JPS628994Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は回転軸の先端に取着したスラストブ
ラシの先端を被研摩面に回転摺動させてこの摺動
面を研摩したりもしくはバリ取り等を行う研摩装
置に関する。

この種研摩装置は回転軸の先端に鋼線等からな
る線材を環状に植設したスラストブラシを装着
し、このスラストブラシの先端を被研摩体の被研
摩面に回転摺動させて研摩するようになつている
が、従来においては回転軸を被研摩面に対して直
角に対向させることにより環状のスラストブラシ
の先端面全面が一様に被研摩面に当るようになつ
ていた。しかしながら研摩作業時においてはスラ
ストブラシの各ブラシ素線が変形していわゆるへ
たりを生じるため、各ブラシ素線の尖鋭した先端
縁が被研摩面に当らず、外向きに彎曲変形されて
しまつていわゆる胴部が被研摩面と摺接する結
果、良好な研摩が行えなに欠点があつた。

この考案はこのような事情にもとずきなされた
もので、その目的とするところは、回転軸を被研
摩面に対して傾斜させることにより、スラストブ
ラシの先端面を被研摩面に傾斜して当接させ、先
端面の円周方向一部分だけが被研摩面に摺接回動
するようにし、このことからブラシ素線が被研摩
面に摺接と離間を繰り返すようにして研摩やバリ
取りが充分かつ確実に行える研摩装置を提供しよ
うとするものである。

以下この考案の一実施例を図面にもとづき説明
する。

図中１は研摩装置本体であり、この装置本体１
は、四隅に傾斜して立設した脚２…における下部
に取付台３を架け渡すとともに上端に支持台４を
架設して構成されている。上記支持台４上には互
に対向離間して支持枠５，５を設け、これら支持
枠５，５間には図示左右方向に沿つと等ピツチを
なす送りローラ６…が枢支されている。これらの
送りローラ６…にはその上面に当接して従動ロー
ラ７…が対設されている。上記送りローラ６…の
うちの１個は、前記取付台３に載設した搬送用モ
ータ８によつて矢印Ａ方向へ回転駆動されるよう
になつており、これらの搬送用モータ８と送りロ
ーラ６との間の動力伝達は、スプロケツト９ａ，
９ｂとチエーン１０とでなされている。またこの
送りローラ６と他の送りローラ６…とはチエーン
巻掛け駆動機構４０によつて、同一方向へ等回転
速度で回転されるようになつている。また１個の
送りローラ６とこれに対接する従動ローラ７との
間は図示しないが歯車伝達手段により互に逆向き
の回転が行われるように連結され、この従動ロー
ラ７と他の従動ローラ７…とは図示しないチエー
ン巻掛け駆動によつて同一方向へ等回転速度で回
転されるようになつている。しかして、これら送
りローラ６…と従動ローラ７…との摺動面が被研
摩体、たとえばプレス打抜き金属板１１の送り面
となつており、その送り方向手前における支持台
４の上部には被研摩体の投入台１２が設けられて
いるとともに、送り方向後方には取出台１３が装
着されている。したがつて、投入台１２上に載せ
た被研摩体１１を矢印Ｂ方向に送り込むと、この
被研摩体１１は送りローラ６…と従動ローラ７…
とによつて挾み込まれつつ同じく矢印Ｂ方向へ搬
送されて、取出台１３上に自動的に送り出されて
くるようになつている。

しかして、上記各送りローラ６…間には、第２
図に示されるように、それぞれ多数の研摩機構１
４…が等ピツチをなして配列されている。これら
研摩機構１４…はその隣接する列毎に、その位置
が半ピツチづつずれるようになつており、第２図
の左右方向に沿つて各列間で千鳥状をなすように
配置されている。この研摩機構１４は第３図にも
示されているように、前記被研摩体１１の送り面
に対して傾斜して交差する回転軸１５の先端にス
ラストブラシ１６を取着して構成されたものであ
る。さらに詳述すると、回転軸１５は被研摩体１
１の送り面（被研摩面）に対して、この送り面と
直交する線０−０から２〜５゜程度の傾斜角θを
なして傾斜して設けられている。この回転軸１５
の先端に皿状のハブ１７を固定し、このハブ１７
にスラストブラシ１６を装着してある。このスラ
ストブラシ１６は多数本のブラシ素線、たとえば
鋼線を上記ハブ１７の開口縁に、この全周に亘つ
て環形状に植設し、各鋼線は回転軸１５の軸方
向、つまりスラスト方向に延出されたものであ
る。そしてこのスラストブラシ１６は、前記回転
軸１５と軸線が合致してこの回転軸１５の傾斜に
よつて同じく傾斜しており、被研摩体１１の送り
面、つまり実質的に被研摩面に対して第４図の斜
線で示されるように、円周方向の一弦部分だけが
摺接し、その他の部分は被研摩面に当らないよう
になつている。そして上記回転軸１５は、支持台
４に取着された軸受１８およびこの支持台４の下
方に昇降動可能に設けられた昇降台１９の軸受２
０間に回転自在に枢支されている。そして各回転
軸１５のうち、第２図の外周部分に位置する回転
軸１５にはスプロケツト２１…が取り付けられ、
これらスプロケツト２１…はチエーン２２を介し
て、取付台３に設けた駆動モータ２３に連結され
ていて、モータ２３によつて回転駆動されるよう
になつている。また全ての回転軸１５…には上記
スプロケツト２１…の下方に位置してスプロケツ
ト２４…を有し、これらスプロケツト２４…を２
群に分けて各群間でそれぞれチエーン２５，２５
を架け渡し、上記モータ２３の回転をチエーン２
２を介してスプロケツト２１…を有する回転軸１
５に伝え、これら回転軸１５はスプロケツト２４
およびチエーン２５，２５を介して残つた回転軸
１５…に回転を伝えるようになつている。このた
め各研摩機構１４は全て同一方向、つまり第２図
の矢印Ｃ方向へ同一速度で回転されるようになつ
ている。なお、昇降台１９の下面にはスラスト受
板２６が設けられ、このスラスト受板２６にはガ
イド２７が垂下されている。このガイド２７は支
柱２８に昇降動自在に摺接されている。支柱２８
の外周面にはねじ溝２９を刻設してあり、このね
じ溝２９には回転円板３０が螺合されている。回
転円板３０はスラスト受板２６に対してボール３
１を介して転接するようになつているとともに、
この回転円板３０の外周面に平歯車３２を形成し
てある。そしてこの平歯車３２は連動軸３３に設
けた小平歯車３４に噛合している。また連動軸３
３は傘歯車３５，３６を介して操作軸３７に連結
されており、この操作軸３７には装置本体１の外
部に位置して操作ハンドル３８を備えている。し
たがつて操作ハンドル３８を回転すると操作軸３
７を介して連動軸３３が回転され、このため小平
歯車３４、平歯車３２を介して回転円板３０が回
転される。そして回転円板３０は支柱２８のねじ
溝２９に螺合しているので、回転すればそのリー
ドに応じて上下動し、このため昇降台１９を昇降
動させる。この結果、スラストブラシ１６の先端
面を被研摩面に対して進退調整できるようになつ
ている。なお第１図に示されるように、各従動ロ
ーラ７…間には押え部材３９が介装され、ローラ
６，７間を矢印Ｂ方向に送られる被研摩体の上面
に摺接して被研摩体がスラストブラシ１６…によ
つて押上げられないようになつていて、この押え
部材３９は上下位置を調整できるようになつてい
る。

