JPS6254157B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はメラミンとイソシアヌル酸又はシアヌ
ル酸との付加物（固体潤滑剤）をザンサンガム等
の特定のガム物質を含有する水性液状媒体中に分
散せしめてなる水性潤滑剤組成物に関するもので
ある。本発明の水性潤滑剤組成物は、シユードプ
ラスチツク粘性を有し、温度変化にもとづく粘度
変化が少なく、かつ優れた耐荷重性、耐摩耗性等
を有し、金属の切削・研削加工、塑性加工等にお
いて用いる潤滑剤、或いは油汚染防止、冷却及び
不燃化等が要求される一般潤滑剤に有利に使用す
ることができるものである。 従来、固体潤滑剤を使用した潤滑剤としては、
二硫化モリブデンや黒鉛等の固体潤滑剤を油性分
散媒中に混和して液状、ペースト状又はグリース
状等にした潤滑剤が知られていたが、かかる黒色
に着色した固体潤滑剤と油性媒体を用いた潤滑剤
は着色汚染や油汚染の嫌われる用途には使用でき
なかつた。 他方、無色又は着色の少ない固体潤滑剤を水性
液状媒体中に分散せしめた水性潤滑剤は、着色汚
染や油汚染を起すおそれがないが、従来、耐荷重
性、減摩効果等の点で満足できるものが見当ら
ず、そのために水による冷却効果を期待する一部
用途、たとえば切削・研削加工等において利用さ
れている以外は、殆んど用いられなかつた。 本発明者等は、さきに従来の水性潤滑剤におけ
る上記欠点を改良したものとして、メラミンとイ
ソシアヌル酸又はシアヌル酸との付加物を固体潤
滑剤として用いた水性潤滑剤を提案したが（特公
昭57−27158号）、この水性潤滑剤は放置安定性が
なお不充分であるとともに、温度変化にもとづく
粘度変化が大きく、かつ流動特性も充分といえな
い欠点があつた。 本発明は、上記のメラミンとイソシアヌル酸又
はシアヌル酸との付加物を水性液状媒体中に分散
せしめた水性潤滑剤において、さらにザンサンガ
ム等の特定のガム物質を添加することにより潤滑
剤の諸特性を著しく改良したものである。 すなわち、本発明は、メラミンとイソシアヌル
酸又はシアヌル酸との付加物を、ザンサンガム、
アゾトバクターガム及びスクレログルカンより選
ばれたガム物質を含有する水性液状媒体中に分散
せしめてなる水性潤滑剤組成物である。 本発明の水性潤滑剤組成物は、シユードプラス
チツク粘性（液を撹拌した際、撹拌速度の上昇と
共に粘度が急降下し、撹拌停止後急速に元の粘度
に復す粘性）を有し、温度変化にもとづく粘度変
化が少なく、耐荷重性に優れていて、高荷重下や
シヨツク荷重下でも使用でき、耐摩耗性も優れて
いる。特に、静止時には高粘度であつて含有固体
潤滑剤その他の添加剤が安定に分散されており、
しかも潤滑剤の使用時には僅かの圧力が加わるこ
とによつて実用的な粘度を有する流体となり、そ
の使用温度の高低に関係なしに殆んど一定の粘度
を保持することができる。 本発明で使用されるメラミンとイソシアヌル酸
又はシアヌル酸との付加物（以下、これらを「メ
ラミン・（イソ）シアヌル酸付加物」と総称す
る。）は、たとえばメラミン水溶液とイソシアヌ
ル酸又はシアヌル酸（以下、これらを「（イソ）
シアヌル酸」と総称する。）の水溶液とを混合す
れば、粒径0.1〜１μの白色沈澱（粉末）として
析出してくる。メラミン・（イソ）シアヌル酸付
加物は、また特開昭54−141792号公報に記載され
た方法でも製造することができる。メラミン・
（イソ）シアヌル酸付加物製造反応においては、
通常、反応の最終段階においてメラミンと（イ
ソ）シアヌル酸の反応モル比が１：１になるよう
にする。しかし、潤滑剤の用途等によつては、メ
ラミン・（イソ）シアヌル酸中にメラミン又は
（イソ）シアヌル酸のいずれかが混入しているも
のの方が好ましい場合もあり、かかる場合には、
メラミン又は（イソ）シアヌル酸のいずれか一方
を過剰に使用して、生成メラミン・（イソ）シア
