JPS63161150A - 断熱溶射層の形成方法 - Google Patents

断熱溶射層の形成方法

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JPS63161150A
JPS63161150A JP61306625A JP30662586A JPS63161150A JP S63161150 A JPS63161150 A JP S63161150A JP 61306625 A JP61306625 A JP 61306625A JP 30662586 A JP30662586 A JP 30662586A JP S63161150 A JPS63161150 A JP S63161150A
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C4/00Coating by spraying the coating material in the molten state, e.g. by flame, plasma or electric discharge
    • C23C4/02Pretreatment of the material to be coated, e.g. for coating on selected surface areas

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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明はアルミニウム合金等からなる母材の表面に断
熱性や耐熱性の優れたセラミックを溶射して、断熱溶射
層を形成する方法に関し、特に自動車用エンジンのピス
トン頂部やシリンダのボア部の如く、高温加熱と冷却が
繰返される部分を断熱するに最適な断熱溶射層を形成す
る方法に関するものである。
従来の技術 従来から、自動車エンジン用ピストンの如く、高温加熱
される部位を有する部材、特にアルミニウム合金を母材
とする部材においては、母材表面に熱伝導率が低くかつ
耐熱性が優れたセラミックを溶射して断熱溶射層を形成
することにより、断熱性の改善を図る方法が知られてい
る。
このような従来のセラミック溶射による断熱溶射部材に
ついて、自動車エンジン用ピストンを例に採って以下ざ
らに詳細に説明する。
近年、エンジンに使用されるピストンとしては、エンジ
ンにおける往復運動部の慣性力を低減させるだめの軽量
化を主眼として、アルミニウム合金により鋳造成形され
たピストンを使用することが多くなっている。しかしな
がらアルミニウム合金は熱伝導率が大きい材料であるか
ら、アルミニウム合金製ピストンを用いたエンジンでは
、燃焼室における燃料の燃焼によって発生した燃焼熱が
ピストンを介して燃焼至外へ伝達され、その分だけエン
ジンの熱効率を悪化させてエンジンの出力、燃費を低下
させる傾向があった。そこでアルミニウム合金製ピスト
ンを介して燃焼至外へ伝達される熱損失を低減するため
に、ピストンの頂面(ピストンヘッド)等にジルコニア
やアルミナ等の熱伝導率の小さいセラミック材料を溶射
して、断熱性を改善したセラミック溶射ピストンの適用
が試みられている(例えば[Cumm1ns/TACO
M AdvandedAdiabatic Engin
、 J R,Kamo et al、 SAE pap
erNα840428等)。
しかしながら、このようにアルミニウム合金を母材とし
てセラミック溶射層を形成したセラミック溶射ピストン
においては、母材であるアルミニウム合金の熱膨張係数
とセラミック材料の熱膨張係数との間に大きな差があり
、そのためエンジンの作動に伴なう加熱・冷却を繰返し
ている間にアルミニウム合金製母材表面とセラミック溶
射層との熱膨張差に起因してその界面に亀裂が発生し、
遂には母材表面からセラミック溶射層が剥離・脱落して
しまうことがあり、そのため耐久性が未だ充分とは言え
なかったのである。
そこで従来からアルミニウム合金母材とセラミック溶射
層との熱膨張係数の差によるセラミック溶射層の剥離を
防止するための方法として、例えば第3図に示すように
予め母材1の表面に熱膨張係数が母材とセラミックとの
間の中間でしかもセラミックとの密着性が良好な金属、
例えばNi−A2合金、Ni−0r−A1合金、N1−
Cr−Al−Y合金、N i −Co−Cr−Ai’−
Y合金などを薄く溶射して、ポンド層あるいは中間層と
称される下地溶射層2を形成しておき、その下地溶射層
