JPS6253264B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は一台の溶接装置により炭酸ガス自動ア
ーク溶接と交流直流両用TIGアーク溶接や交流ア
ーク溶接等の手溶接の両方を行なうことができる
アーク溶接装置に関するものであり、詳しくは１
個の溶接機用変圧器によりこれらの自動アーク溶
接と手溶接を行なえるようにすることを目的とす
るものである。

一般に、手溶接ではアーク長が多少変動しても
アークが消失しないように、電源の外部出力特性
としては、第１図に示すような垂下特性のものが
用いられ、また消耗電極を用いる自動アーク溶接
においては、負荷電流が多少変動しても溶接電源
の出力電圧があまり変化しないように、電源の外
部出力特性としては、第２図に示すような定電圧
特性のものが用いられる。

従来は自動アーク溶接を行なうためには、定電
圧特性を有する溶接用変圧器を使用し、またTIG
アーク溶接や交流アーク溶接等の手溶接を行なう
場合は、外部出力特性が垂下特性となるそれぞれ
専用の溶接用変圧器を用いており、経済性の点で
解決が望まれていた。

本発明は一個の溶接用変圧器に定電特性と垂下
特性の二つの外部出力特性を持たせ、一台の溶接
装置にて自動アーク溶接と手溶接を可能にしたも
のである。以下本発明の内容について第３図およ
び第４図を用いて説明する。

第３図は本発明のアーク溶接装置に用いる溶接
機用変圧器の一実施例を示す図であり、第３図に
おいて１は定電圧特性を得るための第１の２次コ
イル、２は１次コイル、３は垂下特性を得るため
の第２の二次コイル、４，５は継鉄、６，８は固
定鉄芯、７は漏洩磁路としての可動鉄芯である。

ここで、定電圧特性を得るためには、第３図に
おける２次コイル１，１次コイル２が用いられ
る。この場合、１次コイル２と２次コイル１は同
一継鉄４，５上に接近して巻かれているため、磁
気的結合が良く、１次コイル２により発生した磁
束は、ほとんど２次コイル１を鎖交することにな
る。従つて、漏れリアクタンスは極めて小さく、
このため出力の電圧と電流の関係は第２図に示す
ような定電圧特性を示すことになる。また、２次
コイル１と１次コイル２は、可動鉄芯７をはさん
で同じ側に巻かれているため、可動鉄芯７の位置
に関係なく、コイルの巻数比で定まる同一の出力
特性を得ることができる。

また、垂下特性を得るためには、第３図におけ
る１次コイル２と第２の２次コイル３が用いられ
る。この１次コイル２と２次コイル３は可動鉄芯
７をはさんで継鉄４，５の反対側に巻かれている
ため、１次コイル２により磁束を発生させると、
可動鉄芯７により、２次コイル３に鎖交しない漏
れ磁束が発生し、１次コイル２と２次コイル３の
磁気的結合は悪くなる。そのため、出力の電圧と
電流の関係は第１図に示すような垂下特性を示
す。また、可動鉄芯７の位置により任意に磁気的
結合の度合を変化することができるため、出力特
性の垂下の度合を自由に可動鉄芯７を移動さすこ
とにより決定することも可能である。

前記に示すような溶接機用変圧器を組込んだア
ーク溶接装置の一実施例の主回路について第４図
を用いて説明する。第４図において、L₁は１次
コイル、L₂は定電圧特性を得る２次コイル、L′₂
は垂下特性を得る２次コイル、SW₁は定電圧特性
と垂下特性の切替えを行なう連動スイツチ、SW₂
は定電圧特性の出力調整用ロータリスイツチ、Ｄ
はダイオードである。

この第４図の回路において手溶接等の溶接を行
なう場合、スイツチSW₁は１次コイルL₁と２次コ
イルL′₂とがコイルとして使用されるように倒さ
れる。これらのコイルは、第３図に示されるよう
に可動鉄芯７を隔てて巻かれているため、出力特
性は垂下特性となり、電圧の調整は可動鉄芯７を
移動することにより可能である。

炭酸ガス溶接等の自動アーク溶接を行なう場合
は、スイツチSW₂は、１次コイルL₁と２次コイル
L₂として使用されるように継続される。これら
のコイルは、第３図に示されるように可動鉄芯７
を通る同じ磁路中に巻かれているため、出力特性
は定電圧特性を示す。この場合、出力調整は可動
鉄芯７により行なうことは不可能であるため、本
実施例では１次コイルL₁にタツプを設け、ロー
タリスイツチSW₂でタツプを切替えることにより
出力調整を行なつている。

以上のように本発明のアーク溶接用装置によれ
ば、溶接用変圧器の１次コイルを共通にして、２
次コイルを選択することにより、定電圧特性と垂
下特性を自由に得ることができるため、炭酸ガス
溶接等の自動溶接も、TIG溶接や交流アーク溶接
等の手溶接も一台のアーク溶接装置で行なうこと
が可能であり、自動アーク溶接と手溶接でそれぞ
れ専用の溶接機用変圧器を使用するのに比べ、経
済的に設計することができ、一台でこれら２台分
の働きをするためスペースをとらない等の利点を
得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は垂下特性を有する電源の外部出力特性
を示す図、第２図は定電圧特性を有する電源の外
部出力特性を示す図、第３図は本発明のアーク溶
接装置に組み込まれる溶接用変圧器の一実施例を
示す構成図、第４図は本発明のアーク溶接装置の
主回路を示す電気回路図である。 １，L₂……第１の２次コイル、２，L₁……１
次コイル、３，L′₂……第２の２次コイル、７…
…可動鉄芯、SW₁，SW₂……スイツチ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 定電圧特性を有する溶接装置により行なう炭
   酸ガス溶接等の自動アーク溶接と、垂下特性を有
   する溶接装置により行なうTIG溶接や交流アーク
   溶接等の手溶接を一台の溶接装置にて行えるよう
   に構成したアーク溶接装置において、主磁路の一
   部を短絡するように配置した可動鉄芯と、タツプ
   を設けた１次コイルと、この１次コイルにより発
   生する磁束が前記可動鉄芯に関係なくほとんど鎖
   交するように配置した第１の２次コイルと、前記
   １次コイルにより発生する磁束の一部が前記可動
   鉄芯を通りかつ残りの磁束が鎖交するように配置
   した第２の２次コイルとからなる溶接用変圧器を
   有し、前記１次コイルと前記第１の２次コイルと
   により定電圧特性を持つ出力を得るとともに前記
   １次コイルに設けたタツプにより出力調整を行な
   い、かつ前記１次コイルと前記第２の１次コイル
   とで垂下特性を持つ出力を得るとともに前記可動
   鉄芯を通る磁束を変化させることにより出力調整
   を行なうことを特徴とするアーク溶接装置。