JPS625388Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、旋回フレーム上に大きな減速装置を
配設することを不必要とした移動式クレーンに関
する。

例えば、機械式クローラクレーンにおいては、
第１図に示すごとく、エンジンａ出力はスプロケ
ツトｂ、チエーンｃ、スプロケツトｄの順に動力
伝達装置へ伝達され、該動力装置から、ジブｅの
俯仰巻上用の動力や旋回フレームｆ旋回用の動力
や走行駆動用の動力に分けられて夫々所要の機器
へ送られていた。

しかるに、機械式クローラクレーンの走行速度
はそれ程大きくないため、走行駆動用の動力は旋
回フレームｆ上に配設した大減速比の減速装置で
減速され、縦軸ｇ、かさ歯車ｈ，ｉからクローラ
ｊ駆動用のスプロケツトｋに伝達されていた。と
ころが旋回フレームｆ上に大減速比の減速装置を
載せると、該旋回フレームｆ上の重量が大きくな
る結果、旋回用の動力がそれだけ大きくなり、
又、非作業時に上部の旋回フレームｆと下部のク
ローラｊに分けて搬送する場合、旋回フレームｆ
側の重量が大きくなり、道路の重量制限上から問
題があつた。

一方、かさ歯車ｉを固着している軸ｌとスプロ
ケツトｋを固着している軸ｍとの連結はジヨーク
ラツチを使用して行つているため、作業時の操作
がやりにくかつた。

本考案は、従来装置が有する前述の欠点を除去
することを目的としてなしたもので、走行駆動用
の水平軸を枢着した下部フレーム上に旋回フレー
ムを設け、該旋回フレーム上に走行用、旋回用、
俯仰巻上用等の共通の原動機を配設し、所要の動
力伝達装置により前記原動機よりの動力を前記走
行駆動用の水平軸に伝達し得るよう構成し、前記
走行駆動用の水平軸を中央側水平軸と左右両側の
水平軸に分割し、中央側水平軸の両側所要位置
に、圧油が作用するとブレーキが掛かり圧油が作
用しないとブレーキが解放されるポジテイブブレ
ーキドラムと該ポジテイブブレーキドラムよりも
中央側水平軸長手方向外方に位置し圧油が作用す
るとブレーキが解放され圧油が作用しないとブレ
ーキが掛かるネガテイブブレーキドラムを夫々枢
着し、前記ポジテイブブレーキドラムとネガテイ
ブブレーキドラム間に、中央側水平軸に固着され
た太陽歯車とネガテイブブレーキドラム所要位置
に枢着された遊星歯車とポジテイブブレーキドラ
ム内周に刻設された内歯車とを設け、前記遊星歯
車を前記太陽歯車と内歯車に夫々噛合せしめ、前
記ネガテイブブレーキドラムに前記分割した水平
軸を連結せしめたことを特徴とするものである。

以下本考案の実施例を図面に基いて説明する。

機械式クローラクレーンの下部フレーム１に横
ビーム２を固着し、該横ビーム２の両側に、該横
ビーム２に沿つて左右に摺動し得るようにしたケ
ーシング３（第２図では左側にのみ図示）を嵌合
せしめ、該ケーシング３にクローラ６を支持、案
内するローラ４，５を取付ける。

前記下部フレーム１内の所要位置に下部フレー
ム１の中心軸線ｌを基準として左右対称に軸受ハ
ウジング７を固着し、該軸受ハウジング７に軸線
方向が前記横ビーム２と平行に軸受８を嵌合せし
め、該軸受８内に、ポジテイブブレーキドラム９
の小径ボス部を嵌合せしめ、該ポジテイブブレー
キドラム９の小径ボス部内に軸受１０，１１を嵌
合せしめて、該軸受１０，１１に水平軸１２を嵌
合せしめ、ポジテイブブレーキドラム９のドラム
本体外周部に、図示してない油圧ユニツトよりの
圧油が作用したときにブレーキが掛かり圧油が作
用しない場合にはブレーキが解放されるようにし
た公知の帯ブレーキ１３を配設し、前記ポジテイ
ブブレーキドラム９のドラム本体内周部に内歯車
１４を設ける。