2の上にセラミック溶射層3を溶射する方法、ざらには
その下地溶射層の形成を前提として、下地溶射層用の粉
末とセラミック溶射層用の粉末との割合を厚み方向へ段
階的に変化させて熱応力の緩和を図るようにしたグレー
テッド溶射などが知られている(例えば前掲刊行物)。
しかしながらこのように下地溶射層を形成した場合おる
いはグレーテッド溶射を適用した場合でも、熱膨張差に
起因するセラミック溶射層の剥離、脱落を防止するには
未だ充分ではなかった。
一方、本出願人が既に出願した特願昭60−12343
8号の提案や特開昭59−177375号公報に示され
ているように、セラミック溶射層の一部に不連続な部分
を設けたり、特開昭58−87273号公報に示されて
いるようにセラミック層に予め微細な割れを導入させて
おいたりして、セラミック層に生じる応力を緩和する方
法も知られているが、最近の高負荷の使用条件下におい
ては、これらの応力緩和方法だけではセラミック溶射層
の剥離、脱落を防止するには必ずしも充分ではなかった
発明が解決すべき問題点 前述のように、熱膨張係数が母材とセラミック溶射層と
の中間の金属からなる下地溶射層をそれらの間に形成し
ておく方法、あるいは前述のグレーテッド溶射を適用し
ただけでは、加熱・冷却の繰返しにより母材とセラミッ
ク溶射層との界面にそれらの熱膨張率の差に起因して発
生する剪断応力に打ち勝つに充分な密着強度を確保する
ことが困難であり、そのためセラミック溶射層の剥離脱
落という不都合を確実に防止することは困難であった。
すなわち、例えば第3図に示すように母材1とセラミッ
ク溶射層3との間にNi基合金などからなる下地溶射層
2を設けておいた場合でも、セラミツク溶射層3自体は
、内部に点在する気孔6を含むものの、全体としてソリ
ッドであり、そのため加熱冷却の繰返しにより母材1が
膨張・収縮すればそれにセラミック溶射層3がついて行
けずに大きな応力が生じ、第4図に示すようにセラミッ
ク溶射層3に大きな亀裂4が生じる。この亀裂4はNi
基合金等からなる下地溶射層2において一時的に停止は
するが、この亀裂4に起因して上層のセラミック溶射層
が剥離、脱落することが多かったのでおる。またそのほ
かセラミック溶射層の一部に不連続な部分を設けたり微
細なりラックを予め導入しておくことにより応力を緩和
させる従来の方法も、その応力緩和効果には限界があり
、確実にセラミック溶射層の剥離、脱落を防止すること
は困難であった。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、ピ
ストン頂部の如く高温加熱と冷却が繰返される環境下で
使用しても、アルミニウム合金等からなる母材と溶射層
との熱膨張係数の差に起因して溶射層の剥離・脱落に至
るような事態の発生を有効に防止し、耐久性を従来より
も格段に向上させた断熱溶射層を形成し得る方法を提供
することを目的とするものである。
問題点を解決するための手段 この発明の断熱溶射層の形成方法は、断熱性、耐熱性の
優れた酸化物系セラミックからなる断熱溶射層を形成す
るにあたり、粒径の大きいセラミック粉末と粒径の小さ
いセラミック粉末とを混合し、この混合粉末を、大径粉
末粒子が完全には溶融ぜずかつ小径粉末粒子が実質的に
溶融するような条件で溶射して、未溶融粒子と溶融・再
凝固粒子とが共存しかつ未溶融粒子が溶融−再凝固粒子
により結合された状態の溶射層を形成することを特徴と
するものである。
ここで、混合される大径粉末と小径粉末のうち、大径粉
末としてはその粒径が80〜150伽の範囲内のものを
用い、小径粉末としてはその粒径が5〜20III11
の範囲内のものを用いることが望ましい。
作   用 この発明において対象となるセラミックは、ZrO2(
CaOやY203 、MgOなどにより安定化したもの
を含む)やAl2O3、TiO2、Cr203 、Mg
O等の酸化物系セラミックである。このような酸化物系
セラミックは融点があり、したがって溶射が可能である
。一方プラズマ溶射等の溶射においては、溶射すべき粉
末粒子に熱が与えられる期間は極めて短時間でおり、そ
のため径の大きい粉末粒子の場合は溶射条件によっては
完全に溶融せず、溶射層中に未溶融の粒子が残存してし
まうことがある。一般のセラミック溶射においては、こ
のような未溶融のセラミック粒子が残存しないように、
換言すれば全てのセラミック粉末が溶射時に完全に溶融
してそれらが再凝固した状態で溶射層を形成するように
溶射条件を定めている。しかしながらこの発明では、大
