JPS6319523Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンに装備されるギヤポンプよ
りなるオイルポンプをクランクシヤフトで駆動す
るオイルポンプ駆動構造に関し、特に、気筒での
爆発圧力に対してオイルポンプを保護する対策に
関する。

従来より、自動車用エンジンに装備されるオイ
ルポンプとしてはたとえばクレセント型内接ギヤ
ポンプが広く採用されている。すなわち、該クレ
セント型内接ギヤポンプは、吸込口および吐出口
を有するポンプケース内に、該ポンプケースのガ
イド部によつて回転自在に支持され、かつクラン
クシヤフトの一端部に回転不能に取り付けられた
外歯ギヤよりなる駆動ギヤと、クランクシヤフト
の回転中心軸に対して偏心した回転中心をもつて
回転自在に支持され、上記駆動ギヤに噛み合つて
駆動される内歯ギヤよりなる従動ギヤと、上記両
ギヤの非噛合部分間の空間を充填するように設け
られ、両ギヤの各歯先に接触して吸込口と吐出口
とをシールする三日月形状のクレセントとを備え
てなり、クランクシヤフトの駆動による両ギヤの
回転により吸込口から吸い込まれたエンジンオイ
ルを両ギヤの各歯溝とクレセントとの間の空間に
保持して吐出口に送つた後該吐出口から吐出する
ようにしたものである。

そして、この種のギヤポンプにおける駆動ギヤ
をクランクシヤフトに回転不能に取り付ける場
合、従来、例えば実開昭54−174743号公報等に開
示されているように、クランクシヤフトの一端部
外周にその回転中心軸と平行に１面または直径方
向に対向する２面の平坦面を形成し、該平坦面部
分に駆動ギヤ中央部に形成した嵌合孔を嵌挿する
ことにより、駆動ギヤをクランクシヤフトに対し
て回転不能に固定してクランクシヤフトの駆動力
を駆動ギヤに伝達するようにしている。

ところで、このようにエンジンのクランクシヤ
フトに直接駆動ギヤが取り付けられたオイルポン
プにおいては、該オイルポンプに最も近い第１気
筒での爆発による衝撃が直接駆動ギヤに伝わり、
そのことにより、該駆動ギヤをガイド支持するポ
ンプケースのガイド部が破損するという問題があ
る。

そこで、本考案は、オイルポンプの駆動構造を
エンジンの第１気筒の爆発による衝撃に対して衝
撃吸収構造とすることにより、クランクシヤフト
の回転力を駆動ギヤに確実に伝達しつつ、第１気
筒の爆発による衝撃によつてオイルポンプのガイ
ド部が破損するのを防止することを目的とするも
のである。

この目的の達成のため、本考案のエンジンのオ
イルポンプ駆動構造の構成は、エンジンのクラン
クシヤフトの一端部外周に平坦面が形成され、該
平坦面部分にギヤポンプよりなるオイルポンプの
駆動ギヤが回転不能に、かつ平坦面以外の部分と
間隙をもつて嵌合されていて、上記クランクシヤ
フトの平坦面は、オイルポンプに最も近い第１気
筒のピストンに連結されたクランクピンの中心軸
とクランクシヤフトの回転中心軸とを含む平面に
対してクランクシヤフトの回転方向遅れ側に５〜
30゜の範囲内の角度をもつて傾斜しているもので
あり、このことにより第１気筒での爆発によつて
クランク角で上死点後５〜30゜の範囲において発
生する最大圧力作用方向が上記平坦面と平行とな
つて、その衝撃が上記間隙で吸収され、該衝撃が
駆動ギヤを介して直接オイルポンプのガイド部へ
伝達されるのを阻止するようにしたものである。

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳
細に説明する。

第１図において、１は本考案を適用した４気筒
エンジンのシリンダブロツク、２はシリンダブロ
ツク１下部に支持されたクランクシヤフトであつ
て、該クランクシヤフト２はシリンダブロツク１
内の各気筒（図示せず）と対応する部位に各々ク
ランクシヤフト２の回転中心軸に対して所定方向
に偏心した中心軸を持つクランクピン３ａ〜３ｄ
を有し、該各クランクピン３ａ〜３ｄと各気筒内
を往復動するピストン４とはコネクチングロツド
５によつて連結されており、各気筒での燃焼爆発
によりピストン４を往復運動させてクランクシヤ
フト２を駆動回動させる。尚、６，６，…はクラ
ンクシヤフト２に設けられたバランスウエイト、
７はクランクシヤフト２の回転を吸排気弁駆動用
のカムシヤフト（図示せず）に伝動するためのタ
イミングベルトである。

上記クランクシヤフト２の一端部にはクレセン
ト型内接ギヤポンプよりなるオイルポンプ８が取
り付けられている。すなわち、該オイルポンプ８
は第２図に拡大詳示するように、吸込口および吐
出口を有するポンプケース（図示せず）内に、該
ポンプケースのガイド部によつて回転自在に支持
され、かつクランクシヤフト２に取り付けられた
外歯ギヤよりなる駆動ギヤ９と、該駆動ギヤ９の
回転中心軸（クランクシヤフト２の回転中心軸）
に対して偏心した回転中心をもつて回転自在に支
持され、駆動ギヤ９に噛み合つて駆動される内歯
ギヤよりなる従動ギヤ１０と、上記両ギヤ９，１
０の非噛合部分間の空間を充填するように設けら
れ、両ギヤの各歯先に接触して吸込口と吐出口と
をシールする三日月形状のクレセント１１とを備
えてなる。上記吸込口はオイルパン１２内のスト
レーナ１３に接続され、一方、吐出口はオイルフ
イルタ１４を介してシリンダブロツク１内のオイ
ルギヤラリ１５に接続されており、クランクシヤ
フト２の回転駆動による両ギヤ９，１０の回転に
よりオイルパン１２内のエンジンオイルを吸込口
より吸い込み各ギヤ９，１０の歯溝とクレセント
１１との間の空間に保持して吐出口へ移した後該
吐出口からオイルギヤラリ１５へ圧送することに
よりエンジン内の運動部分を強制的に潤滑するよ
うにしている。