しかしてこのような研摩装置の作用について説
明する。投入台１２に載せられた被研摩体１１を
矢印Ｂ方向へ送り込むと、この被研摩体１１は送
りローラ６と従動ローラ７とによつて挾着されつ
つ同じく矢印Ｂ方向へ送られる。そしてこのよう
な進行途中において、その下面にスラストブラシ
１６…が回転摺接される。このスラストブラシ１
６は、回転軸１５とともに傾斜して設けられてい
るため、スラストブラシ１６の端面は、その円周
上の一部分、つまり第４図で斜線で示した一弦部
だけが被研摩体１１の被研摩面、つまり下面に摺
接する。このため、スラストブラシ１６のブラシ
素線は、上記被研摩面に摺接している範囲では変
形するが、摺接していない範囲に至ると弾性復帰
して変形がもどる。この結果１回転する過程で、
ブラシ素線が第４図の斜線で示された被研摩面に
至るとブラシ素線は変形し、ついで被研摩面から
離れると弾性復帰して直立する。すなわち回転軸
１５が１回転たれる間に必ずやブラシ素線は変形
と復帰を繰り返す。この結果、ブラシ素線は常に
周方向の一定箇所のみが摺接しないから彎曲変
形、つまりへたりが防止され、よつてブラシ素線
の先端における尖鋭な縁が被研摩面に摺接する姿
勢が確保されるので、被研摩面を迅速にかつ美麗
に仕上げることができる。また打抜き等により発
生したバリも同様にして研削されて除去できるも
のである。

しかもこのようにして研摩される被研摩体１１
は矢印Ｂ方向へ走行される過程において隣接する
列間で千鳥状をなした研摩機構１４…によつて研
摩されるので、被研摩面全面が均一に研摩される
ことになる。もちろん操作ハンドル３８を操作し
て昇降台１９を上昇させれば、スラストブラシ１
６の被研摩面に摺接する面積、つまり第４図の破
線で示される面積が変えられるので、研摩深さを
調整でき、かつ押え部材３９の上下方向位置変位
を調整すれば、被研摩１１の板厚が変わつても研
摩できるものである。

以上詳述したようにこの考案によれば被研摩面
に対して傾斜して設けられた回転軸の先端にスラ
ストブラシを軸線が合致するように取着し、この
スラストブラシの先端面が円周方向の一部分で被
研摩面に回転摺接するようにしたので、回転中に
おいてブラシ素線が変形と復帰とを繰り返す結
果、ブラシの尖鋭部分が確実に被研摩面に当る姿
勢を生じ、したがつて研摩作業やバリ取りが確実
かつ迅速に行えるとともに、スラストブラシのへ
たりが少く、かつブラシの胴部が被研摩面に摺接
する割合が少なくなるので寿命も長くなるなどの
効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図は研
摩装置の縦断側面図、第２図は第１図中−線
に沿う平面図、第３図は要部を拡大した側面図、
第４図はその作用を説明するための第３図中−
線に沿う図である。 ６……送りローラ、７……従動ローラ、１１…
…被研摩体、１５……回転軸、１６……スラスト
ブラシ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 被研摩体の被研摩面に対して回転軸を傾斜して
   対向させ、この回転軸の先端にこの回転軸の軸線
   と合致してスラストブラシを取り付け、このスラ
   ストブラシは多数の弾性線材からなるブラシ素線
   を上記軸線方向に沿つてかつ環状形に植設し、こ
   のスラストブラシは上記被研摩面に対してその先
   端面における円周方向の一部分だけが被研摩面と
   摺接するように傾斜し、このスラストブラシの回
   転にもとづき上記ブラシ素線が被研摩面に対して
   摺接と離間とを繰り返すようにしたことを特徴と
   する研摩装置。