径粒子が溶射時に溶融されにくい瑛象を積極的に利用し
、未溶融粒子を溶射層中に残存させるようにして空隙率
の高いセラミック溶射層を形成することとしている。
すなわちこの発明の方法においては、粒径が大きいセラ
ミック粉末と粒径が小さいセラミック粉末とを混合し、
その混合粉末を断熱性が要求される部材の表面にプラズ
マ溶射法などの溶射手段によって溶射する。そしてこの
時の溶射条件を、大径のセラミック粉末粒子は完全には
溶融しない一方、小径のセラミック粉末粒子は実質的に
完全に溶融してしまうような条件に設定する。このよう
にして溶射することによって得られた溶射層の状況を第
1図に模式的に示す。なお第1図においてアルミニウム
合金等からなる母材1上には母材とセラミックとの中間
の熱膨張係数を有する下地溶射層2、例えばNi−Cr
合金、Ni −Cr−A1合金、N i −Cr−Al
−Y合金、Ni−C0”−Cr−Aj2’−Y合金など
のNi基合金からなる下地溶射層2を薄く溶射しておき
、その下地溶射層2上に前述のような大径粉末と小径粉
末とからなる混合セラミック粉末を溶射してセラミック
溶射層(断熱溶射層)3を形成した状態を示す。
第1図において、セラミック溶射層3は、溶射時に完全
には溶融しなかった大径セラミック粉末粒子、すなわち
全く溶融しないかまたは表面のみが溶融した粒子(これ
をこの明細書では未溶融粒子と記す>3Aと、小径セラ
ミック粉末粒子が溶射時に完全に溶融して再凝固した粒
子(これをこの明細書では溶融−再凝固粒子と記す)3
Bとが共存した状態となっている。そして溶融−再凝固
粒子3Bが未溶融粒子3Aに対して結合剤として作用し
て、未溶融粒子3Aの相互間および未溶融粒子3Aと下
地溶射層2との間が溶融−再凝固粒子3Bより結合され
た状態となる。ざらに、未溶融粒子3Aが溶融−再凝固
粒子3Bによって結合されていない部分は空隙5として
残り、したがって完全に溶融−再凝固した従来の一般的
なセラミック溶射層と比較して格段に空隙の多い溶射層
3が形成されることになる。なおここで空隙5は、完全
に溶融して再凝固したソリッドな層中に点在する空隙(
第4図の気孔6)とは異なり、各空隙5の間が連通して
溶射層外表面まで連続する連続気孔となっている。
以上のように、セラミック溶射層3は、未溶融粒子3A
間に形成される空隙5が多数存在しており、しかもその
空隙5は表面まで連通ずる連続気孔となっているから、
高温加熱−冷却の冷熱サイクルが繰返し加わった場合の
熱膨張差によりセラミック層3に生じる熱応力がその空
隙部分の拡大・縮小によって緩和され、セラミック溶射
層の剥離・脱落をもたらすような大きな亀裂の成長を防
止することができる。また多数の空隙が存在することに
よって、セラミック層内で空気断熱も行なねれる結果、
断熱機能もソリッドなセラミック溶射層の場合より著し
く向上する。
ここで、溶射に使用される混合粉末のうち、大径の粉末
としてはその径が80〜150伽の範囲内のものを用い
、小径の粉末としてはその径が5〜20伽の範囲内のも
のを用いることが望ましい。すなわち、大径の粉末粒子
が80伽未満では溶射層中に未溶融粒子の部分を残すこ
とが困難となって、セラミック溶射層がほとんど溶融−
再凝固粒子のみによって構成されることになり、そのた
めソリッドな溶射層となって冷熱サイクルにより亀裂が
生じ易くなる。また大径粉末粒子が1501IInを越
えれば、溶射層中の未溶融粒子が大きくなり過ぎる結果
、小径粒子による溶融−再凝固粒子によって大径粒子に
よる未溶融粒子を充分に固定(密着)させることが困難
となり、逆に亀裂が生じ易くなる。
一方小径粉末粒子が5714i未満では、溶射のために
混合粉末を供給する際に安定して混合粉末が流れず、大
径粉末のみが・流れる傾向を示し、溶射を行なっても未
溶融粒子のみが被溶射表面に衝突するようになって、被
溶射表面にセラミック層を付着させることが困難となる
。また小径粉末粒子の径が20伽を越える場合は、未溶
融粒子である大径粒子の間に小径粒子よりなる溶融−再
凝固粒子が充分に侵入することができず、そのため未溶
融粒子が充分に密着・固定されないおそれがある。
また大径粉末と小径粉末との混合比は、体積比で3=7
〜7:3程度の範囲内とすることが望ましい。小径粉末
の割合がこれより少なければ大径粉末粒子による未溶融
粒子を小径粉末粒子による溶融−再凝固粒子で充分に密
着・固定することが困難となり、一方小径粉末の割合が
過剰となれば未溶解粒子となる大径粉末粒子の割合が相