ヌル酸中に未反応のメラミン又は（イソ）シアヌ
ル酸を含有せしめることができる。 本発明で使用するガム物質のうちのザンサンガ
ム（Xanthan Gum）は、グルコースから醗酵法
で製造される高粘性の多糖類であり、たとえばザ
ントモナス・カムペストリイス・NRRL Ｂ−
1459菌株をグルコース含有培地で通気培養した培
養液から容易に得られる。また、ザントモナス・
カムペストリイス菌以外のザントモナス属の菌株
としては、フアゼオリ、マルヴアセラム、カロタ
エが同等に使用できる。そして炭素源としては前
述のグルコースが主として使用されるが、ときに
はマンノース、グルクロン酸も併用される。その
他、窒素源として塩化アンモニウム、蛋白質の加
水分解物、アミノ酸等が、また燐酸塩、マグネシ
ウム塩等が培地に加えられる。 一般に市販されているザンサンガムは、マンノ
ース、グルコース、グルクロン酸の２：２：１の
混合物を炭素源としたもので、その構造式は、例
えば次式で示される。 ザンサンガムは分子量が極めて大きな（たとえ
ば約２×10⁶）高分子化合物であり、これを水性液
状媒体中に極く少量溶解した水性媒体は、粘度が
著しく高くなり、シユードプラスチツク粘性を有
し、その粘度は温度変化やPHの変化に殆んど影響
されず、また塩化ナトリウム等の塩類に対しても
安定である。 ザンサンガムは、たとえばゼネラル・ミル・ケ
ミカルス社、ケルコ社等から既に市販されている
から、本発明においてはかかる市販品を使用する
ことができる。 ザンサンガムと同等の作用をなす本発明で使用
される他のガム物質としては、アゾトバクター属
のインデカス、ヴイネランデイまたはアジリス菌
を用いてグルコース等の多糖類を醗酵させて得ら
れるアゾトバクターガム〔たとえばケルコ社製ザ
ンコート（商品名）〕、スクレロテウム属グルカニ
カム菌を用いて多糖類を醗酵させて得られるスク
レログルカン〔例えばピルスベリー社製ポリトラ
ン（商品名）〕が挙げられる。 なお、多糖類から生成される分散剤としてプル
ラン、マンナンも知られているが、これらは単味
では潤滑特性の改良効果が小さく、本発明では使
用できない。 本発明におけるザンサンガム等のガム物質の使
用量は、水性液状媒体100重量部に対して通常、
0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部であ
る。 本発明における水性液状媒体としては、水を使
用してもよいし、水に可溶性の液状有機化合物を
溶解したものを使用してもよい。その水に可溶性
の液状有機化合物としては、たとえばメチルアル
コール、エチルアルコール、ｎ−プロピルアルコ
ール、ｉ−プロピルアルコール等のC₁〜C₁₂の脂
肪族一価アルコール；エチレングリコール、プロ
ピレングリコール等のC₂〜C₁₂の脂肪族二価アル
コール；グリセリン、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、トリプロピレング
リコール、ポリプロピレングリコール、エチレン
オキサイドとプロピレンオキサイド共重合物等の
ポリグリコール；これらグリコールの末端基の水
酸基がエーテル化されたグリコールのエーテル化
物、これらグリコールのジエーテル化物；その他
水に可溶な他の多価アルコール類、水に可溶なエ
ーテル類、水に可溶なエステル類等があげられ
る。これらの水に可溶な液状有機化合物は２種以
上を用いて水と併用して用いてもよい。 本発明の水性潤滑剤組成物には、用途等に応じ
てさらに防食剤、防腐剤、水溶性の分散増粘剤、
粘性改良剤等をはじめとする種々の添加剤を添加
することができる。 たとえば、本発明の潤滑剤組成物は、各種の金
属と接触せしめて使用されることが多いから、多
くの場合に金属を腐食するものであつてはなら
ず、防食剤の添加が必要である。その防食剤とし
ては、本発明の潤滑剤組成物の各成分の機能を阻
