JPS6315944Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は往動移動させられる移動部材を往動方
向に助勢する助勢装置に関するものである。

クラツチペダル、ブレーキペダル、操作レバー
等の往動移動させられる移動部材は一般に移動量
に伴つて増大する負荷に抗して往動させられる。
このような場合には、移動部材を往動に伴つて往
動方向に助勢することにより移動部材の移動が容
易に行なわれるようにすることが望ましい。

本考案は以上の事情を背景としてなされたもの
であつてその目的とするところは、前記移動部材
を助勢するための簡単な助勢装置を提供すること
にある。

かかる目的を達成するため、本考案は、スプリ
ングを備え、往復移動させられる移動部材が往動
中において予め定められた一定の位置を通過した
ときそのスプリングの付勢力を作用させることに
よりその位置通過後の移動部材を往動方向に助勢
するが、その移動部材が復動中においてその位置
を通過したときその付勢力の作用を解除してその
位置通過後の移動部材に対する往動方向の助勢を
停止する移動部材の助勢装置であつて (1) 前記移動部材に設けられた第１掛止装置と、 (2) 移動部材が前記一定の位置にあるときその第
１掛止装置の近傍において位置固定に設けられ
た第２掛止装置と、 (3) 前記スプリングによつて前記移動部材の往動
方向に付勢され、前記第１掛止装置に抜け止め
られている状態においてその移動部材が前記一
定の位置を復動方向に通過するとその第１掛止
装置から前記第２掛止装置に掛け止められると
ともに、その第２掛止装置に掛け止められてい
る状態においてその移動部材がその一定の位置
を往動方向に通過するとその第２掛止装置から
第１掛止装置に掛け止められて前記移動部材に
前記スプリングの付勢力を作用させる被掛止部
材と を含むことを特徴とする。

このようにすれば移動部材が往動中において前
記予め定められた一定の位置を通過したとき被掛
止部材が位置固定の第２掛止装置から移動部材に
設けられた第１掛止装置に掛け止められるので、
その一定の位置通過後の移動部材が往動方向に助
勢される一方、移動部材が復動中において上記一
定の位置を通過したときその移動部材に設けられ
た第１掛止装置に掛け止められた被掛止部材が位
置固定の第２掛止装置に掛け止められるのでその
一定の位置通過後の移動部材に対するスプリング
の助勢が停止される。したがつて、一般に往動に
伴つて負荷が大きくなる移動部材が高負荷域にお
いて助勢されるのでその移動部材が高負荷域にか
かわらず容易且つ円滑に移動させられ得るのであ
る。

以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

第１図において、移動部材としてのクラツチペ
ダル１０は、その上端部が位置固定のブラケツト
１２に突設されたピン１４に挿し通されることに
よつて、ペダルアーム１６とブラケツト１２とが
所定の間隙Ａを隔てて平行な状態でピン１４まわ
りに往動回動可能に設けられている。ペダルアー
ム１６のブラケツト１２に対面する側には第１掛
止装置が設けられている。その第１掛止装置は、
第２図にも示されるように、寸法Ａよりも僅かに
短い長さであつてブラケツト１２に向かつて突設
された第１ストツパピン１８とその第１ストツパ
ピン１８よりもピン１４側に位置してブラケツト
１２に向かつて突設された第１保持ピン２０とか
ら成る。第１保持ピン２０は円板状の頭部２２を
備え、その頭部２２とペダルアーム１６との間に
所定の間隙Ｂを形成し後述の被掛止部材２４の一
方の側板２６がその頭部２２とペダルアーム１６
との間にはさまれて回動可能に保持されるように
なつている。

