JPS6313484B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、大型海洋構造物を洋上で取扱うため
の方法に関する。

大型海洋構造物、例えばトラス構造体、ケーソ
ン等の洋上での輸送はバージ等に塔載するか、ク
レーン船で吊下げて運搬するか、浮力体を被搬送
物に装着して、このものの浮力を利用して行われ
るか、或いは例えばケーソンの場合それ自身に浮
力をもたせて行われる。

また上記の輸送作業工程に引続く大型構造物の
沈設は、大型クレーン船で吊り下げて行うか、大
型構造物自体が浮力をもつて浮いてる場合クレー
ンで支援しながら注水して浮力を減じて行われ
る。

これらの作業方法にあつて、作業に要する設
備、経費は莫大なものとなる。即ち、これらの公
知の作業方法にあつては移送のために大型バージ
が必要であつたり、沈設にあたつて大型クレーン
船を常に用意しておかなければならない。更に、
こう云つた作業方法にあつては荒天や回航等上記
の船舶が相当長期にわたり拘束されるのでコスト
高となる。また移送すべき目的地が遠ければ遠い
ほど基地への回航費が多額になる。

本発明の根底をなす課題は、上記の公知の作業
方法の持つ欠点を回避し、新しい大型海洋構造物
を洋上で取扱うための方法を造ることである。

上記の課題は本発明により以下のようにして解
決される。即ち、大型海洋構造物を洋上で輸送し
かつ沈設するにあたつて、この構造物の構えによ
り形成される内部空間或いはこの構造物の外側面
に小嚢を装着し、この小嚢に空気を充填し、浮躯
体としてのこの構造物の浮力挙動を小嚢内への空
気吹込み量を制御機構により集中制御することに
より制御するによつて解決される。

本発明による構成にあつて、小嚢が柔軟かつ弾
性的な材料で作られているので、構造物のどんな
複数な形状にも適応し、構造体の空間を埋めつく
す。しかし例えば構造物がトラス構造の場合縦
材、横材、斜材等の間隔が粗く、この小嚢が抜出
るおそれがある場合は、もちろん何等かの手段
で、例えば網等を張りめぐらすことによりトラフ
の桁構えの間隔が小さくされる。

本発明による方法の基本思想である浮躯体とし
ての構造物の浮力挙動の制御のための多数の小嚢
内の空気量の制御は、小嚢の各々に取付けられた
空気導管を一括して空気給排送弁機構を含む集中
制御機構に接続し、この集中制御機構をホースを
介して高圧タンクに接続し、この集中制御機構内
の弁機構を適当な手段、例えば数値制御部を介し
て集中制御して行われる。

本発明による方法の基本構成が多数の小嚢から
成り、しかもこれらを固別にあるいはまとめて制
御可能であることから、これら小嚢への空気量を
計画的に制御することによつて、構造物の姿勢制
御、浮上および沈降が可能となる。例えば下部の
小嚢の空気量を低減し、上部の小嚢に空気量を一
騒にした場合全体として吃水が深くなり、また構
造物の重心も下り安定性が良好となる。更に、浅
瀬等の通過の際は下方の小嚢の空気量を増し、浮
力を大きくして吃水を浅くして通過を容易にする
ことができる。

構造物の設置の際は例えばマウンド等の上に運
び計画に従つて当該小嚢の空気量を減じて沈降さ
せればよい。

本願方法にあつては多数の小嚢から成るので、
万一何等かの理由により多少の小嚢が破損して
も、隣接し合つているいずれかに送気して浮力を
増せば、構造体のバランスを保証することができ
る。

以下に図面に示した一実施例につき本発明を詳
説する。

第１図において１は構造物を示し、１′は構造
物のトラフ構えを示す。２は小嚢を示している。
この小嚢は任意の形状であつてもよいが、特にこ
の図から明かなようにほぼ楕円形の形状を有して
いるのが有利であり、この構造物のトラスによつ
て形成されている内部空間にほぼ立すいの余地な
く装填されている。これらの小嚢の各々には給気
と排気のためにホースが接続されており、これら
のホースは個別の給気・排気ホース３を介して給
気・排気弁機構４を経て空気供給源５に接続され
ている。この給気・排気弁機構４は監視機構８、
計算機構９および小嚢に取付けられるセンサと共
に集中制御機構を形成している。このホース３の
各々と給気・排気弁機構４との間にはフイルタ６
が、給気・排気弁機構４と空気供給源５との間に
はフイルタ６′とオイラ７がそれぞれ設けられて
いる。弁機構４の入力側と出力側には監視・制御
機構８が接続されており、この監視制御機構８は
更に計算機構９と結合されている。この計算機構
は小嚢に設けられたセンサ１０と結合している。
給気・排気弁機構４による個々の小嚢２の空気量
の制御はこの弁機構に内蔵されている図示してい
ない切換え機構で行われる。この弁機構の制御は
公知様式で行うことができるが、ここでは小嚢２
に設けられたセンサ１０が個々の小嚢の空気量、
姿勢等を感知し、例えば小嚢内の空気量が所定に
満ない場合計算機構９と監視機構８とを介して給
気・排気機構４の切換え機構を作動させ小嚢の空
気量の適正が計られる。これにより構造物の浮
上、沈設が安全かつ確実に行われる。

上記の給気・排気弁機構、監視機構および計算
機構を含む制御機構は構造物上或いは支援船上に
設けられる。

上記の例はトラス構造物の空間内に小嚢を装填
した場合の例であるが、もちろんこの構造物の側
面に小嚢を取付けることも可能であり、制御方法
は上記の様式と同様である。

第２図はケーソンの運搬および沈設に利用した
例であるが、この場合ケーソン１１の内室１２内
には小嚢２がほぼ一杯に装填されている。この場
合にも小嚢への給気・排気を行うホース３が各小
嚢に設けられており、第１図に示す実施例と同様
に給気・排気弁機構に接続されている。他の制御
機構の構成および作動様式は第１図における制御
機構と同様なのでこれに関しては詳しく述べな
い。このように本発明による方法がケーソンの取
扱いにあつて有用であることは上記の説明から推
察できる。即ち、ケーソンの施工、特にこの沈設
作業にあつては一般にクレーン等の重機械を要
し、取扱に多大の気配りが必要であり経費も多額
に昇る。これに対して本発明の方法により、沈設
の際小嚢の空気を除々に抜くことにより最も理想
的な作業経過でもつて、かつ極めて容易に作業を
行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による方法をトラス構造物に適
用した際の、制御機構をも合せて示した実施例の
図、第２図は本発明による方法をケーソン施工に
適用した際の実施例の図であるが制御機構は省略
されている。 図中符号は、１……構造物、２……小嚢、３…
…給気・排気ホース、５……空気供給源、６……
フイルタ、７……オイラ、８……監視機構、９…
…計算機構、１０……センサ、１１……ケーソ
ン、１２……ケーソン内室。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 大型海洋構造物を洋上で輸送しかつ沈設する
   にあたつて、この構造物の構えにより形成される
   内部空間或いはこの構造物の外側面に小嚢を装着
   し、この小嚢に空気を充填し、浮躯体としてのこ
   の構造物の浮力挙動を小嚢内への空気吹込み量を
   制御機構により集中制御することにより制御する
   ことを特徴とする大型海洋構造物を洋上で取扱う
   ための方法。