対的に減る結果、溶射層中での空隙の割合が少なくなり
、またその空隙が連続気孔とならなくなるため、熱膨張
差による応力を緩和する効果が充分に得られなくなるお
それがある。
一方上述のようにして形成されるセラミック溶射層の厚
みは特に限定しないが、通常は0.1〜1m程度とすれ
ば良い。
また大径粉末粒子が完全には溶融せずかつ小径粉末粒子
が実質的に溶融するような溶射条件は、例えばプラズマ
溶射においては電流量(出力)およびガス量の調整によ
って設定することができる。
なお前述の説明では母材上に下地溶射層を形成してから
その上にセラミック溶射層を形成するものとしたが、必
ずしもそれに限らないことは勿論である。
実施例 以下にこの発明の直接噴射式ディーゼル機関用ピストン
に適用した実施例および比較例と、それらの耐久性能試
験について記す。
[実施例1] 第2図に示すようにピストン頂部7にカップ状の燃焼至
8を有するピストンを製造するにあたって、次のように
してその燃焼至8の内壁面の母材表面に断熱溶射層を形
成した。
すなわち先ずアルミニウム合金(JIS AC8A)に
よって母材(ピストン本体)を常法にしたがって鋳造し
て加工した後、燃焼至8の内壁面を溶剤(アセトン)に
よって洗浄し、さらにその内壁面にショツトブラスト加
工を施して凹凸を形成した後、プラズマ溶射装置によっ
て燃焼至内壁面に下地溶射層を0.1mの厚さで形成し
た。ここで下地溶射材としては、94wt%(8ON 
i −20Cr合金)−6wt%A!を用いた。
一方、セラミック溶射材料としてZrO2−5wt%C
aOの粉末の、粒径5〜20jaのもの(小径粉末)と
、粒径80〜100伽のもの(大径粉末)とを用意して
おき、これらの小径粉末および大径粉末とを1:1の体
積比で混合し、その混合粉末を燃焼至内面の下地溶射層
上にプラズマ溶射法により溶射して、本発明によるピス
トンを得た。ここで溶射条件としては、小径粉末粒子が
溶融しかつ大径粒子が殆んど溶解しないように、N2−
82ガス(H230j2 /man、N 2 16Of
 / m+n )を使用して電流値400Aとした。
このようにして溶射した結果、第1図に示したように、
大径粉末粒子はほとんど溶融せずに未溶融粒子3Aとな
り、小径粉末粒子は溶融して溶融−再凝固粒子3Bとな
り、これらが混在した状態のセラミック溶射層となって
いることが確認された。また未溶融粒子3Aの間の空隙
5はセラミック溶射層表面まで連続していることが確認
された。
一方比較のため、セラミック溶射材料として、上記と同
じ材質の粒径10〜105翔の粉末(但し粒径は一様分
布)を用いた点以外は上記と同じ方法でピストンを作成
したく比較例)。
[耐久性能評価1] 実施例1で得られた2種類のピストンについて、それぞ
れ内燃機関に装着して実機による冷熱サイクル耐久試験
を実施した。
その結果、比較例のピストンでは20時間後に溶射層の
剥離・脱落が認められたが、本発明ピストンでは300
時間後にも何ら異常は認められなかった。
[実施例2] セラミック溶射粉末として第1表に示すような粒径の大
径粉末と小径粉末とを用意し、体積比1:1で混合して
、実施例1と同様な条件でピストンに溶射層を形成した
。なお各セラミック溶射粉末の材質も実施例1と同じで
おる。
第1表 その結果、第1表の記号Aの組合せでは、セラミック溶
射層がほとんど付着しなかった。これは、小径粉末粒子
が5珈未満と著しく小さく、粉末供給の際に粉末の流れ
が安定せず、大径粒子だけが流れて未溶融粒子のみが母
材に衝突したためと考えられる。
その他の記号B−Nの組合せでセラミック溶射層を形成
したピストンについて、以下法のようにして実機評価し
た。
[耐久性能評価2] 第1表の記@ B = Nの各粉末組合せでセラミック
溶射層を形成した各ピストンについて、それぞれ内燃機
関に装着して実機による冷熱サイクル耐久試験を実施し
た。
その結果、記@B、C1■、Jの粉末を溶射したピスト
ンは、いずれも20〜50時間後にセラミック層の一部
に亀裂が生じ、そのうちB、■の粉末を溶射したピスト
ンでは一部にセラミック層の剥離が生じていた。これら
についてセラミック層の断面調査を行なった結果、未溶
融粒子の部分がはとんと存在せず、溶融−再凝固粒子に
よるソリッドなセラミック層内に亀裂が生じていること
が判明した。同様に記号り、にの粉末を用いたピストン
でも、セラミック層内の未溶融粒子の割合が少ないため
、100時間以内に亀裂、剥離が生じていた。
また記号Hの粉末を用いたピストンでは、200時間程
