JPH0435048Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は流体圧駆動チヤツクの潤滑油自動供給
機構に関するものである。

従来の技術 従来チヤツクの潤滑油供給機構は単にチヤツク
本体や把持爪に形成したグリース穴にグリースニ
ツプルからグリースを充填しておくだけのものが
多かつた。

考案が解決しようとする課題 従来の方法はグリースの供給が不確実で、グリ
ース不足が原因で摩耗が早くなり、更に摺動抵抗
が増大して工作物把握力が低下するという問題点
を有していた。

本考案は従来の技術の有するこのような問題点
に鑑みなされたものであり、その目的とするころ
は、従来のチヤツクに簡単な機構追加だけで把持
爪摺動部に強制的にグリースを供給する潤滑油供
給機構を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段 上記目的を達成するために、本考案におけるチ
ヤツク爪の潤滑油供給装置は、流体圧駆動のチヤ
ツクにおいて、チヤツク本体の中心穴に軸方向移
動可能に嵌挿され外周軸方向に隙間を有して把持
爪内側と係合する案内溝を有する把持爪開閉用の
ブランジヤと、前記チヤツク本体中心穴の前記プ
ランジヤの前後に設けられた２つの潤滑油貯蔵室
と、該貯蔵室及び把持爪摺動面に開口する前記チ
ヤツク本体に設けられた複数の油穴とを含んでな
るものである。

作 用 チヤツク開の指令でプランジヤ４が前進する
と、前側の潤滑貯蔵室Ａのグリースはプランジヤ
の押圧力で油穴を通つて把持爪摺動面に供給され
る。しかし供給される油量は油穴の穴径、長さ等
によりわずかな必要量に調整されているので貯蔵
室Ａの余りのグリースはプランジヤ外周軸方向の
案内溝とマスタジヨー内側係合部との隙間を通り
後側の潤滑油貯蔵室Ｂへ移動する。

チヤツク閉の指令でプランジヤが後退し貯蔵室
Ｂのグリースは再びプランジヤ外周の前記隙間を
通つて貯蔵室Ａに戻される。

こうしてチヤツク開閉を繰り返すごとに自動的
に摺動部へグリースが供給される。

実施例 実施例について図面を参照して説明する。第１
図〜第３図において、周知の旋盤の主軸１先端に
同心にチヤツク本体２が固着され、チヤツク本体
２の前端面２ａの半径方向３等分位置に、後述の
マスタジヨー開閉用摺動案内面に形成された溝２
ｂが放射状に削設されている。更にチヤツク本体
２の中心穴２ｃに主軸後端に固着される図示しな
い回転シリンダにより、ドローバ３を介して軸方
向に駆動されるプランジヤ４が移動可能に嵌挿さ
れており、プランジヤ４の円周上３等分位置に摺
動案内面に形成された主軸中心線に対して先下り
勾配のＴ溝４ａが削設されている。そしてＴ溝４
ａ内にチヤツク本体前端面の溝２ｂにがたなく円
滑に移動可能に挿通されるマスタジヨー５内側の
Ｔ形断面形状の係合部５ａががたなく円滑に摺動
可能に挿通され、プランジヤ４の軸方向移動で溝
２ｂ内に放射状に組込まれた３個のマスタジヨー
５が等量同時に半径方向に移動する。そしてマス
タジヨー前端面に削設された山形のセレーシヨン
５ｂ上に生爪６がホルト７により固着されてい
る。

更にチヤツク本体には前端面に削設された座ぐ
り部２ｄに前蓋８が、また後側端面２ｅに後蓋９
が固着されており、チヤツク中心穴２ｃの前蓋８
とプランジヤ４前端面との間がグリース貯蔵室Ａ
に、また後蓋９とプランジヤ４後端面との間がグ
リース貯蔵室Ｂに形成されている。前蓋８にはグ
リース注入用のねじ穴８ａが穿設されており、ね
じ穴にはグリースニツプル１０が取付けられてい
る。