害せずに防食効果を発揮できるものを選ぶ必要が
ある。その使用できる防食剤としては、たとえば
亜硝酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、フエロシアン化
物、クロム酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、タ
ングステン酸塩、オスミウム酸塩、重クロム酸
塩、ポリリン酸塩、チオリン酸塩等の無機系防食
剤；モノアミン類、ジアミン類、アマイド類、ア
ミノ酸等の両性化合物及びその塩、エチレングリ
コール類、シクロヘキシルアミンの亜硝酸塩、ア
ミンの塩類、第四級アンモニウム塩類、有機リン
酸エステル類、多価アルコールの脂肪酸エステル
類、石油炭化水素のスルホネート類、ベンゾトリ
アゾール、Ｎ−アルキルベンゾトリアゾール、メ
ルカプトベンゾトリアゾール、チアゾール及びそ
の塩類、イミダゾリン類、ロジンエステル類、チ
オエーテル類、チオール類、チオ尿素類等の有機
系防食剤があげられる。これら防食剤は１種類を
用いてもよいし、２種以上を併用してもよい。防
食剤の使用量は水性液状媒体100重量部に対して
0.01〜10重量部の範囲内である。 本発明の潤滑剤組成物は、多糖類のザンサンガ
ムが含有されているから、潤滑剤の使用条件等に
よつては腐敗を起すから通常は防腐剤の添加が必
要である。防腐剤は組成物の各成分の機能を阻害
せずに防腐効果を発揮できるものを選定するのが
望ましい。その防腐剤としては、たとえば安息香
酸、サリチル酸、プロピオン酸、ソルビン酸、ソ
ルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸、パラオキシ安
息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸プロピ
ル、プロピオン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウ
ム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリ
ウム、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオ
キシ安息香酸ブチル、プロピオン酸カルシウム、
ラウリルトリメチルアンモニウム−２，４，５−
トリクロルフエノキサイド、ニトロフリルビニル
アシルアミノトリアジン、プロモニトロアルコー
ル、Ｎ−メチロール脂肪酸アミド、２，４−チア
ゾール、ベンゾイミダゾール、１，２−ベンゾイ
ソチアゾロン−３、ベンジルブロモアセテート、
２，４，６−トリクロロフエノール、パラクミル
フエノール、ヘキサヒドロ−１，３，５−トリエ
チル−Ｓ−トリアジン、ジンクピリジニウム、２
−ヒドロキシメチルアミノ−２−メチルプパノー
ル、２−ヒドロキシメチルアミノエタノール、
１，３−クロロアリル−３，５，７−トリアゾー
ル−１−アゾニアアダマンタンクロライド、アル
キルアミノヒドロクロライド、ホルマリン、２，
３，５，６−テトラクロロ−４−メチルスルホニ
ルピリジン、２，４，５，６−テトラクロロイソ
ハロニトリル、オルトフエニルフエノール、２，
２，4′−トリフロル−2′−ヒドロキシジフエニル
エーテル、安息香酸アルミニウム、ウンデシレン
酸亜鉛、トリクロロカルバミン酸アニリン、カル
バミン酸クロリド、塩化ステアリルジメチルベン
ジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化
アルキルイソキノリニウム、臭化ドミフエン、各
種アルコール類等があげられる。これらの防腐剤
は、１種類を用いてもよいし、２種以上を併用す
ることもできる。防腐剤の使用量は水性液状媒体
100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲内であ