前記ポジテイブブレーキドラム９の小径ボス部
より水平軸１２の軸線方向外側へ所要間隔へだて
た位置に、水平軸１２に嵌合した軸受１５を配設
し、該軸受１５にネガテイブブレーキドラム１６
の小径ボス部を嵌合せしめ、該ネガテイブブレー
キドラム１６のドラム本体外周部に、図示してな
い油圧ユニツトよりの圧油が作用したときにブレ
ーキが解放され圧油が作用しない場合にはブレー
キが掛かるようにした公知の帯ブレーキ１７を配
設する。

ポジテイブブレーキドラム９の小径ボス部とネ
ガテイブブレーキドラム１６の小径ボス部との間
に、水平軸１２に固着された太陽歯車１８を配設
し、前記ネガテイブブレーキドラム１６のウエブ
部より前記ポジテイブブレーキドラム９のドラム
本体内周中空部側に向けてリング状部材１９を突
設せしめ、該リング状部材１９に、軸線が水平軸
１２と平行で且つ回転自在な遊星歯車２０を、リ
ング状部材１９の円周方向に所要の間隔で所要数
配設し、該遊星歯車２０を前記太陽歯車１８及び
ポジテイブブレーキドラム９の内歯車１４と噛合
せしめ、前記水平軸１２の下部フレーム１中心軸
線ｌに近い側にかさ歯車２１を固着する。なお、
遊星歯車２０は１個しか図示してないが複数個設
けてもよい。

前記ネガテイブブレーキドラム１６の小径ボス
部に一体的に固結されたボス部の内周に内歯車２
２を設け、前記水平軸１２の軸線と軸線が合致す
るようにした水平軸２３を配設して該水平軸２３
の水平軸１２側端部に歯車２４を固着し、該歯車
２４と前記内歯車２２とで歯車継手を形成せし
め、水平軸２３の反水平軸１２側に歯車２５を固
着し、該水平軸２３の歯車２５側に内歯車２６を
有するボス２７を嵌合せしめ、内歯車２６と歯車
２５とを嵌合せしめて歯車継手を形成せしめ、ボ
ス２７の一端に前記クローラ６を駆動するための
スプロケツト２８を固着し、ボス２７の外周にブ
ツシユ２９を嵌合せしめ、該ブツシユ２９の外周
に水平軸２３、ボス２７、スプロケツト２８が回
転しても回転せずクローラ６を支持、案内し得る
ようにした案内筒３０を嵌合せしめる。水平軸２
３、ボス２７、スプロケツト２８、案内筒３０等
は、図では右側にのみ示してあるが、実際には下
部フレーム１の中心軸線ｌを基準に左右対称に配
設してある。

前記下部フレーム１上に軸線が下部フレーム１
の中心軸線と合致するようにした内歯環状歯車３
１を載置、固定し、該内歯環状歯車３１の外周軌
道に転動体３２を嵌合せしめ、上部の旋回フレー
ム３３下面に固着した環状体３４の内周軌道に前
記転動体３２を嵌合せしめ、上部の旋回フレーム
３３が環状体３４と一体的に下部フレーム１に対
して旋回し得るよう構成する。

旋回フレーム３３上部後方に配設したエンジン
３５の出力軸にスプロケツト３６を固着し、旋回
フレーム３３上に配設した動力伝達装置の回転軸
にスプロケツト３７を固着し、スプロケツト３６
と３７とに駆動用のチエーン３８を掛け渡し、前
記スプロケツト３７を固着した動力伝達装置の回
転軸と同一軸上に小歯車３９を固着し、該小歯車
３９にジブの俯仰巻上用の動力を伝達するための
歯車や旋回フレーム３３を旋回させるための動力
を伝達するため歯車等を配設し、旋回フレーム３
３旋回用の最終段の動力伝達装置として、旋回フ
レーム３３下面に枢支された縦向きの小歯車４０
を配設し、該小歯車４０を前記内歯環状歯車３１
に噛合せしめる。

