JPS6315086B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はトツプジヨウを迅速に交換すること
のできる機力式チヤツクに関するものである。

従来、マスタジヨウとトツプジヨウとを、マス
タジヨウに軸方向に摺動可能に嵌装された噛合部
材によつて連結、切離しして、トツプジヨウを交
換するようにしたものがあるが、これらにおいて
は、噛合部材用の戻しばねのばね力でもつて噛合
部材とトツプジヨウを噛合わせるようにしてい
る。ところが、このような戻しばねを用いた構造
では戻しばねが作動不良を起こすと噛合部材とト
ツプジヨウを噛合わせることができず、トツプジ
ヨウの円滑な取替作業ができない危れが生ずると
いう問題があつた。

そこで本発明は上記問題点に鑑み、マスタジヨ
ウを略半径方向に貫通した操作ピンを駆動スリー
ブの係止斜面に形成した切欠部に押込むことによ
りトツプジヨウと噛合部材との噛合状態を解除し
てトツプジヨウを交換し、次いで駆動スリーブを
工作物把持方向へ移動させ、切欠部と操作ピン先
端との係合によつて操作ピンを強制的に外方へ押
し戻して噛合部材をトツプジヨウに噛合わせ、駆
動スリーブのチヤツク作動位置では操作ピン先端
が駆動スリーブの係止斜面と略摺接してトツプジ
ヨウと噛合部材との噛合状態を保持するように
し、噛合部材とトツプジヨウとを噛合部材用の戻
しばねを用いることなく噛合状態にでき、しかも
迅速にトツプジヨウを交換し得る機力式チヤツク
を提供しようとするものである。

以下、本発明を図面に示す一実施例に基づいて
詳細に説明する。図はジヨウ部分の１箇所につい
て示したものであるが、この機力式チヤツクは同
一のジヨウ部分を２箇所以上備えている。これら
は全く同じ構造であるので、その一箇所について
詳細に説明する。

第１，２図において、１はチヤツク本体で、こ
のチヤツク本体１には半径方向のマスタジヨウ案
内溝２が設けられ、このマスタジヨウ案内溝２の
前方にはトツプジヨウ案内溝４がマスタジヨウ案
内溝２に対応して形成されている。３はマスタジ
ヨウ、５はトツプジヨウで夫々前記マスタジヨウ
案内溝２、及びトツプジヨウ案内溝４にチヤツク
の半径方向に摺動可能に嵌装されている。このト
ツプジヨウ５の背面にはラツク６が刻設されてい
る。上記マスタジヨウ３の半径方向内端には第３
図に示すように断面Ｔ字状を成す傾斜フツク７が
形成されている。この傾斜フツク７はチヤツク軸
方向へ摺動可能な駆動スリーブ８に形成されたＴ
字状の傾斜溝９に摺動自在に嵌合され、またこの
駆動スリーブ８の外周には前記Ｔ字状の傾斜溝９
と対応する位置に前記傾斜溝９と同じ傾きの係止
斜面１０が形成されている。この係止斜面１０は
（半径に対するジヨウストローク）／（駆動スリ
ーブのストローク）に設定され、第３図に示すよ
うに前記マスタジヨウ３の内側端と対応し、後述
する操作ピン先端と対向可能な位置に設けられて
いる。従つて図示しない回転シリンダの作動によ
り上記駆動スリーブ８をチヤツク軸方向へ所定ス
トローク前後動させると上記マスタジヨウ３がそ
れに応じて所定ストローク半径方向へ摺動するよ
うにしてある。１１は前記マスタジヨウ３にチヤ
ツク軸方向に摺動可能に嵌装された噛合部材で、
第５図に示すようにこの噛合部材１１の前端には
上記トツプジヨウ５背面のラツク６と係合可能な
ラツク１２が形成され、またこの噛合部材１１の
前記マスタジヨウ案内溝２方向側面の一側に噛合
部材１１の摺動方向に対して傾斜した２面を備え
た傾斜凹溝１３が削設されている。１４は前記噛
合部材１１の中心にチヤツク軸方向摺動可能に嵌
装された係止ピンで、この係止ピン１４はばね１
５によつてチヤツク前方へ付勢されている。この
係止ピン１４の先端はトツプジヨウ５の交換時に
おいて前記トツプジヨウ背面のラツク６と噛合部
材１１のラツク１２が外れた場合にトツプジヨウ
５の脱落を防止するためトツプジヨウ背面のラツ
ク６と係合する。更に、前記マスタジヨウ３には
操作ピン１６が第３図に示すように前記噛合部材
１１中心とチヤツク中心とを結ぶ直線Ｌに対して
平行で偏心した位置に貫装されている。この操作
ピン１６には前記噛合部材１１の傾斜凹溝１３に
嵌まり込む案内斜面１７が形成され、この案内斜
面１７と傾斜凹溝１３との摺動によつて噛合部材
１１を前後動させ、マスタジヨウ３とトツプジヨ
ウ５との連結、切離しをするようにしてある。
尚、案内斜面１７を噛合部材１１に、傾斜凹溝１
３を操作ピン１６に設けてもよくまた、案内斜面
１７を案内突起（例えば丸ピン）にしてもよく、
要は操作ピン１６と噛合部材１１との少くとも一
方に噛合部材１１の軸方向移動用の傾斜面を具備
させ、操作ピン１６を操作すると噛合部材１１が
前後動するようにしてあればよい。１８は駆動ス
リーブ８に設けられた切欠部で前記駆動スリーブ
８の最前進端（第４図ａに示すトツプジヨウ交換
位置）でのみ操作ピン１６の先端と相対する位置
に設けられ、通常工作物を把持（解放）する位置
（以下チヤツク作動位置と記す）では対向しない
ようにしてあり、この切欠部１８の前側壁には前
記係止斜面１０の傾きと交叉する方向の押上面１
８ａが形成されている。前記操作ピン１６の先端
には、その前側部に前記押上面１８ａと係合する
操作ピン１６の押上面１６ｂが形成され、駆動ス
リーブ８の工作物把持方向移動（本実施例では後
方移動）によつて操作ピン１６を外方へ押し戻し
て噛合部材１１のラツク１２とトツプジヨウ５の
ラツク６とを噛合せるようにしてある。更に操作
ピン１６の先端後側部には前記係止斜面１０と同
じ傾きの摺接面１６ａが形成され、この摺接面１
６ａは噛合部材１１とトツプジヨウ１６とが噛合
つた時に前記係止斜面１０と略摺接可能になるよ
うに形成されている。これらの押上面１６ｂ，１
８ａは切欠部１８及び操作ピン１６先端の少くと
も何れか一方に設けてあればよく、その形状も例
えば操作ピン先端を円弧形状の押上面としてもよ
く、要は駆動スリーブ８の工作物把持方向移動で
操作ピン１６を外方へ押し戻すようにしてあれば
よい。また操作ピン１６先端の摺接面１６ａも傾
斜面にしなくてもよく、要は噛合部材１１とトツ
プジヨウ５が噛合つた時に係止斜面１０と略摺接
可能に構成してあればよい。尚、１９は押込み位
置と戻し位置の夫々の位置で操作ピン１６のノツ
チと係合するボール、１９ａはこのボール１９を
操作ピン１６方向へ付勢するばね、２０は工作機
の主軸２１先端面に取付けるための取付ボルト、
２２は図示しない回転シリンダと前記駆動スリー
ブ８をボルト２３を介して連結しているドローバ
ー、２４は操作ピン１６を操作する際、棒材を差
込んでチヤツクの回り止めを行う回り止め穴であ
る。

