JPS6257056B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、カソードスリーブに電気泳動被覆
により放射層を設ける方法に関するものである。

放射層を有するカソードスリーブを備えたカソ
ードは広範囲の用途を有する。例えば、かかるカ
ソードはテレビジヨン映像管、テレビジヨンカメ
ラ管、オシロスコープに使用される。これらのカ
ソードは電子ビームや指向された電子流を発生し
なければならない管に使用される。このようなカ
ソードは、次に示す基本的構成部分、即ち発熱素
子、放射層およびこの放射層の支持体を備える。
多くの場合、支持体は金属カソードスリーブから
成る。放射層はこのカソードスリーブの表面の一
部に設けられる。この放射層は、支持体の上に懸
濁層を噴霧することにより設けることができる。
しかしながら、この放射層をカソードスリーブ上
に電気泳動法により設けることが可能である。

序文に記載した種類の方法は、英国特許921938
号明細書に開示されている。この明細書に記載さ
れている方法においては第一電極物質が懸濁液中
に存在する電気泳動浴を備える装置を使用する。
被覆されるカソードスリーブを、最下部に放射層
を設けなければならない閉鎖端を用いてホルダー
内に固定する。次いでカソードスリーブを懸濁液
浴の表面にまで引下げ、カソードスリーブの閉鎖
端を懸濁液の表面に丁度接触させる。次に、カソ
ードスリーブを懸濁液の表面よりわずかに上に引
上げて、懸濁液の表面張力によりカソードスリー
ブに付随して小さな液柱を形成するようにする。
次いで、電流が第一電極と、第二電極を構成して
いるカソードスリーブとの間に懸濁液を介して流
す。その結果、カソードスリーブの端部は懸濁液
の放射物質で被覆される。この方法の欠点は、電
気泳動浴における懸濁液の表面レベルが処理中著
しく平坦でなければならないことである。懸濁液
は、例えばポンプにより循環され、運動状態に保
たなければならないので、このことは殆んど不可
能である。

従つてこの発明の目的は、懸濁液浴における懸
濁液の表面および表面の状態が役割をはたさない
方法を提供するにある。

序文に記載した種類のこの発明の方法は、両側
の主表面の一方に第一の導電層、他方に第二の導
電層を備えた電気絶縁性物質の板から成るジグに
カソードスリーブを配置し、該ジグは多数の縦孔
を有し、各縦孔にカソードスリーブを縦孔の近く
で第一の導電層と電気的に接触するように嵌合
し、且つ上記板はスリーブの露出した端部表面が
縦孔内で第二の導電層より低い位置に配置される
ような厚さを有すること及びカソードスリーブを
ジグ内に配置した後、ジグを第一の導電層と掛合
する取外し自在の電気絶縁密閉部材で密閉し、放
電層を形成する物質を含有する懸濁液にジグを浸
漬し、次いで数ボルト乃至数十ボルトの電位を第
二の導電層に対して第一の導電層に数秒乃至数十
秒間印加し、然る後ジグを懸濁液から取出し、密
閉部材を取外し、カソードスリーブをジグから取
出すことを特徴とする。

かかる方法の利点は、この方法により製造され
たカソードの放射層の厚さおよび機械特性（例え
ば硬度、密度および付着性）が著しく一定で再現
性があることである。更に懸濁液が殆んどむだに
用いられないので高価な放射物質もまた使用する
ことができる（噴霧により放射層を設ける場合に
は大量の懸濁液がむだ使いされる）。

この発明の第一の例は、各スリーブが露出端部
表面とは反対側の端部にフランジを有するカソー
ドスリーブを用いること及び各カソードスリーブ
をジグ内にリーブがフランジを介して縦孔の近く
で第一の導電層に電気的に接触するよう嵌合する
ことを特徴とする。

この発明の第二の例は各縦孔は第二の導射層の
近くで内径を少さくし内側に突出する部分を肩部
として設け、この肩部にカソードスリーブが対向
配置することを特徴とする。これを設けるとカソ
ードスリーブの表面の小さい部分だけを被覆する
ことが可能になる。

以下、この発明を図面につき説明する。

第１図はジグの正面図である。ジグ１はカソー
ドスリーブを配置することができる多数の縦孔２
を有する。カソードスリーブは円筒状である必要
はなく、或いはまた角形とすることができる。ジ
グの縦孔はこの場合四角であることは勿論であ
る。