る。その使用量が少ないと防腐効果を充分に発揮
できないし、あまり多量に使用すると無駄となる
ばかりか、場合によつては本発明の潤滑剤の特性
が阻害される。 本発明の潤滑剤組成物には、その用途等によつ
てはザンサンガム以外の分散増粘剤を併用するこ
とができる。その分散増粘剤としては、たとえば
脂肪酸、脂肪酸アルカリ金属塩、アルキルサルフ
エートのナトリウム塩、同アミン塩、アルキルホ
スフエートアミン塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテルサルフエートのナトリウム塩、同アミ
ン塩、ヒマシ油硫酸化物のナトリウム塩、同アミ
ン塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
塩、同アミン塩、ポリオキシエチレンアルキルフ
エノールエーテルリン酸エステル、同ナトリウム
塩、アミノエタンスルホン酸ナトリウム塩、ジア
ルキルスルホサクシネートナトリウム塩、アルキ
ルザルコシンナトリウム塩、ポリカルボン酸ナト
リウム塩、ナフタレンスルホン酸−ホルムアルデ
ヒド縮合物のナトリウム塩、アルキルアミン酢酸
塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、アルキルピリジニウム硫酸塩、アルキルイミ
ダゾリン四級塩、トリメチルアミノエチルアルキ
ルアミドクロライド、ジシアンジアミド初期縮合
物、ポリアミン誘導体、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテ
ル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロツク
ポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンアルキルアミン、脂肪酸ジエタノール
アマイド、シヨ糖脂肪酸エステル、１−ヒドロキ
シ−５−アルキルイミダゾリン硫酸エステルのナ
トリウム塩、アルキルトリメチルアミノ酢酸、ア
ルキルジエチレントリアミノ酢酸等の両イオン
性、カチオン性、アニオン性の界面活性剤、メチ
ルセルローズ、カルボキシメチルセルローズ、ヒ
ドロキシエチルセルローズ、ヒドロキシプロピル
セルローズ、カチオン化セルローズ、ポリアクリ
ル酸ナトリウム塩、ポリビニルピロリドン、澱
粉、アラビアゴム、ゼラチン、アルギン酸ナトリ
ウム、ポリ酢酸ビニルの部分けん化物、ポリビニ
ルアルコール、ポリアクリルアマイド、ポリビニ
ルメタクリレート、ポリエチレンオキサイド、こ
れらの誘導体等の水溶性高分子化合物、ヘキサメ
タリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウ
ム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウ
ム、水ガラス、リン酸ナトリウム、リン酸カリウ
ム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酒
石酸ナトリウム等の無機酸及び有機酸の塩類、グ
ア−ガム、ローカマトビーンガム、タラガム、ク
インスミードガム、タマリンドガム、カラギーナ
ン、フアーセラン、寒天、アラビノガラクタンガ
ム、トラガントガム、ガツテイガム、アーモンド
ガム、ペクチン、コンニヤク、トロロアオイ、カ
ゼイン、シエラツク、ザンフロー、ガードラン、
サクシノブルカン、ジゾフイラン、プルラン等の
多糖類等があげられる。これらの分散増粘剤は１
種類を単独で使用してもよいし、適宜に２種以上
を併用してもよい。その使用量は、少なすぎると
効果がないし、多すぎると本発明の潤滑剤の特性
であるチクソトロピー性等が阻害されるので、水
性液状媒体100重量部に対してザンサンガム等の
