JPS62828Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は工作機械特にマシニングセンタ等の自
動工具交換装置に於いて、ツールマガジン又は該
ツールマガジンから主軸に至るツール搬送機構
に、工具挿入受部としてツールポツトが使用され
る場合に適用されるツールロツクに関する。ツー
ルポツトに挿入したツールが抜け出ないようにす
るツールロツク装置として、従来ツールポツトに
挿入されたツールのプルスタツドに向けて、ばね
付勢されたロツド等の部材を押圧する構造が使用
されていた。この構造を具備したツールポツトに
ツールを挿入するには、アーム等に設けられたツ
ール掴持手段がツールを保持し、ロツドに加えら
れたばね付勢力に抗してロツドを押し戻しながら
ツールをツールポツト内に挿入するものであり、
またツールポツトからツールを取出す場合もばね
付勢力に抗して引き抜くものである。従つて、ロ
ツドに加えられるばね付勢力は、ツール掴持手段
がツールポツトに対しツールを着脱することを許
容する程度の力にとどまり、十分に強固なばね付
勢力を与えることはできない。また、ツールポツ
トの移動乃至回動する構成のものや外力の影響を
受けるものでは、ツールポツト内の所定位置から
ツールが抜け出す場合がある。ツールの保管又は
ツールの受け渡しのため保持したツールの向きを
変える必要がある場合に、複数の位置をとり得る
ツールポツトにあつては、該ツールポツトが一方
の位置から他方の位置に移るため例えば回動する
際の遠心力で、ツールがロツク装置のロツク力に
抗して抜け出す危険性がある。特に大形の竪形工
作機械にあつては、重量の大きな工具や重量分布
の極めて不均衡な特殊工具を使用するに伴ないツ
ールの抜け出す危険が顕著となる。ツールがツー
ルポツト内の所定位置から抜け出るのを回避する
ため、ツールポツトの回動速度を遅くすれば、加
工能率の低下を招くことになる。

本考案は以上に述べた事情に鑑みなされたもの
であり、その目的とするところは、特に複数位置
をとり得るツールポツトに於いて、簡易な構造に
よりツールを確実にロツク及びアンロツクし得る
ツールロツク装置を提供することにある。而して
本考案は上記目的を達成するために、基台の一端
を支点にして揺動し工具を挿着保持する工作機械
のツールポツトに於いて、該ツールポツトに保持
されたツールを係止する位置とその係止を解除す
る位置との間で進退移動をする係止部材と、該係
止部材の進退方向に移動自在であり且つ前記ツー
ルポツトのとり得る全位置で前記係止部材に係合
可能な中間部材と、該中間部材を前記係止部材の
進退方向に移動せしめる駆動手段とを有すること
を特徴とするツールロツク装置なる構成をとるも
のである。

以下本考案の実施例に就いて添付図面を参照し
ながら説明する。第１図は門形工作機械１の正面
図を示し、第２図はツールポツト２近傍の縦断面
図、第３図は第２図の−断面図である。門形
工作機械１において工具搬送装置３は機械本体下
部に設けられた工具マガジン４から必要なツール
Ｔを取り出しツールポツト２まで持ち来たす。機
械本体は水平主軸５と垂直主軸６を有し、両主軸
を加工工程により使い分ける。工具交換装置
（ATC）７はこれら主軸５，６に対応して独立に
２個の工具交換アーム７Ａ，７Ｂを具備してい
る。ツールポツト２はこの工具交換アーム７Ａ，
７Ｂの位置に対応して２位置を選択的に変換する
ことができる。即ちツールポツト２はツールを保
持したまま水平位置Ａと垂直位置Ｂの２位置間を
オリエンテーシヨンすることができる。

次にツールポツト２の構造を説明する。ツール
ポツト２はブラケツト８が被嵌され、ツールポツ
ト２とブラケツト８とはツールポツト２のツール
挿入孔９の後端に近い位置に於いて、基台１０に
螺子１１止めされた固定軸１２により、軸受１
３，１４，１５，１６及びカラー１７，１８，１
９を介して軸支され、従つてツールポツト２とブ
ラケツト８とは作動上一体となつて固定軸１２回
りに回動することができる。一方基台１０には固
定部材２０，２１にて固定された一対の支軸２
２，２３により、ツールポツト回動用のシリンダ
２４が軸受２５，２６を介してトラニオン形式で
枢支され、該シリンダ２４のロツド２７にはナツ
ト２８にてブロツク２９が取付けられ、ブロツク
２９は前記ブラケツト８に固定部材３０にて固定
された回動軸３１により、軸受３２を介して軸支
される。そこでシリンダ２４のロツド２７を伸縮
作動すると、ツールポツト２は固定軸１２の回り
に揺動して、第２図の実線で示す水平位置Ａと鎖
線で示す垂直位置Ｂをとり得る。尚第２図に於い
て、３３はツールポツト２の水平位置Ａを定める
調整ボルト、３４は調整ボルト３３に対するスト
ツパ、３５はツールポツトの垂直位置Ｂを定める
調整ボルト、３６は調整ボルト３５に対するスト
ツパである。

この様な構造に於いてツールが大きいとオリエ
ンテーシヨンの際ツールポツト２に働く遠心力が
大きくなるので、ばね等の保持力のみではツール
Ｔがツールポツト２から抜けるおそれがあり、安
全上問題であるが、この問題は以下に述べるツー
ルロツク装置３７を設けることにより払拭され
る。