前記小歯車３９に、旋回フレーム３３上に配設
された別の動力伝達装置の回転軸に固着された大
歯車４１を噛合せしめ、同様に旋回フレーム３３
上に配設された更に別の動力伝達装置の回転軸に
歯車４２を固着して該歯車４２を前記大歯車４１
に噛合せしめ、該歯車４２を固着した回転軸に図
示してないがかさ歯車を固着し、軸線が下部フレ
ーム１の中心軸線ｌと合致するようにした縦軸を
旋回フレーム３３下面に取付けられた軸受４３に
枢支せしめ、該縦軸上端に、図示してないかさ歯
車を固着して該かさ歯車を前記歯車４２が固着さ
れている回転軸に固着したかさ歯車と噛合せし
め、前記軸受４３に枢支された縦軸の下端にかさ
歯車４４を固着して該かさ歯車４４を前記かさ歯
車２１と噛合せしめる。

なお、図示してないが、エンジン３５よりの動
力は帯ブレーキ１３，１７を開閉するための油圧
ユニツト動力源にも送られるようになつており、
又、各動力伝達装置の所要位置にはクラツチ装置
が設けてあり、俯仰、巻上、旋回、走行等を同時
にも、又別個にも行い得るようになつている。な
お、図中４５はクローラ６駆動用のチエーンであ
る。

次に本考案の移動式クレーンが直進したり、カ
ーブをしたりする場合の作用について説明する。

先ず直進を行う場合には、水平軸１２上の左右
のポジテイブブレーキドラム９に、帯ブレーキ１
３によりブレーキを掛け、左右のネガテイブブレ
ーキドラム１６を帯ブレーキ１７をゆるめてブレ
ーキが解放された状態にし、所要位置に設けてあ
るクラツチを連結する。

クラツチを連結すると、エンジン３５よりの動
力は、スプロケツト３６、チエーン３８、スプロ
ケツト３７、小歯車３９、大歯車４１、歯車４
２、かさ歯車、縦軸、かさ歯車４４の順に伝達さ
れ、ある程度回転数が減速された状態でかさ歯車
２１より水平軸１２に入力し、水平軸１２を回転
させる。そうすると、水平軸１２上に固着してあ
る左右の太陽歯車１８も回転し、遊星歯車２０に
回転力が伝達されるが、ポジテイブブレーキドラ
ム９が左右ともブレーキされているため、遊星歯
車２０は何れも自転しつつポジテイブブレーキド
ラム９のドラム本体内周部に設けた内歯車１４の
内周を公転し、その結果、ネガテイブブレーキド
ラム１６も回転し、内歯車２２、歯車２４より動
力が水平軸２３に伝達される。遊星歯車機構では
大きな減速比を得られるため、水平軸２３の回転
数は水平軸１２の回転数よりも大幅に小さくな
る。

又、左右の水平軸２３に伝達された動力は歯車
２５、内歯車２６よりボス２７に伝達され、ボス
２７に一体的に固着されたスプロケツト２８を回
転させ、スプロケツト２８によりチエーン４５が
回転され、しかして左右のクローラ６が同速で回
転し、機械式クローラクレーンは直進する。前述
の直進方向と逆の方向に機械式クローラクレーン
を直進させる場合には、各回転部の回転方向を逆
回転させるだけであるから説明は省略する。

機械式クローラクレーンを走行時にカーブさせ
る場合には、カーブしようとする側のポジテイブ
ブレーキドラム９のブレーキを解放すると共にネ
ガテイブブレーキドラム１６にブレーキを掛け、
反対側はポジテイブブレーキドラム９のブレーキ
を掛けると共にネガテイブブレーキドラム１６の
ブレーキを解放し、動力を前述のように伝達させ
て水平軸１２を回転させる。そうすると、ポジテ
イブブレーキドラム９のブレーキを解放しネガテ
イブブレーキドラム１６のブレーキを掛けた側で
は、太陽歯車１８によつて遊星歯車２０が自転
し、該遊星歯車２０によつてポジテイブブレーキ
ドラム９が回転するため、ネガテイブブレーキド
ラム１６側には動力が伝達されず、しかして水平
軸２３も回転しないが、ポジテイブブレーキドラ
ム９にブレーキを掛け、ネガテイブブレーキドラ
ム１６のブレーキを解放した側では、直進の場合
と同様にして動力が水平軸２３に伝達され、しか
して水平軸２３よりクローラ６に動力が伝達され
るため、クローラ６が回転し、機械式クローラク
レーンは、ポジテイブブレーキドラム９のブレー
キを解放し且つネガテイブブレーキドラム１６に
ブレーキを掛けた側にカーブする。