ガム物質使用量を含めて0.01〜10重量部の範囲内
から適宜に選定される。 本発明の潤滑剤組成物には、ザンサンガム、ア
ゾトバクターガム、スクレログルカン等のガム物
質や分散増粘剤の作用を一層高めて、水性液状媒
体の粘度上昇及び／又はゲル化を助長せしめるた
めに、種々の粘性改良剤を添加することができ
る。かかる粘性改良剤としては、たとえば塩化ナ
トリウム、炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、
リン酸カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウ
ム、硝酸カリウム等があげられる。これらの粘性
改良剤は１種類を使用してもよいし、適宜に２種
以上を併用してもよい。粘性改良剤の使用量は、
その使用目的等に応じて変るが、通常、水性液状
媒体100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲か
ら選ばれる。 本発明の潤滑剤組成物には、上記の各種の添加
剤のほかに、さらに種々の添加剤を添加すること
ができる。たとえば極圧剤、清浄剤、流動点降下
剤、消泡剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、香気
改良剤、着色剤、蛍光染料、他の固体潤滑剤、鉱
油、合成潤滑油、脂肪油等を適宜に添加すること
ができる。 極圧剤としては、たとえばパラフイン、脂肪酸
の塩素化物等の塩素化物；不飽和油、テルペン、
ポリイソブチレン、ポリスチロール、魚油、豚脂
等を硫黄処理した化合物；トリフエニルホスフア
イト、トリクレジルホスフエート、トリフエニル
ホスフイン等のリン化合物；オレイルカーバメー
ト、ポリビニルアルコールの含窒素エステル化物
等の窒素化合物があげられる。 清浄剤としては、たとえば石けん、スルフオネ
ート、フエノレート、硫化フエノレート、サリシ
レート、リン酸塩、カーバメート、高分子清浄剤
等があげられる。 酸化防止剤としては、たとえば有機酸類、フエ
ノール類、アミン類、アミノフエノール類、硫黄
化合物、窒素−硫黄化合物、リン化合物、リン−
硫黄化合物等があげられる。 消泡剤としては、たとえばシリコン油、鉱油、
多価アルコール、エステル等があげられ、着色剤
としては染料、顔料等があげられ、香気改良剤
（賦香剤）としては各種の香料等があげられる。 他の固体潤滑剤としては、たとえば二硫化モリ
ブデン、黒鉛（グラフアイト）、二硫化タングス
テン、窒化ほう素、弗化黒鉛、酸化亜鉛、弗化カ
リウム、弗化カルシウム、弗化リチウム、四弗化
樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロ
ン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリイ
ミド等があげられ、これらはメラミン・（イソ）
シアヌル酸付加物とともに水性液状媒体中に分散
せしめて使用される。また、鉱油、合成潤滑油、
脂肪油等も、本発明の潤滑剤組成物中に分散及
び／又は溶解せしめた状態で添加して、メラミ
ン・（イソ）シアヌル酸付加物と共に潤滑作用に
寄与せしめることができる。 本発明の潤滑剤組成物を調製するには、たとえ
ば上記したメラミン・（イソ）シアヌル酸付加物
の製造時に析出した該付加物の沈澱を取出して、
乾燥することなくザンサンガム等のガム物質と水
性液状媒体を加えて、さらに必要に応じて防食
剤、防腐剤、分散増粘剤、粘度改良剤その他種々
の添加剤を添加して行なつてもよい。また、上記
付加物の沈澱の乾燥粉末にザンサンガム等のガム
物質と水性液状媒体、さらに必要に応じて上記し
たと同様の添加剤を加えて、機械的に再分散せし
めて調製してもよい。好ましい調製法の一つは、
水性液状媒体中でザンサンガム等のガム物質の存