ツールポツト２には内端がツール挿入孔９に臨
む如くロツド装入孔３８が穿設され、ロツド挿入
孔３８には係止部材としてロツド３９がその一端
をツール挿入孔９内に進退作動自在に装入され、
ロツド３９に設けたばね座４０とロツド装入孔３
８を覆う如くツールポツト２に螺子４１止めされ
たカバープレート４２との間に介装されたばね部
材４３により、ロツド３９がその一端をツール挿
入孔９内に伸長する如く付勢される。ロツド３９
の他端側にはフランジ部材４４がスナツプリング
４５にて取付けられる。

一方４６は中間部材としてナツクル状のカツプ
リングであり、カツプリング４６は基台１０に固
着された前記固定軸１２に、すべりキー４７にて
軸方向移動自在且つ回動不能に保持される。カツ
プリング４６は固定軸１２と同心状に係合溝４８
が周設される。係合溝４８は、カツプリング４６
がツールポツト２に近づく方向に移動するときロ
ツド３９の端面に衝接し、カツプリング４６がツ
ールポツト２から遠去かる方向に移動するときフ
ランジ部材４４に鉤止する如く係合する。係合溝
４８は、ツールポツト２が前記の如く水平位置Ａ
と垂直位置Ｂとの間で回動するのに伴ないロツド
３９が固定軸１２の回りに移動する全範囲（第５
図及び第６図参照）に及んで上記の様なロツド３
９又はフランジ部材４４との係合関係を維持する
様に四分の一円周以上に延在するものである。

基台１０にはロツク及びアンロツク用のシリン
ダ４９がボルト５０にて固着され、シリンダ４９
のピストンロツド５１はその一端が前記カツプリ
ング４６に螺着する。従つてピストンロツド５１
の進退動作によりカツプリング４６が軸方向に往
復移動する。またナツト５２にてカツプリング４
６に締付け固定されたステー５３の先端に調整ド
ツグ５４を取付け、一方シリンダ４９側に一対の
リミツトスイツチ５５，５６を取付ける。従つて
上記の如くカツプリング４６が軸方向に往復移動
すると調整ドツグ５４がリミツトスイツチ５５又
はリミツトスイツチ５６に当接し、リミツトスイ
ツチ５５，５６の作動に伴ないピストンロツド５
１の進退動作が停止する様になつている。

ツールロツク装置３７は以上の構成に係るもの
であり、次にその作用効果について説明をする。
シリンダ４９の作動によりカツプリング４６がツ
ールポツト２に近付く方向に移動すると、ロツド
３９がカツプリング４６に押圧されて係止位置
（第４図及び第５図参照）をとり、ツールポツト
２内に挿入されたツールＴのプルスタツド５７に
係止する。ツールポツト２がオリエンテーシヨン
をする際ツールＴを保持したまま水平位置Ａ（第
４図及び第５図参照）と垂直位置Ｂ（第４図鎖線
及び第６図参照）との間で揺動運動をする場合で
も、ロツド３９はカツプリング４６に押圧された
状態のままで、その端部がカツプリング４６の係
合溝４８の溝壁に摺接しながらツールポツト２の
揺動を許容する。故にオリエンテーシヨンの際ツ
ールＴがツールポツト２から抜け出る危険が全く
ない。またツールポツト２がツール掴持手段との
間でツールＴを受け渡すときは、シリンダ４９の
逆の作動によりカツプリング４６がツールポツト
２から離れる方向に移動すると、ロツド３９はツ
ールＴの係止を解除する。

本考案は以上の説明から明らかな様に、ツール
ポツトにツールを保持する状態を維持すべき場合
は、カツプリングを係止部材の進退方向に移動す
る駆動手段の作動にて、カツプリングと係止部材
との係合を介して係止部材にツールを係止する位
置をとらしめることにより、ツールの抜け出しを
確実に防止することができる。

従つて作業の安全性を高めることができる。一
方に於いて、ツールポツトからツールをアーム等
に受け渡す場合はシリンダ等駆動手段の逆の作動
にて係止部材によるツールの係止を容易に解除す
ることができる。特にツールポツトの無段階な位
置変化を含む２以上の位置をとり得る場合にもカ
ツプリングを係止部材の進退方向に移動せしめる
ためにシリンダ等駆動手段を１個設ければ足り
る。また係止部材とカツプリングとを組合わせた
簡単な構造にてツールをロツク及びアンロツクす
ることができる。該構造を工作機械に装着するの
に工作機械全体の構造上及び作動何ら支障がな
く、更に工作機械の全体の数値制御手段にて該ツ
ールロツク装置によるロツク及びアンロツク作動
を制御することが可能であるなど、実用上の効果
に富む考案である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を表わし、第１図は数値
制御式門形工作機械の正面図、第２図は第１図の
要部を示す縦断面図、第３図は第２図の−線
断面図、第４図は要部斜視図、第５図は第４図の
ツールポツトやツールポツト揺動用のシリンダ等
を取り除いて示す斜視図、第６図はツールポツト
が垂直位置をとる場合の第５図と同様の斜視図で
ある。 ２……ツールポツト、３７……ツールロツク装
置、３９……ロツド、４６……カツプリング、４
８……係合溝、４９……シリンダ、Ａ……ツール
ポツトの水平位置、Ｂ……ツールポツトの垂直位
置、Ｔ……ツール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基台の一端に設けられた揺動軸を支点にして揺
   動し工具を挿着保持する工作機械のツールポツト
   に於いて、該ツールポツトに保持されたツールを
   係止する位置とその係止を解除する位置との間で
   進退移動をする係止部材と、該係止部材の進退方
   向に移動自在に前記揺動軸に支持され且つ前記ツ
   ールポツトのとり得る全位置で前記係止部材に係
   合可能な中間部材と、該中間部材を前記係止部材
   の進退方向に移動せしめる駆動手段とを有するこ
   とを特長とするツールロツク装置。