JPS626129Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はバツチ焼鈍炉のインナーカバーに関す
るものである。

バツチ焼鈍炉は通常アウターカバーとインナー
カバーで構成され、アウターカバーの側壁から燃
焼ガスを噴出し、アウターカバー内を高温にする
ものである。

前記アウターカバー内にはインナーカバーを設
け、該インナーカバー内には焼鈍されるコイルが
設置される。インナーカバーは外部と密閉され、
インナーカバー内に雰囲気ガスを循環させ、アウ
ターカバーの昇温に応じて高温となり、コイルを
所定温度に焼鈍し、加熱、均熱を経て、アウター
カバーを取外し、コイルを冷却するものである。

このようなバツチ焼鈍炉ではいかに早くインナ
ーカバー内を所定の温度に均一昇温及び均一冷却
するかが重要であり、特に省エネルギーの観点か
ら燃料原単位の向上及び電力、冷却水の消費量を
低下することを考慮したバツチ焼鈍炉のインナー
カバーが求められている。本考案はこの要望に十
分応える極めて有利なインナーカバーを提供する
ものでありその要旨とするところはインナーカバ
ー内部の上方に、吊り具を介してプレートをイン
ナーカバー内壁に沿つて垂下せしめてなるバツチ
焼鈍炉のインナーカバーである。

すなわち本考案はインナーカバー内を所定の温
度に均一昇温及び均一冷却せしめるには内部の雰
囲気ガスが均等に流れるようにすれば良いとの観
点から、そのためには、インナーカバー内の焼鈍
されるコイルの大小に応じてインナーカバーの内
容積が変るようにインナーカバー内にプレートを
設けたものである。インナーカバーの内容積を変
ることによりインナーカバー内の雰囲気ガスの循
環を早くし所定の温度に早く到達し、加熱時間及
び冷却時間を短縮せしめ、かつインナーカバー内
の温度分布の不均一をなくし、インナーカバー内
各段コイルの温度が均一となることを可能とした
ものである。

次に、本考案のバツチ焼鈍炉のインナーカバー
について従来例とともに図面により詳細に説明す
る。

第１図は従来のバツチ焼鈍炉のインナーカバー
である。

インナーカバー１は内筒２と外筒３とからな
り、内筒２は外筒３から吊り金具４で吊り下げら
れており、ハースプレート５の上に設置されてい
る。コイル６はアウターカバー７に設けられたバ
ーナー１１から噴出される燃焼ガスによつてイン
ナーカバー１内の雰囲気ガスが昇温されることに
より焼鈍されるものであり、又、冷却に於てはア
ウターカバー７を取除き該コイル６を冷却するも
のである。尚インナーカバー１内の雰囲気ガスは
内筒２と外筒３間を矢印のように移動するもので
ある。

次に本考案のインナーカバーについて第２図〜
第４図により詳細に説明する。

１はインナーカバーであり、内筒２と外筒３と
プレート８とより構成され、該プレート８はイン
ナーカバー１内上方に吊り具９にてインナーカバ
ー内壁に沿つて吊り下げて設けられるものであ
る。

該吊り具９は吊つている物がその自重で垂下す
るような例えばチエーン等を用いるものである。
このような吊り具９を用いることによりプレート
８は吊り具９の長さ分だけ上下に移動することが
可能である。即ち図示のようにコイル６を３段積
にして焼鈍する場合でもインナーカバー１の大き
さが一定であるのに対し、コイル６の高さはコイ
ル巾が種々であるために変動する。この変動する
コイル６の高さに応じてインナーカバー１の内容
積を適性な内容積に追従できるようにプレート８
を設けたものである。

具体的にはインナーカバー１の内部の上方に吊
り具９を介してプレート８を設け、すでにハース
プレート５上に載置されているコイル６に、前述
したプレート８を備えたインナーカバー１をクレ
ーン等で吊り下げた状態から徐々に吊り降ろし、
該プレート８が上段のコイル６に接して停止する
ようにしたものである。該プレート８の下部には
第３図、第４図に示すようにコイル６の上部とプ
レート８の間隙を一定にすると同時に雰囲気ガス
の流れを規制するガイド１０を設けるものであ
る。従つてプレート８はガイド１０の高さ分だけ
コイルの上方に常に位置するものである。

かくすることによりプレート８は吊り具９の長
さ分だけの範囲において上下に移動でき、その移
動範囲内のコイル高さ変動に追従できるものであ
る。

即ちインナーカバー１に本考案のごとくプレー
ト８を設けることによりコイル６の高さが変り、
焼鈍すべきコイル６の体積が変ると雰囲気ガス容
積が変るのを、プレート８により一定にし、加
熱、冷却速度を高めると共に上下むらなく均一な
温度分布の焼鈍を可能とするもので従来のインナ
ーカバーに比べ焼鈍時間の大巾な短縮、又、生産
性、品質の向上等その効果は極めて大きいもので
ある。

尚吊り具の長さは図示する長さより長くても良
く、特にこだわるものでなく、又プレートもイン
ナーカバーの内壁に沿つた円形の形状のものが効
果が大であるが、その形状も例えば星形であつて
もインナーカバー内壁に沿つたように設ければ特
にこだわるものでない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のバツチ焼鈍炉のインナーカバー
を示す説明図、第２図は本考案のバツチ焼鈍炉の
インナーカバーを示す説明図、第３図は本考案イ
ンナーカバーのプレートの断面図、第４図は同平
面図である。 １……インナーカバー、２……内筒、３……外
筒、４……吊り金具、５……ハースプレート、６
……コイル、７……アウターカバー、８……プレ
ート、９……吊り具、１０……ガイド、１１……
バーナー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. インナーカバー内部の上方に、吊り具を介して
   プレートをインナーカバー内壁に沿つて垂下せし
   めてなるバツチ焼鈍炉のインナーカバー。