次に作用について説明する。作業者が加工物の
変更によりトツプジヨウ５を交換しようとした場
合には、チヤツクの回転を停止させ、次いで図示
しない回転シリンダを作動させて駆動スリーブ８
を最前進端まで移動させる。すると駆動スリーブ
８の傾斜溝９とマスタジヨウ３の傾斜フツク７の
係合でトツプジヨウ５が外へ移動し係止斜面１０
に形成した切欠部１８が操作ピン１６の先端部と
対向する。（第４図ａ）この状態で操作ピン１６
頭部をばね１９ａに抗して押圧するとその先端は
切欠部１８内へ押し込まれ、操作ピン１６の案内
斜面１７が第４図ａにおいて下方へ移動し、この
移動につれて噛合部材１１はその傾斜凹溝１３を
介して後方へ所定量移動され、その先端のラツク
１２とトツプジヨウ５のラツク６の係合が外され
る。（第４図ｂ）この時噛合部材１１内の係止ピ
ン１４は、ばね１５の力で依然トツプジヨウ５の
ラツク６と係合しており、トツプジヨウ５がチヤ
ツク本体から脱落することはない。この状態で作
業者は前記ばね１５のばね力に抗してトツプジヨ
ウ５を半径方向へ抜き去り、別のトツプジヨウ５
を加工物の把握径に合致した位置まで挿入すれ
ば、このトツプジヨウ５は係止ピン１４によつて
その位置に保持される。こうして次々とトツプジ
ヨウ５を交換し、次いで駆動スリーブ８を後退す
なわち工作物把持方向へ移動させるとマスタジヨ
ウ３はトツプジヨウ５を係止ピン１４により係止
したまま半径方向内側へ移動する。この移動中に
操作ピン１６先端の押上面１６ｂと駆動スリーブ
係止斜面１０の押上面１８ａとが係合して操作ピ
ン１６の押圧面１６ｂは駆動スリーブ８の押上面
１８ａを登り、これによつて操作ピン１６は外方
へ押し戻され、噛合部材１１は操作ピン１６の案
内斜面１７によつて前方に移動され、トツプジヨ
ウ５と噛合される（第４図ｃ）。噛合部材１１と
トツプジヨウ５が噛み合つた状態では操作ピン１
６の内方のノツチにボール１９が嵌入し、操作ピ
ン１６先端の摺接面１６ａを係止斜面１０に略摺
接可能な位置に保持する。更に駆動スリーブ８を
工作物把持方向へ移動させると、上記操作ピン１
６の先端は駆動スリーブ８の切欠部１８とはすで
に対向しなくなつており、（チヤツク作動位置、
例えば第４図ｄ）、この状態で上記操作ピン１６
の摺接面１６ａは駆動スリーブ８の係止斜面１０
と略摺接するので、チヤツク作動位置においては
操作ピン１６を押込んでも操作ピン１６の摺接面
１６ａが駆動スリーブ８の係止斜面１０に当接
し、噛合部材１１とトツプジヨウ５との噛合は確
実に保持され外れることはない。また、噛合状態
にしようとしても噛合状態にならない場合（例え
ばラツク６，１２の山と山とが対向して全く噛合
わない場合）等には、駆動スリーブ８を動作させ
てもその切欠部１８の押上面１８ａと操作ピン１
６の押上面１６ｂがくいついてしまい、切欠部１
８内に操作ピン１６先端が入り込んだままで駆動
スリーブ８が後方移動できないので、マスタジヨ
ウ３が半径方向に動くことができず工作物を把握
することができないため、作業者がいる場合には
その場で気付くことができ、又、自動機において
も特に駆動スリーブ８が工作物把持位置に位置し
たときチヤツクを回転させる信号を出すようにし
た確認装置と組合せることにより、トツプジヨウ
５が噛合部材１１と噛合ない状態ではチヤツクを
回転させることを防止でき安全である。