度でセラミック層に亀裂が生じた。この断面組織を調べ
たところ、未溶融粒子と溶融−再凝固粒子との界面にク
ラックが生じていたことから、大径粉末粒子の径が大き
過ぎ、未溶融粒子を溶融−再凝固粒子により充分に密着
・固定できなかったためと考えられる。
ざらに記号り、M、Nの粉末を用いたピストンにおいて
は、200〜300時間の間でセラミック層にクラック
ないし剥離が生じた。組織の観察の結果、これは大径粉
末粒子からなる未溶融粒子の間に小径粒子からなる溶融
−再凝固粒子がうまく入り込むことができず、その界面
を起点にクラックが生じたものと考えられる。
一方、小径粉末粒子が5〜20Iμmの範囲内、大径粉
末粒子が80〜150IJInの範囲内にある記号E、
F、Gの粉末では、300時間経過後まで何ら異常が認
められなかった。
以上のような試験結果を総合すれば、小径粉末と大径粉
末の粒径の組合せに関して、小径粉末は完全に溶融して
大径粉末粒子(未溶融粒子)の間を充填し、しかも密着
性を充分に確保できる程度の粒径でなければならず、一
方大径粉末は少なくとも一部は未溶解のまま残存してし
かも小径粉末粒子(溶融−再凝固粒子)により充分に結
合されて、密着性を充分に確保できる程度の粒径である
必要がある。そしてこれらの条件を満足するためには、
小径粉末は粒径が5〜20tMtの範囲内、大径粉末は
粒径が80〜1501M1の範囲内とすることが最も適
当である。
発明の効果 以上の実施例からも明らかなように、この発明の方法に
よれば、酸化物系セラミックを溶射するにあたって、大
径のセラミック粉末と小径のセラミック粉末とを組合せ
、大径の粉末粒子が完全には溶融ぜずかつ小径の粉末粒
子が実質的に溶融するように溶射することによって、内
部に多数の空隙(気孔)が存在しかつそれらの空隙が連
続気孔となっているセラミック溶射層を形成することが
できる。そしてこのような溶射層は、高温加熱と冷却が
繰返し加わっても、空隙部分において母材の熱膨張−収
縮による応力を吸収・緩和することができ、したがって
亀裂の発生を防止し、ひいては溶射層の剥離、脱落を防
止することができる。
また上述のように溶射層中に多数の空隙が存在するため
、断熱効果も著しく高めることができる。
したがってこの発明の方法を高温加熱と冷却が繰返され
る部材、例えば内燃機関のピストンなどの断熱層形成に
適用すれば、耐久性を従来よりも格段に向上させること
ができるとともに優れた断熱性を発揮させることができ
る。
なお前述の実施例、性能評価においては直線噴射式ディ
ーゼル機関用ピストンに適用した例について示したが、
これに限定されないことは勿論であり、要はセラミック
を溶射して断熱効果、耐熱効果を与える部材には全て適
用可能である。また母材の材質、溶射層の材質、ざらに
は下地溶射層の有無などについても、実施例の記載に限
定されないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の方法により形成された溶射層を模式
的に示す断面図、第2図は実施例においてこの発明の方
法を適用するピストンを示す部分切欠正面図、第3図は
従来の断熱溶射層の一例を模式的に示す断面図、第4図
は従来の第3図に示す断熱溶射層における亀裂発生状況
を示す模式的な断面図である。 1・・・母材、 2・・・下地溶射層、 3・・・セラ
ミック溶射層、 3A・・・未溶融粒子、 3B・・・
溶融−再凝固粒子、 5・・・空隙。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)断熱性、耐熱性の優れた酸化物系セラミックから
    なる断熱溶射層を形成するにあたり、粒径の大きいセラ
    ミック粉末と粒径の小さいセラミック粉末とを混合し、
    この混合粉末を、大径粉末粒子が完全には溶融せずかつ
    小径粉末粒子が実質的に溶融するような条件で溶射して
    、未溶融粒子と溶融・再凝固粒子とが共存しかつ未溶融
    粒子が溶融−再凝固粒子により結合された状態の溶射層
    を形成することを特徴とする断熱溶射層の形成方法。
  2. (2)粒径の大きいセラミック粉末として、粒径が80
    〜150μmの範囲内のものを用い、粒径の小さいセラ
    ミック粉末として、粒径が5〜20μmの範囲内のもの
    を用いる特許請求の範囲第1項記載の断熱溶射層の形成
    方法。
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