そして注入穴８ａより注入器により注入された
グリースは貯蔵室Ａに充満するとプランジヤのＴ
溝４ａとマスタジヨー係合部５ａとの隙間δを通
り貯蔵室Ｂにも充満される。更にチヤツク本体に
は貯蔵室Ａと溝２ｂの摺動案内面とに開口する油
穴１１が穿設されており、油穴１１は適量のグリ
ースが摺動面に供給されるような管内摩擦抵抗が
得られるよう穴径及び長さが設定されている。

続いてチヤツク開閉動作に関連して潤滑油供給
機構の動作を説明する。図示しない回転シリンダ
に供給される圧油が切換えられ、ドローバ３を介
してプランジヤ４が前進すると、貯蔵室Ａに貯え
られているグリースは油穴１１を経て摺動面２ｂ
に適量供給される。この供給されるグリースは僅
かで余りのグリースはＴ溝４ａとマスタジヨー係
合部５ａとの隙間δを通つて貯蔵室Ｂに移動す
る。こうしてブランジヤ４の前進で前下り勾配の
Ｔ溝４ａに挿通される係合部５ａを有するマスタ
ジヨー５は、半径方向外側に押し上げられ、生爪
６が開いて把持する工作物を開放する。そしてプ
ランジヤ前進時の隙間δを通るグリースによつて
Ｔ溝４ａの摺動面の潤滑が行われる。次いで回転
シリンダに供給される圧油が切換えられ、プラン
ジヤ４が後退すると貯蔵室Ｂのグリースは隙間δ
を通つて貯蔵室Ａに移動し、マスタジヨー５が半
径方向軸心に向けて引き込まれ、生爪６が閉じて
工作物を把持する。尚本考案の潤滑油供給機構は
上述のような一般的な流体圧チヤツクに限定され
るものではなく、マスタジヨーごと爪交換可能な
クイツクチエンジチヤツク等にも応用可能なこと
は勿論である。

効 果 本考案は上述のとおり構成されているので、次
に記載する効果を奏する。

チヤツク中心穴のプランジヤ前後の空間を、２
つの潤滑油貯蔵室に形成し、チヤツク開閉時のプ
ランジヤの軸方向移動で、押圧された潤滑油が油
穴を通つて把持爪摺動面に必要量供給され、貯蔵
室内の余つた潤滑油は、プランジヤ外周の摺動面
の隙間を通つて前後２つの貯蔵室を往復するよう
になしたので、簡単な機構追加だけで潤滑油の自
動供給が可能となり、油切れによる摺動抵抗の増
大で把持力が低下することがなくなり安全が確保
される。またクイツクチエンジチヤツクに応用し
た場合には上記効果のほか爪交換時にチヤツク本
体から爪が取り外しにくくなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の潤滑油機構付チヤツクの正面
切断図、第２図は生爪を除いた第１図の側面図、
第３図は第１図の要部上視図である。 ２……チヤツク本体、４……プランジヤ、１１
……油穴、Ａ，Ｂ……潤滑油貯蔵室、δ……隙
間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 流体圧駆動のチヤツクにおいて、チヤツク本体
   ２の中心穴２ｃに軸方向移動可能に嵌挿され外周
   軸方向に隙間δを有して把持爪内側５ａと係合す
   る案内溝４ａを有する把持爪開閉用のプランジヤ
   ４と、前記チヤツク本体中心穴の前記プランジヤ
   の前後に設けられた２つの潤滑油貯蔵室Ａ，Ｂ
   と、該貯蔵室及び把持爪摺動面２ｂに開口する前
   記チヤツク本体に設けられた複数の油穴１１とを
   含んでなり、把持爪開閉時のプランジヤの軸方向
   移動で必要量の潤滑油が摺動面に供給されるとと
   もに余つた潤滑油が２つの貯蔵室間を移動するこ
   とを特徴とするチヤツク爪の潤滑油供給機構。