在下にメラミンと（イソ）シアヌル酸を反応させ
るか、或いは水性液状媒体中でメラミンと（イ
ソ）シアヌル酸を反応させてから、ザンサンガム
等のガム物質を添加して水性分散物とする態様で
あり、いずれの場合においても、防食剤や防腐剤
等の添加剤の添加はそれぞれ適宜の時期に行うこ
とができる。 本発明の潤滑剤組成物の調製において、メラミ
ン・（イソ）シアヌル酸等を分散せしめるには、
乳鉢、撹拌機、ボールミル、サンドミル、ジエツ
トミキサー、ロールニーダー、バンバリミキサー
等を用いた機械的手段、超音波乳化機等を用いた
超音波利用手段、或いはスタテイツクミキサー等
を用いた電気的手段を適宜に用いることができ
る。そして、それらの各場合に、水性液状媒体や
メラミン・（イソ）シアヌル酸付加物等を含有す
る水性液状媒体を予め加温したり、或いは分散処
理中に加温することができる。 本発明の水性潤滑剤組成物は、従来の水性潤滑
剤では到達しえなかつた優れた放置安定性、耐荷
重性、耐摩耗性を有している。特にその耐荷重性
は、通常の潤滑油、たとえばモータ油、ギヤー
油、スピンドル油、マシン油等と較べて、それら
をはるかに浚ぐ値である。 たとえば、フアレツクス試験機によるテスト結
果によれば、本発明の潤滑剤組成物は荷重が水単
味の場合の10倍に達し、その絶対値が潤滑油のそ
れよりも大きな値を示すのは勿論のこと、メラミ
ン・（イソ）シアヌル酸付加物の粉末を水中に分
散させたものと較べて焼付荷重が２倍になる。ま
た、本発明の潤滑剤組成物の摩擦係数は、荷重の
増大とともに減少し、焼付直前で約0.1の値を示
し、一般の潤滑油やグリースよりも良好な値であ
るし、メラミン・（イソ）シアヌル酸付加物粉末
を、ザンサンガム、アゾトバクターガム、スクレ
ログルカン以外の分散増粘剤を用いて分散させた
水性潤滑剤と較べてより小さい値を示す。さら
に、本発明の潤滑剤組成物は、上記フアレツクス
試験機によるテストピースの摩耗量が水単味の場
合よりもはるかに少なく、耐荷重性及び耐摩耗性
がともに著しく優れている。そして、かかる優れ
た耐荷重性は、二硫化モリブデンやグラフアイト
等の固体潤滑剤を水中に分散させた従来の水性潤
滑剤では到底達成しえなかつたものである。 また、本発明の水性潤滑剤組成物は、保存安定
性も極めて良好である。すなわち、従来用いられ
た二硫化モリブデンやグラフアイト等の固体潤滑
剤は、真比重が水よりもはるかに大きく、これら
を水中に分散させたものを安定に保持するのが著
しく困難であつた。これに対し、メラミン・（イ
ソ）シアヌル酸付加物は比重が約1.5（20゜）で
あつて水に近く、かつ水との親和性も良好である
ので、水中への分散が容易で、分散後の安定性も
良好であるのに加えて、本発明で用いるザンサン
ガム等のガム物質は分散効果及び増粘効果が極め
て優れているので、本発明の潤滑剤組成物は優れ
た保存安定性を有する。 さらに、本発明の潤滑剤組成物は、ザンサンガ
ムあるいはアゾトバクターガムあるいはスクレロ
グルカンを含有するために特異な粘度特性を示
し、組成物の保存時等の静止状態にあつては高粘
度で、メラミン・（イソ）シアヌル酸付加物をは
じめとする各種添加剤の分散物の沈降分離がさま
たげられ、保存安定性が良好であるが、潤滑剤の
使用時には極く僅かの圧力によつて適度の粘度を
有する流体となり、しかもその粘度が温度変化に
よつても殆んど変化せず、特に少なくとも５〜70
℃の潤滑剤の通常の使用温度ではほぼ一定の安定
した粘度を保つ。 その他、本発明の水性潤滑剤組成物は、人体等
に対して無害であるし、不燃性であつて火災に対
しても安全性があるし、さらに黒色汚染や油汚染
のおそれ等の欠点もない。すなわち、メラミン・
（イソ）シアヌル酸付加物は化学的に安定な物質
であるし、多量の窒素を含有するために不燃性で
ある。また、ザンサンガムが生物体の関節液中に
含まれるヒアルロン酸に酷似した多糖類であるこ