被掛止部材２４は、第３図にも示されるよう
に、一対の側板２６及び２８を備えている。それ
ら側板２６及び２８は相互に同様の形状を成し且
つ所定寸法を隔てて一本の連結ピン３０によつて
連結されることにより、丁度ペダルアーム１６と
ブラケツト１２との間に挿入可能とされている。
側板２６及び２８は、ほぼ正方形の板材の対角線
上の一対の角部がそれぞれ矩形に切り欠かれた状
態に形成され、それら切り欠き３２及び３４の角
部近傍の連結ピン３０側にはわずかに突き出す膨
出部３６及び３８が形成されている。前記被掛止
部材２４の連結ピン３０とブラケツト１２に突設
された係止ピン４０との間にはスプリング４２が
張設され、被掛止部材２４がクラツチペダル１０
の往動方向に付勢されている。また、クラツチペ
ダル１０が踏み込み操作されて予め定められた一
定の付勢位置まで回動させられたときペダルアー
ム１６に設けられた前記第１掛止装置の近傍にお
いてブラケツト１２に設けられた第２掛止装置
に、被掛止部材２４が掛け止められている。

第２掛止装置は第１ストツパピン１８と同様に
ブラケツト１２から突設された第２ストツパピン
４４と第１保持ピン２０と同様にブラケツト１２
に突設された第２保持ピン４６とから成る。第２
ストツパピン４４と第２保持ピン４６とは第１ス
トツパピン１８と第１保持ピン２０との間隔と同
様の間隔を隔てて突設され、第２ストツパピン４
４は第２保持ピン４６とピン１４とを結ぶ直線上
にほぼ位置させられている。したがつて、側板２
８に形成された切欠３２の角部が第２保持ピン４
６に係合させられ且つその切欠３２の連結ピン３
０側の辺が第２ストツパピン４４に当接させられ
ることによつて、被掛止部材２４が第２掛止装置
に掛け止められている。

ここで、スプリング４２の付勢方向が第２スト
ツパピン４４と第２保持ピン４６とを結ぶ直線に
垂直な線に対して傾斜しているため、切欠３２の
連結ピン３０側の辺に形成された膨出部３６が第
２保持ピン４６と係合することによつて、被掛止
部材２４が第１図下方に外ずれることが防止され
ている。この膨出部３６は被掛止部材２４が第１
掛止装置に掛け止められるための回動過程におい
ても同様の作用を為している。また、第２保持ピ
ン４６の頭部とブラケツト１２との間隙に側板２
８が挾まれることにより、被掛止部材２４が第１
図前方に外ずれることが防止されている。尚、側
板２６の切欠３４に形成された膨出部３８、およ
び第１保持ピン２０も上記膨出部３６および第２
保持ピン４６と同様の機能を果すものである。

以下、本実施例の作動を説明する。

第１図及び第４図は、クラツチペダル１０が原
位置にある状態を示しており、図示しないリター
ンスプリングによつて原位置を規制するための図
示しないストツパに当接させられた状態にある。

以上の状態においてクラツチペダル１０が図示
しないマスタシリンダ等の負荷に抗して踏み込み
操作されて予め定められた一定の回動位置、換言
すればペダルアーム１６に設けられた第１掛止装
置がブラケツト１２に設けられた第２掛止装置に
掛け止められた被掛止部材２４に当接する位置に
到達すると、第１保持ピン２０が側板２６の切り
欠き３４に当接する。第５図はこの状態を示す。

クラツチペダル１０が更に踏み込み操作される
と被掛止部材２４は第１保持ピン２０の押圧作用
によつて第２保持ピン４６まわりに回動させら
れ、第１保持ピン２０が側板２６の切り欠き３４
の角部に係合させられるとともにその側板２６が
第１保持ピン２０の頭部２２とペダルアーム１６
との間にはさまれて保持される。第６図はこの状
態を示す。

更に、クラツチペダル１０が踏み込み操作され
ると被掛止部材２４が更に第１保持ピン２０まわ
りに回動させられ、側板２６の切り欠き３４が第
１ストツパピン１８に当接させられる。この状態
においては被掛止部材２４は第１保持ピン２０と
第１ストツパピン１８とによつて安定に掛け止め
られ、被掛止部材２４が第２掛止装置から第１掛
止装置に掛け止められた状態となつて、スプリン
グ４２の付勢力がペダルアーム１６に作用させら
れることになる。第７図はこの状態を示し、クラ
ツチペダル１０の以後の踏み込み位置においては
スプリング４２の付勢力によつて助勢されるの
で、踏み込みにともなつて負荷が大きくなる、第
７図に示された状態以後の高負荷領域においても
クラツチペダル１０の操作が容易とされるのであ
る。