前記実施例では工作物外径を把持する外径チヤ
ツクに適用した場合について述べたが、内径チヤ
ツクにも適用できることは勿論である。この場
合、切欠部を駆動スリーブの前端部に形成すれば
良い。また、前記実施例ではトツプジヨウの交換
位置を駆動スリーブの最前進端に設定したが、把
持ストロークによつては駆動スリーブの係止斜面
前後方向の中間部分に切欠部を設けるようにして
もよい。更に前記実施例では駆動スリーブの動き
を斜面を利用してマスタジヨウに伝達するいわゆ
る楔形チヤツクに適用したものについて説明した
が他の方式の伝達機構（例えばクランク式）であ
つても実施可能である。更にまた、本発明は定置
式のいわゆるステーシヨナリチヤツクにも実施可
能である。

以上のように本発明においてはマスタジヨウを
略半径方向に貫通した操作ピンを駆動スリーブの
係止斜面に形成した切欠部に押込むことによりト
ツプジヨウと噛合部材との噛合状態を解除してト
ツプジヨウを交換し、次いで駆動スリーブを工作
物把持方向へ移動させ、切欠部と操作ピン先端と
の係合によつて操作ピンを強制的に押上げて噛合
部材をトツプジヨウに噛合わせ、駆動スリーブの
チヤツク作動位置では操作ピン先端が駆動スリー
ブの係止斜面と略摺接してトツプジヨウと噛合部
材との噛合状態を保持するようにしたので、トツ
プジヨウと噛合部材とを噛合部材の戻しばねを用
いることなく確実に噛合せることができ、部品数
を減少し得てしかも迅速にトツプジヨウを交換す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は機力式チヤツクの縦断面図、第２図は
第１図のＡ視図、第３図は第１図のＢ−Ｂ断面
図、第４図ａ〜ｄは第３図のＣ−Ｃ断面図おける
作用説明図、第５図は噛合部材の側面図である。 １……チヤツク本体、３……マスタジヨウ、５
……トツプジヨウ、８……駆動スリーブ、１０…
…係止斜面、１１……噛合部材、１３……傾斜凹
溝、１４……係止ピン、１６……操作ピン、１６
ａ……摺接面、１６ｂ……押上面、１７……案内
斜面、１８……切欠部、１８ａ……押上面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ チヤツク本体に、駆動スリーブに係合したマ
   スタジヨウとその前方でマスタジヨウと対向する
   トツプジヨウとを何れも半径方向摺動可能に嵌装
   し、前記駆動スリーブには前記マスタジヨウと対
   応する位置に（半径に対するジヨウストロー
   ク）／（駆動スリーブのストローク）の係止斜面
   を設け、前記マスタジヨウにはトツプジヨウ脱落
   防止の係止ピンを備え、かつマスタジヨウとトツ
   プジヨウとを連結、解除する噛合部材を軸方向摺
   動可能に嵌装すると共にこの噛合部材を操作する
   操作ピンを略半径方向摺動可能に貫装し、この操
   作ピンと前記噛合部材との少くとも一方には前記
   噛合部材の軸方向移動用の傾斜面を具備し、前記
   係止斜面には駆動スリーブのトツプジヨウ交換位
   置において、前記操作ピン先端と対向する位置に
   操作ピン先端を押込可能な切欠部を形成し、更に
   この切欠部若しくは操作ピン先端には駆動スリー
   ブの把持方向移動によつて操作ピンを外方へ押し
   戻す押上面を形成すると共に操作ピン先端を前記
   噛合部材とトツプジヨウとが噛合つた時に前記係
   止斜面に略摺接可能に構成したことを特徴とする
   機力式チヤツク。