第２図および第３図は、第１図に示すジグ１の
断面図である。絶縁材の一枚の板３、例えば直径
約２mmの多数の縦孔２を有する厚さ2.4mmのポリ
プロピレンの板から成る。絶縁板は、第３図に示
すように、その両側に金属フイルム４，５を備え
ている。これらのフイルムは例えば厚さ36μｍの
銅−ニツケル合金より成る。フランジ７を有する
カソードスリーブ６を、縦孔２内に配置し、フラ
ンジ７により縦孔２の近くで金属フイルムと電気
的に接触させる。ジグの縦孔２内にカソードスリ
ーブを配置した後、電気絶縁密閉部材８、例えば
ゴム板を圧力板９とねじ１０により配置する。こ
れにより良好な密閉が得られる。

被覆すべきカソードスリーブ６の露出した表面
１１は金属フイルム５から約0.2mmの位置にあ
る。縦孔２に肩部１７が存在する結果、表面１１
の中央部のみが被覆される。

第４図は本発明の方法に用いる装置を略線図で
示すもので、これにより本発明の方法を更に詳細
に説明する。この装置は懸濁液１３を有する電気
泳動浴１２を備える。懸濁液の組成は、例えば 50容量％のアセトン 45容量％のエタノール ５容量％のメタノール であり、この液100c.c.当り12ｇの（BaSr）〓CO₂
を分散機で約５分間分散させる。或いはまた種々
の組成および種々の溶媒を有する懸濁液を使用す
ることができることは明らかである。

懸濁液の流れを均質にするために多孔板１４を
電気泳動浴の底部に設けてある。懸濁液１３をポ
ンプ１５によりダクト１６を介して連続的に循環
させる。この結果として浴１２の懸濁液の組成は
均質になつている。ジグ１を電気泳動浴中に浸漬
することができるようにして装置に固定する。ジ
グが電気泳動浴に入つている上記懸濁液中に浸漬
したら直ちに、導電層５がカソードスリーブ６の
表面１１に対して６ボルトのプラス電位を得、10
分間保持する。次いでジグを電気泳動浴から取出
し、放射層を有するカソードスリーブを、放射層
が乾燥した後ジグから取出す。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の方法に用いられる装置の
ジグの正面図、第２図、第３図は、かかるジグの
断面図、第４図は、この発明の方法に用いられる
装置の説明図である。 １……ジグ、２……縦孔、３……絶縁板、４，
５……金属フイルム（又は導電層）、６……カソ
ードスリーブ、７……フランジ、８……絶縁層
（又は密閉部材）、９……圧力板、１０……ねじ、
１１……表面、１２……電気泳動浴、１３……懸
濁液、１４……多孔板、１５……ポンプ、１６…
…ダクト、１７……肩部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ カソードスリーブに電気泳動被覆により放射
   層を設けるに当り、両側の主表面の一方に第一の
   導電層、他方に第二の導電層を備えた電気絶縁性
   物質の板から成るジグにカソードスリーブを配置
   し、上記ジグは多数の縦孔を有し、各縦孔にカソ
   ードスリーブを縦孔の近くで第一の導電層と電気
   的に接触するように嵌合し、且つ上記板はスリー
   ブの露出した端部表面が縦孔内で第二の導電層よ
   り低い位置に配置されるような厚さを有すること
   およびカソードスリーブをジグ内に配置した後、
   ジグを第一の導電層と掛合する取外し自在の電気
   絶縁密閉部材で密閉し、放射層を形成する物質を
   含有する懸濁液に浸漬し、次いで数ボルト乃至数
   十ボルトの電位を第二の導電層に対して第一の導
   電層に数秒乃至数十秒間印加し、然る後ジグを懸
   濁液から取出し、密閉部材を取外し、カソードス
   リーブをジグから取出すことを特徴とするカソー
   ドスリーブに放射層を設ける方法。 ２ 各カソードスリーブが露出端部表面とは反対
   側の端部にフランジを有するカソードスリーブを
   使用し、各カソードスリーブをジグ内にスリーブ
   がフランジを介して縦孔の近くで第一の導電層に
   電気的に接触するように嵌合する特許請求の範囲
   第１項記載の方法。 ３ 各縦孔は第二導電層の近くで肩部が形成され
   るように一層小さい直径を有する部分を備え、こ
   の肩部にカソードスリーブが対向配置する特許請
   求の範囲第１項または第２項記載の方法。