反対に、クラツチペダル１０が踏み込み位置か
ら戻されて第７図に示される予め定められた一定
の回動位置に達すると上述の作動と逆の作動が行
なわれて被掛止部材２４がペダルアーム１６に設
けられた第１掛止装置からブラケツト１２に設け
られた第２掛止装置に掛け止められて第５図に示
された状態になり、それ以後の回動領域において
はスプリング４２による助勢が停止される。

このように、本実施例によれば、クラツチペダ
ル１０の高負荷領域において被掛止部材２４がブ
ラケツト１２に設けられた第２掛止装置からペダ
ルアーム１６に設けられた第１掛止装置に掛け止
められるので、クラツチペダル１０がスプリング
４２の付勢力によつて助勢され、高負荷領域にお
いてのクラツチペダル１０の操作がきわめて容易
且つ円滑とされるのである。

また、本実施例によれば付勢装置が少い部品数
によつて簡単に構成されるのできわめて容易且つ
安価に製作される利点がある。

一方、前述の実施例において、スプリング４２
の替りに第８図に示される付勢装置を用いてもよ
い。すなわち、先端部が連結ピン３０に回動可能
に取り付けられたロツド４８の基端部にはバネ受
け板５０が固定されるとともにそのバネ受け板５
０は係止ピン４０に基端部が枢着されたシリンダ
５２内にはめ入れられ且つシリンダ５２の開口部
にロツド４８を貫通させて固定された蓋体５４と
バネ受け板５０との間に圧縮コイルスプリング５
６が介挿されている。

また、前述の実施例においては移動部材として
クラツチペダル１０が用いられているがブレーキ
ペダル又は操作レバー等であつてもよく、また、
それら移動部材が直線に沿つて往復運動させられ
るものであつてもよいのである。

更に、被掛止部材２４の側板２６及び２８は相
互に同じ形状を成す必要はなく、側板２６におい
ては切欠３２の直交する二辺のうち膨出部３６の
ない側が不要であり、また側板２８においては切
欠３４の直交する二辺のうち膨出部３８がない側
が不要である。

なお、上述したのはあくまでも本考案の一実施
例であり、本考案はその精神を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案がクラツチペダルに適用された
例を示す正面図である。第２図は第１図の−
視断面図である。第３図は第１図の実施例におけ
る被掛止部材を示した斜視図である。第４図ない
し第７図は第１図の実施例の作動をそれぞれ説明
する図である。第８図は本考案の他の実施例を示
す図である。 １０：クラツチペダル（移動部材）、｛１８：第
１ストツパピン、２０：第１保持ピン｝（第１掛
止装置）、２４：被掛止部材、４２：スプリング、
｛４４：第２ストツパピン、４６：第２保持ピン｝
（第２掛止装置）、５６：圧縮コイルスプリング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 スプリングを備え、往復移動させられる移動部
   材が往動中において予め定められた一定の位置を
   通過したとき該スプリングの付勢力を作用させる
   ことにより該位置通過後の該移動部材を往動方向
   に助勢するが、該移動部材が復動中において該位
   置を通過したとき該付勢力の作用を解除して該位
   置通過後の該移動部材に対する往動方向の助勢を
   停止する移動部材の助勢装置であつて、 前記移動部材に設けられた第１掛止装置と、 該移動部材が前記一定の位置にあるとき該第１
   掛止装置の近傍において位置固定に設けられた第
   ２掛止装置と、 前記スプリングによつて前記移動部材の往動方
   向に付勢され、前記第１掛止装置に掛け止められ
   ている状態において該移動部材が前記一定の位置
   を復動方向に通過すると該第１掛止装置から前記
   第２掛止装置に掛け止められるとともに、該第２
   掛止装置に掛け止められている状態において該移
   動部材が該一定の位置を往動方向に通過すると該
   第２掛止装置から該第１掛止装置に掛け止められ
   て、前記移動部材に前記スプリングの付勢力を作
   用させる被掛止部材と、を含むことを特徴とする
   移動部材の助勢装置。