JPS63162849A - 鉄鋼材料の表面被覆方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は鉄鋼材料の表面被覆方法に関する。

〔従来の技術〕

低気圧かつ不活性ガス雰囲気中で行われる鉄鋼材料等の
表面へのプラズマ溶射は、空孔が少なくかつ酸化物・窒
化物等の不純物の少ない被膜層を形成することができる
表面被膜技術として知られている。そのため、このプラ
ズマ溶射の特性を利用して、鉄鋼材料の耐食性を高めよ
うとする試みが、従来からなされてきた。特に活性金属
であるチタンを低気圧かつ不活性ガス雰囲気中で鉄鋼材
料表面にプラズマ溶射する方法については、Ｈ，Ｄ、５
ｔｅｆｆｅｎｓらがＴｈ１ｎ　５ｏｌｉｄ　Ｆｉ１ｍｓ
誌（Ｖｏｌ、７３゜１９８０、ｐ１９−２０）にｒＬｏ
ｗ　ｐｒｅｓｓｕｒｅ　ｐｌａｓｍａ　ｓｐｒａｙｉｎ
ｇｏｆ　ｒｅａｃｔｉｖｅ　ｓ＋ｅｔａｌｓＪの表題で
発表している。その内容は低気圧かつ不活性ガス雰囲気
中で、化学プラントに使用される部材に、耐食性に優れ
かつ活性金属であるチタンをプラズマ溶射し、これによ
って化学プラント部材の耐食性を向上させよう　　−と
いうものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述した鉄鋼材料にチタンをプラズマ溶
射するという従来技術には、次のような問題点があった
。

（１）プラズマ溶射時に基材となる鉄鋼材料に与えられ
る８量が大きいため、チタン溶射被膜層と基材となる鉄
鋼材料との界面で、チタンと鉄の拡散により生じる遷移
層が形成される。

そしてこの遷移層中には脆弱なチタンと鉄の金属間化合
物が生成されるので、チタン溶射被膜層と基材である鉄
鋼材料間の密着強度が低下するという問題がある。

（２）低気圧かつ不活性ガス雰囲気中で行なわれるプラ
ズマ溶射により形成されるチタン溶射被膜の硬度は、ビ
ッカース硬度Ｈマ（１０ｋｇ）で１５０〜１８０と低い
、このため発電機の復水器用海水配管のように、砂等の
固体を含んだ腐食流体中、いわゆるエロージョン環境下
で使用すると、チタン溶射被膜層が摩耗により削り取ら
れるという問題がある。

（３）さらには、チタン特有の性質である硝酸系の酸に
は耐食性が良いが、硫酸系の酸に対してはＩ耐食性が悪
いという特性のため、硫酸系の酸を含む環境下ではチタ
ン被覆の鉄鋼材料は使用できないという問題に対する解
答が示されていなかった。

この発明は以上のような問題点を解消し、チタンプラズ
マ溶射により耐摩耗性および耐食性の高い鉄鋼材料を得
る表面被覆方法を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明は低気圧かつ不活性ガス雰囲気中でプラズマ溶
射により鉄鋼材料の表面を被覆するにあたり、鉄鋼材料
の素地にモリブデンを溶射してモリブデン溶射被膜層を
形成し、次にこのモリブデン溶射被膜層上にチタンを溶
射してチタン溶射被膜層を形成し、さらにチタン溶射被
膜層表面に窒素ガスのプラズマを吹き付けてチタン溶射
波膜層上に窒化チタン層を形成する鉄鋼材料の表面被覆
方法である。

〔作　用〕

鉄鋼材料の素地とチタン溶射被膜層の間に、安定したモ
リブデン層が形成されているので、脆弱なチタンと鉄の
金属間化合物の生成はなく、チタン溶射被膜層の鉄鋼材
料素地に対する密着強度が向上する。

さらにはチタン溶射被膜層の表面に窒化チタン層を形成
したので、硬度が向上するとともに、チタンの弱点であ
る硫酸系の酸に対する耐食性が悪いという特性が改善さ
れ、硫酸系の酸を含む環境下でも使用可能となった。