そして、上記クランクシヤフト２において上記
オイルポンプ８の駆動ギヤ９取付部分（一端部）
の外周には直径方向に対向する一対の平行な平坦
面１６，１６が形成されている。一方、上記駆動
ギヤ９の中心部には、上記クランクシヤフト２の
平坦面１６，１６部分（一端部）に、該平坦面１
６，１６以外の部分と若干の間隙１７，１７をあ
けた状態で嵌合可能な嵌合孔１８が形成されてい
て、クランクシヤフト２の平坦面１６，１６部分
に駆動ギヤ９の嵌合孔１８が嵌合されることによ
り、該駆動ギヤ９をクランクシヤフト２に回転不
能に取り付けるようにしている。

さらに、上記クランクシヤフト２の平坦面１
６，１６は、オイルポンプ８に最も近い第１気筒
のピストン４に連結されたクランクピン３ａの中
心軸O₂とクランクシヤフト２の回転中心軸O₁と
を含む平面Ｐに対してクランクシヤフト２の回転
方向遅れ側に５〜30゜の範囲内の傾斜角度θをも
つて傾斜している。

ここで、上記傾斜角度θの限定理由について説
明すると、この傾斜角度θは、エンジンの気筒内
の圧力がピストン４上死点後の膨張行程において
ほぼ最大となるクランク角に対応するものであ
る。それ故、クランクシヤフト２の回転方向遅れ
側に5゜未満の角度または30゜を越える角度である
と、第１気筒での爆発による最大圧力の作用方向
とクランクシヤフト２の平坦面１６，１６の方向
とが大きくずれてしまい、駆動ギヤ９の嵌合孔１
８とクランクシヤフト２の平坦面１６，１６部分
との間の間隙１７，１７…による衝撃吸収能力を
充分に発揮できないので、よつて５〜30゜の範囲
に設定され、好ましくは、上記気筒内で圧力はク
ランク角にして上死点後約10゜で最も大きくなる
ことからほぼ10゜に設定するのがよい。

したがつて、上記実施例においては、オイルポ
ンプ８の駆動ギヤ９を嵌合する部分を形成するク
ランクシヤフト２の平坦面１６，１６がエンジン
の第１気筒のピストン４に連結されたクランクピ
ン３ａの中心軸θ₂とクランクシヤフト２の回転中
心軸θ¹とを含む平面Ｐに対してクランクシヤフト
２の回転方向遅れ側に５〜30゜の範囲内の傾斜角
度θをもつて傾斜しているため、すなわち平坦面
１６，１６の方向がオイルポンプ８に最も近い第
１気筒の爆発による最大圧力発生時の圧力作用方
向と正確に一致しているため、該第１気筒の爆発
による衝撃がクランクシヤフト２の一端部に作用
しても、その衝撃は平坦面１６，１６に沿つて流
れかつクランクシヤフト２の平坦面１６，１６以
外の部分とそれに対応するオイルポンプ８の駆動
ギヤ９の嵌合孔１８との間に形成した間隙１７，
１７によつて吸収されてしまい、駆動ギヤ９には
伝わらない。その結果、オイルポンプ８のポンプ
ケースの駆動ギヤ９を支持するガイド部が破損す
るのを確実に防止することができる。

尚、上記実施例では、オイルポンプ８としてク
レセント型内接ギヤポンプを用いたが、その他の
ギヤポンプを使用した場合にも適用することがで
きる。

また、上記実施例では、４気筒エンジンに適用
したが、その他の多気筒エンジンまたは単気筒エ
ンジンに対しても適用することができるのは勿論
のことである。

以上説明したように、本考案によれば、エンジ
ンのクランクシヤフトの一端部外周に平坦面が形
成され、該平坦面部分にギヤポンプよりなるオイ
ルポンプの駆動ギヤが回転不能に、かつ平坦面以
外の部分と間隙をもつて嵌合されているオイルポ
ンプ駆動構造において、上記クランクシヤフトの
平坦面方向をオイルポンプに最も近い第１気筒の
爆発による最大圧力の圧力作用方向と一致させる
ようにしたことにより、第１気筒の爆発による衝
撃が直接駆動ギヤに伝達されてオイルポンプのガ
イド部が破損するのを防止することができ、よつ
てエンジンのオイルポンプを長期間に亘り安定し
て作動させることができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は全体概
略斜視図、第２図は要部拡大正面図である。 ２……クランクシヤフト、３ａ〜３ｄ……クラ
ンクピン、８……オイルポンプ、９……駆動ギ
ヤ、１０……従動ギヤ、１１……クレセント、１
６……平坦面、１７……間隙、１８……嵌合孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンのクランクシヤフトの一端部外周に平
   坦面が形成され、該平坦面部分にギヤポンプより
   なるオイルポンプの駆動ギヤが回転不能に、かつ
   平坦面以外の部分と間隙をもつて嵌合されてい
   て、上記クランクシヤフトの平坦面は、オイルポ
   ンプに最も近い第１気筒のピストンに連結された
   クランクピンの中心軸とクランクシヤフトの回転
   中心軸とを含む平面に対してクランクシヤフトの
   回転方向遅れ側に５〜30゜の範囲内の角度をもつ
   て傾斜していることを特徴とするエンジンのオイ
   ルポンプ駆動構造。