラケツト、１７……
弾性体、２２，２３……枢着ボルト（回動軸）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの排気管、消音器等の排気系部材をブ
   ラケツトを介して車体、トランスミツシヨンケー
   ス等の固定側部材に取付けるようにした排気系部
   材支持装置において、上記固定側部材に固定側ブ
   ラケツトが取付けられ、上記排気系部材に排気側
   ブラケツトが取付けられ、上記固定側部材に中間
   リンクの一端が、該中間リンクの他端に上記排気
   側ブラケツトが各々回動軸を介して回動可能に取
   付けられ、該回動軸と排気側ブラケツトとの間に
   線状耐熱性金属材を織込んで成形した弾性体が介
   在されていることを特徴とするエンジンの排気系
   部材支持装置。