とからもわかるように、本発明で使用するガム物
質は人体等に無害である。したがつて、メラミ
ン・（イソ）シアヌル酸付加物を少量のザンサン
ガム等のガム物質を用いて水性液状媒体中に分散
せしめた本発明の潤滑剤組成物は、人体等に対し
無害であるとともに不燃性であり、極めて安全性
が高い。また、メラミン・（イソ）シアヌル酸付
加物は、白色粉末であり、これを少量のザンサン
ガム等のガム物質を用いて水性液状媒体中に分散
せしめた本発明の潤滑剤組成物は乳白色であつ
て、黒色のグラフアイトや二硫化モリブデンを水
中に分散せしめた従来の水性潤滑剤のような黒色
汚染のおそれがないし、油類を全く使用しなけれ
ば油汚染のおそれもない。 本発明の水性潤滑剤組成物は、上記のような優
れた特性を有するから、従来、冷却を必要とし、
或いは油汚染を防止する必要がある等のために水
性潤滑剤が使用されていた各種の分野、たとえば
金属の切削・研削加工、塑性加工等の分野におい
て、より一層有利に使用できるし、さらに一般の
発熱や加熱を伴なう各種の製造・加工工場、交
通・輸送機関、電気部品製造工場、各種の建造物
等において使用されている機器類、事務用機器等
の潤滑剤として広く使用することができる。な
お、本発明の組成物は作動油としても使用するこ
とができる。 次に、実施例及び比較例をあげてさらに詳述す
る。これらの例における部及び％は、特に付記し
ない限り重量部及び重量％をそれぞれ示す。 実施例 １ 脱イオン水にエチレングリコールを重量比で
１：１の割合で混合し、この混合物94.0部に、メ
ラミン・イソシアヌル酸付加物6.0部を加え、乳
鉢で混練して分散液を得た。これを「原分散液
１」という。 原分散液１の100部に、予め脱イオン水99.6部
にザンサンガム（ケムコ社製）0.4部を溶解した
水溶液100部、及び２−ヒドロキシメチルアミノ
エタノール0.4部を混合し、撹拌して水性潤滑剤
組成物を得た。 比較例 １ 実施例１で調製した原分散液１の100部に、脱
イオン水100部、及び２−ヒドロキシメチルアミ
ノエタノール0.4部を混合し、撹拌して水性潤滑
剤組成物を得た。 比較例 ２ 実施例１で調製した原分散液１の100部に、予
め脱イオン水83.4部にエマルゲン931（花王石鹸
社製のポリオキシエチレンノニルフエニルエーテ
ルの商品名）0.6部、ポリアクリル酸ソーダ16部
を溶解した水溶液100部、及び２−ヒドロキシメ
チルアミノエタノール0.4部を加えて撹拌し、潤
滑剤組成物を得た。 上記の実施例１、比較例１及び比較例２で得ら
れた潤滑剤組成物の組成、及び放置安定性と荷重
下の摩擦係数の試験結果は第１表に示すとおりで
あつた（なお、第１表には参考のために水単味及
びマシンオイルの摩擦係数も付記した。）。

【表】

【表】 第１表の試験結果から明らかなように、実施例
１の潤滑剤組成物は、放置安定性に優れ、摩擦係
数が低く、耐圧荷重が大きい。 実施例 ２ ガラス製ビーカーに脱イオン水96.80部、ザン
サンガム0.20部を加えて溶解し、70℃に保持して
マグネチツクスターラーで撹拌しながらメラミン
1.48部及びイソシアヌル酸1.52部を入れて、２時
間反応させたのち冷却し、これに2.−ヒドロキシ
メチルアミノエタノール0.2部を加えて潤滑剤組
成物を得た。 比較例 ３ ガラス製ビーカーに脱イオン水97.0部を入れ、
70℃に保持してマグネチツクスターラーで撹拌し
ながら、メラミン1.48部及びイソシアヌル酸1.52
部を入れ、２時間反応させたのち冷却し、これに
２−ヒドロキシメチルアミノエタノール0.2部を
加えて潤滑剤組成物を得た。 比較例 ４ ガラス製ビーカーに脱イオン水88.7部、エマル
ゲン931を0.3部及びポリアクリル酸ソーダを８部
加えて溶解し、70℃に保持してマグネチツクスタ
ーラーで撹拌しながら、メラミン1.48部、イソシ
