JPS6256132B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は皮膚角化症治療剤、更に詳しくは皮膚
の異常角質化によつて生ずるいぼ、たこ、魚の
目、ひびわれ等の皮膚角化症の治療に有効な薬剤
に関する。 羊毛脂を精製して得られるラノリン及びラノリ
ンから誘導されるラノリンアルコール等（ラノリ
ン誘導体）が皮膚に塗布した場合に皮膚の呼吸、
皮膚からの水分の蒸発等を阻害せずに皮膚に適度
の湿潤性と柔軟性を附与するのに有効であること
は既に知られており、このため従来より之等ラノ
リン及びラノリン誘導体が皮膚、毛髪等の柔軟剤
として化粧品に使用されている。また之等ラノリ
ン及びラノリン誘導体が医薬品に使用された例は
あるが、これはラノリン等の有する薬理効果の為
ではなく単に軟膏基材として用いられていたに過
ぎない。そして角化現象が異常に進行して皮膚の
表面にいぼ、たこ、魚の目、ひびわれ等の症状が
生じた場合にこれらを治療することを目的として
ラノリン及びラノリン誘導体を使用した例は未だ
見当らない。 本発明者は液状ラノリンを角質固化した皮膚に
塗布することにより斯かる皮膚を完全に治癒し得
ることを発見して本発明を完成するに至つた。 即ち本発明は液状ラノリンを有効成分として60
重量％以上含有することを特徴とする皮膚角化症
治療剤に係る。 本発明の皮膚角化症治療剤を角質固化した皮膚
に塗布することにより、いぼ、たこ、魚の目、ひ
びわれ等皮膚の異常に角質固化した部分が柔軟化
すると共に次第に皮膚から脱落除去され遂には角
質固化した部分が完全に消滅し、しかも表皮基底
細胞の増殖により正常で緻密な真皮が形成され上
記の症状を完全に治癒し得る。このように液状ラ
ノリンを主成分とする本発明治療剤がいぼ、た
こ、魚の目等の皮膚角化症に極めて有効であると
いうことは本発明者が始めて見い出したものであ
る。 本発明で用いられる液状ラノリンは公知の物質
であり、溶剤分別等通常の分別法を用いてラノリ
ンを分別することにより容易に得られるものであ
る。本発明に於ては液状ラノリンを60重量％（以
下特に限定しない限り単に「％」と記す）以上用
いることを必須としている。液状ラノリンが60重
量％よりも少ないと本発明の所期の効果を達成す
ることが困難となる。このように液状ラノリンを
60重量％以上含有せしめた時に始めて皮膚角化症
を治癒し得るということは本発明者が始めて見い
出したものである。なお本発明では液状ラノリン
を70重量％以上含有せしめたものがより優れた効
果を発揮する。液状ラノリンがどのような作用機
構に基づき皮膚角質異常物を角解し正常な皮膚を
形成し得るようにするのかということについては
未だ明らかでなく目下検討中であるが、おそらく
ラノリンの本質的な組成から来る皮膚に対する柔
軟性及び湿潤性の賦与並びにラノリン中に含まれ
るコレステロール、イソコレステロール等の特異
成分及びこれら成分の生化学的変換物等による角
質の角解作用、表皮基底細胞の増殖作用、表皮の
緻密正常化作用等の各種作用が相乗的に起こり皮
膚角化症が治癒するものと考えられる。 本発明に於いて上記液状ラノリンと共に使用さ
れる物質としては大豆油、オリーブ油、ひまし油
等の植物油、流動パラフイン等の鉱物油、ミリス
チン酸、パルミチン酸及びラノリン脂肪酸のイソ
プロピルアルコールエステル若しくはイソ高級脂
肪アルコールエステル、オレイルアルコール、イ
ソ高級脂肪アルコール等の液状アルコール、ラノ
リンのエチレンオキシド付加物、ラノリンアルコ
ールのエチレンオキシド付加物、ラノリン脂肪酸
のエチレンオキシド付加物、高級アルコールのエ
チレンオキシド付加物、脂肪酸ソルビタンエステ
ルのエチレンオキシド付加物等の非イオン界面活
性剤、高級アルコール硫酸エステル塩、脂肪酸石
鹸等のアニオン界面活性剤等を挙げることができ
る。これらの物質は本発明治療剤の親水性、皮膚
への浸透性、伸展性等を向上させる目的で使用さ
れ、該物質の添加により液状ラノリンの有する皮
膚角化症治療作用を低下させずにより迅速に治療
効果を発揮し得る。 本発明に於て添加物質として非イオン界面活性
剤またはアニオン界面活性剤を用いた場合には更
に水を添加することも可能である。水を添加して
液状ラノリンと水とをＷ／Ｏ型の乳化状にするこ
とによつて液状ラノリンと皮膚との親和性を一層
高めると共に皮膚への浸透性を促進し、皮膚角化
症の治療をより効果的に且つ迅速に行なうことが
できる。 本発明では更に必要に応じ香料、着色料等各種
の添加剤を添加することもできる。 本発明に於ては上述の各種成分を従来公知の方
法により混合し液状、ゼリー状、クリーム状等各
種形態とすることができる。 以下本発明を更に明らかにするため実施例を掲
げる。 実施例 １ 液状ラノリン純品を試料とする。いぼ、たこ、
魚の目の出来た男子15名、女子10名を対象として
毎日入浴した日は入浴後に、その他の日は就寝前
に、患部に試料を充分塗布してその状態を観察す
る。その結果を第１表に示す。

【表】 全治に要した日数は軽症の人で約25日、重症の
人で約45日であつた。完治しない人でも次第に患
部が柔軟となり経過は良好であつた。 実施例 ２ 液状ラノリン純品を試料とする。足の踵または
手の指にひびわれ（重症）の出来た男子６名、女
子８名を対象とし、実施例１と同様の方法で試料
を患部に充分塗布してその状態を観察する。その
結果、大部分の人が２、３日後には痛みを訴えな
くなり、７〜20日後には全員が完治した。 実施例 ３ 液状ラノリン80％及びラノリン脂肪酸のオクチ
ルドデカノールエステル20％の配合物（室温で流
動性の液体）を試料とする。いぼ、たこ、魚の目
の出来た男子10名、女子10名を対象とし、実施例
１と同様の方法で試料を患部に充分塗布してその
状態を観察する。その結果を第２表に示す。

【表】 全治に要した日数は軽症の人で約20〜25日、重
症の人で35〜45日であつた。実施例１に比べると
全治に要する日数は若干短縮された。この試料を
塗布したときの感触も液状ラノリンの粘性が低下
し、伸展性及び皮膚への浸透性が良好であつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 液状ラノリンを有効成分として60重量％以上
   含有することを特徴とする皮膚角化症治療剤。