〔実施例〕

本発明の一実施例を第１図に基づき説明する。

第１図は、本発明の鉄鋼材料の表面被覆方法により作製
された被膜の断面図である。断面図に示された被膜の被
覆方法は、まず７８０↑ａｒｔ以下の低気圧下で不活性
ガス雰囲気にその内部を保持することが可能であるとと
もに、その内部にプラズマ溶射装置を備えた真空槽内に
、基材となる厚さ６量１ｍの炭素鋼■を固定し、真空槽
内を７５Ｔｏｒｒの低気圧のアルゴンガス雰囲気に保持
する。ついで前記真空槽内に備えられたプラズマ溶射装
置を作動させ、基材である炭素鋼ｌの表面に厚さ１ＯＯ
ＪＬのモリブデン溶射被膜層２を形成させる。さらに引
き続き真空層内を４５Ｔｏｒｒの低気圧のアルゴンガス
雰囲気に保持しつつ、前記プラズマ溶射装置を作動させ
、モリブデン溶射被膜層２の上に、厚さ５００ルのチタ
ン溶射被膜層３を形成する。最後にアルゴンガス雰囲気
中で窒素ガスのプラズマを、先に形成したチタン溶射被
膜層３の表面に吹き付けることにより、チタン溶射被膜
層３の表層に厚さ２０湊の窒化チタン層４を形成するこ
とにより、炭素鋼ｌの表面に、モリブデン溶射被膜層２
、チタン溶射被膜層３、窒化チタン層４の三層からなる
表面被覆を形成した。

上述したようにして得られた表面被膜の断面を、Ｘ線を
用いて分析したところ、基材の炭素鋼とチタン溶射被膜
層の間には安定したモリブデン層が形成されており、界
面での密着強度を低下させる脆弱なチタンと鉄の金属間
化合物の生成は全く認められなかった。

次にこの表面被膜の耐二ローション性を確認するため、
２種類の異なった表面被覆方法による試験材料を作製し
た。試験材料Ａは鉄鋼材料としてＳＳ４１の薄板を用い
、この材料の表面を本発明の方法により、モリブデン溶
射被膜層、チタン溶射被膜層および窒化チタン層の三層
からなる被膜で表面被覆したものである。試験材料Ｂは
鉄鋼材料として同じ＜５Ｓ４１の薄板を用い、この材料
の表面に、低気圧の不活性ガス雰囲気中でプラズマ溶射
によりチタン溶射被膜層のみを形成させたものである。

このようにして作製した２種類の試験材料を用い、液中
回転法による二ローション試験を行い、エロージョン特
性を評価した。液中回転法は、海水１リツトル中に１０
０ｇの割合で粒径２００ｐのアルミナ粉末を混合した懸
濁液中で、試験材料を回転させるという方法で行った。

この試験による試験材料の被膜層の摩耗減量を表１に示
す、この結果本発明の鉄鋼材料の表面被覆方法は、従来
のチタン溶射層のみからなる表面被覆方法に比較し、耐
二ローション性が約１０倍向上していることが確認でき
た。

第−表 次に硫酸系の酸に対する耐食性を確認するため、上述し
たのと同じ２種類の試験材料を用いて、２０℃ならびに
５０℃の温度で１規定硫酸中への浸漬試験を行なった０
表２にこの浸漬試験の結果を、腐食度として単位時間φ
単位面積当たりの腐食減量を用いて示す。

第　　二　　表 この試験結果により１本発明の方法により表面被覆され
た試験材料Ａは、従来技術で表面被覆された試験材ＮＢ
より、硫酸系の酸中で１００倍以上の耐食性を持つこと
が確認できた。

なお実施例では、不活性ガスとしてアルゴンガスの場合
で説明したが、ヘリウムガス等値の不活性ガスでもよい
ことはもちろんである。

〔発明の効果〕

本発明により、基材である鉄鋼材料との間で高い密着強
度を有するチタンの被膜が形成できるとともに、表層に
窒化チタン層を形成したことにより、耐食性と耐エロー
ジヨン性に優れた被膜層が形成できるので、その経済的
効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明により形成された被膜の断面図である。 １・・・基材の炭素鋼、？・・・モリブデン溶射被膜層
、３・・・チタン溶射被膜層、４・・・窒化チタン層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 低気圧かつ不活性ガス雰囲気中でプラズマ溶射により鉄
   鋼材料の表面を被覆するにあたり、鉄鋼材料の素地にモ
   リブデンを溶射してモリブデン溶射被膜層を形成し、次
   にこのモリブデン溶射被膜層上にチタンを溶射してチタ
   ン溶射被膜層を形成し、さらにチタン溶射被膜層表面に
   窒素ガスのプラズマを吹き付けてチタン溶射被膜層上に
   窒化チタン層を形成することを特徴とする鉄鋼材料の表
   面被覆方法。