アヌル酸1.52部を加え、２時間反応させたのち冷
却し、さらに２−ヒドロキシメチルアミノエタノ
ール0.2部を加えて潤滑剤組成物を得た。 実施例２、比較例３及び比較例４において得ら
れた各潤滑剤組成物の組成と、放置安定性及び摩
擦試験結果は第２表に示すとおりであつた。

【表】 実施例３及び４ 脱イオン水86.0部にメラミン・イソシアヌル酸
付加物14.0部を加え、メノウ乳鉢で混練し、メラ
ミン・イソシアヌル酸付加物を水中に分散せしめ
た。これを「原分散液２」という。 この原分散液２にザンサンガム水溶液を混合し
て、最終的にメラミン・イソシアヌル酸付加物７
％、ザンサンガム0.2％を含む潤滑剤組成物（実
施例３）と、最終的にメラミン・イソシアヌル酸
付加物３％、ザンサンガム0.2％を含む潤滑剤組
成物（実施例４）を得た。 比較例 ５ 実施例３において得られたと同様の原分散液２
に、予め調製しておいたエマルゲン931の水溶液
と、予め調製しておいたポリアクリル酸ソーダ水
溶液を混合して、最終的にメラミン・イソシアヌ
ル酸を３％、エマルゲン931を0.3％、ポリアクリ
ル酸ソーダを８％含む潤滑剤組成物を得た。 実施例３、実施例４及び比較例５の各潤滑剤組
成物の組成、及び各種温度における粘度を測定し
た結果は、第３表に示すとおりであつた。なお、
第３表に参考のためにザンサンガム溶液及びギヤ
ー油〔シエル社製オマラ320（商品名）〕の各種温
度における粘度を測定した結果をも付記した。

【表】 第３表の測定結果から明らかなように、実施例
３〜４の潤滑剤組成物及びザンサンガム２％水溶
液の各粘度は温度変化によつても殆んど変化せ
ず、ほぼ一定の値を示す。 実施例 ５〜７ 蒸留水86.0部にメラミン・イソシアヌル酸付加
物14.0部を加え、メノウ乳鉢で混練し、メラミ
ン・イソシアヌル酸付加物の分散液を得た。 この分散液100部に、予め蒸留水99.6部にザン
サンガム0.4部を溶解したザンサンガム水溶液100
部を混合し、潤滑剤組成物（実施例５）を得た。 上記潤滑剤組成物と同様にして調製した潤滑剤
組成物100部に、Ｎ−ベンゾイルアミノヘキサン
のトリエタノールアミン塩0.1部とＮ−メチルベ
ンゾトリアゾール0.1部を混合して潤滑剤組成物
（実施例６）を得た。 さらに、この後者の潤滑剤組成物と同様にして
調製した潤滑剤組成物100.2部に、２−ヒドロキ
シメチルアミノエタノール0.2部を加えて潤滑剤
組成物（実施例７）を得た。 上記実施例５〜７の各潤滑剤組成物の組成と、
放置安定性、摩擦係数、防食性及び防腐性の試験
をした結果は第４表に示すとおりであつた。

【表】

【表】 第４表の結果からわかるように、防腐剤を添加
しないものは比較的に短期間内に腐敗し、放置安
定性が悪くなる。また、防食剤には防腐効果が若
干あるものもあるが、長期間放置して安定性を良
好に保つにはやはり防腐剤の添加が必要となる。
さらに、防食性については、防食剤を添加しない
ものが１日で発錆が観察されたのに対し、防食剤
を添加すれば90日経過後も発錆が認められなかつ
た。このことから、潤滑剤の用途によつては防腐
剤や防食剤の添加が必要であることがわかる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ メラミンとイソシアヌル酸又はシアヌル酸と
   の付加物をザンサンガム、アゾトバクターガム及
   びスクレログルカンより選択されたガム物質を含
   有する水性液状媒体中に分散せしめてなる水性潤
   滑剤組成物。 ２ ザンサンガムが水性液状媒体100重量部に対
   して0.01〜20重量部含有されてなる特許請求の範
   囲第１項記載の組成物。 ３ メラミンとイソシアヌル酸又はシアヌル酸と
   の付加物が水性液状媒体100重量部に対して0.01
   〜30重量部含有されてなる特許請求の範囲第１項
   又は第２項記載の組成物。