前述の場合、機械式クローラクレーンのカーブ
の半径は最小になるが、ポジテイブブレーキドラ
ムのブレーキを解放しネガテイブブレーキドラム
のブレーキを掛ける側のポジテイブブレーキドラ
ム、ネガテイブブレーキドラムの何れもハーフブ
レーキの状態にし、他方の側を前述の場合と同
様、ポジテイブブレーキドラムにブレーキを掛
け、ネガテイブブレーキドラムのブレーキを解放
した状態で運転を行うと、ハーフブレーキ側のポ
ジテイブブレーキドラム、ネガテイブブレーキド
ラムのブレーキ力に対応して遊星歯車２０が、自
転しつつポジテイブブレーキドラム９のドラム本
体内周部に設けた内歯車１４に沿つて多少公転
し、しかしてこの側のネガテイブブレーキドラム
１６、水平軸２３、スプロケツト２８等が遅い速
度で回転し、しかしてクローラ６も遅い速度で回
転するが、ポジテイブブレーキドラムにブレーキ
を掛けネガテイブブレーキドラムのブレーキを解
放した側では、クローラは正常の速度で回転す
る。従つて、この場合も機械式クローラクレーン
はカーブするが、その半径は大きくなる。

なお、本考案の実施例においては、移動式クレ
ーンとして機械式クローラクレーンを図示し説明
したが、トラツククレーン等移動するもの全てが
本考案の対象となり得ること、その他本考案の要
旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得るこ
と、等は勿論である。

本考案の移動式クレーンにおいては、旋回フレ
ーム上であまり減速を行わず、下部フレームに設
けた駆動用の水平軸の部分で大きな減速を行うよ
うにしているため、旋回フレーム上に大減速比の
減速装置を設置する必要がなく、旋回フレーム上
の重量が小さくなり、その結果、旋回フレームと
下部フレームとを分離して搬送する場合に有利と
なるうえ、エンジンの容量上も有利となり、又、
ジヨークラツチのごとき連結操作が不必要となる
ため、操作性も向上する、等種々の優れた効果を
奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の移動式クレーンの説明図、第２
図は本考案の移動式クレーンの説明図である。 図中１は下部フレーム、６はクローラ、９はポ
ジテイブブレーキドラム、１２は水平軸、１６は
ネガテイブブレーキドラム、１８は太陽歯車、２
０は遊星歯車、２２は内歯車、２３は水平軸、２
４，２５は歯車、２６は内歯車、２７はボス、２
８はスプロケツト、３０は案内筒、３１は内歯環
状歯車、３２は転動体、３３は旋回フレーム、３
４は環状体、３５はエンジンを示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行駆動用の水平軸を枢着した下部フレーム上
   に旋回フレームを設け、該旋回フレーム上に走行
   用、旋回用、俯仰巻上用等の共通の原動機を配設
   し、所要の動力伝達装置により前記原動機よりの
   動力を前記走行駆動用の水平軸に伝達し得るよう
   構成し、前記走行駆動用の水平軸を中央側水平軸
   と左右両側の水平軸に分割し、中央側水平軸の両
   側所要位置に、圧油が作用するとブレーキが掛か
   り圧油が作用しないとブレーキが解放されるポジ
   テイブブレーキドラムと該ポジテイブブレーキド
   ラムよりも中央側水平軸長手方向外方に位置し圧
   油が作用するとブレーキが解放され圧油が作用し
   ないとブレーキが掛かるネガテイブブレーキドラ
   ムを夫々枢着し、前記ポジテイブブレーキドラム
   とネガテイブブレーキドラム間に、中央側水平軸
   に固着された太陽歯車とネガテイブブレーキドラ
   ム所要位置に枢着された遊星歯車とポジテイブブ
   レーキドラム内周に刻設された内歯車とを設け、
   前記遊星歯車を前記太陽歯車と内歯車に夫々噛合
   せしめ、前記ネガテイブブレーキドラムに前記分
   割した水平軸を連結せしめたことを特徴とする移
   動式クレーン。